ARIA〜時を越えた魔法使い〜   作:双 月

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5話目投稿です。


やっと水の3大妖精さんが揃いました。


それでは、水先案内人(ウンディーネ)さん達と魔法使い君達の話にお付き合いください。


第5話―友人達と再会―

 ARIAカンパニーを出た碧とアリシアは昔の話をしながらアリシアの家に向かっていた。

 

「……そんなこともあったね〜懐かしいや」

 

「うふふ。そうね、晃ちゃんたら負けず嫌いだからその後大変だったわね」

 

「あー……舟(ゴンドラ)レースなぁ。あの後何度も勝負を申し込まれたっけな」

 

 話題は昔の晃の事だった。

 

「体力的な勝負事はよく晃に申し込まれてたしねー楽しかったけどね」

 

 苦笑をしながら碧は冬の夜空を見上げながら歩く。

 

「そうね。あの頃も楽しかったわね……」

 

 アリシアも碧につられて夜空を見上げる。

 

「……ホント、僕は今火星に居るんだよなぁ」

 

「えっ?」

 

 ぽつりと碧は呟く。

 

「月が地球と全然違うから……ね。やっぱり月が歪な形をしてて二つあるのは変な感じだなーっと思ってさ、確か月(ルナツー)と外側の月(ルナスリー)だっけねあの月の名前は」

 

 そう言い碧はアリシアに目線を移し笑った。

 

「ええ……ふふっ碧ちゃん。昔も月の事を言って自分が火星にアクアに居ることを実感してたわよね?」

 

 アリシアは本当に可笑しそうに笑った。

 

「確かにそうだけど笑うことないだろう?」

 

 少し拗ねたように碧は夜空に目線を移す。

 

「ごめんなさい、ただ……碧ちゃんって本当に変わってないなって思って」

 

 アリシアはまだ笑っている。

 

「まぁねーでも、アリシアも相変わらずだと思うよ?そっちは五年も経っているし背も伸びて大人っぽくなったと思うけどさ」

 

「あらあら、それなら碧ちゃんも身長伸びたわよね?でも、相変わらずね」

 

 そう言って二人は笑いあった。

 

「それじゃあ、ありがとう碧ちゃん」

 

 アリシアの家にたどり着き、アリシアは玄関の前で碧にお礼を言う。

 

「ううん、僕もゆっくり話せて良かったよ。付き合わせてゴメンね?」

 

「……碧ちゃん」

 

「うん?」

 

 アリシアは呟く。

 

「また、会えて本当に良かったと思うわ……晃ちゃんとアテナちゃんも喜ぶわ」

 

 アリシアは嬉しそうに微笑む。

 それがアリシアの本音なんだと理解した碧は。

 

「…アリガト、アリシア」

 

 そう言って優しく微笑んだ。

 

 

 アリシアの家の帰り道ー……ふと、視線を感じ屋根の上を見上げると、そこには猫が居た。

 猫と言っても普通の猫ではなく猫の王様、猫妖精(ケット・シー)が居たのだ。

 

「……やぁ。無事に来る事が出来たよ」

 

 碧は呟くように話す。暫く碧を見つめていたがケット・シーは優雅にペコリとお辞儀をし、そしてまた碧を見つめる。

 

「……こちらこそ、また宜しくね?僕に何をさせたいかまだ解らないけど……きっとその内解るんだろうね……うん、何か気になることがあったら猫の集会に顔を出させてもらうかもね?」

 

 碧が答えるとケット・シーはこくりと頷き、そして姿がぐらりと揺れる。

 そしてケット・シーは姿を消した。

 碧は苦笑をしながら、視線を道に戻しARIAカンパニーへと帰っていった。

 

 

「ただいまー!」

 

 ARIAカンパニーのドアを開けると。

「お帰りなさい碧くん!」

 

「ぷいにゅー!」

 

 灯里とアリア社長に出迎えられて碧は笑った。

 

