鎧の勇者の成り上がり   作:JOKER1011

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久しぶりの投稿です。



第21話

(神!どういうことだ!素材で解放しないんじゃなかったのか!)

 

俺は女神に念話を飛ばす。

 

(普通はできませんよ。たまたまです。)

 

(ええ‥)

 

(これからできる奴があるかもしれないので、できる奴は来人さんにだけ光ってるように見えますので、それで判断してください。では!)

 

女神め。

 

「あれ大丈夫?」

 

「ああ、船長さん。大丈夫大丈夫。アイツらただの船酔いだから。」

 

 

「海がしけってる。嵐が来る。」

 

「嵐?活動休止する5人g‥違う。マジで?」

 

「うん。」

 

「沈まねえよな?」

 

「‥‥大丈夫。勇者様達は船室で休んでて。」

 

「だそうだ。お前ら戻るぞ!」

 

俺たちは部屋に戻り、やることもない為眠ることにした。

 

「な、なあ!この船沈まねえよな!」

 

「安心しろ。ナーガ。沈まねえよ。」

 

ガタン!

 

「ヒィ!!」

 

途中、嵐で縦横無尽に揺れまくり、何回か上下がひっくり返ったような気がしたが、船は壊れることなくカルミラ島に着いた。

 

カルミラ島は想像よりも大きい火山島だ。

 

例えるなら‥ハワイ‥?かな。

 

ちなみにカルミラ島、というのは愛称でカルミラ諸島というのが正式名称だそうだ。その為、近くに様々な島がある。

 

メルロマルクから行く船の旅みたいな大荒れの船旅ではなく、諸島内の波は穏やかで、干潮時には歩いて渡れる島も多いらしい。

 

俺一人なら変身すれば泳いでいけるか?と思えるほどに点々と島がある。

 

「さて、島に着いたのはいいけどお前ら流石に弱すぎだって。船上で魔物が出たらどうするつもりだったんだよ。」

 

「‥知らねえよ。」

 

「‥うるせぇ‥」

 

「‥‥うぷっ‥」

 

「とりあえず宿行こうぜ。女王の紹介を受けた場所だし、それに島の管理をしている貴族への挨拶をしなくちゃ行けなかったんだろ?」

 

同じようにケロッとしている尚文の発言で俺たちは歩き出す。

 

錬と元康は、武器を器用に杖代わりにして付いてくる。樹は流石に弓を杖にするのは無理だったのか、仲間に肩を借りてやがる。

 

貴族か。辺境とはいえ、人が頻繁に訪れる土地だから程々に地位のある人物だろうな。

 

あと貴族にはいい思い出がないが、女王が紹介したんだ。悪いやつではないだろう。

 

「勇者御一行様!お待ちしておりました!」

 

バスガイドさんのような旗を持ったメルロマルクの軍服を着た初老の男性が迎えにきてくれた。

 

「ワシの名はハーベンブルグ。爵位は伯爵です。」

 

「あ、ああ。」

 

「よろしくお願いします。」

 

勇者の中でも無事な俺と尚文が応対する。

 

「この島にいらしたことですし、せっかくですから勇者様方にはこのカルミラ諸島の始まりから知っていただく事からはじめましょうか。」

 

この人、マジで案内員なのかよ。せっかくなら綺麗な女性がよかったな。

 

「別に俺達は観光で来たわけじゃないんだが……」

 

活性化していて経験値が美味しいらしいから来たが‥まあ、いっか。聞こう。

 

苦しくなったら聞き流せばいいし。

 

「まず古くは伝承の四聖勇者がここで身体を鍛えたというのが始まりでして――」

 

当たり前だが、俺はいるわけないわな。

 

広場みたいな島の市場を案内しつつ、伯爵は説明していく。

 

その途中で俺は変なオブジェを見つけた。

 

サンタが被っている、いわゆるサンタ帽と呼ばれるやつを被ったペンギンと、ウサギと、リスと‥恐らく犬がトーテムポールみたいに四匹折り重なっている銅像が飾られている。

 

ペンギンが釣竿、ウサギがクワ、リスがノコギリ、犬がロープを持って構えている。

 

どういうことだ?まるで世◯不思◯発見のクイズで出されそうなレベルに意味が分からないが。

 

横で尚文も同じように眺めている。

 

「お?盾と鎧の勇者様はお目が高い。あれはこの島を開拓した伝説の先住民であるペックル、ウサウニー、リスーカ、イヌルトです。」

 

先住民なのか。つまり亜人なり獣人が開拓したというわけか。

 

「ちなみに名前の由来は四聖の勇者様が付けたという伝承があります。」

 

当時の四聖の勇者のセンスよ、何があったんだ。もうちょっとこう‥あっただろ。

 

