「お疲れ様です。ライトさん。」
「おう!ラック!」
「僕、決心がつきました。僕は全てを捨てでもルカと一緒になりたいです。」
「そうか、だったらルカに伝えて来いよ。な?」
「はい!僕行ってきます!」
そう言うとラックはルカを探しに走って行った。
「若いとは良いものですな。」
「うおっ!?セバスお前いつのまに!?」
「ふふっ、私は元とはいえ影ですよ?このくらい造作もないですよ。」
「そっか、あ!俺ラックに言い忘れてた。」
「なんですかな?」
「駆け落ちは最後の手段にしろって!そん時は家くらいなら用意してやるって!」
「ほほう、我が町に迎え入れるのですね?賑やかになるでしょうな。」
「間もなくブロック準決勝の受付を行います!出場者は速やかに集合してください。」
「じゃあ、行ってくるよ。」
「ええ、お気をつけて。」
そうして俺は受付を済ませると受付所を出て、またセバスと合流していた。
「ラック遅くねえか?」
俺たちはベンチに座って話していた。
「ええ。あ、お飲み物をどうぞ。そうですね‥若い2人ですから‥燃え上がってなければ良いのですが‥」
「ブフォッ!!! はぁ!?アンタ何言ってんだよ!?」
コイツ‥いきなり何言ってんだよ‥
「まあ、まだ恋人のいないライト殿には難しい話かもしれませんな。」
「な!お前‥!じゃあ、お前はどうなんだよ!」
「ほっほっほ!私ですか?私は若い頃は諜報の一環でハニートラップの一つや二つくらいしたことがありますよ?それに私にも妻がおりました。」
「え?セバス奥さんいたの?初耳だな。」
「ええ、話してませんので。彼女の名はソフィアです。私が仕えていた屋敷のメイド長でした。」
そこからの話を纏めると‥
①セバスの一目惚れで、そのソフィアと名乗るメイド長も漏れなく影で、結婚の条件が自分より強い相手と言われて毎日挑むものの、とてつもなく強く毎日土をつけられていた。
②しかし、ある日偶然にも勝つことができて結婚、しかし屋敷の襲撃の日に亡くす。
「そっか、悲しいな。」
「ええ、彼女は死の間際、最後まで主人のために戦うことができて本望だと言ってましたが今ならあれは強がりだったのではないかと思っております。」
「‥会えるならもう一度会いたいか?なんならあの日に‥」
「‥‥結構ですよ。過去はふりかえらない。そうでしょ?」
そう言い切ったセバスは穏やかな顔をしていた。
「ごめん、野暮‥だったな。じゃあ俺そろそろ時間だから行ってくるよ。」
「ええ、お気をつけて。」
言葉を交わした俺は走って行った。
「それではブロック準決勝戦を行います!」
「レッドゲート!ライト・ダテ選手!!!」
俺はフィールドに立ち、こう呼びかけた。
「キバーラ!」
その声に応えるように俺の後ろから小さな白いコウモリが飛んできた。
「うふふっ!いくわよぉー!」
俺はそれを手で掴み、腕を伸ばして胸の前で構えた。
「「変身。」」
俺の額に模様が刻まれ足先から鎧に包まれていく。
「仮面ライダー‥キバーラ!」
対する相手も同様に剣を構える。
「それでは‥‥スタート!!!!」
「先手必勝だ!!!」
俺はキバーラサーベルを構えて特攻する。
「甘いわ!」
だがその一撃をガン!と剣で受け止められ鍔迫り合いに持ち込まれる。
やっぱりブロックの決勝に勝ち進むだけあるな。中々やるな。
「だがっ!俺は負けられねえんだよ!」
俺は剣の向きを少し変えて相手の力を逃す。
そしてサーベルの柄を首の右側に当て押し込んだ。
「ブワッハッハッハッハッハ!!!!」
「どうだ!」
「ブハッ!や、やめてくりぃ!」
どうだ!キバーラというか、元の変身者である光夏海の秘儀!笑いのツボ!
これをやられたものは窒息しかねないほど笑う。そりゃもう笑う。
「すきあり!」
俺は足払いをかけて転ばせるとバク転で二回後ろに下がり、サーベルを逆手に構えた。
すると俺の背中に紫の翼が生え、宙に浮き始める。
「ソニックスタブ!」
そしてそのまますれ違いざまに斬り裂いた。
通り過ぎた時には対戦相手は地面に倒れ伏し、俺は勝っていた。
「勝者!ライト・ダテ選手!」
俺がセバスのもとに戻ったのと同時にラックが血相変えて走ってきた。
「ライトさん!セバスさん!大変です!ルカがいません!」
「何?ルカが?」
「本当ですかな?ラック君。」
「ええ、ルカが行きそうな場所を手当たり次第に探してたらこれが!」
そう言ってハンカチを出してきた。
「これは僕が小さい頃にルカにあげたハンカチです!僕‥どうしたら!」
そう言いながらラックの目には涙がたまり出した。
「落ち着きなさい!ラック君。そのハンカチが落ちていたところまで我々を案内してください!」
「はい!こっちです!」
そう言ってラックが走り出したため来人とセバスは後を追いかけた。
「ここです。」
「ふむ‥っ!」
「2人とも離れて。」
そう言うと何やら鼻を少し動かして辺りの匂いを嗅いだ。
「やはり‥これは睡眠香(すいみんこう)!私の恐れていた事が起きたようですな。」
「おい、なんなんだよ!何があったんだ!」
「このお香を使う組織は一つだけ。黒風です。彼らが復活した。十中八九、ルカさんは彼らに拐かされた‥ようですな。」
「ライト殿。ここから先は私は貴方のセコンドにつくことはできません。黒風の仕業だとすればルカさんが危ない。助け出してまいります。」
「僕も行きます!!!」
突然ずっと黙っていたラックが声を上げた。
「ラック‥」
「危険ですよ。私が仲間達と潰しに行った際も全員無事では帰ることはできませんでした。精鋭部隊がですよ。」
「それでも!僕はルカをこの世で一番愛してるから!それだけじゃダメですか!」
ラックは拳を握りながらセバスを睨み付ける。
セバスは同様にラックの顔を覗き込んでいたが、やがて折れたのか同行を許すことに決めた。
「‥わかりました。ラック君、いやラック。共に戦ってもらいますよ。そしてライト殿。これから私は、若かりし頃に組んでいたチームであるアイギスを再招集して向かいます。」
「ああ、本来なら俺も行きたい所だが‥すまない。武運を祈ってる。」
「私もお祈りいたします。それでは!」
セバスはラックを連れて走り去っていった。
しかし、それを何者かが見ており、通信を入れていた。
「ボス‥仰っていた通りの白髪で腰に剣を刺した老人が動き出しました。どうやら鎧の勇者は着いて行かないようですが、クロノ族の少年が1人着いて行きました。如何致しましょうか?」
「そうか‥あの男が‥分かった。お前は決勝で鎧の勇者と当たるだろう。蹴散らしてやれ。」
「御意。」