「……そう言えば、さっきケット・シーに会ったよ」

 

 碧は自室に行く前に灯里から用意されていた寝間着代わりの長袖のTシャツとジャージに着替えながら、ベッドの中に潜り込んでいるアリア社長に話しかける。

 

「ぷいにゅ?ぷいー?」

 

 アリア社長が不思議そうに碧聞いてきた。

 

「何か話したかって?うん、宜しくねってお互いに挨拶をね…後、その内猫の集会に顔を出させてもらうかもって言っただけだよ」

 

「ぷいーにゅっぷいにゅ〜」

 

 アリア社長は嬉しそうに碧に話しかける。

 

「歓迎するって?まぁ、その内ね」

 

 碧はアリア社長に笑いかける。

 その日、アリア社長と男同士の話は夜遅くまで続いた。

 

 

 次の日ー……。

 碧はいつもと違う天井に一瞬考え込む。

 

「……あれ?えーっと……ああ、此処は火星(アクア)だった……」

 

 隣で爆睡中のアリア社長と自分の部屋を見渡し碧は呟く。

 時計を見ると時刻は6時半を回ったところだった。

 

「……うーん。少し起きるのは早い……か?まぁ目が覚めたしいいか……」

 

 確かあの頃と同じならARIAカンパニーは8時位に朝食のはずだ。

 そう思いながら碧は男性用の水先案内人制服に袖を通す……ふと、着替える手を止めてこの格好で良いのか?っと改めて思ったが洗濯した自分の服はまだ貰ってないししょうがないか……と、思い碧は着替えた。

 アリア社長を起こさないように部屋を出た碧はリビングルームに降りてきた。

 軽く背伸びをし、周りを見渡す。

 

「……なんか……不思議だなぁ」

 

 ボーッとしながら碧は呟く。

 その時……。

 一階ドアが開く音がし、階段を上がる足音が聞こえてきた。

 

「おはよう、碧ちゃん」

 

 足音の人物であるアリシアはリビングの真ん中でつっ立って居る碧に挨拶をした。

「……おはよう、アリシア」

 

 アリシアに視線を向けて碧は可笑しそうに笑う。

 

「あらあら、どうしたの?」

 

 アリシアが不思議そうに首を傾げると碧は目を細めて。

 

「いや、僕が知っている光景なら……階段から上がって挨拶をするのは秋乃さんだよなって思ってね、このARIAカンパニーは全然変わってないのに、人は変わるんだなぁって思ったんだ」

 

「……そうね、時間が経てば会社は変わっていくものね」

 

 碧の言葉にアリシアも目を細める。

 

「あっ……でも、変わっても変わってないか」

 

「えっ?」

 

 碧はニッコリと笑い三階を見ると。

 

「あっ、おはようございますーアリシアさん、碧くん!」

 

 灯里が元気良く二人に挨拶をする。

 

「おはよう、灯里ちゃん」

 

「おはよ、灯里!あとー……」

 

「ぷいにゅー!」

 

 灯里の後にアリア社長が後に続いて下りてきた。

 

「アリアもおはよう」

 

「ぷいっ!」

 

 アリア社長も元気良く挨拶をする。

 

「……この、感じは変わってないよ」

 

 碧はアリシアと灯里を見て笑う。

 

「ほへ?」

 

 話内容が分からないのか灯里は不思議そうに首を傾げる。

 

「……碧ちゃん、そうかもね」

 

アリシアも灯里を見て微笑んだ。

 

 

 

 

「たのもー!!」

 

 朝食を食べ終わりカフェオレを飲みながら一息ついていると外から大きな声が聞こえてきた。

 

「はひっ。この声は……」

 

「あれ?もしかして……」

 

 碧と灯里は顔を見合わせ二階である窓から外を見る。

 見ると藍華とアリス、そして二人の姫屋とオレンジぷらねっとの制服を着た女性がARIAカンパニーの前に立っていた。

 しかも姫屋の女性は仁王立ち状態で立っていた。

 

