鎧の勇者の成り上がり   作:JOKER1011

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第19話

鎧の勇者による三勇教壊滅作戦は被害を最小限に抑えて終結した。

 

そして現在、鎧の勇者は城の一室にて治療が行われ、意識を失ってから2日経っていた。

 

そして来人の精神は‥

 

「あのね?確かに君は勇者補正+神の使者ってことだから普通よりかは強いよ?でもあれはやりすぎだよ。私が干渉をして止めてないと死んでたからね?君。」

 

最初の部屋にて女神に説教されていた。

 

「仕方なかったんだよ。俺が本気だぞ!ってとこ見せないと、絶対まだ三勇教が廃止されずにのさばってただろ?」

 

「まあ、そりゃそうだけど。まあ、うん。」

 

女神はため息をつきながら紅茶を啜る。

 

「あれ?もう使うな!って言わないの?」

 

「言っても使うでしょ?人助けのために。」

 

「分かってんじゃん。」

 

「だと思ったよ。だから仕方ないね。免疫だけあげとくよ。」

 

「サンキュー。」

 

来人はビシッと敬礼をしていた。

 

「それ帽子被ってないから厳密には違うんだけどね?でもさ?あれから大変だったんだよ。勝手に干渉したから上からは始末書だよ?やんなっちゃう。」

 

 

「すまない。」

 

「え?いいよ、別に。それよりそろそろ目覚めたら?」

 

「ああ、そうだな。」

 

俺は立ち上がって椅子の背もたれに背を向けて立つ。

 

だがいくら待っても扉が現れない。

 

「なあ、まだか?」

 

「え?座ってくれないと戻せないんだけど。」

 

「それ先に言ってよ。」

 

「ごめんごめん。ささっ!座って座って!」

 

女神に促され、俺は座り直すと、女神は笑いながら言った。

 

「まあ、でも君はなるべく原作を変えないように立ち回ってくれてるよ。ありがとう。」

 

それを最後に俺の意識は遠のいていった。

 

 

「う‥うぅ‥」

 

俺は目覚めた。

 

ここは‥治療院か?いや、壁とか見る限り城っぽいな。

 

「ライト!」

 

ナーガが俺が目覚めたことに気づいた。

 

「大丈夫なのか?」

 

「ああ。どうやら神様はまだ俺を殺したくないようだ。」

 

「ははっ!それだけ言えたら大丈夫っぽいな。みんなを呼んでくるよ。」

 

そう言い、ナーガは走って部屋を出ていった。

 

それからしばらくしてナーガがみんなを連れてきた。

 

そこには尚文やラフタリア、フィーロもいた。

 

「目覚めたようだな、来人。」

 

「尚文か。すまなかったな。ラフタリアとフィーロもだ。すまなかった。」

 

「いや、いいんだ。俺もお前の立場なら同じことをしていたはずだ。」

 

「ええ、もう怒ってません。」

 

「うん!フィーロも怒ってないよ?それにあの時もわざとフィーロじゃなくて近くの壁を殴って気絶させたんでしょ?」

 

フィーロにはバレていたようだな。その通りだ。

 

「他の勇者達は?」

 

「アイツらも、大丈夫だ。」

 

「そうか‥だがお前らは国を救った英雄、俺は狂人のテロリストだな。」

 

「‥かもな。」

 

それから、ようやく波が去った記念のパーティが行われるようになった。

 

あと、俺が眠っている間に王とマルティは女王により罰せられたらしい。

 

それにより王の名はクズ。マルティの名はビッチ、冒険者名の方はアバズレに改名。

 

王家の称号の剥奪。

 

マル‥いやビッチの方はもっと酷い。奴はそれでもなお、尚文に噛み付いたため、女王によって奴隷紋を刻まれた。

 

(嘘をつくこと、そして尚文に攻撃すること。)で罰が発動するようだ。

 

主人は尚文ということにされた。

 

そして俺が望んでいた三勇教会の廃止、そして俺の村への攻撃を指揮した教皇の後継者は逮捕の後に処刑。

 

これより先、三勇教は邪教と見なされ、信仰するものは逮捕という重罪に処されることとなった。

 

 

