ARIA〜時を越えた魔法使い〜   作:双 月

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はじめまして!

初投稿な者で見苦しい所もあるかもしれませんが、頑張って完結まで書いていきたいと思ってます。


話はオリジナル色が強くなると思いますが、原作、アニメ、ゲームからの話も書いていくかもしれません。

それでは、主人公君と火星(アクア)の住人さん達とのお話にお付き合いください。



第1話―火星(アクア)へ―

 水ー……水の音が聞こえる……。

 

 何故だろう……すごく懐かしい……。

 

 

「…ん?」

 

 青年が目を覚ました。

 そこは暗闇が広がり何時もの見慣れた自室の天井が広がっていた。

 

「……ああ、夢か」

 

 近くに在った時計を見ながら青年が呟く。

 時刻は深夜2時ー……。

 

「変な時間に起きちゃったな……」

 

  そう言いながらベッドから起きる。

 

「懐かしい夢を見たな……みんなどうしているだろう」

 

 とても懐かしく。

 とても愛しいー……。

 そんな夢を見た。

 

  青年は部屋の窓を開ける。夜風が頬を掠める。

 ―……ふとその時、外から視線を感じた。

 

 ―にゃーん……

 

「えっ猫?」

 

 青年の部屋は二階だ。

 外をよく見ると道路に一匹の黒猫が居た。

 猫と青年の距離は遠い。

 だが、青年にははっきりと見えていた……。

 その黒猫の黄色い瞳がー……。

 

―にゃーん……

 

 黒猫が鳴く……青年を見つめながら。

 

「………君は」

 

 青年も黒猫を見つめる。

 黄色い瞳……青年はその瞳に見覚えがあった。

 

 

にゃーん……にゃーん……

 

 

 黒猫はまた鳴き暗い路地の奥に走り去ってしまった。

 

「……また、呼ばれてるんだ……僕の事を呼んでいるんだ」

 

 青年は黒猫の言葉を理解したようだった。

 目を閉じそして呟く。

 

「近いうちに……また会えるんだ。猫妖精(ケット・シー)に、火星(アクア)のみんなに」

 

 青年は目を開き壁に掛けてあるカレンダーを見る。

 カレンダーは2013年5月の日付だった。

 

「もう、2年前になるんだ…」

 

 まるで昔を懐かしむように青年は目を細める。

 

「いや、『もう』じゃなくて『まだ』2年…かな?」

 

 少し苦笑いをしながら青年は自分のリュックに手を掛ける。

 

「目も冴えたし……少し準備でもしますか」

 

 青年はそう言うと楽しそうに笑う。

 

「……大丈夫、なんとかなるさ」

 

 青年はポツリと呟く。

 まるでそこには居ない誰かに言っているようだった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「はひぃー、何処にもありませんねぇアリア社長」

 

「にゅっにゅっ」

 

 桃色の髪をし澄んだ緑の目をした少女が必死に捜し物をしていた。

 少女の顔の横から両サイドに纏めている伸びた髪が揺れる。

 ここは物置だろうか。

 色々な箱と段ボールが並べられていた。

 

「変だなぁ、大掃除の時にアリア社長の物も此処に入れたはずなのに……」

 

 少女は腕を組み考え込む。

 

「ぷぃにゅー……?」

 

 アリア社長と言われた白く丸いぬいぐるみ見たいな猫も首を傾げる。

 

「にゅ?」

 

 アリア社長は積み重なっている段ボールの隙間からある物を発見した。

 

「ぷぃぷぃっ」

 

―ズルズル

 

 アリア社長はそれを引っ張る……そして。

 

ドンッ!バサバサーッ!!

