言の葉紡ぎの日常   作:惰眠貪り隊

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布団から腕だけ出してご挨拶

布団|ノシ{ぐーでんたーく~


と言うことで二話目をどうぞ


第壱章 中忍試験の闇には   
弐ノ葉 木ノ葉散る里へ


「・・・・こはくは、医療忍者として行くのかい?」

 

「うん。木ノ葉の里に付いたら別行動なんだ。ぼくは関係者側だから一緒に居たら不味いし」

 

「・・・・・」

 

「本当に、残念じゃん・・・・」

 

 

ギラギラと照り付ける太陽が沈んでいくのを眺める。いやぁ、キレイな夕焼けだなぁ。

段々と涼しくなっていく砂漠の中を、ぼくらは木ノ葉の里へと歩みを進めていく。

まぁ、ぼくは医療忍者兼暗部として木ノ葉に送り込まれただけに過ぎないため、我愛羅やテマリさん、カンクロウさんとは別行動だ。本当は一緒がよかったのだけど、そうはいかないみたい。カンクロウさんの真似と言う訳ではないけど残念だ。知らないところで一人はキツイ。

記録(ログ)のお蔭で地理は大体わかっているしどこに美味しいお店があるのかも理解しているが、精神が疲れる可能性が高い。一族の人が居るのだってわかっている。けど、自分の目で、感覚で見るのと他人の記録を見るのじゃ大きな差だと思う。

はぁ、と心の中で溜息を付いていると我愛羅が声をかけてきた。

 

 

「・・・・こはく」

 

「ん~? 何?」

 

「・・・・無理をするな」

 

「――――ありがと、我愛羅」

 

 

翡翠色の目を見て笑う。本当に察しがいいんだから、困ってしまうよ。

目を閉じて風の音を確認した後、ぼくは「今日中に砂漠を抜けようか」と皆に声をかけてから砂を蹴った。

そろそろ砂嵐が来そうだからね。急いだ方がよさそうだ。

皆の速度が上がる。ぼくの意思を汲み取ってくれたみたいでちょっと嬉しさを感じた。

喉の痛みが少しだけ増した。昨日の任務で使いすぎた感じがあるので、反省。皆に気付かれないように薬を口に放り込む。瞬間広がるのはえぐみと壮絶な苦味。

・・・ぼくは内心涙目になりながらも走り続けるのだった。

だって、気付かれる訳にはいかないからね!

 

 

 

 

 

・・・・はぐれた。

どうしよう、珍しい薬草があったから摘んでたらみんな行っちゃったし、チャクラはどんどん他の人のに紛れちゃうし・・・・。

気が付いたら三人は『阿吽』の門の前で、どんどん中に入ってくし・・・。

多分、もう中だと思ったんだろう。木ノ葉の人のお蔭で撹乱されてしまった。

いや、木ノ葉の人を責めるつもりはないんだけどね。うん。

人込みを避けていくのは思いの他大変で、大幅に引き離されてしまった。

焦っていると木ノ葉の言霊と二人のチャクラが接触した。・・・あれ? なんで?

我愛羅のチャクラがそこには無い。ってことは――――――

 

 

「ゴメン、はぐれちゃって!」

 

「・・・・」

 

 

―――――ぼくを探しに来てるってことだよね。

即座に謝ると我愛羅はちょっと安心した表情で並走する。

どうやら問題が起きたようだし・・・急がないとね。

そう目配せすれば我愛羅も理解したようで、気配を消した。続いてぼくも。

足音も完全に消して二人のチャクラの傍まで行く。

ぼくらが到着すると・・・・なぜかカンクロウさんがカラスを使おうとしている所だった。

カラス、と言うのは“赤砂のサソリ”と言う傀儡技師さんの造った傀儡である。

問題を起こすのは得策ではないので、ぼくはその場に降り立った。

 

 

「はい、ストップ」

 

『!!!』

 

 

ひょいと包帯だらけのカラスを取り上げれば、その場にいた全員驚いたみたいだった。

ちらりとぼくは木ノ葉の下忍さんたちの一人と目を合わせた。

髪の色も、服も、顔立ちも、全然違う。

だけど雰囲気やチャクラがとても似ていて。

相手――――言霊リョク君もぼくと目を合わせてすぐそらした。

ぼくの考えている事を読み取ったんだろう。だから、ぼくも問題を解決することにした。

 

 

「カンクロウさん、なんで問題を起こそうとするんです? ぼくらは砂代表なんですから、どんな態度取られても抑えて抑えて」

 

「だ、だってよ、こはく・・・。あいつらが先にぶつかって来たん――――」

 

「黙れ、カンクロウ。・・・里の面汚しが」

 

 

・・・もう、カンクロウさんってば言い訳するから我愛羅が怒っちゃったじゃないか。

木の上にいた子も、我愛羅が居た事に気が付かなかったのか驚いていた。

はぁ、あのぐらい気がつけなくてどうするよ。この子達、本当に同じ下忍だろうか?