そして、パーティは今日らしい。もう一度言う。今日だ。

 

ふざけんなよ。出られねえじゃねえか。

 

料理とかは会場に出てるものと同じものが俺にも出されるらしいが。

 

仲間達が俺を不憫に思ったのか、全員残ろうとしたが俺が断ったため、いま部屋には俺一人。

 

それと特別措置として俺の目の前には水晶が置かれ、リアルタイムでパーティの様子が映し出されていた。

 

 

 

場面変わってパーティ会場。

 

そこには貴族や騎士、兵士達が立食を楽しんでいた。

 

もちろん主役の勇者もいる。勇者は4人で固まっていた。貴族や騎士、兵士の中にはまだ盾と鎧の勇者をよく思っていない者達がいるが、それも時間の問題だろう。

 

なにせ、五勇教が作られるらしい。

 

 

「うおっ!これうめぇ!超うめぇ!」

 

ナーガとフィーロがむしゃむしゃと己の食欲を爆発させ、食べまくっていた。

 

「うん!美味しいね!」

 

「こらこら、フィーロ。口周りが汚れてるぞ。」

 

ピーターがナプキンでフィーロの口周りを拭く。

 

「むぅ‥!お兄ちゃん、はい、アーン!」

 

「あぁむ‥うん、うまい。」

 

どうやらピーターはターニャに自分が兄だと言うことを明かしていたらしい。

 

「エクレール、久しぶりだな。」

 

「ああ!みんな!」

 

エクレールは当時の同期生達に声をかけられ、話に花を咲かせている。

 

「ミコさん!ミコさん!これ美味しいですよ!」

 

「はいはい、ラフタリア。うん!美味しいわ。」

 

尚文と来人の仲間達も立食を楽しんでいた。

 

最初は何故亜人や獣人がここに!?と驚く人もいたが盾と鎧の勇者の仲間とわかると、騒がれなくなった。中には興味本位で話しかける者たちもいた。

 

だが空気が読めないものもいるようだ。

 

騎士団長と兵士長が絡んできたのだ。

 

「おやおや、この辺りは妙に獣臭いですな!」

 

「おっしゃる通り、魔物が混じっておりますな!この神聖な城に!」

 

いつもならその言葉に他の騎士や兵士たちも乗ってくるが、ほぼと言っていいほど乗ってこない。かろうじて腰巾着が同意していたが、当人達は、自分達が和を乱してる事に気付いていない。

 

こちらもミコが一瞬睨んだだけで、無視する事にした。

 

だが騎士団長と兵士長は、それが面白くなかったのか、更に絡んできた。

 

「おい!無視してんじゃねえぞ!バケモンがよ!」

 

「お?この女かなりべっぴんじゃねえか!特に、このラクーン種!」

 

「おう、お前はそっちか。俺は、この羽根生やした女の子がいいね。目がそそる!」

 

二人はラフタリアとフィーロに迫っていくが、すっかり保護者と化してしまったミコとピーターに阻まれる。

 

「おい!邪魔だ!」

 

「そうだ!そうだぁ!俺たちを‥誰だと思ってる!!!」

 

 

「ただの酔っ払いですか?」

 

「ピーターの言う通りだ。お前らは帰れ、そして不能になって朽ち果てろ。」

 

 

「「なんだと!!!」」

 

「貴様ら‥悪魔の使徒を殺せ!!!!」

 

騎士団長と兵士長、そして腰巾着の5人が一斉に武器を抜いて、襲いかかる。

 

「もう我慢ならん!迎え討て!!!」

 

ピーターの号令により、尚文、来人の仲間達の連合軍が迎え討つ。

 

「くらえ!うさぎやろう!」

 

騎士団長が自らの長剣でピーターに斬りかかるが、それを容易に盾で受け止める。

 

「な!?」

 

まさか受け止められると思っていなかったのか、騎士団長は目を丸くする。

 

同様にミコに斬りかかった兵士長もだ。

 

「「甘いわ!!!」」

 

ピーターの飛び膝蹴り、ミコのサマーソルトキックが炸裂して意識を刈り取った。

 

ナーガが槍を持った兵士と対峙する。

 

「へへっ!死ねっ!トカゲ!」

 

