言の葉紡ぎの日常   作:惰眠貪り隊

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平穏な日々がいつまでも続けばいいのに・・・。


つまり・・・休日がつづけばいいのにぃ・・・(血涙)

布団に丸一日包まってたいです。

と言うことでお送りします。


碌ノ葉 貴方へ大切な言葉を

・・・・こんにちわ。ただ今絶賛混乱中のこはくだよ。

時間帯は・・・太陽の位置からして午後三時ぐらい。最後の記憶が正しければ同じ木陰に座っていた。ただ、問題はぼくの体勢だ。

なんで我愛羅に膝枕されているんだろう? ぼくがしてたんだよね? あれ?

 

 

「・・・起きたか?」

 

「え、あぁ・・・うん」

 

 

ちょっとどうなってるかわからないけど、一応返事はする。「そうか」と短く返してきた我愛羅の顔は少しだけ辛そうなのに、穏やかなものがあった。ようは複雑な顔なんだけどね。

・・・って、膝枕されたまま考え込んでる場合じゃない!と思ったぼくは「ごめん、重かった?」と聞きながら起き上がる。我愛羅、予選があって疲れてるから苦労をかけちゃ駄目だもん。

我愛羅は「重くは無かった」と答えてくれるけど、長時間の膝枕は血流が滞るから辛いのはわかっている。だから、申し訳なく思った。

同時にこの穏やかな気持ちになれるこの場所にいることが、どれだけ大切か思い知った。この時間は多分ここでしか味わえない大切なものなのだ。

 

 

「・・・また、来れたらいいね」

 

「あぁ」

 

 

ぽつりとぼくが呟くと、我愛羅はやっぱり短く返事をする。だけどその言葉の中に込められた、純粋な気持ちが感じられて少し嬉しくなった。同じ気持ちなんだってわかったから。

荷物を纏めて、暫くその木の根元でゆっくりとした。言葉は交わさなかったけど、前よりも大切な記録(ログ)のように感じていた。

この記憶はぼくだけのものだ。ぼくの心の中だけに刻み付ける。

そうした方がいい気がした。・・・いや、そうしなければならない気がした。

友達の優しい表情も、一緒に感じたこの気持ちも。全部“ぼく”だけの感情。

・・・やっと、『自分だけのもの』を見つけられた、気がした。

 

 

 

 

・・・夕方になった後、ぼくらは帰った。

木ノ葉の里の夕日は柔らかくて温かいオレンジ色で、なんだか我愛羅の髪の色みたいに感じた。砂漠の上のギラギラとした夕日も、どっちも我愛羅の色だ。

ぼくは自分の髪の色が嫌いだった。・・・ぼくを捨てようとした父と同じ色だから。瞳の色は母の、早くに死んだ母の唯一つ残したものだったから、嫌いになれなかった。それに、空の色は好きだからね。

我愛羅の為に、小さく呟く。

 

 

『静マレ』

 

 

と、それだけ。彼には聞こえないように。口の中で呟いたそれは、風の音に紛れて消えていく。

ぴりっとした痛みが喉に走り、負荷が掛かったのがわかる。・・・“言霊”はちゃんと発動している。

そのことにほっとしながらもぼくは自分の部屋に帰った。

 

 

「・・・もう、そんなに準備は進んでいるんだなぁ」

 

 

真っ暗なぽつりと呟く。“記録”は時間の経過を淡々と見せ付けていく。・・・・ぼくは手を握りしめてぎゅっと目を閉じたのだった。

残された時間は、もう僅かだ。ぼくはまだ・・・何も出来ていないのに。

ぼくは闇の中で目を開く。ぼくも、動き出さないといけないから。

 

 

 

 

 

~ □ ☽ □ ~

 

 

 

 

 

・・・賑やかなのはいいことだが・・・過ぎるとウルサイな。

そう思いながら私は緑豊かで平和そのものの木ノ葉の里を歩いていた。

砂の里とは大違いの喧騒に顔を(しか)めながら店の立ち並ぶ通りを歩く。目的があって来たのだ。でなければこんな騒がしい所にはこない。

・・・これならいいだろう。そう思いながらソレを手に取り、購入する。ついでに、こはくの好きな甘い物――――あの子はタイヤキが大好物なのだ――――を一つ買って彼女の部屋へと歩き出した。

