星空の刃   作:鮫牙社長

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2章 南雲の森編
6話 最初の任務へ


「……行くのか。」

 

時鋼さんは今日も私の小屋を訪れた、どうやら私のことが心配でならないらしい、まるで師匠が生まれ変わって面倒を見にきてくれたような感覚だ、『めんどくさいなあ』と最初は思っていたが、今では『よく来たね』と出迎える程の関係となっている。

 

――……

 

任務が来たのは、時鋼さんから刀をもらってから、2日後の時だった、小屋の窓から私の鎹烏が飛んできて、任務を託した。

 

『ヨイマチ アザミ。今スグ、南ニ位置スル、"南雲の森"ヘト行ケ。』

 

「南雲の森、確かかなり大規模な果樹園だったような。」

 

『ソコノ、果樹ノ上デ、人間ガ殺サレル事件ガ起キテイル。既ニ我妻善逸トイウ新人鬼殺隊士モ向カッタ、サッサト行ケ。』

 

「……仲間もいるのか、それは心強いね、了解。でも今日は準備させて、急なんだもん。」

 

――……

 

「はい、私は鬼殺隊です、行かなければなりません。」

 

「……へっ、いいねえ、肝が座っている。お前なら、柱にもなれるかもしれねえな。」

 

「柱……い、いえ、確か一番上の鬼殺隊士の事ですよね、無理ですよ、私なんて」

 

「うるせえ、鬼殺隊が謙虚になるな!!」

 

「あ、はい。」

 

私は時鋼さんからもらった刀……そして、師匠の刀を腰につける、やはり刀をもらったとはいえ、師匠の刀は置いていけない。

 

「やっぱり、持っていくんだな。」

 

「当たり前です、鬼を斬る時は、もらった刀を使いますよ。」

 

私は隊服を身に纏い、時鋼さんと同時に小屋を後にした。腰に薄い緑色をした師匠の日輪刀、そして黄緑色をした私の日輪刀、二本の刀を背負って。

 

目指すは、南雲の森。

 

――……

 

南雲の森は、小屋から歩いて数時間という所に位置している、私も何度か訪れたことはあるが、敷地内は非常に入り組んでいて、ひとたび足を踏み入れたら、案内板頼りには、入口を探すことが出来ないという、かなり恐怖感をそそらせる果樹園だ、そこを根城にする程だ、面倒臭い罠等を仕掛けてくるに決まっている。

 

「……そういえば、我妻、えっと、善逸だったかな。私の他にもう一人いるはずだったような。」

 

確かあの場に残っていたのは私含め五人、私が呼ばれる任務に先輩を呼ぶはずがないと推測すると、その我妻善逸という人は、私以外の四人の中の誰かという事になる。きっと、力は私以上に強い人なんだろう。

 

「……はぁ、いや、落ち込んじゃダメだ、師匠と時鋼さんにシバかれる。……ん?」

 

南雲の森まで後少しといった所だろうか、その道端に一人の男が蹲っていた、金髪に黄色い袴、あれ、この人って確か最終選別の時に残っていた人だったような……もしかして。

 

「あ、あの、もしかして、我妻善逸さんですか?」

 

「ヴゥヴェ!? 来た!? 来たの!? 助けてくれ!! 死にたくない!! 死にたくないんだ、俺は!!」

 

「うおあ!!」

 

声をかけるなり、突如私に泣きながら飛び込んできた。私はその衝撃で後ろに押し倒され、大きく尻もちをついた。

 

その少年は白と黄を基調としたような刀を腰にかけており、押し倒す力もそれなりに強かった。やはり、鬼殺隊だ。でも、なんでこんなに怯えてるんだろう?

