「逃げられたか‥」
「そのようですね‥」
俺とラフタリアは変身を解除して誰もいなくなった荒野に座り込む。
龍二は戻る気はない。誤算だったな。承諾してくれると思ったが。
「ライトさん。彼はどんな勇者だったのですか?」
「そういや教えてなかったな。奴は俺と似た世界から、この世界に来た勇者だ。俺と同じようにいわれのない罪を着せられた尚文を助け、正義のために戦った一人の男だ。最初は太刀の勇者、後に鞭の勇者になった。そして平和に暮らしていたんだがな‥事件は起きた。」
「事件‥」
「神の禁忌を犯した‥そのせいで奴は全てを奪われた。過去に自分が助けた尚文に邪険に扱われ、元の仲間を目の前で殺され、挙げ句の果てには自らの手にかける羽目になった。そりゃダークサイドに堕ちるよな。」
「彼も‥完全な悪ではなかったのですね。」
「ああ、当初はただ勇者の仲間として戦うつもりだったんだろうよ。」
俺の話を聞いて悲しみから俯いていたラフタリアだったが何かが気になったのか顔を上げた。
「そういえばなんですけど‥どうして私なんですか?」
「何が?」
「どうして私を連れてきたんですか?」
「ああ‥それね。ライダーシステムを確認したかったってのもあるんだが‥実はな、奴が全てを奪われる前の話なんだがな?奴はその世界のお前と恋仲で結婚する話もあったらしいんだ。だから、お前が現れたら動揺すると思ったんだが‥この世界のラフタリアへの態度を見て分かったよ。そんな甘い話はない。」
「これからどうしますか?」
「決まってるだろ。ゼルトブルへ行く。恐らく奴はそこだ。いなかったとしても‥炙り出せばいい。」
俺達はゼルトブルへと移動する事にした。
「意外と人‥いたんですね。」
「ああ、意外とな。」
俺達が街に戻ると人が多くいた。
そうか、来た時はあまり大通りを通らなかったからか。
「‥いましたね。」
「ああ、簡単に見つかったな。」
武器屋の前に龍二と、自分達が会話した白衣の男、そしてもう一人女の子がいた。
暢気に買い物か。どっかで見たことあるんだよなぁ、あの子。
俺達が武器屋のほうに歩いていくと龍二が気づいた。
「来たか。」
「ああ、まだ諦めきれなくてね。」
「リファナちゃん!?」
「ラフタリア‥ちゃん‥」
「ジキル、リファナを任せたぞ。」
「はい。リファナさん、こちらへ。」
「龍二さん!頑張ってください!」
ジキルはリファナを連れて遠く距離を取るように離れた。
「俺の見間違いじゃなければリファナがお前の仲間になってるように見えたが?」
「見間違えじゃねえぞ?あの子には、ただ真実を教えただけだ。少し色をつけてな。」
「そうか‥なるほどな。」
これは、カルミナ島に行く前に聞いたことだ。
ラフタリアは俺が手にかけた悪徳貴族のもとでリファナとキールと共に捕まっていた。そこを女王の手引きでラフタリアだけ助け出された。その後、奴隷商に引き渡され、尚文の仲間になった。
つまり元々仕組まれていた事だ。
それを教えたってことか。
「お前に勝つにはこれをするしかないな。はぁ!」ドオゥン!!
俺は力を溜めると真カースシリーズを解放し、ベルトを腰に装着する。
「おいおい、カースシリーズ如きで俺に勝てると思ってんのか?」
「思っちゃいねえよ。俺はこの世界にゲームを持ち込む気は無いが、戦闘においてレベルの差は関係してくると思っている。ただその差を埋められるほどの技術があれば問題ないがな。だが体感でアンタは俺よりレベルが高い。それだけで考えたら勝てる見込みは無しだ。」
「ほぉ‥なら、どうする?尻尾巻いて逃げるか?」
「バカ言え。俺は勇者だ。そんなみっともねえ真似するかよ。それに勝てる方法はある。」
そう言いながら俺はガシャットを鳴らした。
仮面ライダークロニクル!
「ようは、レベルという概念をぶっ壊せばいい。」
俺の手から離れたガシャットが宙を舞う。俺はAボタンを押し、手を動かす。
その手の動きに連動するようにガシャットはバグヴァイザーⅡに挿さる。
ガッシャット!
「変身。」
バグルアップ!
天を掴めライダー! 刻めクロニクル! 今こそ時は極まれり!
俺は仮面ライダークロノスに姿を変える。だが変身の最中に後ろにゲムデウスが浮かび、そのまま変身した。
「ほう、クロノスと見せかけてゲムデウスクロノスか。厄介だな。」
「ああ、これでアンタといくらレベルの差があろうが、関係ない。」
「行くぞ!」
俺と龍二は互いに剣を振り上げ突進し剣をぶつけ合う。
ガキン!ガキン!と金属音が鳴り響く。
「くらえ!ドライファ・ダークネスヘルファイア!」
「甘い!」
龍二の黒い炎と来人の手から撃ち出されるバーニアバグスターのミサイルがぶつかり合い爆発が起きる。
その衝撃により辺りの道は壊れ、店にまで被害が及び出したため野次馬として集まっていた街人達が次々とヤジを飛ばし始めた。
「ふざけんな!他所でやれ!」
「危ねぇだろうが!」
「おいおい、天下の勇者様が往来の人達に危害を加えんのかぁ?」
「チッ!戦いづれぇ。」
来人はバク転をして、龍二から距離を取る。
「わかった‥俺は戦わねえ。俺はな?」
そう言って来人は剣を地面に突き刺した。
するとその剣を媒介に右から、黒や緑、茶色の民族服のような服を着た青年、黒や紫を基調とした飄々とした青年、ピンク髪のアイドルのような服を着た女性の計三体のバグスターが召喚された。
「バグスター‥じゃない?いや‥出来れば普通のやつにして欲しかったな。」
「知ってるなら話は早い。さあ!やってしまえ!」
「培養!」
「マックス大変身!」
「変身!」
infection!レッツ・ゲーム!バッド・ゲーム!デッド・ゲーム!ワッチャ・ネーム!?