あの子は多分替えの服なんて一度に買った同じ物でいい、と考えているだろう。しかも里の人にバレない様、女らしい服を買わない筈。だから、代わりに買ってやろうと思い立って店探しに出たのだった。

女兄弟が居ない私にとって、誰かに似合う服を選らぶと言うのは無いことだったのでとても楽しい。・・・無事に帰れたなら、こはくと共に買い物に行くのも悪くない。

そんな事を考えながらこはくの部屋へと辿り着く。コンコンコンッとノックをしながら声をかける。

 

 

「こはく? ・・・居ないのか?」

 

 

返事はない。だが、ドアが開いていた。

中は昼間なのにも関わらずカーテンが締め切ってあり薄暗い。だが、部屋の主であるはずのこはくはどこにも見当たらなかった。

・・・・相室だったヤツの荷物も無い。ただ、ベットの脇にあるテーブルに紙切れが置いてあった。

薄暗いために何が書いてあるかわからない。そっと手を伸ばし、その紙に指先が触れた瞬間、紙から煙が上がり茶色の鷹の姿になった。

確か、こはくのオリジナルだったか。驚きながらその鷹を眺めていると、こはくの声が鷹の鋭い(くちばし)から聞こえてきた。

 

 

『・・・部屋に来ているのはテマリ姉かな? 我愛羅かな? ゴメンね、用事があって部屋を出ています。渡したいものや伝言はこの鷹に預けてください。多少大きくても大丈夫。・・・でも、重いものはまた会った時に渡してください。あと、忙しくてこれを置いて行くのが精一杯だったので、鍵がテーブルにあるので掛けて行ってくれるとありがたいです。本当にゴメンね』

 

 

・・・・こはくの声はそれだけで、後は「クェエ」と鳴くだけだった。まったく、何時こんな術を考えたんだか。どうせ、聞いても話してはくれないだろうけど。

でもその鷹から聞こえた声は少しだけ辛そうで、何か抱え込んでいるのがわかった。多分、付き合いが短ければわからない程度だけど、声が沈んでいた。

少しだけ考えて、置いてあったメモを手にとってペンを走らせる。それを折って持ってきたタイヤキの袋に付けると鷹に渡す。

「中身はタイヤキだから、あまり乱暴にするなよ?」と話しかければ鷹は嬉しそうに一声鳴いて、開けてやった窓から飛び去っていった。流石はこはくの術。素早いだけではなく、極力荷物を揺らさないように飛んでいったところからも技術が感じられた。

どんどん小さくなる茶色の影を見送って紙と一緒に置かれていた鍵を持ち、部屋を後にした。・・・誰も居ない廊下を歩くうちに、ふっと砂の里で命じられた任務を思い出す。

・・・少し後ろめたい。こんな緑豊かな所だし、平和を乱すのはよくないと思う。だけど任務は任務だ。だから、私個人の思いは二の次なのだ。

私は大きく吸い込んで溜息を付く。

 

 

「・・・なんでこんなに物騒な考えしか出来ないんだろうね・・・・」

 

 

ぽつっと呟いても、どうにもならないことはわかっていた。けれど呟かずにはいられなかったのだ。

私は頭を振ってその思いを振り払うと、鍛錬でもしようかと森へと進むことにした。

今は何かしていたかったから。

 

 

 

 

~ ■ * ■ ~

 

 

 

 

「さて、そろそろ戻らなきゃね」

 

 

木の枝に飛び乗ると風がふわりとぼくの髪を揺らしていく。ぼくは砂の暗部の仮面を外しながらふぅっと息を付いた。だって、生臭い匂いのする場所に今まで居たからね。

仮面にベッタリと付着した赤い液体。だけどぼくは表情を一切変えずにそれを背後に投げる。

瞬間、ジュッっと何かが蒸発するような音がした後、仮面は跡形も無く消え去った。まぁ、燃やしたんだ。ついでに着ていたコートも投げ捨てて消すとぼくは伸びをする。

ちょっと邪魔者排除をしていたもので、大変だった。音の上忍を秘密裏に消すのは楽ではなかった。でも、しなくてはならないことなんだ。しょうがない。

ふぅと溜息を付いた時、羽ばたきの音が頭上でする。あ、生憎の留守の時に誰か来たんだ~。申し訳ないなぁ・・・。

目の前に降り立った鷹(式神)は小さな紙袋を嬉しそうにぶら下げてぼくの手の中に納まった。まだ温かいそれは、ふわりと香ばしくて甘い匂いを漂わせている。つまり・・・タイヤキだ!