「アリシアさん!藍華ちゃん達が来ましたー」

 

 灯里はアリシアが居るキッチンに向かって走っていく。

 アリシアはニコニコしながら。

 

「あらあら、早いわね。お茶の準備をしましょうか?」

 

 そう言ってティーセットの準備を始める。

 その光景を見て、碧は二階の窓を開けて。

 

「おはよー!久しぶりー!アリシアがお茶の準備してるから入ってきたらー?」

 

 右手に飲みかけのカフェオレのカップを持ち、左手をヒラヒラ振り訪問者達に話し掛けた。

 碧の姿を見て仁王立ちをしていた女性はすぐにARIAカンパニーの中に入ってきた。

 ドタドタドタっと凄い勢いで階段を掛け上る音が聞こえ、そしてー……。

 

「すわっ!……碧!!何でお前が居るんだ!?いや、久しぶりに会って掛ける言葉がそれかぁ!!!」

 

 姫屋の制服を着た艶やかな長い黒髪の気が強そうな女性が凄い剣幕で碧に詰め寄ってきた。

 

「いや、質問しながら怒られても困るんだけど…」

 

 碧は困ったように苦笑する。

 すると階段から。

 

「晃ちゃん〜待って〜!」

 

 少々間の抜けた声が聞こえドタドタと走る足音が聞こえてきた。

 

「あっ階段で走ったら……」

 

 碧が言い終わる前にドダンっと階段から凄い音がした。

 

「アテナー!?」

 

 音を聞いた瞬間碧は階段に向かって走りだした。

 見ると階段を半分くらい登ったところでオレンジぷらねっとの制服を着た女性が倒れていた。

 

「アテナ先輩っだから走らないでって言ったじゃないですか……」

 

 階段を見上げながらアリスは呆れたように呟く。

 

「もー、晃さん!慌てすぎですよ!」

 

 アリスの隣に居た藍華も呆れているようだった。

 

「アテナっ大丈夫か?」

 

 碧は急いで倒れていた女性を起こした。

 

「たくっ……何コケけてんだよアテナ」

 

 長い黒髪女性ー……晃は呆れながら無造作に自分の黒髪を払う。

「だって〜晃ちゃんが走って行っちゃうんだもん……」

 

 起き上がった褐色の肌の銀髪のショートヘアーの女性ー……アテナはなんとも間の抜けた声で晃に話掛ける。

 

「あっ……碧ちゃん?お久しぶりね〜会えて嬉しいわ」

 

 起き上げてくれた碧を見つめながらアテナは嬉しそうに微笑んだ。

 

「うんっ僕も二人に会えて嬉しいよ!」

 

 碧もアテナにつられて嬉しそうに微笑んだ。

 

 

 

「しっかし……晃とアテナも大人っぽくなったねぇ……」

 

 リビングルームの食卓テーブルに集まった皆が座りアリシアが用意した紅茶を飲みながら碧はしみじみと言う。

「晃は髪を伸ばしたんだ……アテナは髪を短くしたんだね?二人とも似合うよ」

 

「ありがとう、碧ちゃん」

 

 アテナは照れて。

 

「すわっ!!うんな事はどうでもいい!」

 

 少し顔を赤らめながら晃は叫ぶ。

 

「あらあら、晃ちゃん?落ち着いて」

 

 アリシアは晃をなだめながらも楽しそうに笑う。

 

「だいたいアリシア!お前も碧が来た事をすぐに私達に伝えないんだ!!」

 

 晃の怒りの矛先がアリシアに向くがアリシアはあらあらっと言いながら。

 

「藍華ちゃん達に伝言頼んだでしょう?それに、二人とも仕事が入ってる時に言うのも落ち着かないじゃない?」

 