とは言え一番大きな国の里だし、腑抜けててもしょうがないか・・・。

我愛羅の殺気によってカンクロウさんが慌てる。テマリさんも慌てる。木ノ葉の下忍たちは警戒する。

この雰囲気はよくないし・・・ここはぼくが止めるとしますか。

ピリピリした空気の中、ぼくは勤めて柔らかい雰囲気の声を出した。

 

 

「まあまあ我愛羅。カンクロウさんもテマリさんも謝ってるんだから、そのぐらいにしといてあげてよ」

 

「・・・・。さっさと行くぞ。君達、すまなかったな」

 

「ゴメンね、怖がらせちゃって。あ、ついでにぼく達不法入国じゃないからね」

 

 

ぼくが笑顔でそう言えば、我愛羅も殺気を納めてくれた。

怯えている木ノ葉の下忍たちに謝ってから慌てて付け足す。だって、ピンクの髪の子が疑わしそうにこっちみてるし。そんな彼女に許可証をぱっと見せれば、その視線から疑いが消えた。

うん。これでよし。なんかイチャモン付けられることもないだろう。

そう思いながら踵を返して・・・・木の上から飛び降りてきた黒髪の子に呼び止められた。

目の奥で闘志が燃えている事から、強い相手と戦いたいって子なのだろう。あと、我愛羅と雰囲気が似てる。

まず、我愛羅が答えた。で、次にその子―――――うちはサスケ君が名を告げる。

へぇ、あのうちは一族かぁ。どんな才を持っているか楽しみだね! あの一族はあの人(・・・)の末裔だし・・・我愛羅も楽しめるだろう。

と思っていたらぼくも名前を聞かれた。えぇ、なんで!? ぼく、マークされるようなことしたっけ?

・・・ああ、彼らに気が付かれないでカンクロウさん止めに入る事が出来たからか。

でも聞かれて答えないのは礼儀を欠くから、ぼくは笑みを浮かべながら答えた。

 

 

「ぼくは、言霊こはく。ちなみに関係者側だから試験には出ないよ。よろしくね~」

 

 

下忍の人たちが驚いた顔をした。

だって、自分達と同じ同期と同じ苗字の人が他の里にいるんだもんね。そりゃビックリするよ。

このままではリョク君が問い詰められるのがわかったので「あ、ちなみにリョク君とは親戚だよ。ぼくらの一族は各里に散らばってるからね!」と言っておいた。それしか答えようがないし、知っている事を教えるわけにもいかないからね。嘘を付くのはあまり好きではないけど仕方の無いことだ。

なんとか納得してくれた下忍君たちと別れて、ぼくたち三人は宿へと向かう。

部屋は同じ・・・って訳じゃない。ぼくはこれから関係者として受験者と一緒にはいられない。だけど、居る所を知っていて損は無いよね。訪ねていけるし。

ぼくはバキ上忍に三人を頼むと指定された場所に向かうために出て行った。

途中でリョク君に出会った。

・・・うん。ぼくとは色々な意味で正反対な子なんだろう事がわかった。

彼は、よく見れば女の子みたいな顔をしていて、羽織りの中にパーカーをいう格好をしていても女の子っぽい。どう足掻いても少年にしか見えないぼくとは、全然違うね。

あ、そうそう。ぼくは女の子なんだ。ずっと“男”と偽ってきたのには理由があるんだけど、それは後でも話せるからいいや。

彼は本当に小さな声で「・・・・ぉんな顔なのは・・・触れないでください。コンプレックスなんです」と呟いた。

うん。ぼくもコンプレックスはあるから触れないよ。矢鱈に人の傷を抉る趣味は無いからね。

なんか・・・チビ・・・とか・・・マメ・・・とかだから舐められるらしいんだ。

本当貴様らの頭はミジンコ並かっつーんだよマジで。外見で判断してんじゃねえぞゴラァア!