ふと、袋に付けられた紙があるのに気が付く。どうやらあの部屋にあったメモ用紙のようだ。ゆっくりと開けばテマリ姉の文字がそこにあった。

 

 

『タイヤキが冷めちゃあ、きっと悲しい顔をするだろうから鷹に渡しておいたよ。無理しないようにね!』

 

 

走り書きではあるが、そこに優しさを感じて嬉しくなった。ぱくりと一口齧れば、いつもよりもすごく暖かい気持ちになる。

「・・・ありがとう。テマリ姉」と呟く。その声は届くはずは無い。けど、声に出したかった。

姉弟(きょうだい)揃って察しが良いと言うか・・・。笑ってしまうぐらいに優しくて、困ってしまう。

あの二人は、ぼくが欲しい言葉がわかるから・・・その優しさに甘えてしまう。

 

 

「・・・でも、無理しないでって言われたから・・・安心させにいかなくちゃ」

 

 

そう呟いてタイヤキを一口一口大切に食べ、最後の一口を飲み込む。それから目を閉じ「ご馳走様でした」と呟いた。それからペチっと両頬を叩いて気合を入れてから笑顔を浮かべる。だって、笑顔じゃないと心配するだろうからね!

・・・その前に消臭しなきゃいけないんだった。血生臭いままで会いに行ったら余計心配されちゃうよ。

と、言うことでシャワーついでに部屋に戻るのでした。

 

 

 

 

 

それから数時間後、ぼくは部屋の外に居た。鍵をかけてもらったのでドアから入れないんだ。テマリ姉が鍵持ってるからね。窓は流石に閉めてなかった。ありがとうテマリ姉。じゃなきゃ入れなかったよ。

音を立てないように入って素早く身体を洗い、髪も・・・いや、髪は丁寧に洗う。前、乱雑に洗ったらボッサボサになっちゃったんだよね。それはぼくとしても嫌だからしっかり洗う。

そして素早く服を着替えて・・・テーブルの上に何か袋に入ったものがあるのに気が付いた。なんだろう? と思いながらその中身を覗く。見ただけじゃ何かわからなかったので、出してみた。

 

 

「・・・え?」

 

 

・・・・それは女の子らしい服だった。袖なしタートルネックに白いふわっとしたシャツ、それと紺のスカートとなぜかハイソックス。テマリ姉のセンスは流石だったが・・・びっくりした。女の人からプレゼントとかもらったことなかったから。

どうしよう。凄く、凄く嬉しい。ぼくだって女の子だ。だから、こういうのは嬉しい。飛び跳ねたくなるぐらいには嬉しい。ぼくはぎゅうっとその服を抱き締めた。

お礼はちゃんとしないとダメだろう。こんなに致せり尽くせりなのに、何もしないのは嫌だ。

ぼくは髪をしっかり乾かし、部屋を飛び出した。向かうのは苦手な人の群れの中。つまり商店街なのだが、何か買うにはここに行くしかないのだ。

とりあえずタイヤキのお礼をしたい。と言うことで

そこで小物などを見る。・・・ぼくにセンスなんてあるとは思えないが、少しでも見て行けば店主さんに教えてもらえるだろう。

テマリ姉って髪を縛ってるから、髪紐なんてどうだろうか? でも、気分によって変えたくなるかもしれないから、違うものでもいいかもしれない。例えば髪留め・・・あ、あの緑の可愛いなぁ。でも、あの深い青も綺麗だ。

う~ん・・・。迷う。

ぼくは緑の髪留めと、青の髪留めを手にとって考える。テマリ姉の髪の色を考えてみたり、その使いやすさをみてみたり・・・。

ふと気が付くと店主さん(ふくよかなおばさま)が微笑ましそうな目でぼくをみていた。止めて下さい・・・ハズカシイデス。

と、ここでアドバイスが店主さんによってもたらされた。

 