「……確かにそうだが、帰ってきた藍華に、碧が来たって聞いた時は今すぐARIAカンパニーに行こうかと思ったんだぞ!?」

 

「私も〜思わず碧ちゃんに会いに行こうと思っちゃったもの……アリスちゃんに止められたけど」

 

「そうなの?」

 

 二人の言葉に灯里が藍華とアリスに目線を向けると。

 

「うん、あの時の晃さんを止めるのは苦労したわよ……夜遅いのに」

 

「はい、私もアテナ先輩を止めるのはでっかい苦労しました……」

 

 二人はうんざりしたような顔をしため息を吐いた。

 

「……そうなんだ」

 

 灯里は碧達を見つめる。

 

「でもそれだけ碧くんは大切なお友達なんだね……今すぐにでも会いたいと思える友達が居るのって素敵だよね」

 

 灯里が笑顔で言うと。

 

「………恥ずかしいセリフ禁止!」

 

 藍華がビシッと灯里にツッコミを入れる。

 

「ええー!」

 

 灯里が叫ぶ。

 

「でも、灯里ちゃんの言うとおりよ。碧ちゃんは大切なお友達ですもの」

 

 灯里達の会話を聞いていたアテナはニッコリと笑い答えた。

 

「そうよね。晃ちゃんもそう思うでしょ?」

 

「……ぐっ、そりゃそう……だが……な」

 

 アリシアの問い掛けに晃は照れ臭そうな顔をし紅茶を一口飲む。

 

「皆……ありがとね。いつまで居るか分からないけど……宜しくね」

 

 碧も嬉しそうに微笑んだ。

 

「……また何か起こるのか?」

 

 不意に碧に真剣な顔を晃は向ける。

 

「さあ?前の事で解ってると思うけど……その時にならなきゃ分かんないよ」

 

 あっさりと即答する碧を見て晃はため息を吐き。

 

「おーまーえーなぁ!来るの二回目なのにもう少し考えろよー!!」

 

「あらあら〜怒んなよー晃〜」

 

「うふふ。晃ちゃん深く考えてもしょうがないわよ」

 

「すわっ!!お前等っあらあら、うふふ禁止ー!!」

 

 晃は碧の肩をガクガクと揺さ振りながら叫ぶ。

 

「晃ちゃんっ落ち着いて〜碧ちゃんが目を回しちゃうわよ」

 

 アテナの心配もよそに碧はアリシアの口癖のあらあらを笑いながら連呼していた。

 

「……でっかい凄い光景ですね」

 

 そんな四人の光景を見てアリスが呟く。

 

「水の3大妖精の中心にいるんだもんなぁ……」

 

 藍華も呆気にとられている。

 

「皆、楽しそうだね」

 

 灯里はニコニコしていた。

 

 

「あっ……そうだ!」

 

 騒ぎも一段落した時に碧が思い出したかのように叫ぶ。

 皆は不思議そうに碧を見る。

 碧は椅子から立ち上がり。

 

「ちょっと待ってて!」

 

 そう言って自分の部屋に走っていく。

 

「なっ……なんだ?」

 

 晃の呟きに皆も首を傾げる。

 

「ゴメンねー!待ったか?」

 

 部屋から慌ただしく戻ってきた碧は手に三つの可愛らしリボンが付いた小さな袋を持っていた。

 そしてアリシア達、3大妖精の前に立ち一言。

 

「アリシア、晃、アテナ。今更だけど、一人前(プリマ)昇格おめでとう!」

 

 碧は笑顔でアリシア達にプレゼントを渡す。

 こんなサプライズがあるとは思ってなかった三人は驚いた顔をした。

 

「ありがとう……碧ちゃん」

 

「……あっ……りがとな」

 

「嬉しい……ありがとう」

 

 アリシア、晃、アテナは照れながらも笑って受け取った。

 

「開けていいか?」

 

「勿論、どーぞ」

 

