星空の刃   作:鮫牙社長

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9話 師匠は……

「お前、なんで鬼殺隊に入ったんだ?」

 

「私ですか?」

 

「ああ、こいつ今寝てんだろ」

 

「私には大好きな師匠がいました、でも最終選別の一週間前に鬼に殺されちゃって……。その鬼を斬るためです。」

 

「はっ、復讐ってわけかい? 俺も同じだ、かなり昔の話だがな。俺の育て親がな? 数字が書かれた眼を持った日輪刀を担ぐ鬼に斬られた上に食われちまった。そいつを斬るためだよ。」

 

「お、鬼にも日輪刀を持つ奴がいるんですか?」

 

「知らねえ、元は鬼殺隊だったとかそんなんじゃねえか?」

 

彼の眼は私と同じ決意の眼をしていた、そしてあの大木を斬った時の立ち姿、かなり歴戦を詰んでいる鬼殺隊だ。その強さもきっと、復讐を誓った相手を殺すために鍛えて得た物なんだろう。

 

「その、眼に数字というのは……」

 

「鬼の長から認められた鬼の集団。十二鬼月と呼ばれてる、そいつらは自分の階級となる数字を眼に刻んでいる、その事だ」

 

「鬼の長から、認められた……」

 

「おそらく、お前の師匠をやったのも、十二鬼月だろうよ。」

 

師匠を殺せるほどの鬼……十二鬼月……私は今、とてつもない鬼を殺そうとしているんだ、と改めて再確認した。それでも、倒さなければならない、師匠に託されたんだ、その鬼を、殺して欲しいって。

 

「その師匠って、どんな奴だったんだ?」

 

「なんか、良く聞かれますね。師匠は、私に対して優しくしてくれたり、辛い時があったら、綺麗な星空を見せてくれたりしたんだ、戦闘面も、とにかく凄かった。でも、昼間は小屋でゴロゴロしてるダメ人間ですけどね、外には出ない!! っていって、夜にしか、修行してくれなかったり……」

 

「……夜にしか?」

 

「はい、ダメ人間でしょう?」

 

「……あ、ああ。その師匠ってさ、お前の師匠を担う前、何やってたかとか、覚えてるか?」

 

「え? んー、そういえば、知りませんね。」

 

「……」

 

突然、源三さんは黙ってしまった。源三さんは、私が師匠は、夜にしか外に出ないって言葉を言った途端に、表情が変わった。夜にしか外に出れない、師匠が昼間外に出ないのには、何か理由があったのだろうか……昼間、昼、明るい……っあ

 

「もしかして……源三さんは、私の師匠が……」

 

「何だ?言っていい奴か?」

 

「……鬼だったって、言いたいんですか。」

 

「……ああ、でも鬼が人間を襲わないなんて、普通じゃ考えられねえ、ましてや、人間を育て鬼殺隊に入れさせるなんてな。」

 

「嫌、そんなわけないですよ、た、ただのダメ人間なだけですから……多分。」

 

師匠が鬼だった……? いや、そんなはずは無い。もし、師匠が鬼なら、私は今頃殺されてるはず、それに鬼に殺される事も、普通じゃ考えられない。

 

「鬼に殺されたっていったな? 確かに鬼が鬼を殺すことはある、共食いだな、でもお前は()()()()としか言ってない、つまり食われてないって事だろう? ましてや、お前の育てだ、共食い目的の鬼なんかに、殺されるはずも無い、なら、別の目的があった、ということになる……例えば、だ。」

 

「げ、源三さん!?」

 

源三さんは立ち止まり、私の頸に向かって背中の太刀を突きつけた。私は驚き思わず、頸に剣が刺さるところだった。冷や汗の量が次第に増していく。

 

「お前の師匠、俺の育て親殺さなかったか?」

 

「そ、そんな、師匠の過去なんて知りませんよっ、それに、師匠の眼には、数字なんて有りませんでした。」

 

「……二つのパターンが考えられる。俺の育て親は十二鬼月に詳しかったからな、色々話は聞いている。一つは数字が書いてあるパターンでお前の師匠が十二鬼月の上弦という階級に属していた場合だ。殺される理由は主に下弦という階級に属している鬼からの下克上だ。上弦を倒すことで、上弦となれる可能性がある、それが十二鬼月のルールだ。もう一つは数字が書かれていなかった場合、それは何らかの理由で、十二鬼月の奴に、長からの命令が下った上で殺されたかだ。数字がない場合、基本は十二鬼月でもなんでもないか、もしくは数字剥奪を食らった鬼か……。十二鬼月から下ろされる場合は基本、長に殺される筈だが、まだ見限られてなかったんだろう、それが殺されたってことは……長に見限られた。理由はそうだな、簡単に思いつくのはお前だ、お前を育ててしまったから……。」

 

「……!!」

 

師匠が元・十二鬼月で、見限られた……? 私は絶望のあまり、膝から崩れ落ちた。そんな、そんな筈はない、だって……師匠は……

 

――……

 

「師匠っ。もう少し、日常生活直したらどうですかっ、普段壁にかけてある干し肉しか食べないし……」

 

「んー? 嫌だって、干し肉が大好きだもん……ほかの食べ物はあまり食う気になれなくてねえ。」

 

「まったく、今度私が何か作りますから、それ食べてくださいっ」

 

「えー……」

 

――……

 

そういえば、師匠は他の食べ物をあまり食べようとはしなかった……あの時はちゃんと食べていたけど、結局は干し肉に落ちついていた。鬼は人肉から栄養を得る……まさか。

 

「そん、な。」

 

「……でも、お前を殺しても、何も解決はしねえ、というか、まだお前の師匠が鬼とも限らねえ、ここは一つ……」

 

「嘘だっ!! 違う!!」

 

「は!!? おい待て!!」

 

私は善逸を地面に起き、一目散に走り出した。行く場所なんてない、とにかく一人になって、落ち着きたかった。

 

師匠が元・十二鬼月で、殺されたのは見限られたから? そんなの、信じられるわけないじゃないか。

 

その日、私は久しぶりに、眼から涙を流した。




・星の呼吸 使用者:宵待 阿坐彌
星の如く素早くなるために鍛えあげられた呼吸。
派生先:雷の呼吸

壱ノ型 "彗星"
(壱ノ型 "彗星・加速")
弐ノ型 "流れ星"
惨ノ型 "天刑"
肆ノ型 "七夕演舞"

・刃の呼吸 使用者:実蔵 源三
あらゆる刃の力に身を任せ、怒涛の威力で相手を斬るために編み出された呼吸。
派生先:岩の呼吸

壱ノ型 ????
弐ノ型 ????
惨ノ型 ????
肆ノ型 "桃太郎討鬼伝"
(肆ノ型・五月雨 "桃太郎討鬼伝・三獣")
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