俺は歩きながら、また問う。
「なあ、いつも樹はどうやって戦ってるんだ?合わせられるなら合わせるから。」
「イツキ様は後方にいらっしゃいます。我々が攻撃を抑えて、そして我々へのダメージが大きくなると助けてくださいます。」
だろうな。だって弓だもん。弓持ちが進んで前線に出るのって普通はありえないし。
「イツキ様は我々よりも遥かにお強いのです。我々が出来ることはイツキ様を守りつつ、サポートをすることに他なりません。」
派手鎧の奴から変わって戦士の男が言う。
それにしても弓か。ゲームやってるときはほとんど選ばなかった気がすんな。
「だが、回復とかの補助は?誰がやってんの?」
「それは私が!」
「私も!」
「そうか、わかった。じゃあ俺も弓で戦うとするよ。それと俺は前線にも出るから。」
「前線に?耐えれんのか?」
派手鎧が俺を挑発するように見る。
‥いちいち突っかかってくるな、この野郎。
なんだ?なんか俺に恨みでもあんのか?
もしかしてあれか?俺が鉄の胸当てくらいしかまともな防具をつけていないからか?
甘いやつだ。
「ああ、出来るさ。」
俺が、その挑発に乗らずにサラッと言い返した事に腹を立てたのか、睨みつけてきた。
俺はベルトを巻きプログライズキーを取り出して、スイッチを押した。
ポイズン!
「変身。」
プログライズキーをベルトに入れる事で、ベルトからサソリが飛び出してきた。
フォースライズ!
スティングスコーピオン!
ブレイクダウン!
「カッコイイ‥」
ギロッ
「‥いや、別に‥」
無意識に言葉を発した戦士の男が、派手鎧に睨まれていた。
はぁ‥なんか嫌なパーティだな。こりゃ、平和には終わらねえな。
今のところ、俺に突っかかってくるのは派手鎧だけだ。
だが、他の奴らも言ってこないだけで俺に不満を抱えてるだろうな。
俺が考えているのを邪魔するように俺たちの前に魔物が躍り出てきた。
「さあ!行くぞ!」
派手鎧が声をかけ、戦闘が始まった。
奴らが俺に対して何にも指示してこないため、俺は時折アタッシュアローで魔物を射っていく。
時折、前衛の奴らが撃ち漏らした魔物が俺に向かってくる。
少しならわかる。だが明らかに多くねえか?
そしてその理由が分かった。
派手鎧の野郎‥ワザと討ち漏らしてやがるな?
そして、俺が思ってた通り、平和的にはいかなかった。
「貴様ら!!!我々が倒す魔物をよくも!!!正義の名のm‥」
「待て、お前ら!」
派手鎧に前蹴りをし、因縁をつけられた冒険者連中を逃す。
なんと、コイツらは人が狩ろうとしていた魔物を横取りしようとしたのだ。
それは完全にルール違反だ。最初にこの島に来た時に聞いてなかったのか?
「何故邪魔する!俺たちはあの不届き者を!」
派手鎧が俺に突っかかってきたため、俺は地面に向けてアタッシュアローを射る。
「お前らよ?何考えてんだ!さっきのは明らかに他の奴らが先に戦ってただろうが!」
「我々はイツキ様の為にも強くならなければならないという使命がある。なら、我々にこそ譲るべきだ!」
「甘ったれたこと言ってんじゃねえぞ!このやろう!」
俺が始めて怒鳴ったことで皆が黙る。
「何が使命だ。あ?島に入った時に聞いてなかったのか?横取りは、なしだと。そんなことも守れねえ奴らが勇者の仲間なんて知れてみろ。お前らが信奉する樹がどう思うんだ!」
「正義の名の下に行動する為には少しの違反は仕方ないのです!」
だめだ、コイツら。
しかも真剣な顔で言ってやがる。
その日はそれで終わり、次の日。
さて、今日でコイツらとはおさらばだ。
俺はゲネシスドライバーを巻き、ロックシードを起動する。
レモンエナジー!
ソーダァ‥!
レモンエナジーアームズ!ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイ!ファファファファファファイッ!
俺は仮面ライダーデュークに変身して奴らについていった。
昨日注意したのにもかかわらず、また相変わらず無茶苦茶な奴らだ。
人の獲物を盗るわ、わざと俺の方に魔物を送り込むわで無茶苦茶だ!なんなんだ!コイツら!
