鎧の勇者の成り上がり   作:JOKER1011

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第3話

通された来賓室にて、勇者達は皆それぞれ、割り振られたベッドに腰掛けて伝説武器の説明を熱心に読んでいる。

 

確認した所によると、まず、伝説武器は整備を必要としない特殊な武器であり、持ち主のLvと武器に融合させる素材、倒したモンスターによってウェポンブックが埋まっていく。

 

ウェポンブックとは、変化させることの出来る武器の種類を記載してある一覧表である。

 

だが、無い。奴らの話ぶりからして無いのは俺だけみたいだ。おっと?早速ハブられたか?鎧の勇者は元々存在しなかったみたいだし。

 

確かに、自分の武器は整備がいらない。だがウェポンブックがない。だが、そのかわりにライダーブックとかいうのを見つけた。

 

それを開くと出るわ出るわ、色々なライダーの図鑑のようだ。

 

マジで全部ダークライダーじゃねえか。ラインナップからしてダークライダーの括りは過去に主人公に対して敵対したことがある、行動や雰囲気がダークなライダーだ。また変身者によって敵対する形になってもいいらしい。

 

ライダーと言ったが、ブラッドスタークや魔進チェイサーのように厳密にはライダーでは無いのもある。

 

てか、滅や迅まであるのかよ。じゃあこれ増えるぞ。出てくるたびに。

 

 

「っていうかよ?コレってゲームじゃね?俺知ってるぞ、こんな感じのゲーム。」

 

 元康がドヤ顔で言い放つ

 

「え?」

 

「というか有名なオンラインゲームじゃないか、知らないのか?」

 

「いや、俺も結構オタクやってると自負してるが、知らないぞ。聞いたこともねえ。」

 

「お前知らねえのか? これはエメラルドオンラインっていうゲームだぞ?」

 

「何だよ。そのゲーム?聞いたことも無いぞ。」

 

「お前このタイトル知らねえって、本当にネトゲやったことあるのか?超有名タイトルじゃねえかよ。」

 

「俺が知ってるのはオーディンオンラインとかファンタジームーンオンラインとかだ。それ本当に有名タイトルなのか?」

 

「どっちも知らんな。メイプ◯ストーリーとかマビノ◯、◯い砂漠なら知ってるが、なんだそれ?」

 

「なんだよそのメイプ◯なんとかっていうゲーム。初耳だぞ。」

 

「え?」

 

「え?」

 

「あ?」

 

「皆さん何を言っているんですか、この世界はネットゲームではなくコンシューマーゲームの世界ですよ」

 

「違うだろう。VRMMOだろ?」

 

「はぁ? 仮にネトゲの世界に入ったとしてもクリックかコントローラーで操作するゲームだろ?」

 

元康の問いに錬が首をかしげて会話に入ってくる。

 

「クリック? コントローラー? お前ら、何そんな骨董品のゲームを言ってるんだ? 今時ネットゲームと言ったらVRMMOだろ?」

 

「VRMMO? バーチャルリアリティMMOか? そんなSFの世界にしかないゲームは科学が追いついてねえって、寝ぼけてるのか?」

 

「俺も知らねえな。嘘言ってんじゃねえだろうな?」

 

「はぁ!?」

 

錬は元康に威嚇した

 

そういえば、コイツは一番早くステータス魔法ってのに気が付いたな。

 

何か手馴れている印象を受ける。

 

「あの……皆さん、この世界はそれぞれなんて名前のゲームだと思っているのですか?」

 

樹が軽く手を上げて尋ねる。

 

「ブレイブスターオンライン」

 

「エメラルドオンライン」

 

「知らん。」

 

「知らない。っていうか俺はゲームの世界だと思ってない。」

 

話が何一つ噛み合わない。そこで尚文が提案をした

 

「じゃあ一般常識の問題だ。今の首相の名前は言えるよな?」

 

「「「「ああ」」」」

 

 みんな頷く。

 

「一斉に言うぞ、せーのっ!」

 

「剣桃太郎」

 

「氷室泰山」

 

「朝倉啓太」

 

「大河内清次」

 

「武藤泰山」

 