 

「ぷいにゅ〜!」

 

「ああ!アリア社長!?」

 

 段ボールが崩れ、辺りに物が散らばる。

 

「アリア社長!大丈夫ですか!?」

 

 

 少女は急いで段ボールの下敷きになったアリア社長を助けだす。

 

「…ぷぃー」

 

 アリア社長は半泣き状態だがケガはしていないようだ。

 

「良かった〜ケガはしてないようですね!あっ、在ったんですねニット帽?」

 

「ぷいにゅー!!」

 

 アリア社長は満足気に少女にニット帽を見せる。

 

「はひー、でもまた片付けをしなきゃいけないですね……あれ?」

 

 段ボールは中身が散らばった状態で散乱している。

 その中で一冊のスケッチブックが落ちていた。

 

 

「何でこんな所にスケッチブックが?」

 

 少女がスケッチブックを手に取る。

 

「ぷぃぷいにゅー!!」

 

 そのスケッチブックを見るなりアリア社長は嬉しそうに飛び跳ねる。

 

「ほへ?どうしたんです?アリア社長??」

 

「ぷぃぷぃ!」

 

「中を見て良いんですか?」

 

「ぷぃ!」

 

 アリア社長はこくんと、うなずく。

 

「じゃあ…」

 

パラッ…

 

 少女がスケッチブックの中を見る。

 

「……わぁ!!」

 

 少女は感激の声を上げた。

 

 

 

 

 

 外は夕暮れ時。

 ARIA COMPANYと看板がある建物に女性が入って行く。女性は階段を上がる、二階はリビングルームになっているようだ。

 

「ただいま、灯里ちゃん」

 

「はひっ!?お帰りなさいアリシアさん!」

 

 桃色の髪をした少女―灯里は女性の存在に気付いていなかったのだろう、ビックリしながら椅子から立ち上がった。

 

「あらあら、灯里ちゃん。アリア社長のニット帽は見つかった?」

 

 腰まで伸びた金髪をひとつミツアミをした女性―アリシアは優しく微笑みながら灯里に聞く。

 

「はひ、見つかりました!」

 

「ぷいにゅー!」

 

 アリア社長がアリシアにニット帽を見せる。

 

「あらあら、良かったですね。アリア社長……あら?灯里ちゃん、それ……」

 

 アリシアは灯里が見ていた物に目が止まった。

 

「あのっ!アリシアさん!これ、偶然アリア社長が倒した段ボールから出てきたんですけど……」

 

 灯里はアリシアにスケッチブックを見せる。

 

「……あらあら!懐かしいわ、何処にしまったか分からなくなっていたのよ」

 

 そう言い灯里からスケッチブックを受け取る。

 

「とっても素敵な絵、ですね……この絵って昔の、半人前(シングル)時代のアリシアさん達がいっぱい描いてありますね。グランマやアリア社長も」

 

 スケッチブックに描かれているのは、人物画だった。それも、モデルをしてもらっている絵ではなく、まるで日常の1コマを写真に撮ったみたいな出来の絵ばかりだった。

 

 

「ええ、本当に懐かしいわ……彼、元気かしら」

 

 アリシアは目を細め、とても優しい眼差しでスケッチブックを見る。

 

「彼?この素敵な絵を描いたの、男の人なんですか?」

 

「そうよ、色々事情があってARIAカンパニーで1年半ほど暮らしていたの。事務の仕事も手伝ってもらってたし、晃ちゃん達と一緒に舟(ゴンドラ)の練習にも参加してたわ」

 

 ニコニコ笑いながらアリシアは語る。

 

「ほへー、ゴンドラの練習ですか?男の人なのに?」

 

「ええ、それもゴンドラの操縦技術は、あの頃の私達以上だったかもしれないわね」

 

「ええー!アリシアさん達以上ですか!?スゴいですね!!」

 

 灯里が驚く。

 

「うふふ。そうね、彼が女の子だったらライバルだったって。よく晃ちゃんが言ってたわね」

 

 クスクス、とアリシアは思い出しながら語る。

 

「……もう何年も会って無いんですか?その人は地球(マンホーム)の人なんですか?」

 

 不思議そうに灯里が聞く。

 

「……マン……ホームね。確かにそうね……でも、会えないわね」

 

 アリシアは複雑そうな顔をしながら呟く。

 

「アリシアさん?」

 