男は勇者にでもなったつもりなのか、ナーガを突き刺そうと襲いかかる。

 

だがナーガはそれを棍で槍を叩き伏せ、次に背中に棍を当て、地面に倒すと背中を突いた。

 

エクレールは剣の腹で殴りつけ、ターニャは武器を奪って無力化させ、ラフタリアは同じく剣の腹で叩き伏せ、フィーロは飛び蹴りを叩き込む。

 

見事に酔っ払った騎士団長や兵士長がボコボコにされていく。

 

「何をしているのです!」

 

女王が側に顔を隠した影を連れて歩いてくる。

 

それにより貴族達は邪魔をしないように自然に道が作られていく。

 

「女王様!この者たちは蛮族です!私たちは何もしていないのに、いきなり攻撃を仕掛けてきたのです!」

 

「‥‥嘘ですね。」

 

「そ、そんな!」

 

「貴族などの参列者の中に私の影を混ぜ込んでいます。例えば‥あなた来なさい。」

 

「は!」

ベールのようなもので顔を隠した女性がツカツカと歩いてくる。

 

「あなたが一番近くにいましたね?真相を。」

 

「はい、この者たちの言うことは真っ赤な嘘にございます。この者たちは、獣臭い、亜人が、ここにいていいのかなどと口走り、更に盾と鎧の勇者様のお仲間は場を乱すことなかれ。と無視を決め込まれたのに対して腹を立て、挙句にセクハラ。そして抜刀を致しました。」

 

「‥と、私の影は言っていますが、いかがですか?」

 

「‥女王陛下は、私達よりも影を信用なさるのですか?」

 

「ええ。言いたいことはそれだけですか?連れて行きなさい。」

 

それを合図に影達が騎士団長や兵士長、それに加担した者達を連行していった。

 

「申し訳ございません。ご迷惑をおかけしたようです。」

 

「いえ、大丈夫です。」

 

「ありがとうございます。それで‥ライト様の容体は?確か目を覚まされたとか?」

 

「ええ、そうですよ。今はパーティに参加できないことで機嫌を悪くしながら、運ばれてくる料理をベッドの上で頬張ってると思いますよ。」

 

「そうですか。それと今からピーターさんとターニャさんのお二人にお話があります。来ていただけますか?」

 

「え?はい。分かりました。ターニャ。行くぞ。」

 

「うん、お兄ちゃん。」

 

ピーターとターニャが女王に連れられて一室に入る。

 

そこには女性が一人立っている。

 

その人物が振り返って驚いた。その女性は女王と顔が瓜二つだったからだ。

 

「陛下は双子だったのですか?」

 

「いえ、実は‥」

 

「お姉ちゃん?」

 

女王が話そうとしたのを遮ってターニャが女性に詰め寄る。お姉ちゃんと言いながら。

 

「お姉ちゃん?何を言ってるでおじゃるか?私は‥」

 

「今は演じなくても結構ですよ、アナスタシア。」

 

「アナスタシア‥やっぱり‥」

 

「よく分かったわね。ターニャ。」

 

アナスタシアと呼ばれた女性の姿が変わり、

 

「お姉ちゃん!」

 

ターニャは嬉し涙を流しながら生き別れていた姉のアナスタシアに抱きつく。

 

「実は心配だったの。あの日、任務で国を離れていた私に、父と母の死亡の知らせが届いて、あなたとセバスが行方不明だって聞いて‥私もね?暗殺されそうになったの。でも女王陛下が助けてくださり、私は陛下の影になったの。」

 

「それでセバスは元気かしら?」

 

「うん!元気だよ!」

 

「ふふ、それは良かったわ。でも私はあなたが生きてる事が一番の驚きよ。グリーシャ。」

 

「ああ、アナスタシア。俺もだ。」

 

「良かったですね。アナスタシア。」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

 

 




ターニャの姉、生存です。

キャラ紹介

アナスタシア
性別:女
種族:人間
女王に命を助けられて以来、女王の影武者になる道を選んだ影であり、愛国者。
グリーシャとは同い年で、義兄弟になる前から、よく遊んだ仲。

モデルはデ◯ステの同名キャラより。

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