あ、伯爵がまだ話を続けている。

 

「仲良くなった魔物だったそうなのですが、勇者様の世界基準で一番近い動物の名前を聞いて自ら名づけたそうです。」

 

勇者ごめん。魔物側のセンスか。

 

「じゃあこの島に、あんなのがいるのか?」

 

「いえ、開拓を終え。新たな地へ旅立ったそうです。その後、姿を見たものはいません。」

 

……要するに絶滅したんだろ、きっと。

 

実在も怪しまれるな。そもそも開拓する魔物って……。

 

「へー……なんか美味しそうだね」

 

横でフィーロがよだれを垂らしている。

 

そうか、フィロリアルのように馬車を引くのが至高の生物もいるんだ。開拓なり物作りが好きなやつがいても不思議じゃないのか。

 

「うん?なんだ、これ。」

 

尚文が何かに気づく。

 

俺もそれを見ると石碑に何か文字が刻まれていた。

 

「ああ、それは四聖勇者が遺した碑文ですね。新たな勇者が現れた時に備えて記すという伝承がありますね。」

 

「だが、日本語じゃないな。」

 

なんだ、この奇妙な文字は。

 

「おい!これ魔法文字じゃねえか。」

 

尚文が気づいたように言う。

 

「魔法文字?なにそれ。」

 

「魔法文字というのは適正があるものが読めば、意味を理解することができます。しかし、適正がない者が読めば理解ができず、無理やり訳してもおかしな文面となる文字のことです。」

 

「自分は読めますよ。一通り習いましたから。」

 

俺がピーターから説明を受けている間に尚文が解読を始めていた。

 

『力の根源たる……盾の勇者が命ずる。伝承を今一度読み解き、彼の者の全てを支えよ』

 

「ツヴァイト・オーラ……」

 

尚文が唱えるとぼんやりとフィーロが透明な魔法の膜に包まれ始めた。

 

バフか。なるほど。

 

「オーラ……伝説の勇者が使用する全能力値上昇魔法の系譜です。」

 

ピーターの解説が入る。

 

「すげぇ!俺たちも覚えようぜ!」

 

ピーターの発言を聞いた他の3人が魔法を覚えようと碑文の前に集まる。

 

だが‥

 

「よ、読めない‥」

 

「尚文さん‥魔法文字を解読できる盾はどこで手に入れたんですか?」

 

「ねぇよ!!自力だ!馬鹿野郎!」

 

尚文が樹達に怒っている横で俺はピーターに聞く。

 

「あれ、なんて書いてんの?」

 

「ええと‥ちょっと待ってくださいね。」

 

ピーターはサラサラと紙に文字を書いていく。

 

「はい、一応書きましたけど‥ライトは魔法適正がないじゃないですか。だからそもそも読み手によって意味が変わる魔法文字をどう訳せばいいか‥」

 

「ああ、なるほどな。」

 

「一応、全属性で訳してみました。一応受け取ってください。」

 

「ありがとな。」

 

「次に行くか、他に何があるんだ?」

 

「では宿に行くまでのカルミラ諸島での注意事項についてと移動手段を――」

 

伯爵の話を掻い摘んで説明する。

 

カルミラ島の魔物の生息地は今、活発化していて、魔物の生活サイクルが加速しているそうだ。

 

つまり鼠算式に魔物が増殖を繰り返している為、冒険者や勇者に討伐してもらわなければ非常に困るという状況だ。

 

それは良かった。生態系的なものを気にしなくていいんだな。

 

で俺達はその状況に便乗してLvを上げるのが今回の目的だそうだ。

 

だから、できれば魔物を見たら全てを倒してくれる方がありがたい。

 

他の冒険者に道を譲るような謙虚な真似はしなくても良いが、他の冒険者が戦っている所に乱入するといらぬ騒ぎが起こるので控えて欲しいとの事。

 

……つまり横取りは禁止。どれだけレアモンスターが出ても他を当たれと。

 

移動手段は島内の場合は小型の小船が常にあり、運んでもらえるらしい。最悪、泳いでも渡れるそうだ。

 

泳げない事はないが‥他の奴が困るな。

 

女王の用意した宿は今でも最上級クラスの建物だった。

 

俺が今まで寝泊まりした宿や俺の家よりも遥かに…デケェし、すげえ。あれだ。リゾートホテルってやつだ。行った事ないけど。

 

元は城か何かなのだろうか?

 

とにかく豪華な作りに清潔な雰囲気。壁は大理石のような石材で作られていて、光沢がある。

 

何かの石像が噴水の役目を果たしていて、どうにも異世界にいるという感覚を薄ませる。

 

え?ここ異世界だよな?