挙げ句の果てには、序列があるらしく昼食時は1番の派手鎧が骨付き肉と大きな肉の挟まったサンドイッチ、2番の戦士がサンドイッチと焼き魚、3番、4番とグレードが下がっていき、最下位らしいリーシアは果物だった。
しかもランクは樹への貢献度とかだって?なんじゃ、それ。宗教かよ。
あと後ろから見てて気がついたが、コイツら自体はそんなに強くねえ。恐らく、樹が結局倒してしまう為、コイツらが倒せなくてもいいってわけだ。壁役にさえなれたら。
1日半行ったが、ダメだな。全然レベルが上がりゃしない。
挙げ句の果てには俺がうるさいからってリーシアを残して全員帰りやがった。
リーシア。彼女は‥正直言うと戦っている最中に気付いたのだが、どっちつかずの戦い方をしている。
普通、パーティは一人一人役職が決まってるものだ。
うちで言うと、ナーガとミコとエクレールが前衛、ピーターとターニャが中衛、俺が色々動き回るっていう戦い方だ。
だがリーシアは剣で敵を突いたかと思うと、離れて魔法を唱えるを繰り返し、誰かが怪我をすると回復魔法を唱える。のだけど、どれも出遅れている。
なんか自分の役割を掴みきれていない感じだ。注意する事は出来るのだが……。
もう全員にボロカスに言われてしまっている為、俺は何も言えなかった。
「なあ、リーシア。」
「ひゃ、ひゃい!」
「緊張しなくていい。それよりお前はどうして樹のパーティにいるんだ?扱いもひどいぞ。」
「それは‥私がイツキ様のパーティに入ったばかりだからです。それにイツキ様は私を救ってくださったんです。」
リーシアが言うには、彼女は没落貴族の娘で、細々と生活していた所にとなりの領地の悪徳貴族が妨害を働いた。
そして妨害をやめて欲しければ娘を差し出せと要求して有無を言わさずに連れ去ったらしい。
そこを樹が助けたと。
そしてその恩に報いる為に家族に見送られて仲間になったと。
「なるほどな、大変だな。」
「はい、でも私はイツキ様の力になりたいのです。」
「そうか、ところでお前はよく前衛にいるんだがどうしてだ?初日から見てきたが、どう見ても回復支援とかの後衛向きだ。」
「それは‥私は昔から器用貧乏でドジで、才能がなかったんです。ライトさんが言う通り私は魔法の方が得意なのですが、イツキ様からは近接もできた方がいいと、言われクラスアップ時に近接の素質をあげたんです。」
バカか、樹は。
魔法が出来るんなら、そっちを伸ばさせてやれよ。
確かに、コイツらの戦い方なら壁になる前衛役が一人でも多い方がいいのは分かるが、樹の横でバフかけるなりする役がいてもいいだろう。
「まあ、頑張ってな?器用貧乏じゃなくて、万能って言われるようにさ。」
「はい!」
それから戦っていたが、時間になり、俺たちは船に乗った。
意外なのは、もう帰ったと思っていた派手鎧達が同じ船に乗ってたことだ。
帰ったんじゃねえのか。
そして島に着き、ピーター達と合流しようと探すと、すぐ見つけた。
「どうして本気出さねえんだよ!」
あらら、キレてる。
「おいおい、どうしたんだ。お前ら。」
俺がそちらに近づくと、樹が助けを求めてきた。
「ライトさん!助けてください!あなたの仲間達が言いがかりを!」
「言いがかりだと!」
「貴様!イツキ様になんて口の利き方が!亜人のくせに!」
「あ?亜人だからなんだよ!人間より下だってのか?面白え!ぶち殺してくれる!」
ナーガが棍を回しながら派手鎧に詰め寄る。
「落ち着け、ナーガ。」
「あなたもやめなさい。この方は簡単に勝てる相手ではありません。」
まあ、見てて分かるが、俺のパーティの誰と戦っても負けるだろ。
「なあ?マジで何があったんだ?」
未だに興奮しているナーガは落ち着かせてピーター達の言い分を聞いた。
まずピーター達の樹への第一印象は礼儀正しい奴だったそうだ。
そして船の上では樹はピーターと戦力‥何が出来て、何が出来ないかなどの確認をしてから、やはり壁を作って樹が後ろから射るといった戦法をとったらしい。
そこまではまだ良かった。
「あ!魔物です!引き寄せますのでお願いします!」
そう言うと、放たれた矢はまっすぐ魔物に向かい刺さった。
もちろん魔物はこちらに向かってきた。
だが、ピーター以下、全員は気がついていた。
その魔物は他の冒険者と向かい合っていた魔物だ。
「なあ‥」
「どうしたのですか?ファーストアタックはこちらですよ?」
いや、間違ってはない。まだ、あの冒険者は戦ってなかったのだから。
でも‥とピーター達は思いながら戦い始めた。
弱い魔物だったため、苦労せずに倒してしまった。
だが、ピーターとミコとエクレールは気がついていた。