 

「「「「「……」」」」」

 

聞いたことも無い首相の名前だ。間違っても歴史の授業に出てきた試しは無い。

 

それから俺達は自分の世界で有名なネット用語やページ、有名ゲームを尋ねあう。

 

俺も野◯先輩や阿◯いさじとか、ド◯ルドとか尋ねるが、みんな知らないらしい。

 

それは他の奴らも同じで、そのどれもが知らないと言う結論に至った。

 

「どうやら、僕達は別々の日本から来たようですね。」

 

「そのようだ。間違っても同じ日本から来たとは思えない。」

 

「という事は異世界の日本も存在する訳か。」

 

「時代がバラバラの可能性もあったが、いくらなんでもここまで符合しないとなるとそうなるな。」

 

「確かにな。時代が違うくらいなら知ってる単語が少しはあるはずだからな。」

 

「あんまり無駄話をするのは趣味じゃないが、情報の共有は必要か。」

 

大人ぶってるのか、性格の問題か、錬が上からの物言いで話し始める。

 

すげえ、むかつく。しばき回してやろうか。初期段階の装備だったらお前しばくのくらい訳ないからな?

 

「俺は学校の下校途中に、巷を騒がす殺人事件に運悪く遭遇してな?」

 

「ほうほう。」

 

「一緒に居た幼馴染を助けて、犯人を取り押さえた所までは覚えているのだが...」

 

錬はおそらく刺されたのであろう、脇腹を擦りながら説明する。

 

「十中八九、刺されてんじゃねえか。」

 

「俺もそうとしか思えない。そんな感じで気が付いたらこの世界にいた。」

 

 

「じゃあ、次は俺だな。」

 

軽い調子で、元康が自分を指差して語り出す。

 

「俺はさ、ガールフレンドが多いんだよね。」

 

「「「......」」」

 

「リア充、爆発しろー」

 

顔が整っていて、女好きの雰囲気そのままの発言に、元康以外の全員が呆れたような顔を見せる。

 

「それでちょーっと...」

 

「二股三股でもして刺されたか?」

 

錬が小馬鹿にする様に尋ねると、元康は目をパチクリさせて頷いた。

 

「なんで分かったんだよ。それにしてもさ?いやぁ……女の子って怖いね。」

 

「マジかよ。」

 

そんな風に殺される奴、本当にいたんだな。フィクションの中だけだと思ってた。

 

次に樹が手を胸に当てて、話し出す。

 

「次は僕ですね。僕は塾帰りに横断歩道を渡っていた所……突然ダンプカーが全力でカーブを曲がってきまして、その後は……」

 

「「「「……」」」」

 

そのまま轢かれたのだろう、3人の中で1番理不尽な理由だ。

 

「異世界転生の基本パターンだな。」

 

「え?来人さんの世界では普通なんですか?」

 

「まあ、フィクションの世界で異世界転生するってなったら大概トラックとかダンプに轢かれてるからな。」

 

「そうなんですね。確かに‥僕の世界にもそういう感じのがありますけど。少数派ですね。」

 

やべえな、みんな濃いぞ。俺勝てるか?

 

「あー……この世界に来た時のエピソードって絶対話さなきゃダメか?」

 

おや?尚文が口ごもってる。なんだったけ?確かチョロっと聞いてんだよな。女神から。

 

「そりゃあ、みんな話しているし」

 

「そうだよな。うん、みんなごめんな。俺は図書館で不意に見覚えの無い本を読んでいて気が付いたらって感じだ。」

 

「「「「……」」」」

 

尚文に向ける3人の視線が冷たい。

 

いやさ?俺も最初聞いた時は首を傾げたよ?意味わからないもん。二股とかで刺されるのは知らんが、通り魔に刺されるとかダンプに轢かれるのは分かるよ?実際フィクションにあるし。だけど本読んではあんまり聞かないな。

 

ヒソヒソと三人は俺と尚文に聞こえないように内緒話をしだす。

 

「でも……あの人……盾だし……」

 

「やっぱ……所もそう?もしかしたら鎧も‥‥‥」

 

「ああ……」

 

なんかまだ何も言ってない俺まで馬鹿にされてるんだが?