「……うん、何でもないわ。……いつの日か会えると良いわね、灯里ちゃんの事も紹介したいわ」

 

 うふふとアリシアは笑う。

 

「はっはひ、その人って私の先輩になっちゃいますよね?」

 

「あらあら、確かにそうなるわね。私は彼の事は、兄みたいに感じてたのよ」

 

 スケッチブックを見ながらアリシアは微笑む。

 

「そっそうなんですか!?うわー……会ってみたいなぁ」

 

「……ええ、会いたいわね」

 

 アリシアは窓の外を見つめる……外はもう暗くなっていた。

 

「あらあら、夕飯の支度をしなくちゃいけないわね」

 

「えっはひ!手伝います」

 

「ぷいにゅー」

 

 

 灯里がキッチンに走っていく。

 

「……いつか会えるかしら」

 

 灯里を見つめながらアリシアは呟いた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 ―……深夜。

 自分の家の庭先に青年が居た。

 静かだ……道路を見ても人も車も通らない。

 

「綺麗な満月だな」

 

 青年が夜空を見つめていた。

 

「あの日から3日か……」

 

あの日ー……黒猫が青年の前に現われてから3日が経っていた。

 

「満月の夜に、迎えに行くか。多分、今日来るんだろうな…」

 

 月をぼーっと見ながら青年は呟く。携帯電話の時計を確認する。

 

「……もうすぐ2時だな」

 

 ……そして携帯電話の時刻が深夜2時に変わった瞬間。

 

―…ザァ

 

 

 突然風が吹いた。

 周りの木々が騒めく。

 

 

にゃーん……

 

 

 いつの間にか青年の前にあの黒猫が居た。

 

 青年は驚きもせず、黒猫の瞳を見る。

 

「こんばんは。相変わらず、月と同じ綺麗な瞳だね」

 

 ニコッと笑いながら青年は黒猫に語り掛ける。

 

「何でまた、僕を呼ぶのか分からないけど……どうせまだ理由は教えてくれないんだろ?」

 

―……黒猫は何も答えない。

 

 

 青年がそういうと黒猫はまるで蜃気楼のように体が揺らいでいく。

 

 そしてー…。

 

 黒猫が消え、青年の前には牡牛程の大きい黒猫が立っていた。

黒猫は貴族服を着ていて、お腹には白いブチ模様がある。

 

「また会えるとは思ってなかったよ。猫の王様ケット・シー!こっちの準備は出来てるから……行こうか?水の惑星アクアに!」

 

 青年が嬉しそうに笑顔で言う。

 

 ケット・シーは頷き。

 青年の頬に手を触れる。

 青年は自分の頬に触れているケット・シーの手に自分の手を伸ばし軽く触れながら目を閉じる。

 

―……次第に青年の意識は遠退いていく。

 

 

(懐かしい感じ……水の音が聞こえてくる……)

 

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 一艘の黒いゴンドラに三人の少女と三匹の猫が居た。

 灯里はオールを握りゴンドラを漕いでいる。

 

「へー、そんな人がARIAカンパニーにいたんだ?晃さんからは聞いたことないわねー」

 

「藍華ちゃんは聞いたことないんだ?」

 

 長い両サイドにしたみつあみ青みがかった黒髪の少女―藍華はんっ、と公定するように答えた。

 

「アリスちゃんは?」

 

「私も、アテナ先輩から聞いたことありませんね」

 

 灯里の問い掛けに翡翠色のロングの髪の少女ーアリスが答える。

 

「そう……」

 

「アンタねー、そんな残念がることないでしょ?」

 

 シュンっと残念そうな顔をする灯里を見て藍華は呆れながらため息をはいた。

 

「ええー!だって私の先輩なんだよ?アリシアさん以外からも話聞けないかなぁって思って」

 

「……灯里先輩。その人、男の人なんですよね?水先案内人(ウンディーネ)じゃないのに先輩なんでしょうか?」

 

 アリスの疑問にり灯里は。

 

「でもARIAカンパニーで働いてたんだから先輩だよー!」

 

