設定としてはゲームに登場する「ふわふわファクトリー 矢口美羽+」の前日譚というか裏話的なものになっています。
矢口美羽「レッスン矢口、ただいま戻りました!今日も疲れたぁ~。」
今井加奈「美羽ちゃんおかえり!今日はレッスンだけなのに事務所に何か用事?」
美羽「ただいま、加奈ちゃんさん!何で私の予定を知って……?直接伝えたいことがあるから戻ってきて欲しいってプロデューサーさんに言われたんだ。」
P「おぉ、おかえり。ごめんな、わざわざ事務所に寄ってもらって。実は良い知らせがあって、早く伝えたかったんだ。」
美羽「良い知らせ!?もしかして『爆笑点』からオファーが来たんですか!?」
P「それは良い知らせになるのか……?まぁいいか、実はな、再来月に行われる765プロ主催の合同ライブへの出演が決まったんだ!」
加奈「765プロってあの天海さんや萩原さんのいる事務所?美羽ちゃんすごい!」
P「そうだ!しかもトップバッターだぞ!」
美羽「トップバッター!?つまり前座!場を暖めて次に繋ぐ大事なお仕事ですよね!お望み通り会場をドッカンドッカン言わせてみせますよ!」
P「毎回モチベーションがおかしな方向に行くなぁ美羽は」
加奈「美羽ちゃんがドッカンドッカン言わせてるところ見たことないし」
美羽「うっ……まずは意気込みが大事なんだよ、加奈ちゃん。それに私は日々進化してるんだよ!エブリデイニュー矢口だよ!……ネタはないけど。」
P「まぁウケるウケないは置いといて、あと2か月しかないし演出も考えておかないとな。今までのライブ映像で何かヒントになるものはないかな……?」
美羽「今までのライブ映像……それですよプロデューサーさん!」
P「おっ、いい案が思いついたのか?」
美羽「はい!自分のライブ映像を見直して、スベ……ややウケだったギャグを大爆笑ギャグに改良するんです!」
P「どうしても笑いを取りたいんだな……。」
加奈「今スベったって言いかけたよね?」
P「でも確かに、自分のパフォーマンスを改めて見て気づくこともあるかもしれないな。今手元にある映像がビデオカメラで撮ったミニライブ2、3本くらいだけど見てみるか?」
美羽「はい!ありがとうございます!」
加奈「私も一緒に見ていいかな?」
美羽「もちろん!アイドル目線でのアドバイスも欲しいな!」
P「じゃあ俺は奥の事務室で経費の申請してくるから先に見ててくれ。……絶対入るなよ?」
加奈「すごい量の領収書……。片手で持ち切れてないよね、何週間分なんだろう。」
美羽「ちひろさんにすごい怒られるんだろうね……。しばらく戻って来ないだろうし、2人で見よう、加奈ちゃん。」
加奈「うん!『2人で』ね!」
美羽「……?まずは一番最近のにするね。私の地元近くでやったイベントのミニライブだよ。」
加奈「美羽ちゃんの地元ってことは……千葉県?」
美羽「そうだよ。友達も結構見に来てくれたんだ!じゃあ再生するね。」
加奈「……何この衣装?」
美羽「千葉県の特産品がメインのイベントだったからね!落花生の殻だよ!面白いでしょ?」
映像美羽『みなさーん!こんにち菜の花ー!!』
加奈「完全に出オチ狙い!?それに菜の花も特産品だけど、衣装が落花生なら挨拶もそっちに合わせようよ!『こんにちピーナッツ』とか!」
美羽「確かにそうだね!さすが加奈ちゃん!それいただき!」
加奈「待って!採用しないで!ギャグとしてかなり低レベルだから!」
美羽「えー、面白いと思ったんだけどなぁ。」
加奈「何で毎回スベり散らしてるのか分かった気がするよ……。」
映像美羽『はじまれ! はじまり! ボクらの夏〜♪』
加奈「あ、曲が始まった!『銀のイルカと熱い風』?歌すごい上手くなったね!ダンスもキレッキレ!」
美羽「ありがとう!トレーナーさんに付き合ってもらってみっちり練習したからね!成果が出てて良かったよ〜!」
加奈「(美羽ちゃんが自分のアイドル力の高さに気付くのはいつになるんだろうなぁ)」
美羽「加奈ちゃん、プロデューサーさんが考え事してる時みたいな顔になってるよ?どうかしたの?」
加奈「え?え~と、わ、わたしももっと頑張らなくっちゃと思って!」
美羽「ギャグ対決ならまだまだ負けないよ!最近の鉄板ネタ、披露してあげよっか?」
加奈「それは遠慮しとくね」
美羽「加奈ちゃんってギャグの話になるとクールだよね!」
加奈「(これは人に教えてもらうことじゃなくて、美羽ちゃんが自分で気づかないとダメなんだよね……だから今回もプロデューサーさんがヒントになればってビデオを見せることにしたんだ……多分)」
映像美羽『今日はありがとうございました~!』
美羽「終わっちゃった。大爆笑にはならなかったけど、お客さんは楽しんでくれたみたい。」
加奈「すごい盛り上がってたね。ギャグはダダスベりだったけど。『出オチ(落ち)だけに"落下"生~!』は分かりにくすぎるよ……。」
美羽「おかしいなぁ、渾身のギャグだったんだけど……。」
美羽「ライブパフォーマンスでもっと良くしたい部分はいくつかあったけど、抱腹絶倒ギャグのヒントはあんまり見つからなかったよ。まぁ、1つ見たぐらいじゃ分からないかも、次行ってみよう!」
映像加奈美羽『さあ始まりました!はぴ☆かむハートフルホリデ~!』