 

尚文の為にも俺の為にも話題を進めよう。

 

 

「最後は俺か。そうだな、俺はいつも通り宿題をして早めに寝たんだ。そしたらここにいた。」

 

もちろん、嘘である。神様が関わってますなんて言ってみろ。僻まれて終わりだ。

 

「寝てたらだと?」

 

「ああ、確か寝る前に少し心臓が痛かったな。だから俺は突発性の病死だと思っている。」

 

「他に症状ありますか?」

 

樹が食いついてくる。

 

「ああ、確か妙な倦怠感と、少しの発熱‥あと手足のしびれがあったな。」

 

「え!?それデクレール病じゃないですか!」

 

「「「「デクレール病?」」」」

 

「ええ、僕の世界では難病指定で、まだ特効薬はありません。それについ最近まで突然心停止から死亡だったので変死扱いでした。」

 

「じゃあ、俺の世界から何年か経ったら樹の世界になんの?」

 

「さあ?それは僕にも分かりません。」

 

「病死‥まだ俺よりいいじゃねえか‥」

 

尚文が俺を恨めしそうに見てくるが、知らん。

 

それから俺と尚文以外の3人は話をしだした。

 

 

「地形とかどうよ?」

 

「名前こそ違うが、ほぼ変わらない。これなら効率の良い魔物の分布も同じである可能性が高いな。」

 

「武器ごとの狩場が多少異なるので同じ場所には行かないようにしましょう。」

 

「そうだな、効率とかあるだろうし。」

 

俺以外‥‥尚文は知らんが、とりあえず3人とも、この世界では自分がとてつもない存在だと思っているようだ。

 

それこそ、ゲームの中に入り込んだという様に現実味が欠けている様な印象を受ける。死なねえ事を祈るばかりだ。

 

「なあ、お前本当に病死か?」

 

尚文が話しかけてきた。

 

「ああ、あくまでも推測だ。それに樹も言ってたろ?」

 

「お前らはいいよな〜」

 

 

 

「勇者様、お食事の用意が出来ました。」

 

そこから食事を摂り、皆眠りについた。

 

 

次の日

 

朝食の後、案内役の男に後程、王からの呼び出しがあると伝えられた。

 

恐らく昨日言っていた旅に同行する仲間のことだろうか。

 

案内役の男に案内されて、謁見の間に通された。

 

日の昇り具合から、おそらく10時くらいだろうな。

 

「勇者様の御来場!」

 

謁見の間の扉が開くとそこには様々な服装をした男女が15人ほど集まっていた。

 

騎士風の身なりの者もおり、皆、それなりには腕に覚えがありそうだ。おそらくギルドとかから引っ張ってきたんだろう。

 

援助を行うという、王の言葉は守られたようだ。まあ、当たり前だよな。本当に一人で旅立たせて死にましたなんてなったら他国から非難轟々だろうしな。

 

 

勇者5人は、王に一礼をすると、話を聞く。

 

「前日の件で勇者の同行者を希望する者を募った。事前に希望を聞いたところ、どうやらみんな同行したい勇者がおるようじゃ。」

 

一人に付き3人の同行する仲間が居るのなら均等が取れるのだが。結果は分かってる。どうせ、俺と尚文の所には一人も来ない。

 

てか、普通防具の名がついてる勇者の仲間になりたいなんて奴いないと思うけどな。

 

「さあ、未来の英雄達よッッ。仕えたい勇者と共に旅立つのだ!」

 

しかも勇者が同行者を選ぶのではなく、同行者側が勇者を選ぶようだ。

 

まあ、事前に希望を聞いてたなら当たり前か。

 

そして、同行者となる者達が、それぞれ同行したい勇者の前に並ぶ。

 

天木錬   5人

 

北村元康  5人

 

川澄樹   5人

 

岩谷尚文 0人

 

伊達来人 0人

 

分かってたさ!分かってたけど、いざとなると悲しいな。別に泣かないけど?俺強いもん!

