鎧の勇者の成り上がり   作:JOKER1011

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第13話

それから俺たちは城下に出て歩く。

 

「と、言うわけで‥」

 

「その前に聞かせてくれ。何故自分の褒美で私の領土を取り戻した?」

 

エクレールが来人の言葉を遮って質問する。

 

「何故かって?実は俺拠点が欲しかったんだ。」

 

「拠点?」

 

「ああ、誰しも家ってやつがあると違うんだ。帰る場所があるってのはな。」

 

「なるほど‥」

 

エクレールだけではなく、他の仲間たち、尚文の一行もうなづく。

 

「と、いうわけで俺たちは町づくりをする。尚文とはここでお別れだ。」

 

「ああ、そうだな。」

 

俺と尚文はガシッと握手をする。

 

「安心しろ。俺の街にお前らの居場所は用意しておく。」

 

「感謝するよ。じゃあな。」

 

尚文は武器屋に馬車を預けており、それを取りに行くと言い、別れた。

 

「まずは、どの程度のもんか見ないとな。」

 

「それなら私が案内しよう。私がいうのもなんだが、良い所だぞ。」

 

俺たちはエクレールの案内のもと、街まで歩く。

 

5日後

 

 

「ここ‥か?」

 

「ああ、これでも、私が捕まる前は栄えていたんだがな。」

 

確か1回目の波でエクレールは捕まったから、それほど時は経っていないはずだが‥荒れすぎだろ。

 

建物は全て廃墟と化し、草木は荒れ放題。

 

「まずは開拓だな。」

 

「ライト。これ全部ですか?」

 

「そうだ、ピーター。全部だ。」

 

その俺の発言で全員の顔が引き攣る。

 

「待ってくれよ、ライト。無茶だって!」

 

「そうよ、6人でできる広さじゃないわ!」

 

「安心しろ。俺たちには大勢の仲間のツテがあんだろ?なあ、ターニャ?」

 

「‥! そういうことだね。あたしの部下100人とセバスを使いたいんだね?」

 

「そういうことだ。だから100人分の宿舎‥10人ずつに分けて10個家を作るか。」

 

まあ、それくらいなら‥とみんなが呟いた為、それで作り始める。

 

「とりあえず俺とターニャは副リーダーに話をつけに行く。」

 

俺はブラッドスタークに変身して、トランスチームガンでターニャを連れてあの洞窟へ飛んだ。

 

「あれ?もう着いちゃった!」

 

「すごいだろ?この銃!」

 

「うん!でも、その声どうにかなんないの?なんかすっごい違和感しかないよ?」

 

「そうか〜?俺はこの声気に入ってんだけどな?」

 

金尾ボイス、俺気に入ってんだけどな。

 

「む!侵入者か!」

 

その時、近くを盗賊が通りかかる。

 

「あたしだよ!ターニャ!」

 

「リーダー!!リーダーが帰ってきた!みんなに知らせなきゃ!おーーい!!!リーダーが帰ってきたぞ!」

 

そいつが呼びに行った事で続々と部下が集まってくる。

 

「お嬢様。おかえりなさいませ。」

 

「セバス。ただいま。」

 

「みんな!ただいま!」

 

「「「うおおおおおお!!!!!」」」

 

「それにしても、どうなさったのですか?意外と早いお帰りでしたが?」

 

「うん、実はみんなの新しい家を作ろうかと思っててね?」

 

「家ですか?」

 

「うん。最近領地が手に入ってね?そこを村からスタートして最終的には街にしようかなって思ってるの。」

 

「リーダーすげぇ!領主様じゃねえか!」

 

「いや‥あたしは‥」

 

「まあ、いいじゃねえか。違うけど。」

 

「そうだ、俺は他にも寄らねえといけないところがある。話でもしてきたらどうだ?」

 

「そうだね、ありがとう。」

 

「リーダー!旅の話聞かせてくれよ!」

 

「武勇伝を聞きたいでさぁ!」

 

「武勇伝ってほどでもないけどいいよ!話したげる!よし!みんな!広場行くよ!」

 

そうしてターニャ先導のもと、広場へみんな走って行った。

 

「さて、次は‥」

 

「お待ちください。」

 

セバスに呼び止められる。

 

「あれ?ターニャの武勇伝聞かないの?」

 

「ええ、聞きたいですよ。しかし、あなたにはお礼を言わなくてはならないと思いまして。」

 

「お礼だなんて、そんな‥俺はやりたい事やってるだけですよ?」

 

「しかし、そのやりたい事で、お嬢様は笑顔を取り戻しているように思えます。」

 

「私はその街作り応援致しますし、喜んで尽力させていただきます。」

 

