鎧の勇者の成り上がり   作:JOKER1011

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第30話

「有意義な戦いだったな。」

 

「ですね。」

 

俺たちは帰りの船に乗っていた。

 

俺たちのレベルは平均で75になっていた。

 

だが、残念だった事を挙げるとすれば途中でレベルの伸びが悪くなった事と、敵が弱くなった事だった。

 

あのカルマー系がワンパンでやれるくらいになっていた。

 

「フィーロちゃーん!」

 

ペングー着ぐるみを着たターニャが同じく着ぐるみを着たフィーロと遊んでいた。

 

「元気だな、お前のとこのフィーロ。」

 

「ターニャもな。」

 

それを見ながら尚文と笑っていると尚文が何かを見つけた。

 

「どした?ああ、あれか。」

 

甲板の隅を見ると、元康とリーシアが何かを話していた。

 

ナンパか?そういや、元康が気になってる女の子リストにリーシアも入ってたな。

 

懲りねえな。アイツ。

 

俺たちは元康の方へ歩いて行った。

 

「よう!元康!お前も懲りn‥」

 

「よう!尚文、来人!後は任せた!」

 

そう言うと無理矢理リーシアを俺たちに押し付けて走って行ってしまった。

 

なんだ?アイツ?

 

「どうしたんだ?リーシア?」

 

俺が顔を覗き込むと目が腫れていた。まるで泣きはらしたようだった。

 

「‥なにがあった?」

 

「い、いえ‥何も‥」

 

そう言ってリーシアは座り込み、顔を伏せてしまった。

 

「元康に何かされたのか?」

 

「違います!モトヤス様は私を元気づけようと‥私は大丈夫ですから‥」

 

そう言うとフラフラと歩いて行ってしまった。

 

「尚文、お前アレをどうみる?」

 

「わからん。今はそっとしておこう。」

 

俺は心の中に違和感を残しながら船室に戻ることにした。

 

 

次の日、やはり昨日のことが気になり、俺は外に出た。

 

「こういうのは、当事者に聞くのが一番だなぁ‥と!‥‥やはりお前もか。」

 

「そういう来人もか。」

 

尚文が元康の部屋の前にいた。

 

部屋をノックすると、「はーい!」と女1がドアを開けた。満面の笑みで。

 

こいつ、こんな顔できたのか。

 

「‥なんだ、アンタ達か。」

 

「なんだとはなんだ。」

 

俺が言い返してると尚文が中に向かって呼びかけた。

 

「お前に用はない。元康!いるんだろ!」

 

 

「どうした?お前らが来ると、この子達が怯えるだろ?」

 

元康がビッチと女2に挟まれる形で座っていた。

 

「お前に昨日のことで話がある。」

 

「アレか‥チッ!わかった。外で話そう。」

 

元康が女達に留守番してるように言って出てきた。

 

「説明してくれ。じゃないと俺たちは動けない。」

 

「ああ、わかった。話す。だが、その後は今度こそお前らに任せるからな?」

 

そう言うと元康は話し始めた。

 

それを聞いた俺たちは、怒りが湧き上がり、気がついたら樹の部屋のドアを蹴破っていた。

 

「樹!!!出てこい、この野郎!!!!!」

 

俺がドアを壊さんとする勢いで蹴破ると樹が中で飛び上がった。

 

「な!?なんなんですか!?貴方達は!?」

 

「なんなんですか?じゃねえぞ!この野郎!」

 

 

「貴様ら!イツキ様になんて口の利き方だ!」

 

派手鎧が掴みかかってくるが、俺は地面に引き倒し、トランスチームガンを向けた。

 

「‥邪魔すんなよ?俗物が。」

 

俺は派手鎧を解放し、樹を睨みつける。

 

「俺たちはお前が掲げる正義とやらに失望したぞ。」

 

尚文も俺に負けないくらい怒りを露わにしながら言う。

 

「だから!僕が何をしたって言うんですか!」

 

樹がテーブルを叩いて立ち上がった。

 

すると俺たちの怒りが分かったのか、妙に落ち着いた感じで言った。

 

「ああ、今分かりましたよ。リーシアのことですね?アレは彼女が悪いのですよ?」

 

「黙れ!」

 

俺たちが元康から聞いたことだ。

 

リーシアは樹に冤罪をかけられていた。

 

罪状は樹の腕輪を破壊したことだった。

 

部屋に帰ってきたリーシアはいきなりそう告げられたらしい。

 

もちろん違うとリーシアは反論したが、ほかの仲間達がリーシアが壊して、それを隠したのを見たと証言。

 

それでもやってないものはやってないとリーシアが反論すると樹は思いもよらない判決を下した。

 

解雇だった。それを樹が告げた瞬間、派手鎧達が、ほくそ笑んだのをリーシアは見た。

 

だが、それどころではないリーシアは縋り付くように樹に撤回を求めた。

 

樹は一瞬、目を泳がせながら撤回しようかと悩んだらしい。だが仲間達がこぞって''ここで許したらつけあがる!''だとか、''正義の名の下に断罪すべきだ!''とか言ったらしい。

 

結局、その言葉に流される形でリーシアはパーティを追放されてしまったと言う。

 

「やれやれ、貴女にはがっかりです。反省していれば僕がみんなを丸め込んで復帰させようと思いましたが‥告げ口ですか。言葉もありませんよ。」

 

樹の言葉に振り返るとリーシアが立っていた。いつからいたのかは知らないが。

 

「リーシアからは何も聞いてねえよ。元康が無理矢理聞き出したんだよ。」

 

「だとしても話した事には変わりありませんよ?ここまで反省の色が見られないのもおかしな話です。」

 

「お前‥少しは考えなかったのか?コイツらが嘘吐いてるって。」

 

「仲間を疑えって言うんですか?貴方も薄情ですねぇ。それにリーシアさんはまだ加入して日が浅いんですよ?なら、どっちを信じるかは明白でしょ?」

 

コイツ‥本気で言ってんのか?