・・・・・・・コホン、取り乱した。本当、低脳さが際立つ判断方法だよね。

でも、ぼくにはまだまだ猶予がある。なんたって成長期だもん!

目指せ160センチのナイスバディ! あとテマリさんみたいな姉御肌になりたい。カッコイイし優しいし手先器用だもん、テマリさん。目標としても、一人の女性としてもテマリさんは尊敬できる。

まぁそんなコンプレックス談議は止めて二人で歩いて会場へ。

・・・すぐに仕事を言いつけられて、ぼくとリョク君は離れ離れになるのだが、まあしょうがないだろう。

さて、仕事仕事。与えられたからにはやらなきゃね。

 

 

 

 

 

~ ■ * ■ ~

 

 

 

 

・・・今第一次試験をやっているそうだ。

その間ぼくらは二次試験の準備。担当はみたらしアンコさんというらしい・・・・が。

 

 

「あぁ・・・疲れた。まさかこんなに大変だとは・・・」

 

「そうですね・・・。私達には結構つらいです」

 

 

ぼくらは戦力外通告を受けて外されたので、廊下を歩きながら少々ぐったりしていた。唯でさえ体力が無いのに、準備で根こそぎ奪われた。医療忍者はスタミナが大切なんだけど・・・・ぼくは生まれつきだからしょうがない。

・・・と、向こう側に強い気配があるのに気が付いた。多分受け持ちの下忍が試験を受けているので暇をしている上忍だろう。

あまり・・・関わりたくない、かも。

 

 

「あれ、リョクじゃないの。どうしたんだ?」

 

「あぁ、()こk・・・こほん先生じゃないですか。私は三代目火影様に出るなと言われたのでお手伝いを」

 

「・・・お前、教え子にもそんな風に言われてんだな」

 

「まあ、カカシだからしょうがないわね」

 

 

・・・・あぁ、そう言うパターンですか。リョク君の担当上忍さんがここにいるパターン。

「・・・まあ遅刻ばかりしてるし、しょうがないね~。で、そっちの子は?」とカカシと言うらしい片目を額当てで隠した、マスクの銀髪さん。片目しか見えている所はない。・・・とても怪しい。

この特徴からして“コピー忍者”“写輪眼のカカシ”と言う二つ名で有名なはたけカカシさんだろうことはわかった。どんな過去を持っているのか、どんな戦争に参加したか、師匠は誰かぐらいは“記録(ログ)”によってもたらされた情報によって理解する。尊敬に値する人である。

カカシ上忍の周りにいたヒゲを生やした咥えタバコの上忍(多分猿飛アスマ上忍)も、特徴的な目をした女性の上忍(特徴的な目からして夕日クレナイ上忍だと思われる)にも興味深そうな目でこちらを見てきたので渋々自己紹介をする事にした。

 

 

「ぼくは言霊こはく。砂の下忍ですが医療忍者としてこちらでお手伝いをさせて頂いています」

 

「・・・・!! 言霊一族の子かぁ。オレは、はたけカカシ。よろしく」

 

「ほぅ、やっぱ言霊の所のは礼儀正しいんだな。猿飛アスマだ。一つ宜しく頼む」

 

「いい子じゃない。私は夕日紅よ。よろしくね」

 

「はい。他里の人間ですがよろしくおねがいします」

 

 

あれ、結構穏やかな人たちじゃないか。砂隠れの上忍さんみたいに品定めするような目を向けてこない。

そう思いつつもぼくが丁寧に頭を下げればカカシ上忍とアスマ上忍が沈黙してしまった。

・・・何か変な事でもしたかな?

気持ちが顔に出ていたのかクレナイ上忍が「ちょっと、こはく君困ってるじゃない。どうしたのよ?」と言ってくれた。とてもありがたいです。

そうしたら二人は顔を見合わせてこう言った。

 

 

「いやぁ、ね」

 

「ウチの班の奴にも見習って欲しいぐらいだ、と思ってなぁ・・・」

 

 

ちょっと遠い目をしながらそう呟いて、また沈黙。アスマ上忍、あなたの班の子は問題児なんですか!? 目が死んだ魚の目をしてるけど。

今現在「あぁ・・・」と引きつった笑いを浮かべているリョク君の“記録”からすると・・・何々? 一人は気が強い女の子、山中イノさん。二人目は超絶ヤル気のない天才、奈良シカマル君。最後は大飯喰らいのポッチャリ系、秋道チョウジ君。三人合わせていのシカチョウらしい。