「ありがとうございます。それでは。」

 

俺はトランスチームガンの煙で移動した。

 

そして現れたのは奴隷商のテント。

 

「よ!」

 

「これはこれは鎧の勇者様!今日はどのような御用で?」

 

「ああ、近々奴隷を爆買いする予定だという事を伝えに来た。」

 

「ほう、爆買い!いいですねぇ!やはりあなたは私が見込んだ通りの方です!」

 

「それで‥あれ何?」

 

俺は木箱を指差す。

 

「あれですか?魔物の卵クジとなっております。」

 

「魔物を?」

 

「ええ、魔物は卵から育てないと人に慣れませんので。」

 

「そうか、一ついくらだ?」

 

「銀貨100枚です。」

 

「ラインナップは?」

 

「まず当たりは騎竜ですね。飛行型の。後はフィロリアルですね。」

 

「ああ、フィーロか。」

 

「そうなんですよね、盾の勇者様にいくら聞いても人型になる育成方法を教えていただけませんので。ここは是非!同じ勇者であるライト様に当てていただかなくては!と思っております、はい。」

 

「まあ、分かんねえけどよ。とりあえず2個くれ。」

 

「まいどありがとうございます!」

 

「それと奴隷だがキープってできるか?」

 

「キープですか‥ううむ。本来は断るのですが、条件付きでいいでしょう!」

 

「条件?なんだ?」

 

「ええ、卵を一個買うごとに1週間待ちましょう。なので現段階では2週間ですね。」

 

「やったな?」

 

「ええ。こちらも商売ですから。そしていい目になってまいりましたよ!ゾクゾクします!」

 

「‥はぁ‥。負けたよ。あと2個くれ。」

 

「はい!ありがとうございます!それでは計4個で、1ヶ月待ちます!それでは選んで行ってください。」

 

俺は色んな所に行って見てみる。

 

俺が指を指すごとに奴隷商は部下に命じてメモをとらせて、一際デカイ檻に移していく。

 

「これで全部かな!」

 

「誠にありがとうございます!私最高です!」

 

「誉めんなよwまあ、また買いに来るから。それより乱暴すんなよ?」

 

「もちろんいたしませんよ。ありがとうございました!」

 

奴隷商はメモを取っていた部下まで連れて、わざわざ外まで見送りに来てくれた。

 

こりゃ本格的に気に入られちったな。まあ、あそこ以外の場所知らねえからいいけど。

 

その時、頭の中に声が響く。

 

(ライト君。ライト君。)

 

うん?女神か?

 

(よう、久しぶりだな。どうした?)

 

(緊急ミッションだよ!)

 

そう聞こえた瞬間、俺はその場から消えていた。

 

気がつくと最初の空間に呼び出され、椅子にすわっていた。

 

「やあ!久しぶり!って、ブリーダーやってんの?」

 

「ちがう。卵を買っただけだ。」

 

俺は孵化器を左右の肩に二つずつかけた状態だ。

 

「そっか、それより緊急ミッションだよ。」

 

「要件を聞こう。」

 

「Mr.◯郷!これはあなたにしか頼めない事です。‥‥実は弓の勇者が素性を隠して奴隷解放とか色々やってるの知ってるよね?」

 

「ああ、知ってる。」

 

「実はまだ弓の勇者も気づいていない奴隷買いをして不当に扱う輩がいるんだよね。あと実は、救出対象の中にはラフタリアちゃんの友達がいるんだ。一人は確実に生きてる、でももう一人は‥」

 

「そうか、残念だ。」

 

「‥あ!まだ生きてる!なんで‥原作通りだと時期的に‥そうか!そう言うことか!」

 

「何一人で盛り上がってんだ?」

 

「君だ!君というイレギュラーが送り込まれた事で、世界の歯車は違う動き方をしたんだ!その結果、彼女はまだ生きてる!でも、それでも、もって3日だね。もちろん時間が経つごとに生存率は下がっていくわ。」

 

「わかった、場所を教えてくれ。」

 

「任せて!成功したら新たなライダーを解放するよ。」

 

「わかった、やってみよう。」

 

「これ前金代わりね!それ!」

 

 

ーー新たなライダーを解放しました。ーー

 

ナイト、グリス、滅を解放しました。

 

そうして俺はまた現世に姿を現した。

 

「さて、救出ミッションだからな。レインボ◯シックスで行くか、スネー◯で行くか‥」

 

「まずはターニャだな。」

 

俺はトランスチームガンで洞窟へ戻る。

 

「よう、ターニャ!」

 

「あ!ライト!待ってたよ。みんな了承してくれたよ!」

 

「それでだ。とある筋から依頼が届いた。奴隷の救出だ。」

 