 

「ちょっと王様!これはどういうことですか!」

 

「そうです。確かに俺らは防具の名がつく勇者ですし、俺に至っては前例がないから仲間がいないのは分かります!ですが!」

 

俺と尚文は国王にクレームを入れる

 

「う、うむ。さすがにワシもこのような事態が起こるとは思いもせんかった、鎧の勇者殿に関しては運としか言えぬな……」

 

「人望がありませんな。」

 

王は狼狽えて、大臣は切り捨てるようにそう答える。

 

「はっはっは!大臣殿はおかしな事を言うな。昨日来たばかりの俺達に人望を求めるのは無理な話だと思わないか?」

 

来人の返しに、大臣はムッとしたような顔になる。

 

「まあ、いいや。俺は尚文と旅に出ます。俺には勇者の武器は互いに反発し合うっていう制限がないようですし。それによ?尚文。一から仲間集めと行こうじゃないか。そっちの方がRPG感があって楽しいぜ?」

 

「いや、それは.......」

 

来人の言葉に、何やら都合が悪そうな王。

 

「あ、王様!私は盾と鎧の勇者様の下へ行っても良いですよ。」

 

元康の所に並んでいた、女冒険者の1人が手を上げて名乗り出る。

 

マイン‥いや、マルティ。この悪女め。

 

「他にナオフミ殿とライト殿の下に行っても良い者はおらんのか?」

 

王が最終確認を行うが、他に誰一人手を上げることは無かった。

 

ちょっとやってみるか。

 

「いえ、僕ら二人で行くんで大丈夫です。それに君も無理する必要はない。本当は元康のもとで戦いたいんだろ?自分の気持ちに正直になりな?」

 

「いえ、でも‥!」

 

マインは慌てながら仲間になろうとする。

 

「これこれ、ライト殿。せっかくの好意を無碍にするでない。マインとやら。本当にそれでいいんじゃな?」

 

「はい、私は構いません!」

 

「それではマインは二人の仲間になるがよい。それとナオフミ殿とライト殿はマインの他にこれから自身で気に入った仲間をスカウトして人員を補充するのじゃ。」

 

「そして月々の援助金を配布するが、ナオフミ殿とライト殿のもとに同行者を用意できなかった事は申し訳なく思う。代価として他の勇者よりも今回の援助金を増やすとしよう。どうじゃ?それで手を打ってくれんか?二人とも。」

 

 

「ああ、それはありがたい。それも、出来るだけ努力しようとするかな。なあ、尚文。」

 

言葉ではそう言うものの、今日の様子を見る限りでは、仲間の勧誘は望み薄と見ていいだろう。

 

「それでは支度金である。勇者達よしっかりと受け取るのだ。」

 

勇者それぞれに、それなりの重さがある金袋が手渡される。

 

中でも、一際重い金袋が来人と尚文に渡ったところで、王が発言する。

 

「ナオフミとライト殿には銀貨800枚、他の勇者殿には600枚用意した。これで装備を整え、旅立つが良い。」

 

 

「えっと盾の勇者様、鎧の勇者様、私の名前はマイン=スフィアと申します。これからよろしくね。」

 

「よ、よろしく。」

 

「こちらこそ。」

 

警戒すべき要注意人物。ヤバいレベルの女だな。

 

 

「じゃあ、行こうか。マインさん、ライト。」

 

「はーい!」

 

「ああ。」

 

俺は大体の流れを知っている。気を引き締めていこう。

 

「これからどうします?」

 

マインは尚文と来人に訪ねた

 

「まずは武器とか防具が売ってる店に行くべきかな。これだけの金があるんだ。良い装備が買えそうだしな。」

 

尚文は答えた。

 

「そうだな、尚文には必要だろうな。」

 

装備できないけどな。

 

「いやいや、ライトも必要だろ?お前だって、その鉄の胸当てだけなんだから。」

 

 

「じゃあ私が知ってる良い店に案内しますね。」

 

「お願いできる?」

 

「ええ」

 

マインはスキップするような歩調で走って行った。

 

やれやれ、助け舟は出そうか。

 

来人は尚文に耳打ちをした

 

「尚文、あの女に気をつけろ。」

 

「なんでだ?あんなにいい子なのに。」

 