・・・・うん。彼の頭痛の種は主に二人だろうね。

ぼくはとりあえず愛想笑いをしてそっと胃薬と頭痛薬を渡す。

「忍は体が資本ですからね。カカシ上忍にアスマ上忍、クレナイ上忍は任務も忙しいと思いますのでご自愛ください」と言えば二人は「優しさが染みる・・・」「本当にいい奴だなぁ・・・」と疲れきった顔をしてた。よっぽど(懐とか、心とかが)辛いのかなぁ? とりあえず合掌である。

砂の里は厳格さがある上忍ばかりなのでちょっと新しい感じだ。このぐらい親しみやすくてもぼくは構わないんだけどねぇ。

多分、こんな感じだから下忍もあんなんなのだろう。

と、ここでリョク君が「では私達はこれで」と言ってくれたのでその場を離れることが出来た。

あのまま居たら何時までも離れられなかったかもしれない。主にカカシ上忍とアスマ上忍によって。

でも、イビキ特別上忍のような人もいるので結局は厳しい所は厳しい、アメとムチの使い方がわかっている里とも言えるかもしれない。

実際、アメの三代目火影とムチのダンゾウさんが居るものね。

・・・ものの数分だったけどなんか疲れた。

 

 

「・・・・控え室に、行こうか」

 

「・・・・・はい、そうですね」

 

 

ぼくらはそう声を掛け合うと事前に教えられた控え室へと向かうのだった。

 

 

 

 

~ ■ * ■ ~

 

 

 

 

・・・・一次試験の終わりが騒がしさによって伝えられた。

ぼくらはやっと体力回復したのでお手伝いを始めた。

通り掛け、イビキ特別上忍に「お疲れ様でした」と言うと周りの中忍さんたちと共に驚いた顔をされたんだけど、なんか変な事したかな?

でも、やるべき事はやる。年上と上司は敬う。それがぼくの決め事だから別に変えるつもりはないよ。

プリントを回収していると、我愛羅のもあった。ぼくと一緒に本を読んだり、計算をやってたからか全問正解してた。まぁ、『第三の目』を使ったかもしれないけど、モニターを見てる分には4問ぐらいはわかったらしい。流石だね!

・・・白紙の子も居たけど・・・凄いなぁ。白紙って。そんな度胸、ぼくには無いよ・・・。

名前を見たら、“うずまきナルト”と書かれていた。あぁ、リョク君の班の子かぁ。四代目火影とうずまき一族の子だし、将来大物になれそうだね。

テマリさんもカンクロウさんもカンニングしたお蔭か数個埋まってた。ぼくと一緒に勉強すれば3問は自力で出来るのに、二人とも遠慮をしたのか各自で勉強してた。

カンクロウさんに至っては「勉強なんていらないじゃん! そんなの時間の無駄無駄」と傀儡のメンテナンスばかりしていた。勉強、大切なのにね・・・。

手伝いしていると優しい目をされるし、何故かお菓子貰うんだけどなんでだろう?

イビキ特別上忍に「・・・ちゃんと食べろ」って言われたし・・・・。

あれか、ぼくがチビって言いたいのか。風が吹いたら飛びそうなほっそいチビって言いたいのか。

ンだよ貴様らがデケぇからって見下してんじゃねえぞウラァ!

・・・・・・コホン、取り乱した。

確かに色々と夜中までやったり、体調悪くて食べられなかった時もあったけどさぁ、同年代よりも細いけどさぁ、そんなに弱っちくみえるのかなぁ? ちょっと悔し悲しい。

内心そう思っていたらリョク君の同じ死んだ目と疲れた表情が目に入った。

あぁ・・・君も同じ人か・・・。と言うことでがっしりと手を握った。同士はここにいたんだね・・・!! 涙が出そうだよ。

まあ、この仕事を終えれば『働ければ何歳でもOK』な砂に戻れる!!

と言うことでぼくは力の限り頑張ることにしたのだった。

頑張れぼく。頑張れリョク君と言う名の同士。

 

 

 

 

 

 




家|A・)ノシ{ありがとうゴザイマシタ~

ゆっくりまったり更新中
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