「行く。」

 

「言うと思ったよ。」

 

「ふむ、その依頼私も同行できませんかな?」

 

セバスが名乗り出る。

 

「セバスさんもですか?」

 

「はい、私は老兵ですが、まだまだそこら辺の俗物に遅れを取りませんよ。」

 

「わかった、じゃあセバスもだな。あと一人は決めてる。」

 

俺はターニャとセバスを連れて街へ戻る。

 

「おお!だいぶできてんな!」

 

なんか民家が6軒立ってた。

 

「頑張ったぜ?おれたち!」

 

「ああ、よくやってるよ!それでピーターいるか?」

 

「呼びましたか?」

 

「ああ、依頼が入った。お前も行くぞ。」

 

「はい、喜んで。」

 

それをセバスは驚いた顔をして見ていた。

 

「セバス?どうしたの?」

 

「え?いえ、なんでもありません。」

 

 

こうして俺たちは屋敷に辿り着く。ここか。

 

これはこれはデッカい屋敷だ。

 

ここに趣味の悪い奴が住んでると。

 

「偵察でもしますかな。」

 

セバスは印を組むと、手のひらに鳥を4体出して飛ばす。

 

そしてそれを飛ばすと目を閉じた。

 

「ふむ‥‥‥」

 

「なるほど。正門に2人、庭を6人が巡回中ですね。私達にとってはなんでもない相手ですが、油断をしないように行きましょう。」

 

だったらこれでいくか。

 

コウモリが描かれたカードデッキを出し、ターニャが抜いた短刀に翳す。

 

するとそこからベルトのバックルが現れて腰に巻きつく。

 

「変身!」

 

カードデッキをバックルに差し込むと仮面ライダーナイトに変身した。

 

まあ、劇中では龍騎と対立した事もあったからな。

 

「ほう、やはりライト殿の鎧は面白いですな。」

 

「へへ!」

 

「行きましょうか。」

 

中に入るとそれはそれは広い作りになっていた。

 

「ふむ、恐らく地下でしょうな。」

 

「地下?」

 

「ええ、いくら黙認されてるとはいえ、普通奴隷を所有しているというのは公にはしたくないものです。なら隠せる場所が必要。と、いえば地下ですな。」

 

セバスの言う通りに必要最低限で見張りを排除していく。

 

そして地下に辿り着く。

 

光が差さないため薄暗く、不衛生だ。

 

綺麗好きな奴が足を踏み入れようもんなら、確実に卒倒するな。

 

するとターニャとセバスが印を唱えている。

 

「なにしてんだ?」

 

「ああ、これ?暗視の術と言って、これを唱えたら暗いところでも目が見えるようになるの。二人にもかけるね。」

 

「ああ、頼む。」

 

「いえ、自分なら見えます。」

 

こうしてターニャに術を施してもらって進む。

 

‥スン‥スン‥

 

啜り泣き‥?この辺りだな。

 

「いましたな。」

 

先頭を進むセバスが牢を見つける。

 

中には何人かずつで奴隷‥しかも大体亜人が押し込められており、全員が下を俯いていた。

 

「誰?」

 

中に入っている女の子が警戒しながら聞いてくる。

 

「俺は鎧の勇者。お前らを助けに来た。」

 

とりあえず、対象は発見した。後はバレずに逃げるだけだ。

 

「鍵開けはあたし達がやるよ。」

 

ターニャ、セバス、ピーターが開けに行ったのを見て、俺は鏡を取り出して壁に立てかける。

 

普通の奴らが絶対に干渉できない場所、ミラーワールドを使って逃げるっていう作戦だ。つまりエクレールの時と同じだな。

 

「全員で何人だ?」

 

「30人です。」

 

「30。よし、まずピーターが一人背負って外に送る。続いてターニャだ。行くぞ。」

 

こうして何人かずつに分けてミラーワールドを介して外に連れ出していく。

 

「ピーター。今から言うことをみんなに伝えてくれ。もし俺が3分以内に戻らなければ鏡を粉々に破壊して逃げろ。とな。」

 

「ライト。」

 

「約束だ。」

 

こうして奴隷を一人背負わせたピーターを連れて外に連れ出した時、残りは女の子だけになる。

 

その子はこの場にいた中で一番衰弱しており、ほとんど返事もない。そうか、この子が女神の言ってたラフタリアの親友‥ラフタリアに会わせないとな。その為にも生きて連れ出す必要があるな。

 

その時だった。

 

「おやおや、いかんな。せっかくのわしの玩具を奪っては。」

 

声がして振り向くと丸々と太り、髭を生やしてゲスな笑みを浮かべている男が後ろに武器を持った男達を連れて来ていた。

 