 

ここまで腐ってるとは思わなかったよ。まだ初期の元康の方がマシだったよ。

 

アナスタシアに探らせておいて正解だったよ。

 

結論から言って真犯人は派手鎧共だ。

 

「いい事教えてやるよ。本当に腕輪を壊したのはお前の後ろにいる奴らだ。これは影から聞いた事だ。影がバッチリ一部始終を見たってよ?そもそも何故そこの派手鎧共は壊してる一部始終を見てたんだ?普通仲間なら殴ってでも止めるだろ?」

 

「そこまで知ってるんですね?そりゃ簡単な話ですよ。彼らはリーシアの口から言わせる事を選んだんですよ。それに僕も知ってますよ?今回来ている影は貴方のお仲間の親類だそうじゃないですか。つまり貴方が有利になるような証言じゃないんですか?」

 

「まぁ、百歩譲って仲間達がリーシアさんが腕輪を壊すのを何も言わずに見ていたのはおかしいとしましょう。しかし、彼らは敢えて自分たちが悪者になってまでリーシアさんを戦いから遠ざけようとしたのですよ?」

 

「は?」

 

「この際です。はっきりしときます。リーシアさんは戦いに不向きです。彼女が私のために戦いたいと言ってくれたから仲間にしましたが。人間には向き不向きがあります。これはリーシアさんがいない時に決めました。」

 

「話をすり替えてんじゃねえぞ、お前ら。あ?要するにリーシアが邪魔だったんだろ?でも辞めさせる方法がない。だから冤罪をかけて辞めさせる口実を作った。違うか?」

 

「貴方は何を聞いてたんですか?僕らのこれは優しさですよ?」

 

「どこが優しさだ?この野郎。ただのエゴだろうが!クズ共が!」

 

「頭が固い人ですねぇ。分かりました。更にはっきり言います。リーシアさん。貴方は弱すぎるんです。正直足手まといです。」

 

 

「とうとう本性現しやがったな。この外道が。」

 

コイツらは正義なんかじゃねえ。悪だ。それにドス黒い悪だ。

 

「っ!」

 

最後の言葉が決め手になったのか、リーシアは走って行ってしまった。

 

「おい!待て!」

 

俺の制止虚しくリーシアは走って行ってしまった。

 

「テメェらがここまでクズとは思わなかったよ。」

 

そう言うと尚文はリーシアの後を追いかけて行った。

 

「ふん!泣けば良いと思ったら大間違いですよ!」

 

「尚文の言う通りだ。お前がここまでクズだとは思わなかったよ。お前にはとことん失望した。俺はお前を勇者だとは認めない。ただのカルト教団だ。」

 

「言いたいことはそれだけですか?なら出てってください。邪魔です。」

 

「ああ、こっちこそお前と関わる気はない。せいぜいイエスマン共に囲まれて仲良しこよししてろ。」

 

「出てってください!!!」

 

樹が弓を引こうとするのを無視してリーシアを探すために甲板へ走った。

 

早く見つかった。

 

ずぶ濡れのフィーロとターニャと尚文が立っており、リーシアは同じくずぶ濡れでフィーロに咥えられていた。

 

誰が見ても分かる。

 

身投げだ。

 

「来たか。来人。」

 

「ああ、説明しなくて良い。何をしようとしたのかは分かる。」

 

 

「ゲホッ!ゲホッ!」

 

飛び込んだ際に水を飲んでいたのかリーシアは咳き込む。

 

「さて、リーシア。今死ぬつもりで飛び込んだお前は一度死んだ。これからどうする気だ?」

 

尚文が腕を組みながらリーシアに聞く。

 

「‥‥死なせてください。イツキ様に捨てられた私に価値なんかありません。」

 

「そこまでして死にたいのか?」

 

「はい。」

 

「そうかそうか。確かにそれは自由だが‥俺が許さん。」

 

その言葉にリーシアは顔を上げる。

 

「お前は悔しくないのか?いわれもない冤罪をかけられたんだぞ?」

 

「ですが‥私が弱いのは事実です‥」

 

「誰が決めたよ?そんなこと。」

 

「イツキ様に‥」

 

尚文はため息をつくと、こう言った。

 

 

「それがどうした?確かにお前の中で樹が全てだろうよ。だけどお前が弱いなんて誰が決めた?確かに俺から見たらお前は器用貧乏だ。戦ってる最中も、やれ攻撃だ、やれ回復だと指示されて動いてたよ。だけどお前の魅力を分かってない。」

 

「私の魅力?」

 

「ああ、お前は間違った方に成長してる。お前は剣士向きじゃない。お前は魔法支援型だ。」

 

「そう‥なのですか?」

 

「ああ、断言してやる。」

 

「私も強くなれますか?」

 

「なる。絶対なる。だから死ぬな。俺のところに来い。お前を必ず強くしてやる。」

 

 

そう言われたリーシアは一瞬戸惑った顔を見せたが、しっかりと尚文の顔を見た。

 

「‥私の心はイツキ様のものですよ?」

 

「構わん。」

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