 晃の言葉に碧は頷いた。

 

「何だろうね〜?」

 

 灯里達も気になったのかアリシア達の傍に寄り袋を眺めていた。

 袋を開けると中にはシルバーのブレスレットが入っていた。

 一見シンプルな作りだがブレスレット真ん中に三人の会社のイメージカラーの石が付いていて、各会社のユニフォームのデザインを象った模様がブレスレットに彫られていた。

 

「……とっても素敵ね」

 

「ああ……」

 

「うん……」

 

 アリシアの言葉に皆が頷いた。

 

「……凄い」

 

 灯里、藍華、アリスもブレスレットに釘付けになっていた。

 

「……気に入ってくれて良かったよ!シンプルなデザインで作ったからどうかなって思ってたんだけどさ」

 

 碧は安堵したような顔をする。

 

「……これ、碧さんが作ったんですか!?」

 

 アリスは驚いた顔をする。

 

「うん、一応ね青、赤、オレンジ……アリシア達の会社のイメージカラーの原石を加工して付けてみたんだけど……本当は昔、僕が居るうちに渡したかったんだけどさ。デザインを考えてる段階で僕、帰っちゃったから……」

 

 苦笑混じりで碧は話す。

 

「そういや、こんな小物を作るのも得意だったもんな……でも、何で私達に作ろうと思ったんだ?」

 

 赤色の石が付いたブレスレットを眺めながら晃は聞く。

 

「今、言っただろう?昇格祝いだよ。実は秋乃さんからアリシアがミドルスクールを卒業したら昇格試験を受けさせるって聞いてたからさ……ああ、皆そんな時期になったんだなぁって思ってね。僕なりに色々考えた結果がこれだよ」

 

 碧はブレスレットを指差す。

 

「でも、いつ作ったの?」

 

 アリシアは青色の石が付いたブレスレットを不思議そうに眺め。

 自分の顔の位置まで持ってくる。

 

「自分の時代に戻った後なんだけどね……やっぱり、デザインを考えてたら当然作りたくなってね……渡せる日が来て本当に良かったよ」

 

 照れ臭そうな顔をしながら碧は笑う。

 

「……私達の為に……作ってくれたのね」

 

 アテナはオレンジ色の石が付いたブレスレットをとても愛おしそうに眺めていた。

 

「……なんか碧って凄いわね」

 

「でっかい凄いですね」

 

 藍華の言葉にアリスは頷いた。

 

「凄いって?」

 

 不思議そうに碧は首を傾げる。

 

「……なんてゆーの?兎に角、凄いのよ」

 

「はぁ?」

 

 藍華の言葉の意味を理解できない碧はキョトンとしていた。

 水の3大妖精である、アリシア達にここまで感謝される人も余りいないだろう。

 

「おい、碧!お前、これからどうするんだ?」

 

「どうって……どうするかなぁ?今すぐに何かできるって訳じゃないし……」

 

 晃の質問に碧は苦笑する。

 

「あらあら、それじゃあまた、ARIAカンパニーで働くのはどうかしら?」

 

「あっそれ、素敵ねぇ」

 

「えっ?いいの?」

 

 アリシアの案にアテナは嬉しそうに笑い、碧は目を丸くする。

 

「いいも何もお前のその格好……どー見てもARIAカンパニーの社員にしか見えんぞ」

 

「そうよねぇ、懐かしいわよね〜」

 

 晃は呆れた顔をし、アテナはニコニコ笑う。

 

「また、前みたいに書類整理や力仕事を手伝ってくれると助かるわよ」

 

「ホント?それじゃあ……悪いけどお世話になるよ」

 

 アリシアの申し出に碧は笑顔で了承する。

 

「碧くん!ARIAカンパニーで働くんですか!?」

 

「そーだよ。宜しくね灯里」

 

「はひっ!アリア社長〜社員が増えましたよ〜」

 

「ぷいにゅー!」

 

