来人は大の字で倒れているラックのもとへと歩み寄った。
しかしラックは、そんな来人の姿に気づかずブツブツと呟いていた。
「はぁ‥はぁ‥負けた。」
来人は腕を掴み立ち上がらせる。
「ライトさん、僕‥今まで負けて悔しいなんて思わなかった‥自分が落ちこぼれだからって‥どこかで諦めてた。セバスさんと特訓して初めて自分に自信がついて‥勝てる!勝ちたいって初めて思えた。」
「負けることって‥こんなにも‥悔しいんですね!」
そう叫ぶとラックはボロボロと泣き出し始めた。
「ああ。そうだな。」
「僕強くなります。強くなって!いつか!倒しに行きます!」
「ああ、待ってるぜ!」
こうして俺の本戦一回戦は終わった。
「二人ともお疲れさまです。」
「おう、セバス。」
「セバスさん。」
「おい、セバス。お前ラックに俺への勝ち方を吹き込むのは分かるけど、まさか変身アイテムを奪いにくるとは思わなかったぞ!」
「ええ、奪ってしまえば隙ができますので。」
セバスは悪びれることなく、笑いながら言ってのけた。
「たくっ‥で?次の試合は?」
「予定では1時間後ですな。それと‥失礼。」
そう言うとセバスは念話をしはじめた。
「はい‥はい‥そうですか。わかりました。」
電話を切ったセバスは何やら考え込むような素振りを見せ始めた。
「どうしたんだ?」
「いえ、何でもありませんよ。それでは私は少し外します。」
そう言うと風のように姿を消してしまった。
「なんだったんだろうか?」
「さぁ?とにかく試合見に行きましょっか。」
そう言って来人とラックは歩いて会場に入っていった。
そして、二人の姿が見えなくなった頃、セバスがまたその場に現れた。
「やれやれ、ライト殿が知ったら大会をほっぽり出して着いてきそうですからな。それにしても‥私達が若い頃に壊滅させたはずなのですが‥いったいなぜ今頃復活したのでしょうか。」
【黒風め‥】
「お前どうすんだ?これから。」
「何がですか?」
セバスと別れた二人は仲良く並んで試合を見ていた。
「だってお前のとこの族長とかいう人がさ?優勝してこいって言ったんだろ?でも負けたじゃん。ルカ取られるくね?」
「うっ‥そ、そうですけど‥」
「そこは大丈夫よ?」
「「は?‥‥うおっ!?いつの間に!?」」
急に声がして振り返るといつからいたのかルカが立っていた。
「今日の貴方は良かったわ。勝敗は関係ない。貴方は強さを見せた。お父様がダメって言ったって構わないわ。なんならアンタと駆け落ちしてやるわ!」
「ええ!?それはダメだよ!ルカ!」
「何よ!アンタは全てを捨ててでも私と一緒になる気はないの?」
「え‥う‥そ、それは‥」
ラックが口籠った時だった。ルカの目から一筋の涙が流れた。
「‥‥もう知らない。ラックのいくじなし!!!!!!」
そう言うとどこかへ走り去ってしまった。
「あ!待って!ルカ!」
「行くな!ラック!」
走り出そうとしたラックの腕を俺は掴んで引き止める。
「ちょっ!?邪魔しないでください!」
「今は混乱してる。そっとしてやれ。じきにまた落ち着いて話せるようになってんだろ。」
「そういうものですかねぇ。」
「2回戦の受付を行います。出場者は指定のゲートへお越しください!」
「もうそんな時間か。じゃあ行ってくるよ。」
「僕の分まで頑張ってください!」
今回は青いゲートのようだ。
それを通り抜けフィールドに立つと反対側のゲートも開き対戦者が現れる。
奴か。
見た感じは弓を武器にしているタイプだな。
「それでは!始め!」
「変身!」
ピーチエナジー!
ロック!オン!ソーダ!
ピーチエナジーアームズ!
アラビアン感あふれる曲とともに俺は仮面ライダーマリカへと変身した。
「行きます!」
相手が魔力を込めた矢を放ってくる。
「魔導弓か。なるほど。」
俺は前転で避けながら弓を引く。
「ほっ!」
だが向こうも避ける。
流石2回戦のやつだ。普通にやられてくれねえよな。
これならどうだ!
俺は矢を頭上に放つ。すると放たれた矢が桃の形になり、更にそこから放射状に矢が放たれそれが全て敵に向かっていく。
「な!? ぐぁあっっっ!!!!」
矢を2本避けたまでは良かったが、それ以外の矢に次々と当たっていく。
そして体勢を整えたときには‥
「はぁっ!」ズバッ!
俺のソニックアローに斬られているって訳だ。
「とどめだ。」
俺はピーチエナジーロックシードをベルトから外してソニックアローに装着する。
ロック!オン!
エナジーロックシードの力を貯め始めたソニックアローの弦を引き絞り、照準を合わせる。
ピーチエナジー!
「終わりだ!」
ソニックアローから撃ちだされた矢が相手に炸裂し、大爆発を起こした。
煙が晴れると相手は倒れており俺の2回戦突破を告げるアナウンスが鳴った。
2回戦の試合が始まった頃‥
「グスッ‥ラック‥なんでよぉ。」
ルカは物陰に隠れて泣いていた。
「はぁ‥ラックのとこ行こう‥」
立ち上がった時だった。
「お困りのようですね。」
「誰!?」
「これはこれは驚かせてしまいましたね。」
ローブを着て杖を持った男がフードを外しながら笑顔でルカの前に現れた。
「貴方は何かお困りのご様子。悩みは溜め込まず吐き出すのが一番。その捌け口くらいにはなりましょう。」
「貴方‥見ず知らずの私に‥」
「ええ、それが私です。」
「こちらのアロマでも嗅いでください。気が楽になりますよ?」
「え、ええ。ありがとう。」
スッ!
「うっ‥」バタン
ルカは急な眠気に負けて倒れ込んでしまった。
「ふっ、見ず知らずの人をいきなり信用するなんて‥バカですね。だが上物だ。おい。」
「へい。」
「連れてけ。」
「へい。」
謎の男に呼ばれた大男は大きな布袋にルカを詰め込むと走り去って行った。
「ふふ、さて私は自身の仕事でもしましょうかね。」
謎の男はそう喋ると静かに歩いて去って行った。