言の葉紡ぎの日常   作:惰眠貪り隊

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遅れて申し訳ありません。真に申し訳ありません。

しかも短いですが、読んで頂けたら幸いです。



弐什ノ葉 真実

~ ■ ☆ ■ ~

 

 

 

 

 

 

やっと塞がったばかりの傷跡に余計な力をかけないように布団に腰掛けた私は、静かに向かい合って座っているサスケくんに声をかけました。

 

 

「・・・さて、キミとの契約を果たしましょう。サスケくん、準備はよろしいですか?」

 

「あぁ」

 

 

はい、死に掛けるぐらいの傷を負ってから、体調がまだまだ戻らないリョクです。ですが、時は待ってくれないので、サスケくんとの約束を果たさないといけません。と言う事で、イタチさんについて調べたことを話すことにしました。100%の真実で出来ている話をして、サスケくんの精神がそれを受け入れるかによって未来は変わる。そう信じて私は口を開きました。

 

 

イタチさんが起こしたあの一族惨殺事件の真相は、クーデターを起こそうとしたうちは一族を止める為の最終手段だった事。

 

里抜けをしたのは、この事件の真相を隠すためだけではなく、サスケくんが強くなって自分を倒すことで永遠の万華鏡写輪眼を手に入れ、S級犯罪者を倒したと言う事実を残してうちは一族の尊厳を保つ意味もあった事。

 

サスケくんの憎しみを自身に向けさせることで木ノ葉に憎しみを向かわせないようにした事。

 

うちはの血を残せるよう、イタチさん自身が犠牲になることを決意した事。

 

ずっと、サスケくんの事を思っての行動だった事。

 

 

ゆっくり語る私の言葉を、サスケくんは目を閉じて聞いてくれました。静かに、そして真実を噛み締めるように聴いていたのです。・・・そうして話が終わり、サスケくんが目を開く。その目は澄んだ湖畔のように凪いで居ました。私には、その静けさが少しばかり不気味に思えたのです。嵐の前の平穏のように見えたから。

 

 

「・・・そうか。そうだったのか」

 

「もう一つ。イタチさんと共にうちはを滅ぼした人がいます。今、その人を止める為に私達は動いている」

 

「ソイツの名は?」

 

「正確に言えばソレは彼の名では無いのかもしれません。彼、というよりも意思の名、と言った方が妥当でしょう。

彼の意思の名は―――うちはマダラ。この世の成り立ちに絶望した、貴方の御先祖様です」

 

 

私がその名を告げると、サスケくんは眉を顰めました。ソレもそのはず。一世紀も前の人物の名です。・・・でも、それは紛れもない事実なのですから、私は説明を続けることにしました。サスケくんにならば言霊の秘密を少しぐらい知られたってかまいません。だって私の友達なのですから、この情報の重要性なんてわかってくれるでしょう。そのぐらいは信用してます。

 

 

「うちはマダラは確かに千手柱間に負けました。ですが、彼は生きていた。・・・尾獣の話は先日話したばかりですが、ソレの本体たる外道魔像を探し当ててしまったのです」

 

 

ここまで話すとサスケくんは考え込んでから頭を掻きました。中々煮詰まって来たようです。休憩しましょう、と声をかけて私は部屋を出ました。パタン、とドアを閉じれば、心配そうに仲間達が覗き込んでいました。・・・驚くのでドアの前に全員集合は止めて欲しいんですが。

 

 

「リョク君、大丈夫だった?」

 

「サスケはキレて無い?」

 

「なんかヤケ起こしそうなカンジじゃなかったか?」

 

 

矢継ぎ早に質問が私に降り注ぎます。一々律儀に答えてから、私はお茶の準備をしようとして―――全部ルリさんとシイロさんにぶんどられました。いくらなんでもお茶の準備くらい・・・と思うのですが、どうも駄目みたいです。残念。運ぶのはよいとの事らしいのでお盆にお茶椀を二つと急須を乗せて運びます。部屋に戻ってお茶を注いで、ついでにお茶請けのお煎餅を出しました。サスケくんは甘い物苦手だったはず。そう思って出したのですが、何やら懐かしいような、悲しいような顔をして一枚齧っていました。・・・何が不味かったのでしょうか。ちょっと不安な気分になりましたが、どうやら美味しかったようです。「美味い」の一言を零したサスケくんの表情は少し和らいでいました。あぁ、よかったです。

私もお茶を啜り、ちらりとサスケくんを見ました。お煎餅を片手に、どこか思い悩んでいる顔でした。どこからか、サクラさんの「あの憂い顔がカッコイイのよぉ~~~!!」と言う黄色い悲鳴が聞こえてきそうです。・・・あ、それは無いですかね。それはさて置き、パリパリとお煎餅を食べ終えて、私は口を開きました。「気持ちの整理は、できましたか」と、静かに聴く。サスケくんは、静かに、とても静かな声で、短く「あぁ」とだけ答えました。サスケくんの瞳は、いつぞやの濁った憎悪の色は浮んでおらず、なんとなく安心しました。・・・昔の、サスケくんの瞳に戻っているように見えたからです。

