言の葉紡ぎの日常   作:惰眠貪り隊

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亀更新すぎるのは・・・オレの朝が遅いからだ!(キリッ

・・・すいませんでした。調子乗りましたorz


と言うふざけからお送りします。


漆ノ葉 崩壊への足音

 

 

 

 

 

~ □ ☽ □ ~

 

 

 

 

羽ばたきの音がして、鷹が屋根に居るオレの傍らに降り立つ。ふと、目に映る自分の顔がひどい顔をしているのに気が付いた。いつもより隈が濃く、目は暗く濁っているように感じる。いつもより守鶴――――一尾の名だ――――の声が小さいとは言え、身体を休めることが出来ていない所為であろう。

「クィルルゥ・・」と鷹が鳴く。こはくの術だとわかっていても本物の鷹にしか見えなかった。撫でてやれば気持ちよさそうに目を細める空色の目は、やはりこはくに似ている。

と、その足の傍に置かれた包みと紙に目が留まった。その視線に気が付いたのか、鷹は慌ててその包みを渡して来る。そんな所も術者に似ていて、少しだけ笑った。

包みを丁寧に開けば――――綺麗な雫形をした赤の石のペンダントだった。上って来た月の光でゆらゆらと色を変えるそれは、とても綺麗だと思う。そう、思えた。

続いて渡された紙を開けば懐かしいような気分になる。そう、幼い頃によく見たこはくの字である。そこにはこう書かれていた。

 

 

『我愛羅に似合うかなと思ったので送ります。気に入ってくれたかな? プレゼントと言う物をしたことないからちょっとドキドキだよ。

 なんで直接渡すんじゃなくて式紙に渡したかと言うと、たまには手紙もいいなぁって思ったから。手紙でしか伝わらないこともあるでしょ? だから今日は手紙です。

 今日は感謝したくなったから、書きます。

 

 我愛羅、ぼくなんかと友達で居てくれてありがとう。いつまでも、こうして笑いあってたいです。

 

 これからも、一緒に居られたらいいなって思います』

 

 

 

彼女らしい文に思わず笑みが浮ぶ。こちらを気遣う気持ちや、純粋な感謝の気持ちが感じられる。

だが、急に恐ろしくなった。こはくまで裏切ったら・・・オレはどうなるのだろうか?

こはくのお蔭で衝動に耐えられた。安心出来た。身体を休めることも出来た。・・・そんな彼女まで居なくなったら・・・。

そこまで考えて頭に鋭い痛みが走った。零れ出る呻き声を押し殺すために歯を食いしばる。

こはくが裏切る筈が無い! 裏切るつもりだったら、あの日に裏切っている筈だ!!

ぎゅっと赤い石を握り締める。少しだけ、痛みが和らいだ気がした。

 

 

「満月が・・・近いな」

 

 

痛みが治まり、息を整えながら漆黒の空を見上げれば、歪な月が空へと上がってきていた。守鶴の力が最も強くなる満月がもうすぐそこまで迫ってきている。

あまり満月は好きではない。こはくに迷惑をかけるだけではなく、自分が自分でなくなる感覚がするからだ。自分が自分でなくなったら・・・もう、“オレ”の存在意義が消えてしまう。

存在が実証できないのは嫌だった。だが、オレの存在を証明できるのは・・・他にもある。

・・・今さっきからコッチを窺ってる奴を殺せば、自分の生を実感できる。赤が飛び散れば愉悦を感じられる・・・。

そうだ、オレは・・・どうせバケモノなのだ。そう見えるのならばなりきってやろう。

いつの間にか、赤い石に映る歪んだオレの顔には笑みが浮んでいた。

誰かが見たならこう言うだろう。

 

 

『バケモノのような笑みだ』

 

 

と。

 

 

 

 

 

~ ■ * ■ ~

 

 

 

 

 

 

・・・う~ん、あの程度じゃ、満月前の守鶴を抑えられなかったか~。そう思いながらぼくは働いていた。病院で応援としてね。

この頃起こったことを説明しよう。ドス・キヌタさんが我愛羅に()られた。まあ、ずっと付け狙ってたからしょうがない。守鶴に音をちょっと操れる程度で挑もうとする方がおかしい。

あと、試験官だった月光ハヤテ特別上忍がバキ上忍によって殺害。まぁ、現場にはぼくも居たし、逃がす訳が無い。申し訳ないが、ぼくの仕事だしね。

次にぼくが担当させてもらったロック・リーさん。人手が足りないから任されたんだ。この人は言うことを聞かない。まぁ、それでも我愛羅に腕と足を砕かれなくてよかったと思う。それが無くても重傷なのだ。