ザ・バグスター‥!
ガッチャーーン!マザルアーップ!
赤い拳強さ!青いパズル連鎖!赤と青の交差!パーフェクトノックアーウト!
ドリーミングガール♪ 恋のシミュレーション♪ 乙女はいつもときめきクライシス♪
「さぁ!俺を越えてみろ!」
「心が躍る!」
「さぁ!いっくよー!」
変身を終えた3人は各々の武器を構えて走り出した。
ポッピーがレベル50相当、パラドクスがレベル99、グラファイトがゲムデウスの一部を取り込んだ事でレベルを超越している。いい勝負にはなるだろう。
「さて‥俺は見物でもするかな。」
その頃、ラフタリアは‥
「待ってよ!リファナちゃん!」
「‥‥っ!」
「リファナさん、苦しいかもしれませんが今の貴女では勝ち目はありません。」
「だったら、ジキルが手助け‥」
リファナがそう言いかけたのをジキルは手で制する。
「それはダメでしょう。これは貴女とあのラクーン種の問題ですよ?わたしが介入するのは野暮ってものですよ。しかし‥」
「困りましたね。アジトに戻ろうにも、あのラクーン種め。予想以上にしつこいですねぇ。一度龍二さんのもとに戻りましょう。」
そして場面は戻り‥
「はぁ‥はぁ‥くそぉ‥」
龍二は魔剣を杖代わりにして肩で息をしていた。
トリッキーな戦い方をするポッピーは自分よりも格下な為、なんとかなるが残りのパラドクスのバフ・デバフやグラファイトの圧倒的な火力を前に追い詰められていた。
「さて!そろそろかな!やってしまえ!」
三体は来人の声にうなづくと同時に走り出す。
「ドドドドドドドドドドド紅蓮爆竜剣!!!」
グラファイトが自身の武器、グレングラファイトファングを振るう事で発せられた1匹の炎の龍が現れ、龍二に襲いかかった。
咄嗟に腕を交叉しガードを試みるもレベルの概念を超えた攻撃に吹き飛ばされる。
「ぐあっ!」
キメワザ!クリティカルクルセイド!
「ピ♪プ♪ぺ♪ポ♪パワ〜!」
吹き飛ばされた先に待っていたのはポッピーの手から発せられたカラフルな音符と5線だった。吹き飛びされてる最中だった為、体がいうことを聞かず、次は空へと飛ばされる。
ウラワザ!パーフェクト!ノックアウト!クリティカルボンバー!
「くらえ!!!!」
ドゴッ!
パラドクスの両足蹴りをくらい、吹き飛ばされる。その先には来人。
「させるかぁ!!!」
龍二はこれ以上くらったらマズイと無理やり体勢を立て直すものの、それは意味の無い行動だった。
「無駄だ。」
ポーズ!
来人は自身のバグヴァイザーⅡのAとBのボタンを同時に押して時を止めていた。
「審判の刻は厳粛でなくてはならない‥」
来人は空中で固定されたままの龍二の所まで歩き、Bボタンを二回押した。
キメワザ!クリティカルクルセイド!
来人の足元に時計が現れ、その針が動くのと同じタイミングで回し蹴りを放った。
終焉の一撃!
リスタート!
ドガーン!
爆発に巻き込まれた龍二はゴロゴロと地面を転がり動かなくなる。
「まだ死んでいないのか。大人しくなってもらうためにも一度死んでもらうぞ。」
呼び出していた三体のバグスターを消し、バグヴァイザーⅡをバックルから取り外し、腕につけながら来人は近づく。
キメワザ!クリティカルサクリファイス!
「次に目覚めるときは‥天界だ。」
そう言い、チェーンソーモードにしたバグヴァイザーを振り下ろした。
しかし、そのときだった。
「やめてぇぇ!!」
咄嗟にリファナが龍二に覆い被さるようにして庇い、リファナが背中から大きく斬り裂かれてしまった。
「な!?」
「リファナちゃん!!!」
違う世界とはいえ、自身の親友が目の前で斬り裂かれたのを見たことで悲痛の叫びをあげていた。
「うぉぉぉぉ!!!!!龍二さんとリファナから離れろ!!!!」ドガッ!!!
来人の真横からジキル博士が変身したハイドが力一杯拳で殴りつけ、来人は建物を突き破りながら激しく吹き飛んでいった。
「ライトさん!!」
ラフタリアは筋骨隆々の男が抱えて去っていくリファナに気を取られ、追いかけたい気持ちを押し殺し来人の救出に向かった。
次回、コラボ最終回。