樹の矢に威力が乗っていないことを。
自分達が被ってるからだと無理やり思うようにしたが、やはり引っかかる。
そこでエクレールが樹に話しかけた。
「イツキ殿。ちょっといいかな?」
「なんでしょう?」
「さっき倒した魔物だが、あれは他の冒険者から掠め取る形になったと思うのだが?」
「何を言ってるんですか?僕達が先に攻撃したから、あれは僕達の魔物です。それよりも次の魔物です!」
皆、船上での会議で樹のレベルは75だと聞いている。
だが、それにしては弱すぎる。
そして、それは確信に変わる出来事があった。
カルマースクイレルファミリアという魔物が出現した。
黒いリスのような小さな魔物で群れで襲い掛かってきた。
群での攻撃、しかもすばしっこく戦いづらい。ピーター達は固まらずに散らばって戦っていたが、この魔物は仲間を呼ぶ習性があるらしい。
倒しても倒しても、その場で増援が来てしまう。
しかも、同族だけではなく、ここまで来るとかなり強力な高レベルのマゼンタフロッグとかも連れて来る。
「イツキさん!早く!範囲攻撃を!我々は頑張って避けます!」
「分かっています!ちょっと待っていてください!アローシャワー!」
樹は弓を天高く引いて矢を射る。
矢は雨のように分かれて降り注ぐ…のだが、カルマースクイレルファミリアを倒すには及ばなかった。
樹の攻撃では倒せない。ならば!とナーガとターニャが合体スキルを使って戦い始める。
「ドラゴニック!ブレイザー!」
「火遁!火龍炎!」
ナーガとターニャが放つ龍の炎を受け、魔物を燃やしていくが、いかんせん数が多い。
火から逃れた魔物がターニャに迫った。
「マズイ!」
ナーガは身を挺してターニャを庇おうとした時だった。
「ファルコン・ストライク!」
樹が放った矢が火の鳥に変わり、ナーガに迫る敵を燃やす。
「ファイアアロースコール!」
辺りに火の矢が刺さり魔物は一掃された。
「皆さん!大丈夫ですか!」
樹は安全を確認するように声をかけた。
だが、全員確信に変わっていた。
返事のかわりにナーガが樹の胸ぐらを掴む。
「おい、てめえ。今まで本気じゃなかったろ?」
「え?」
「え?じゃないだろ。お前さっきまでリス1匹倒せないほどの威力しかない矢だったのに、いきなり一掃か。説明してもらおうか。」
ナーガに続き、ピーターも睨みつける。
「ちょっ‥ちょっと待ってくださいよ。誤解です!」
「誤解?どういう誤解だよ。」
「あの一撃で倒したり、一掃した技はSPとかクールタイムがあって‥」
樹が冷や汗を流しながら反論するが、それをエクレールが止める。
「ならば、何故最初から準備をしない。戦う者の基本だろう。」
「あと、アンタ。ターニャがピンチになるまで、弓引かなかったでしょ?狼の視力なら余裕で見えるよ。あと、ターニャがピンチに陥った瞬間、一瞬だけど嬉しそうな顔したよね?」
「なんだと‥妹のピンチを喜んだのか!」
「ひっ!」
ピーターは愛する妹のピンチに笑みを浮かべた樹をより一層睨みつける。
「つまりだ。」
怒りを抑えながらピーターがまとめる。
「あなたは手加減をしている。しかも仲間が普通に戦ってる時は、威力のない攻撃しかせず、ピンチに陥った瞬間、ここぞとばかりに威力の高い攻撃をし、仲間のピンチを自分が救ったと酔いしれる‥つまりアンタはそういうやつだ。違うか?」
「くっ‥」
図星である。
「‥ち、違う!僕は断じて!」
「なら、次の魔物の時には、さっきみたいに強力な攻撃を最初からやってもらいましょうか。そうしていただいた方が戦闘が楽になりますので。」
「だが、SPの消費とクールタイムが‥」
「なら、その時はこの中の3、4人があなたを守ります。SPの回復もしますよ。もちろん知識としてSPの回復はできますし、回復速度は早いということも知ってますよ?」
「それと、一応聞いておきます。一度でどれだけのSPを消費して、どれだけのクールタイムが必要ですか?」
「えっと……1度撃つとSPの半分以上が削れて、15分は撃てません。」
その後、実験でカルマースクイレルファミリアと一人で戦わせた。
結果は苦戦したものの倒してしまった。
「どうですか?」
「どうやら嘘だったようですね。」
ピーターは言い切った。
「クールタイムを数えましたが、誤差とは言い訳出来ないほど早いです。」
「よってあなたは信用出来ません。本来ならあなたを捨てて帰還するつもりですが、それをやるとライトに怒られかねないのでやめときます。」
だそうだ。
つまり纏めると‥ピーター達も最悪の日だったようだ。
変身
滅
デューク レモンエナジーアームズ