「くっ!」

 

俺は鏡に飛び込もうとしたが、飛んできた魔法により鏡は粉々に砕かれてしまった。

 

ちくしょう、ここまで粉々だとミラーワールドに入れねえ。

 

「ふふ、その鏡に何かあるようだが、残念だったな。そして誤算だったな。玩具はもう一つある。‥おい。」

 

「はい、こちらに。」

 

見張りの男が領主に犬耳の男の子を渡す。

 

「ワシの名はイドル。この屋敷の主だ。」

 

「今日はコイツの気分だったから出してたんだよ。せっかくの楽しみを邪魔しよって。」

 

「やろう‥!」

 

「おっと!その場から一歩でも動いてみろ。このガキの綺麗な顔にキズがつくぞ?一生取れないようなキズがな!それが嫌なら武器をこっちに投げろ。」

 

何かないか?何か‥あ!そうだ!

 

俺はバイザーを開き、気づかれないようにカードを一枚デッキから抜き取る。

 

「分かった。言う通りにする。」

 

そして、カードを挿し、バイザーを閉じた瞬間にダークバイザーを投げる。

 

アドベント!

 

その音声が流れた瞬間、イドルの持つ剣から仮面ライダーナイトの契約モンスターであるダークウィングが飛び出してイドルや周りの男達に襲いかかる。

 

「な!?どこから現れた!?」

 

俺はその隙にリファナを背負ったまま、宙に投げたダークバイザーを掴み、犬耳の男の子を奪い取ると周りの男達を一突きで絶命させていく。

 

そしてダークウィングの奇襲が止んだ頃には立っているのはイドルだけとなっていた。

 

「な!?まさかワシの部下が‥」

 

「残念だったな。それと助けを呼んでも無駄だ。もう動けんのお前だけだぜ?」

 

「クソがっ!!!ぶっ殺してやる!!!!」

 

剣を振り上げ来人に襲いかかってくるイドル。

 

「あ!足元に気を付けろよ?」

 

「あ?ぶべら!」

 

倒れていた男につまづき、派手に転んでしまった。

 

俺はゆっくりと近づき、肩に思いっきりダークバイザーの剣先を突き立てる。

 

「イテェか?イテェよな?これがお前が今まで苦しめた奴隷達の痛みだ。そしてこれは!」

 

俺は思いっきり右足を振りかぶる。

 

「ラフタリア達の分だ!!」

 

顎を思いっきり蹴り上げ、壁に叩きつける。

 

「ま、待ってくれ‥助けて‥くれ‥」

 

「お前は同じことを言った奴隷を助けたか?そういうことだ。」

 

俺は背負ってた女の子を丁寧に床に降ろす。

 

「そこの君。この子を頼む。まだ死んでないから安心しろ。」

 

そう言い、俺はカードを一枚バイザーに挿して閉じる。

 

ソードベント!

 

俺の手にダークランサーが握られたのを確認すると、もう一枚カードを出す。

 

本来なら生身の人間に使うのはダメかもしれんが、今回ばかりは知らん。

 

ファイナルベント!

 

俺は走ろうにも距離がない為、その場でジャンプし、俺と融合したダークウィングはマントと化す。

 

そして回転しながらマントを体に巻き付け、ドリルのように体当たりをした。

 

俺の攻撃が当たった領主は俺と壁に挟まれ、更に爆発により、チリ一つ残さずに絶命した。

 

「終わったぜ?」

 

俺は奴隷二人に対して微笑みかける。

 

しかし、その子は俺に任された女の子を抱えながら震えている。

 

あ!そういうことね。

 

俺はその子達を無理やり抱え上げて、イドルの剣を鏡に見立てて、ミラーワールドに入る。

 

 

その頃、ピーター達は。

 

「遅いな、ライト。」

 

「ええ、確かに。」

 

「でも、まだ30秒残ってるんだよ?待とうよ!」

 

しかし、待っている間に残り10秒となる。

 

「ライト殿には悪いのですが、約束ですからな。」

 

セバスは自身の刀を抜き、鏡を貫こうと構える。

 

その瞬間、間一髪来人が飛び出してきた。

 

「ライト!間に合ったのですね!」

 

「信じてたよ!ライト!」

 

「いやはや、安心いたしましたよ。もう少しで鏡を破壊する所でしたから。」

 

「すまねえ、もう一人奴隷がいてな?とりあえず早い所、ずらかるぞ!」




さて、龍二達はこれから村作りを開始します。

※なお、村作りのアイディアは【太刀の勇者ののし上がり】の作者様から許可を取ったものです。

変身
ブラッドスターク
ナイト


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