「……はぁ、そうなりますか」

 

嬉しそうに答える灯里を見てアリスも少々呆れ気味だった。

「そーいや、その人、名前なんてーの?」

 

「ほへ?名前?」

 

 藍華の質問に灯里は気の抜けた顔をする。

 

「……アンタ。名前聞いてないの?」

 

「ああー!うん。アリシアさんも『彼』って言ってたし」

 

「……でっかい間抜けです」

 

 灯里を見ながらアリスは呆れる。

 

「まぁいいかっ!灯里、確かその人が描いたスケッチブックに昔のアリシアさんがいっぱい描いてあるのよね!?」

 

「うん。晃さんもアテナさんもいっぱい描いてあったよ!」

 

 藍華の目が輝く。

 

「よっし!早く練習終わらせてアリシアさんの絵を見ましょう!灯里!早くARIAカンパニーに行くわよ!!」

 気合い入りまくりの藍華に対してゴンドラを漕いでいる灯里は。

 

「ええー!待ってよ〜この岬、潮の流れが複雑すぎて進みにくいんだもん」

 

 灯里の漕いでいるゴンドラは進むのに悪戦苦闘している。

 

「はぁー、この岬かなり難しいんだっけ……後輩ちゃん漕いでみる?」

 

「……早くARIAカンパニーに行きたいからって、私に振らないで下さい藍華先輩」

 

 アリスが呆れた顔をして藍華に突っ込みを入れた。

 

 その時ー……。

 

 

「ぷいにゅー!!」

 

「ほへ?アリア社長?」

 

「まぁー!!」

 

「どうしたんです?まぁくん」

 

「……ヒメ社長?」

 

 今まで静かだったアリア社長とまぁくんと呼ばれた火星猫の子猫が水面を見ながら鳴きだした。

 ヒメ社長と言われた地球猫の黒猫も、水面をじっと見つめる。

 

 

 その直後。

 

 

カッ…!!

 

 

 

 水面がいきなり光に包まれた。

 

「ふぇー!?」

 

「ぎゃーすっなっ何!?」

 

「でっでっかい光です…!?」

 

 三人は光を見て叫ぶ。

 

 水面が揺れ、灯里は必死にオールを使いゴンドラのバランスを保つ。

 

―光と揺れが治まり水面に静寂が訪れる。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 水の中ー……。

 青年は意識を取り戻す。

 

 

(なっ!?水!?)

 

 ゴブッっと、水の中で息を吐き出してしまった青年は慌てて、水の中をもがく。

 

(そういえば、前も水の中だったよな!?)

 

 青年は息を吸おうと、上に向かって泳ぐ。

 そしてー……。

 

「ぶはっあ!!」

 

 ザバッっと水面から青年の顔が出てくる。

 

「っはー……ビックリしたぁ」

 

 青年は息を吸うと安堵したように呟く。

 

「ぷいにゅー!!」

 

「ん……その声は」

 

 青年が前を見ると、そこには黒いゴンドラが水に浮かんでいた。

 

「なっ人!?」

 

「何処から出て来たんですか!?」

 

 いきなり水の中から人が出て来て三人は驚く。

 

「にゅっにゅっ!」

 

「アリア社長!危ないですよ〜」

 

 アリア社長はその青年の姿を見て嬉しそうにゴンドラの上で跳ねる。

 

「……アリア!それにそのゴンドラにその格好……」

 

 青年はゴンドラに乗っている三人の少女達を見て確信した。

「また…火星(アクア)に来れたんだ」

 

そう言って青年は嬉しそうに呟くのだった。

 




1話目終了です!
最初は少し読みにくかったかもしれませんね。


主人公君の時代の視点と、灯里の時代の視点を交互に書いてしまいました。

次の話から完全に主人公君の火星(アクア)での生活が始まります。

ちゃんと主人公君の名前も出ます。
…話が落ち着いたら主人公の設定も載せていく予定です。

…文章に変なところがありましたらご報告くれると有りがたいです。


それでは、此処まで読んでくれてありがとうございました!
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