 

 

「リーさん、さっさとベットに戻ってください」

 

「ハァ、ハァ・・・邪魔をしないでください! ぼくはまだ終わっちゃ居ない!!」

 

「いや、さっさと戻らないと一生起き上がれない植物人間になっちゃいますって。さっさと寝てくださ~い」

 

「うぐ!?」

 

 

さっさと布に含ませた薬で昏倒させる。だって、もう少しで折角繋がった筋肉組織が切れそうだったんだ。また繋ぐのは面倒だし。

そこで駆け寄ってきたのはなんとサクラさんとイノさん。まぁ、チャクラで傍にいるのはわかってたけど、まさかコッチに来るとは・・・。ぼくが横たえたリーさんの傍に駆け寄ってサクラさんは悲しい顔をしてこう呟いた。

 

 

「どうして男の子って・・・無理ばっかりしちゃうのかな・・・?」

 

 

・・・むう、難しい問題だなぁ・・・。ぼくは男の格好はしていても女だからなぁ。答え辛い。

でも、“記録(ログ)”の情報もよく考え見て、ぼくは医療忍術を施しながらゆっくり答えた。

 

 

「う~ん、なんて言うかなぁ・・・。まぁ、大体見栄と負けたくないっていう闘争心だね。男って言うのはライバルに負けたくないんだよ」

 

 

ちょっとだけ苦笑しながらそう言えば、二人はわからないと言った顔をした。まぁ、わかるよ? それだけでそんな無理をするなんて、考えられないだろうからね。

式紙をまた一反木綿のような形にして運ぶことにして、彼女たちと一緒に運ぶ。お話、また出来て嬉しかった。

・・・で、起きたリーさんに説教をした。

 

 

「・・・今から訓練しようが何しようが、身体をダメにしたら何もかもが終わってしまう。貴方は努力をしてきたと言ったね。それも全て。そして、それを見守ってきてくれた人の思いも」

 

「・・・っ!」

 

「今の貴方の仕事は寝ること。寝て、身体を癒すこと。それが全て。努力をしても何もできない事がある。・・・努力することに甘えるなよ」

 

 

そういい残してぼくは扉を閉めた。努力している、と言う事に甘えていてはそれがなくなった時に動けなくなる。彼に必要なのは・・・先生なんだろうな。

まぁ、彼には彼によく似た先生がいるのでよしとする。同年代のぼくじゃあ、伝わらないこともあるしな。

そして次の出来事。リーさんが寝たので、看護師さんとガイ上忍に任せ、散歩に出ていたのだが・・・なんか、町外れの森の中で、でっかいカエルが居た。まあ、ガマブン太と言うのは知っているが、初めて見る大きさだったので面食らった。しかもナルト君乗ってるし。

ガマの一族は結構話してくれる一族なので、初対面がガマブン太殿でよかった。

 

 

「ん~? なんじゃワレェ、言霊の奴けぇ?」

 

「・・・始めまして、ガマブン太殿。ぼくは言霊こはくと言う名前だよ」

 

「こはく、か。・・・言霊の、ちぃとコイツ頼まれてくれんか? ワシが行くと壊れるけんの」

 

「あぁ、いいよ。丁度帰るところだしね」

 

 

なぜかガマブン太は少し悲しそうな顔(とは言ってもぼくの主観だけどね)をした後どこかへと去っていった。多分、娑婆(しゃば)を満喫しに行ったのだろう。

ぼくは受け取ったナルト君を小脇に抱えると、病院に帰ることにした。ざっと診察した所、チャクラの使いすぎだったので別に寝れば回復するだろう。

 

 

『・・・・言霊のヤツか』

 

 

・・・九尾こと九喇嘛の声がした。お腹の封印式に触れているからか、同調しやすいらしい。今日は動物に会う日のようだ。

そうだよ、と心の中で答えながらぼくは彼の悲しみを感じ取った。それと同時に人間への憎しみも押し寄せてくる。普通の人だったら精神崩壊が起きても可笑しくないぐらいの怨嗟の声だ。

 

だから、どうした。

 

人が憎い? そんなの今更だ。

人は愚かだ? そんなの、わかってる。

 

それと同じぐらい、人は優しくて、他人を慈しむ心を持っていて、助け合うことが出来る。

 

だから、“ボク”は・・・っ。

 

 

『・・・記憶と混じり始めてんのか。っち、またあの野郎が出てきやがる』

 

 