 

「お、落ち着いて、いったい何が……」

 

「聞けよ!! 俺はな!! 弱いんだ!! だから、この任務で俺は死ぬ!! 最初の任務で死ぬんだぞ!! 嫌なんだ!!」

 

「え、で、でも、最終選別生き残ったんでしょ? なら大丈夫だって。」

 

「いーや!! 最終選別に残ったのも、なんかの不運だ!! 俺は気づいたら生き残っていた、何言ってるかわからないだろうけどな!!」

 

「ええ……」

 

私は困り果てた、この子を放っておくわけにもいかないし、というより、多分この子が今回一緒に任務をこなす鬼殺隊士だろうから、ここは一緒に行くべきだろう。

 

「私は宵待 阿坐彌。鎹烏から言われたと思うけど、今回一緒に任務を行う鬼殺隊士だ。ほら、最終選別の時に私もいたでしょう? だから、行こう、大丈夫だから。」

 

「エ゙ェェエ゙エェ!!!! 守れよ!! ぜってー守れよ!!」

 

「約束は出来ない、何が起こるかわからないから。でも、私に出来るなら、でも君も一応鬼殺隊でしょ? だから、少しは頑張ってほしい。」

 

「うぅ……うぅ……」

 

私はふぅとため息をついて、善逸を無理やり起こす。何度も説得を試み、落ち着かせることに成功した。南雲の森は目の前だ、きっと今頃、あの場にいた鬼殺隊には、全員任務が与えられているだろう、あの炭治郎って子も。だから、私も頑張らないと。

 

「よし、行こう」

 

「ま、まってくれよおおお……ってはや!! まって!! まって!!」

 

私は駆け出す、これ以上鬼の被害を出さないために。

 

――……

 

程なくして、南雲の森にたどり着いた。確かにここは薄暗い、そしてもう時期夜になる、つまり鬼が活発に動き出すってことだ。私は周囲に注意の眼をこらす、いつどこからやってきても、倒せるように。

 

「気をつけて、善逸君」

 

「ま、守ってくれるんじゃなかったのかあ!?」

 

「さ、最小限の回避とかは出来るでしょ?」

 

本当にこの子は鬼殺隊なのだろうか、と私は呆れ返ってしまう、この状態なら今回の任務、私だけで達成しろと言われているような物じゃないか。

 

南雲の森は本当に入り組んでいる、迷わないようにしなければ。

 

「日が沈む……来るよ。」

 

「いやぁぁぁ!! 沈むな!! 沈むなああああ!!」

 

「ちょ、ちょっとは静かに……っ!!」

 

その時だった、果樹園の奥から大木の幹がこちら目掛けて襲いかかって来た。大木にしては軌道がおかしい。私は善逸をグイっと、身に寄せ、端に避ける。木が曲がるなんて、普通じゃ考えられない。

 

「ぎゃああああ!! 木が!! 飛んでるうう!!」

 

「落ちついて!! っ!!」

 

上、右、左と次から次へと大木が曲がる。明らかに私達を狙ってきている、上なら左右、右なら下、左なら上と、法則性を紐解くように避ければ、案外大したことは無いが、何分善逸君をかばっての避けだ、非常にやりにくい。

 

「くっ、どんだけ来るの!!」

 

「無理無理無理無理!!」

 

「……くそっ、あっ!!」

 

ラチが開かないと踏んだのか、今度は四方から大木が飛んできた、避けれない、くそっ、こればかりは斬るしかない。

 

「善逸、ごめん!!」

 

「ぎゃああああ!! 投げたよこいつ!!」

 

善逸を安全な上へ投げ飛ばし、時鋼さんに打ってもらった日輪刀の柄に手を取る。四方八方からくるなら、"彗星"は使えない、でも、それならこちらも四方八方から斬りかかればいいだけだ。

 

――全集中……

 

――星の呼吸……

 

――弐ノ型……

 

「……"流れ星"!!」

 

空中を勢いよく蹴りあげ、四方八方を辻斬る。飛んできた大木をバラバラに朽ち果て、地面へと落ちていった。

 

星の呼吸 弐の型"流れ星"は、願いを持つ人達のために、星空を縦横無尽に駆け巡る流れ星の如く、辺り一面を素早く辻斬る。

 

――総当りの剣技

 

「よっと。」

 

「うおああ!! す、すげえよ、姉ちゃん、強いじゃん!!」

 

「い、いや、別にそこまでじゃ」

 

善逸のべた褒めは止まらない、私のため息はさらに深くなった。きっとこの先に元凶の鬼がいるだろう。私は服の袖を掴む善逸を引きずりながら、先へと進んでいった。




・星の呼吸 使用者:宵待 阿坐彌
星の如く素早くなるために鍛えあげられた呼吸。

壱の型 "彗星"
弐の型 "流れ星" NEW
惨の型 "天刑"
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