 

 

「取り合えず、イタチからも話を聞きたい。・・・お前たちが真実を知っているのを、イタチは知っているのか」

 

「了承済みです。・・・最後まで貴方に伝えるのを渋っていましたが」

 

 

目を閉じたサスケくん。また目を開いた時には、迷いが消えました。彼は悩み、悔やみ、考え抜いた答えを、口にしました。

 

 

「オレは――――」

 

 

 

 

 

~ ■  ■ ~

 

 

 

 

 

ゴォン、と耳を劈く音がして、木で作られたアジトが崩落する。中は無人だった。その木の中を見て、罵声を上げるのは、黒地に赤い雲の浮んだコートを着た仮面の男。彼は焦っていた。

 

 

『くそっ、ここもダミー! 言霊一族の奴らめ、このままでは計画が・・・、っち』

 

 

ダン、と壁を叩いた所で、傍らの木からシロクロの異形が現れる。ギザギザの葉っぱに包まれた、その異形の男が仮面に声をかけた。こちらも困った顔をして、彼を眺めていた。

 

 

「焦ってるねぇ。どうするの? サスケは奪われちゃったし、このままだとマズくない?」

 

「ソウダナ。代行策ハ練ッテルガ・・・」

 

 

言葉の途中で、異形の姿をしたモノが口を閉ざす。どこからか、笑い声が響いてきたのだ。嘲笑のような、冷笑のような。いずれにせよ、此方に敵意を向けているであろう笑い声だ。この深い森の中で、響くように聞こえる声は、どこから聞こえてくるのか、察知できなかった。ギラリ、と仮面の男の目が光った。

 

 

『・・・そこかっ!』

 

「おおっと、ハズレ」

 

 

からかうように、嘲るように、その声の人物が、逆さ吊りになって上から覗き込んでいた。仮面の男、トビが今し方罵っていた一族が一人、言霊シイロである。一瞬で投げつけられた手裏剣なんて物ともせず、隈の濃い鋭すぎる目をトビだけに向けて口元を吊り上げた。気安く組んでいた腕を挙げ、挨拶する。

 

 

「よう、オビト。今はトビだっけ、それともマダラとでも名乗るつもりか?」

 

「『!?』」

 

「わかってないとでも思ったかよ。俺は呪屋だし、裏のヤツらとはよーくオハナシ(・・・・)するしなぁ。お前の話、入ってきたりするもんだぜ?」

 

 

降り注ぐクナイや忍具、術を軽々避ける動きに乱れは無い。ソレが当然、といわんばかりだ。余裕綽々に見事な足捌きで避けていく。シイロの笑みは崩れることなく、ニヤニヤしながら言葉を紡いでいく。まるで、友人と語るように。

 

 

「お前に負けるくらい、衰えちゃあいねえよ。多少強くなったからっていきがるんじゃねえぞ?」

 

『・・・アンタには感謝してるよ。オレは、この世界を終わらせて、新しい世界を作る。もう、あの悲しみを、二度と起こさないためにっ!!』

 

「馬鹿野郎、なぜそこにたどり着いた! 正しい道にその力を使えば、お前が傷つくこともねぇだろうに」

 

『アンタにオレの何がわかる。オレはオレの道を行くだけだ!!』

 

 

轟、と音を立てて、火遁が木々を舐める。ユックリ燃え広がっていく炎を背に、二人は切り結んだ。金属音と共に火花が散り、もはや目視できないほどの速度で移動する木々の間に残像が踊った。その姿を異形の男、ゼツが眺めて、溜息を付いた。

 

 

「あーあ、完全に手を出せる域じゃあないよねー」

 

「ソウダナ。手ヲ出シタ瞬間ニ、ドチラカラモ反撃ガ来ソウダ」

 

「じゃあ、アタシと遊びましょ?」

 

 

完全に隙を突かれて、ゼツが飛び退いた。彼らの背後から、水音を伴って現れたのは、腰まである髪を二つに分け、それぞれ三つ編みにした女、言霊ルリ。艶めいた笑みを浮かべるその目は、全くの色を浮かべていない。絶対零度の冷たさを宿していた。

 

 

 

 

 

人里離れた山の中。明け方の空に閃光が走った。周囲を焼き払ったその場所には大半が焼け焦げた黒地に赤い雲の入ったマントと、千切れた黒い道服の袖が残されていた。

 

――――何が起こったのか、知るものは何処にもおらず、謎を呼ぶだけであった。

 

 

 

 

 




ありがとうございました。
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