 

「では、今からの予定を詳しく発表するでごじゃる。」

 

メルティが歩いてくる。

 

「メル‥いや、違うだろ。なにやってんだ。アナ。」

 

「‥そっちでは呼ばないでほしいでごじゃる。仕事中は。」

 

あ、迂闊だったな。

 

「メルティかと思った。」

 

おい!尚文気づいてねえのかよ!

 

「拙者は盾と鎧の勇者様の専属の影に任命されたでごじゃる。」

 

「そうか、だがなんでメルティなんだ。」

 

尚文が聞く。

 

「ああ、それは親しみを持って‥」

 

「‥いらん。」

 

「残念でごじゃる。」

 

メルティの姿から忍装束っぽい姿に戻る。

 

「因みに口癖だけで判断しようと思わない事でごじゃる。いざという時に中身が偽物だった時に死ぬでごじゃるよ。」

 

「そうだな。俺たちなら感覚で分かる。なあ、ターニャ。」

 

「うん、お兄ちゃん。」

 

そっか、こいつらは一緒に育ってんだ。そりゃ分かるわな。それに影としての修行もしてるし。

 

「それとローテーションが変わったでごじゃる。女王陛下からのサプライズというやつでごじゃる。」

 

「サプライズて‥」

 

「いらないよ、そんなサプライズ。」

 

尚文と来人が文句を言う。

 

「そんな事言われてもどうしようもないでごじゃる。明日はナオフミ様がモトヤス様の仲間と、ライト様がイツキ様とでごじゃる。」

 

「へぇ、樹のか。なるほど。あそこも俺のとこと同じ6人パーティだからな。やりやすいかもしれん。」

 

「それより、尚文。いくらビッチがいるからって嫌そうな顔すんなよ。」

 

「当たり前だろ?アイツは断罪された今でも俺を嫌ってるんだぞ?どうすんだ。後ろから攻撃してきたら!」

 

「そういうときは拙者が守るでごじゃる。大丈夫でごじゃる。マルティ如きに遅れは取らないでごじゃる。」

 

「よく考えてみろよ、尚文。到着してから半日は経ってんだぞ?たったの2日の間でだ。つまり時間は短いんだ。すぐ終わるさ。」

 

「なら‥いいんだけどよ。」

 

 

「じゃあ、行ってくるから。お前ら元康に気をつけろよ。」

 

「俺も行ってくる。樹は‥もしかしたら自分の正義を押し付けてくるかもしれん。‥我慢してくれ。」

 

こうして俺たちは行動を共にする新たな仲間たちのもとへ向かった。

 

 

「こちらがイツキ様の仲間が待つ部屋でごじゃる。」

 

「ここがか。」

 

コンコン

 

「はい。」

 

俺が扉を開けると樹の仲間たちが各々くつろいで俺を待っていた。

 

「ようこそ、いらっしゃいました!鎧の勇者さん!」

 

「ああ、今日から2日間、一緒に行動するライトだ。鎧の勇者様なんて呼ばれ方は、やだな。気軽にライトでいい。」

 

ええと‥メンバーは5人‥か?なんか違和感があるんだよな。

 

俺が部屋を見渡すと目立つ鎧を着た男が腕を組んで俺を見ている。

 

「ええ、よろしくお願いします。我ら!イツキ様親衛隊の戦いをライトさんは見ていてください!」

 

親衛隊!

 

すげぇ言葉が出てきた。

 

なにこれ?笑っていいやつ?まぁ、仲間全員に目と鼻だけ隠れる仮面を渡してる俺が言えた義理じゃないかもしれないけど。

 

どうにか笑みを噛み殺すとしよう。

 

「そう、我ら!イツキ様親衛5人――」

 

「すいません!遅れました!」

 

俺の後ろの扉が開いて誰かが駆け込んで来た。

 

振り返るとそこには女の子が一人、道具袋を担いでいた。

 

「え、あ――もう鎧の勇者様が来てしまっていました?」

 

年齢は……どれくらいだろう。14歳前後か? ちょっと幼い感じだ。

 

育ちの良さそうな整った顔付きをしている。元康だったらナンパしているだろうな。

 

それにしても小柄だ。戦闘に適している様には見えない。どっちかというと村娘っぽい。‥‥魔法とかで戦うのか?前衛職ではない事は見りゃ分かるが。

 

そうか、これが違和感の正体か。もう一人いたような気がしたんだよな。あれ?パーティって6人までだよな?

 

それより多くなったら必然的に獲得経験値が減ってくと思うんだが。

 

樹は縛りプレイでもやってんのか?だが奴らははっきり''5人''って言ったよな?