まだ、大丈夫だよ・・・。九喇嘛と話している間は出てこない。ざっと二年・・・。ぼくが選択するリミットはそれだけ。

ぼくはそう答えてから眩暈を感じて枝を蹴る足を休め、幹に寄りかかった。“記録”の中にある記憶と、自分の記憶が混じり、ぼくが“ボク”であるような、自分に異物が入り混じる違和感を感じる。

目をぎゅっと閉じて、自分の思いを確認する。我愛羅を守りたいと思った気持ち。嬉しいと思ったあの時。全てぼくの大切な気持ち。

・・・よし。もう大丈夫だ。

 

 

『ハッ、あの野郎が出てこねえように精々足掻け』

 

 

・・・ふふ、心配してくれているんだね。ありがとう。

ぼくがそう言うと面白くなさそうに『わしの為だ。勘違いしてんじゃねえ!』と言って九喇嘛は口を閉ざしたようで、それからは何も聞こえなくなった。ふっと笑いながら空を見上げる。

うん。ぼくの為にも・・・頑張らなきゃね。

そう心の中で呟いて、ぼくは枝を蹴って病院へと急ぐのだった。

 

 

 

 

 

・・・それから三日後、ぼくは我愛羅と病院で会った。どこでって? リーさんの病室で。

しかも奈良シカマル君とナルト君と睨みあっているところからして・・・なんか一触即発だ。

 

 

「・・・どうしたんだい? 何が起こっているかわからないんだけど」

 

「! アンタは確か・・・あの会場にいた医療忍者?」

 

「こはくか・・・」

 

「あ、あんとき助けてくれた奴!!」

 

 

三者三様の反応だが・・・今の()る気溢れる我愛羅から目を離さない方がいいと思うよ?

浮遊している砂を一瞥して、ぼくは我愛羅の名前を呼んだ。そして首を振る。

・・・君が手を汚すべきではないから。まだ、堪えて欲しいと言う意味も込めてゆっくりと首を振った。

 

 

「・・・」

 

「ん、よし。で、君らは帰る? と言うか帰った方がいいよ」

 

「で、でもよ、ゲジマユが・・・」

 

「バカ!・・・じゃ、オレらは帰るぜ。任せた」

 

 

すっと視線を木ノ葉の二人に向けると、シカマル君の方が理解してくれたようだ。ちょっと不安そうなナルト君を引き摺るようにして病室を去っていった。

ぼくは我愛羅に向き直る。砂は既に我愛羅の瓢箪に戻っているから、今は殺すのを止めたらしい。

 

 

「我愛羅。・・・大丈夫、ではなさそうだね」

 

「・・・」

 

「あ、そうだ! あのペンダント、気に入ってくれたかな? ぼく、忙しくて聞きにいけなかったんだ」

 

「・・・あぁ」

 

 

すっと我愛羅が首元を探る。現れたのは、ぼくが送ったあの赤い石。ゆらりゆらりと色を変える様子がどこか優しげで、思わず買ってしまったのだ。

「よかった」と笑えば我愛羅が苦しげに頭を抑えた。慌てて駆け寄ろうとすると「来るな!」と鋭い声を上げる。・・・ぼく、なんにもできないのか。

 

 

「もう・・・大丈夫だ。すまない」

 

「ううん、謝らないで。迷惑だなんて思ってないから。ぼくはまだ病院に居るけど、帰れる?」

 

「あぁ」

 

 

フラフラとしている我愛羅に付き添って廊下へと出る。その姿が廊下の向こう側に消えてからぼくは声を出した。

 

 

「・・・ガイ上忍。大丈夫ですよ」

 

「・・・・バレていたか」

 

「あまり隠そうとしてなかったじゃないですか。我愛羅のことなら幼馴染のぼくで対処できますよ」

 

 

ゆっくりと出てきたのはガイ上忍。実は今さっきリー君のお見舞いに病室前に訪れていたのだが、この事態に気がついてスタンバイしていたらしい。

だからぼくも安心していられたのだが、迷惑ばかり掛けていられない。なのでぼくが対処すると言っておく。ガイ上忍は、リーさんのことで一杯一杯のようなものだしね。

ぼくの予想通りにガイ上忍は上の空に返事をするとリーさんの病室へと入っていった。

・・・さぁて、ぼくも忙しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

~ ■ * ■ ~

 

 

 

 

 