「俺の経験だ。ああいう奴には裏がある。それも大多数が邪悪に満ちてる。」

 

「だから、気を許すな。いいな?」

 

「考えすぎな気もするけど‥ああ、分かった。」

 

すまねえな。俺にはこれくらいしか教えられねえんだ。

 

 

城を出て10分くらい歩いた頃、大きな剣の看板を掲げた店の前でマインは足を止めた。

 

「ここがオススメの店です」

 

「おお…」

 

「中々だな。」

 

来人と尚文は店の扉から店内を覗き見ると壁に武器が掛けられており、まさしく武器屋という面持ちに感心している。

 

「いらっしゃい」

 

店に入ると店主に元気良く話しかけられる。筋骨隆々の絵に書いたような武器屋の店主がカウンターに立っていた。

 

「へー…これが武器屋か」

 

「お!お客さん方初めてだね。当店に入るたぁ目の付け所が違うね。うん。」

 

「ええ、彼女に紹介されて。」

 

そう言って尚文はマインを指差すと、マインは手を上げて軽く手を振る。

 

「ありがとうよお嬢ちゃん。」

 

「いえいえ~この辺りじゃ親父さんの店って有名だし?」

 

「嬉しいこと言ってくれるねぇ。ところでその変わった服装の彼氏達は何者なんだい?」

 

異世界の服のままの2人を見てそう言う。

 

「もう〜親父さんも分かってるでしょ?」

 

「となるとアンタらは装備を見るからに盾の勇者と鎧の勇者様かい!?」

 

まじまじと親父さんは来人と尚文を凝視する、気の良さそうなおやっさんだな。エルハルト。

 

「俺は来人。こいつは尚文。これからよろしく頼む。」

 

「おう!お得意様になってくれるってんなら大歓迎だ!」

 

ここで尚文はとりあえず鎖帷子を購入し、外に出る。

 

「あ!すまねえ。ちょっと外で待っててくれ。」

 

「はーい。」

 

「ああ。」

 

マインと尚文を外に残し、俺はもう一度中に入る。

 

「いらっしゃ‥どした?忘れ物か?」

 

店主は俺に声をかける。俺はまっすぐ店主のもとに向かい、話す。

 

「頼みがある。」

 

「‥どうした?その雰囲気からはマジのようだな。」

 

「ああ、この話は俺とアンタだけにとどめてくれ。約束してくれるなら話す。」

 

「内容にもよるが、聞いてやる。」

 

 

「この後、恐らくだが俺たちはもう一度この店に来る。その時、女が武器と防具を買うはずだ。ええと、これとこれだ。その時にだが、なんとかして買わせないでほしい。」

 

「どういうことだ?武器と防具を買わせないなんて死なす気か?」

 

「違う。俺の中で何かが叫んでいる。アイツを信じるなって。それにもしハズレたら、俺が、予言した武器と防具プラス実際に選んだものの代金分、買い物するなり飯や酒を奢る。」

 

「おいおい、冗談だろ?」

 

店主は笑う。

 

「‥‥‥」

 

「その目は本気のようだな。‥‥わかった。」

 

「すまない。近い未来、武器と防具を買いに来る。そして奴が手に取る武器や防具分くらいは払う。」

 

「それともう一つ。尚文が購入した鎖帷子が本当に尚文が購入したものだって、誰が見ても分かるような証明書みたいなのをくれないか?」

 

「ああ、それも次来た時に渡す。約束だ。ほら!早く行け。外で仲間が待ってるぞ。」

 

「ああ、ありがとうな。信じてくれて。」

 

「いいってことよ。それよりハズレた時の約束忘れんなよ?」

 

「忘れねえよ、エルハルト。」

 

俺の言葉に武器屋の店主こと、エルハルトは驚いた顔をする。

 

だって、俺たちに一回も名乗ってないからな。

 

俺はニカっと笑うと外に出た。

 

 

「アイツ‥一度も名乗ってねえ、初対面の俺の名を当てやがった。やっぱりアイツの話は本当かもな。」

 

自分以外誰もいなくなった店内にエルハルトの呟きだけが聞こえた。

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