 

「遅いぞリーシア! ほら、自己紹介に加われ。」

 

「は、はい!」

 

「我ら!イツキ様親衛6人衆!」

 

なんか、もう帰りたい。

 

「じゃ、じゃあ、とりあえず出かけるか」

 

「そうですね。ライトさんに戦いのご教授を頂かねばなりませんからね。」

 

「あ、ああ……」

 

必要な道具はさっきの女の子が買出しをしてくれたおかげで問題は無い。

 

不安は残るがパーティーを組み、出発した。

 

「リーシア、お前もうちょっと端に寄れ。」

 

「でも、これ以上寄ったら‥」

 

今俺たちは船に乗ってるわけだが‥7人だから狭い。てか鎧やろう!あ、俺も鎧か。お前が場所取ってんだよ。脱げよ。

 

ドボン!

 

え、うそ‥

 

「やっぱり!」

 

俺はすぐに手を差し伸べ、船の上に引っ張りあげた。

 

「ゴホッ!ゴホッ!」

 

「コラ!リーシア!早速ライトさんに迷惑をかけるとは何事だ!」

 

「お前が場所取ってんのが悪いんだろうが!てか、それ脱げよ!それのせいで一人半は確実にスペース取ってんだよ。」

 

「とりあえず、ほれ。タオルだ。」

 

俺はリーシアにタオルを渡す。

 

「ありがとうございます。」

 

「風邪引くなよ?」

 

「はい!」

 

船から降りて、島に到着した。

 そのまま狩場の方へとゾロゾロと向かう。

 7人ともなると多く感じる。

 

「じゃあ、とりあえず質問だが、樹は普段どんな戦い方をしているんだ?」

 

「それよりもライトさん。イツキ様の呼び方をどうにかなりませんか?」

 

 一番態度のデカイ、派手な鎧が俺に進言する。

 またコイツか。

 

「は?」

 

「せめて、さんとか様とかを付けて呼んでください。」

 

コイツ何言ってんだ?俺がアイツのことをどう呼ぼうがいいだろうが。そもそも勇者には上下関係なんかねえし。

 

「‥‥一応理由を聞いておこうか。」

 

「ライトさんはイツキ様と比べたら活躍の面では格下もいいところです。したがってライトさんはイツキ様に対して本来は敬語を使うべきなのです!」

 

「へぇ、そう。じゃあ更に質問だ。お前らの中でイツキは勇者の中で何番目に偉いんだ?」

 

「「「「「一番です!!!!!」」」」」

 

即答かよ。

 

「で?お前ら基準だと、どの程度の活躍なら樹以上なんだ?」

 

「そうですね。罪なき者の救済‥ですね。」

 

「‥‥大雑把すぎるな。もう少し細かく頼む。」

 

「奴隷解放やレジスタンスに加わるなどですかね。」

 

「ふ〜ん。じゃあ、例えばクーデターを阻止したとかは?」

 

「イツキ様ほどとは認めませんが、2位くらいには認めましょう。」

 

「ああ、なら俺と尚文は三勇教のクーデターを阻止したぜ?」

 

そう言った瞬間、そいつを筆頭にリーシア以外が鼻で笑った。

 

やべぇ、キレそう。

 

「あなた方が?冗談はよしてください。それにあなたに至ってはその後、逆にクーデターを起こしてるじゃないですか!」

 

「ああ、あれは知ってると思うが、三勇教は俺の村を壊滅させやがったからな。弔い合戦ってやつだ。」

 

「‥まあ、イツキ様からはライトさんは強いと聞いてますから、それなりに戦えるんですよね?」

 

「ああ。」

 

「では、その強さに免じて2日間だけは呼び捨てを黙認しましょう。それでは行きましょう。」

 

派手な鎧‥派手鎧だな。そいつが他の仲間を率いてズンズン歩いて行った。

 

だが一人取り残されている。リーシアだ。

 

「あの‥すいません‥」

 

「どした?」

 

「言い方は悪かったですが、確かにイツキ様は素晴らしいお方です。」

 

「そうか?」

 

「ええ、あの方は奴隷解放やレジスタンスに混ざって悪徳領主や悪政を敷く国王を倒したりしてるんです。それに私だって‥」

 

「そうか。まあ、そこは認めてるよ。」

 

‥‥嘘だがな。これはアナスタシアに調べてもらった事だが、奴が取る行動自体は褒められたものだが、その後がマズかった。

 

奴隷解放なら、あの後、奴は国王‥クズだな。クズが、言葉巧みに預かるとか、なんとか言ったのを鵜呑みにしていた。

 

結果、その奴隷達は、また奴隷に逆戻り。

 

レジスタンスだって、あの後、逆にクーデター返しが起きて、国はほぼ壊滅。クーデター返しが起きなくても、その後の準備をしてなかったせいでまたしても崩壊。

 

ひどい話だ。

 

 

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