映像美羽『今日も頑張っていこうね、加奈ちゃん!せ~の、』
映像加奈美羽『かなみう、ファイファイおー!!』
加奈「これは私たち2人でやってるラジオの公録イベントだね。トークコーナーもあって最後にミニライブもやったから演出のヒントも見つけやすそう。」
美羽「そうだね!合同ライブの時にMCもあるだろうし、トークもしっかり見ておかないと」
映像加奈『今日は会場までお越しいただきありがとうございま~す!一番遠くから来てくれた人は誰なんだろう?関東以外から来たよ~って人~?』
美羽「加奈ちゃんの目線、何かおかしくない……?お客さんイジりの時なのにたまにわたしの方見てるよね……?」
加奈「み、美羽ちゃん側のお客さんを見てるんだよ!」
映像加奈『じゃあ、日本以外から来てる人~?いるの!?どちらからですか?台湾!?』
美羽「ほら、もう手を上げている人後ろの方にしか居ないのに明らかにこっち見てる!」
加奈「気にしすぎだよ美羽ちゃん、ぜ、全体を見渡してるだけ!」
映像加奈『もっと遠いよ~って人~?え、すごい!カナダ!?何か国際的なイベントになっちゃったね、美羽ちゃん!!!』
美羽「話しかける時の圧がすごい!そんなに見つめたらわたし穴空いちゃうよ!」
加奈「だってあの時の衣装、『ドキドキ!フラワーガーデンおこしやす!』以来だったでしょ……?あの美羽ちゃんを次はいつ見れるか分からないし、目に焼き付けておこうと思って……」
美羽「とうとう白状した!」
美羽「何かおかしいなぁとは思ってたんだよ、トゥイッターで感想とか検索しても『クレイジー……最高……』とか『我看到了最好的百合……』とかよく分かんないのばっかりで!」
加奈「まぁまぁ、お客さんは喜んでくれたんだから良いじゃない!」
美羽「う~ん、まぁそういうものなのかな……」
映像加奈美羽『手のひらを~桜並木にかざ~して~♪』
加奈「ほ、ほら、ライブパート始まったよ!パフォーマンスの復習しよう!」
美羽「そうだね!加奈ちゃんがやたらアイコンタクトを取ろうとしてるのは一旦無視するね!」
映像加奈『満開の桃色 景色 春風 ランランラン♪』
美羽「(加奈ちゃんの表情、すっごいキラキラしてる。顔だってパフォーマンスの一部だもんね、お客さんに楽しんでもらうためにはまずは、わたしが笑わなきゃ!)」
加奈「美羽ちゃん、全然しゃべらないけどどうしたの?もしかしてさっきのこと怒ってる?わたしのこと嫌いになっちゃった……?そんな、どうしよう……」
美羽「加奈ちゃん、わたしが加奈ちゃんのこと、嫌いになんてなるわけないよ。むしろいっぱい見てくれて嬉しいよ……」
加奈「~~!!kgjsくぁwせdrftgyh;;」
美羽「(チョロい)」
映像加奈美羽『本日は本当に、ありがとうございました~!!』
美羽「終わっちゃった」
加奈「お客さんすっごく楽しんでくれてたね!」
美羽「でもこれもギャグはややウケだったよ……これさえ完璧ならもっといいステージにできるね!」
加奈「美羽ちゃんさ、ややウケの意味、間違えて覚えてない?」
美羽「……さ~て次の映像はどれにしようかな~!」
加奈「誤魔化し方」
美羽「あれ、もうわたしたちの映像残ってないよ。他の人ので参考にできないかな?」
加奈「あっ、これ……」
美羽「楓さん!わたしのギャグ師匠!」
加奈「ライブというよりはトークショーみたいだけど……」
美羽「ちょっとだけで良いから見てみようよ!」
映像楓『みなさん、本日はお越しいただきありがとうございます。本日の『酒宴』の『主演』を務めます、高垣楓です。よろしくお願いします。』
映像楓『ゴールデンウィーク最終日にも関わらずこんなに多くの方が来て下さって、本当に嬉しいです。これは日程を決めるときに私が『ゴールデン』の『ゴールで』やりたいと言ったのがきっかけで……』
映像楓『私のイベントに参加したということはお『酒』は『避け』ては通れません。長話はこれくらいにして『今夜』はお料理とお酒も楽しま『ナイト』……ふふっ、今のは我ながらいい出来でしたね』
観客「(笑)」
加奈「何ていうか、独特の空気感だね」
美羽「この雰囲気は楓さんにしか作れないかも……わたしには……」
映像楓『本日はありがとうございました~!またお会いしましょう♪』
加奈「飛ばし飛ばし見たけど最後まで同じ感じだったね」
美羽「そうだね」
美羽「……加奈ちゃん」
加奈「どうしたの?」
美羽「わたし、今度の合同ライブはギャグを封印してみようと思う。楓さんにしか作れない空気があったみたいに、わたしにしか出来ないステージってあると思うんだ。もともとダジャレも楓さんの真似っこだし。ギャグ以外でお客さんをもっと笑顔にする方法が無いか考えてみるよ」
加奈「美羽ちゃん……!頑張って!わたしにできることは何でも手伝うよ!」
美羽「本当に何でもやってくれそうだね……」
P「(こうして美羽は今回の合同ライブではギャグを封印し、『普通』に『最高』のライブを成功させた。この経験は彼女にアイドルとしての自信を持たせられただろうし、新たな道筋を示してくれただろう。ただ……)」
美羽「加奈ちゃん、見て見て!『マッチョになりまっちょ☆』」
加奈「駄作だね!」
美羽「ツッコミのキレあがってない?」
P「(本人はギャグも全く諦めてないんだよなぁ)」
おわり