 灯里は大喜びでアリア社長に抱きつく。

 

「お気楽ねぇ……灯里は」

 

「でっかい、同感です」

 

 藍華とアリスはため息を吐く。

 

「あはは〜まぁ、何とかなるよー」

 

 ため息を吐いている二人に碧は明るく笑い掛ける。

 

「……アンタの方がお気楽だわ」

 

「ありゃ?そうかなぁ?」

 

「でっかいお気楽すぎますよ」

 

 藍華とアリスが灯里を見る以上に呆れた視線で碧を見てくる。

 

「……藍華、アリスちゃん諦めろ。コイツはこんな奴だからな、行き当たりばったりなんていつもの事だ深刻に考えるのもバカみたいになるぞ」

 

 藍華とアリス以上に呆れた視線を碧に投げ掛ける晃。

 

「そーみたいですね、晃さん」

 

 ため息を吐く藍華。

 

「晃と藍華の視線がブリザードの如く冷たく感じるんだけど……何で?」

 

「あらあら、何でかしらねぇ?」

 

「えぇ〜晃ちゃんそんな顔しちゃダメよぉ〜」

 

「すわっ!!うっさいアテナっ!!」

 

「こらこら、アテナに八つ当たりすんなよー晃」

 

「お前のせいだろうがぁぁぁぁー!!!」

 

「「「…………」」」

 

 水の3大妖精と魔法使いのやり取りを見て、灯里達は絶句してしまっていた。

 

「あ……晃さんの気苦労が2倍以上になっているわ……」

 

「でっかい……大変そうですね」

 

「なんだか凄いねー……ふふっ」

 

 灯里はじーっと、見つめていたがいきなり楽しそうに笑顔になる。

 

「どーしたのよ灯里?」

 

「だって、アリシアさん達……すっごく楽しそうなんだもん」

 

「そうですか?」

 

 

「そもそもお前は昔と全然変わってなさすぎだろうがっ!!」

 

 晃が碧の両頬をグイッとつねりあげる。

 

「ひふれーだにゃあーこれへもぼふだってへいひょうしてるんだりょー」

 

「何言ってるんだかさっぱり解らんぞー!!」

 

 怒り気味の晃に頬をつねられても平然としている碧。

 

「あらあら、晃ちゃんが頬をつねってるせいで解らないのよ?」

 

「ねぇー碧ちゃん、ブレスレット着けてみたんだけど似合う〜?」

 

「おーにはうよ〜」

 

「はう?」

 

 首を傾げるアテナ。

 

「うふふ、晃ちゃんアテナちゃんが碧ちゃんの言葉を聞き取れないからつねるの止めてあげたら?」

 

「……ったく、わかったよっ!」

 

 晃が碧の頬をつねるのを止める。

 

「あー痛かった、アテナ似合うよ〜」

 

「えへへ〜ありがとう碧ちゃん」

 

「……全然懲りてないよなお前は」

 

 呆れて苦笑している晃。

 楽しそうに微笑んでいるアリシア。

 それに嬉しそうに碧に笑いかけているアテナ。

 

「……確かにでっかい楽しんでますね皆さん」

 

「んー、そうかもしれないわねぇ……」

 

「何だかとっても素敵だねー」

 

 そんな水の3大妖精である先輩達と時を越えてやって来た魔法使いを見つめて、後輩達は可笑しそうに微笑むのだった。

 




5話目終了!

晃さんの気苦労度合いが何だか原作よりもアップしてます。
いや、晃さんも好きなんですよ?
て言うか、水の3大妖精も後輩3人娘達もみんな素敵すぎてヤバイですよ。

何だかんだで騒がしいけど碧は水の3大妖精さん達と仲良しです。

次の話では碧達の過去話を少し語りたいと思ってます。

本文に変なところがありましたらご報告くれると有り難いです。

それでは此処まで読んでくれてありがとうございました。

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