本選当日。トーナメント表の変更を受けて、みんながちょっとざわついているころ。

ぼくは幻術の下準備を進めていた。・・・ちょいと、バキ上忍から「手伝いをしろ」と頼まれたからね。

気配を極限まで消してから指定のポイントへと札を丁寧に貼り付ける。その上に何も無いように見せる幻術の術式を書き込んだ札をもう一枚貼って完了だ。

・・・ガヤガヤとしている所からして、もう試合は始まっているのだろう。だが、今はそれを見る気力さえ起きなかった。少し、人の多いところは苦手だったから。

こほっと仮面の中で咳き込みながらぼくは歩く。口の中では血の味がしていたが気にならなかった。もう、いつものこととなりつつあったから。

ゆっくりと気配を元に戻し、何事も無かったかのようにその場を立ち去る途中でヒナタさんが咳き込んでいるのを見つけた。・・・まだ、本調子じゃないからね。無理しているんだろう。

少し声を変える準備をしつつ、するりと近寄る。・・・カブトさんは出てこなくていいと思う。だって、あの人が目立ったらこっちも困るし。

 

 

「・・・少年、揺らすな。私が見よう」

 

「! あ、あんたは・・・?」

 

「こうみえても医療忍術が扱える。どこかに運ぶよりは確実であろう」

 

 

低くも無く、高くも無い声でそう告げる。隣にいたのは犬塚キバ君だった。心配そうな顔でその場を退いてくれた。ぼくはすっとヒナタさんを抱き上げると後ろまで運ぶ。

本当は辛いんだけど、このぐらいまでなら大丈夫そうだ。

そっと横たえて胸の上辺りに手を(かざ)す。チャクラを練るのが大変であるがなんとか治すことが出来た。すぅっと呼吸が安定していくのを見て、キバ君は息を飲んでいた。まぁ、彼には出来ない仕事であるからね。

そっと彼女の口元に付いた血を拭って息を付く。

 

 

「す、すげぇ・・・。ありがとな、暗部の兄ちゃん」

 

「・・・礼には及ばん」

 

 

お礼を言ったキバ君にそう返すと、彼はそのままパタリと倒れてしまった。まぁ、後ろに居たカブトさんが意識を刈り取ったのだが。

仮面の奥から覗くその目に嫌気が差す。なぜなら、ぼくを“物”としか見ていないことがわかったからだ。ただ、彼からすればぼくは便利な道具でしかないのだろう。彼とは一生仲良くなれない。

 

 

「・・・声を変えられるんだ。凄いね。どうやってやるんだい?」

 

「アナタには一生できないであろう。変化の術をやった方が早い」

 

「ボクはキミに嫌われてるみたいだね。・・・ボクはキミと仲良くなりたいんだけど」

 

「アナタが歩み寄ろうとしていないのにどうして仲良くなれるのか」

 

「あれ? ばれてた?」

 

 

声の調子から、仮面の中で笑っている事がわかった。だけど、それは上辺だけの物であることは簡単にわかる。だって、ぼくもよくそうやって――――そこまで冷たい笑みは浮かべないが――――作り笑いを浮かべるから。

カブトさんと少し似ているから、ぼくは仲良くなれないと思うのかもしれない。所詮同族嫌悪って訳。ああ、こんなんだから友達が少ないんだろうなぁ・・・。

また仕掛けをしにふらりと歩き出す。あまりこの人と話して居たくないから。だが、その前に呼び止められた。

 

 

「・・・血を吐いていたけど、大丈夫なのかい? 若干ふら付いているし・・・。そんなで作戦をするつもり?」

 

「・・・アナタには、関係ない」

 

「いつでも薬は作れるから、必要になったら声を掛けてね。・・・とは言っても、ボクでも見破れなさそうなぐらいだから、キミの演技力は凄いなぁ」

 

 

・・・どんなに気に食わなかったとしても、カブトさんの医療忍者としての洞察眼や腕は一流だ。見破られてしまっては意味が無いのだが、仕方が無いと割り切ることにした。そもそもこの症状はぼくにしか治療できないし、そもそも彼がしたとしても原因不明になるだけだ。

ぼくはそのまま歩いて彼から離れ、彼のチャクラが十分遠退いてから息を付いた。

あまり、彼の傍には居たくない。・・・あぁ、テマリ姉と我愛羅に会いたい。こんなんだったらカンクロウさんの方がマシだなぁ。

そう考えながらぼくは気を取り直して暗がりへと足を踏み入れたのだった。

 

 

 

 

 

 




あろはーと寒い所出身の布団大好きさんがお送りしましたー。

さて、木ノ葉崩し、何が起こるのか!?

次回「ドキッ☆ 現れた大蛇丸(変態)ポロリ(主に首的な意味で)もあるよ☆」




・・・嘘です
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