星空の刃 作:鮫牙社長
やっぱ原作キャラは口調とか考えながら、書かなきゃ行けないから難しい。
――……
「君は頑張り屋さんだなあ」
「え?」
「朝も昼も『やりましょう、やりましょう』っていうでしょ? そんなに修行積んでたら、本当に身体壊しちゃうでしょ。」
「つ、強くなりたいから。」
「うんうん、わかるよ。でもさ、疲れた身体じゃ、何事も覚えられないよ。」
「ご……ごめんなさい。」
「いや謝らなくていいから、ほら、手休めない」
――……
「……師匠。」
「え? なんか言った?」
「!?」
私はガバッと身を起こした。身体中の激痛と共に、空を見上げると、青空の周り一面が藤の花で蔓延っていた。
「こ、ここは……。って、痛った!!」
「ああ、まだ休んでいた方がいいと思うよ、骨折ってるから。」
「き、君は?」
「俺は竈門炭治郎。君と同じ、最終選別の希望者だ」
「あ、あの、狐のお面の子……」
「え? 会った事ありました!!? ごめん!!」
「いやっ、大丈夫!! 初対面だから!!」
やはり師匠以外の人と会話するのは苦手だ。毎回言葉選びを間違える。毎回他者から変に誤解されて距離を置かれてしまう。師匠は、他者との会話に失敗した私を見ると、溜息をつきながらも苦笑いをした。あれは多分"呆れ"と"笑い"のコンボから生まれた表情だろう、直さないとは思ってはいるが、いささか難しいのである。
「ここは?確か最終選別の範囲に、藤の花は無いはずじゃ。」
「ここは範囲の最東端だ。ここなら朝日もすぐに拝めるし、藤の花が近いから、鬼も少ないんだ。」
「……なるほど、頭がいいね。」
「いや、そこまで頭良くないと思うけど……」
あれ、若干煽られてる? と思いつつも不思議と苦笑いをしてしまった。この少年には、不思議な力があるのかもしれない……何となくだが、そう思った。
「その……つまりは、運んでくれたって事?」
「そうなるかな、あの場所で骨折れて寝てたら、いつ食われるか、分からないからね。」
「放っておいてもよかったのに。」
「そうはいかないよ、なるべく、皆で合格したいからね。」
「君はお人好しだね。」
少年と雑談を交わしていると、次第に身体も癒えてきた。そういえば、今この場に少年がいるという事は、あの大きな鬼は倒したのだろうか。
「あの……さっき、大きな鬼と対峙してたのよね。あれって、倒したの?」
「え、見てたの?」
「私、眼はいいんだよね。」
「そっか、うん、倒したよ。本当にギリギリだったけど、倒したんだ。」
身体を見ると、私以上に傷を受けていない。凄い少年だ、あの状況から、その程度の傷だけで済んだのか。やっぱり、まだ私は弱いと改めて痛感した。
「そういえば、相当な傷負ってたけど、そっちでも何かあったのか?」
「……こっちにも、大きな鬼が出た、速い奴。」
「そっちにも出たのか!!? それを、君一人で?」
「いや……あ、うん、そう。」
「凄いなあ、君にもいい育てがいたんだろうね」
「師匠……ってこと?」
「まあ、そうなるね。」
「うん、いい師匠だった。」
私はボロボロになった手で、横に置かれていた師匠の日輪刀を手に取る。こうやって静かに持つと、師匠の温もりを感じる。いつも師匠は、この日輪刀を優しく磨いていた。理由を聞いたら『内緒』と言われてしまった。でも、今なら何となくわかる。恐らく私に託すために、綺麗に磨いていたのだろう。そう思うと、不思議と涙が零れてきた。
「あれ、どうかした? 傷が痛むのか?」
「いや、大丈夫……ちょっと、師匠が恋しくなっただけ、私の師匠、最終選別の1週間前に殺されちゃったから。」
「そ、そうだったのか、ごめんよ」
「いや、いいよ。もう慣れたから。」
「ちなみに、どんな師匠だったんだい?」
「……ちょっと厳しくて、日常生活はあまり頼りない感じだったけど、弱い私を見限ったりしない、いい師匠だったなあ。」
「やっぱり、強かったの?」
「うん、とにかく速かったんだ。」
「へえ、会ってみたかったなあ」
「師匠も喜んだだろうね。」
私とこの少年、竈門炭治郎との雑談はその日が暮れるまで続いた。そして、その後も懲りずに鬼はやってきたが、二人で切り抜け、無事長かった7日間が終了した。
――私は、最終選別を乗り切ったんだ。
後書きには現段階で登場したオリジナル呼吸の一覧をのしておきます。
・星の呼吸 使用者:宵待 阿坐彌
* 壱ノ型 "彗星"
* 弐ノ型 ???
* 惨ノ型 "天刑"