 

「おや、プレゼントかい? 迷ったら送る相手の目の色とあわせるといいよ」

 

 

・・・うん、アドバイス通りに目の色に合わせ、青の髪留めを買うことにした。笑顔でお礼を言って、ぼくはその髪飾りを包んでもらう。

どうやらソワソワとした様子がわかってしまったらしく、店主さんに「誰にプレゼントするんだい? もしかして彼女?」と含みのある笑みで言われてしまった。

ぼくは苦笑しつつも、ふとテマリ姉がぼくにとってどんな立ち位置にいるか一瞬考え――――「ぼくにとって姉のような大切な人」と答えた。店主さんは「あらあら、いい子ね」と笑顔で髪留めを綺麗に包んでくれる。おまけ、と言って(くし)も付けてくれた。これも綺麗な細工のされたものなのに、笑ってタダでいいと言ってくれる店主さんはいい人である。

ぼくはまだ恩を返せてないから、これで少しは返せるかな?

そう思いながらふと、目に留まった物があった。そっと手に取る。

 

 

「あの、すいません。これも包んで頂けませんか?」

 

「おや、これは誰にだい?」

 

「・・・友達に」

 

「そうかいそうかい! やっぱりいい子だねえ~」

 

 

ニコニコ笑顔で店主さんは言って包む作業に戻っていった。やっぱり包む速度が速い。でも、丁寧だ。本当に見習いたいぐらいには速かった。

包み終わった髪留めと櫛、そして最後に包んでもらった物を優しく掌に包み、深く一礼してぼくは走り出した。目指すはテマリ姉のチャクラがある所へ! どうやら部屋にはおらず、人気の無い林の中に居るようだった。

急いで枝を使ったりしながら近くまで行けば、木々がスッパリ切れているところもありカマイタチの術の精度を上げようとしているのがわかる。結構テマリ姉って努力家だからね~。渡したら邪魔しないように帰ろう。

とりあえずテマリ姉のチャクラが近づいてきたので大きな声で名前を呼ぶ。

 

 

「テマリ姉!」

 

「・・・!! こはく、戻ってきたのかい?」

 

 

タンと枝を蹴ってテマリ姉のいる枝まで到着する。テマリ姉は肩で息をしている状態であり、ギリギリまで鍛錬をしていたことが窺えた。とりあえず、自分用にと持っていた手ぬぐいと水を渡す。

「ありがとう」と手ぬぐいを受け取って水を呑むテマリ姉。よほど喉が渇いていたのだろう。水はすぐになくなってしまった。

一息ついたテマリ姉がふと、ぼくにこう聞いてきた。

 

 

「こはく。タイヤキは届いたかい?」

 

「うん、ありがとう。おいしかったよ! これ、お礼に」

 

 

にこっと笑って渡す。テマリ姉はびっくりしたみたいだったけど、ゆっくり包みを開ける。

中身を見て、テマリ姉はクシャっとぼくの頭を撫でてくれた。繰り返し「ありがとう!」と言いながら、笑顔だった。

ぼくも笑う。笑顔になってくれたのは嬉しかったし、何より喜んでくれているのがわかったから。ぼくにも、人を笑顔にすることが出来た!

ぼくはまだ修行を続けるというテマリ姉の体力を回復し、鍵を受け取った後にその場を後にした。

言葉は何も口からだけじゃなくて、手紙と言う形もあったんだね・・・。うん。コレを渡すのは式神に頼もうっと。

急いで戻って部屋に入ると紙とペンを取る。少し考えてから紙の上にペンを走らせるのだった。

 

 

 

 

 

口では言えないこと。口だけでは伝わらないこと。

 

それは言葉じゃなくて文字にして初めて伝わる物。

 

文字じゃあ伝わらない物だってあるけれど、それは口で伝えればいい。

 

さあ、ペンを取って机に向かおう。

 

あなたは誰かに伝えたいこと、ありますか?

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました。

手紙を送る習慣がなくなってきた日本。たまには大切な人に感謝の手紙を送るのもいいですね!

ストックが無くなったので(休日がデリートされたので)これからも亀更新にはなりますが、よろしくお願いします。

感想をくださった読者様にこの場をお借りして深い感謝を。
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