大会から3日後、俺は城に呼び出されていた。
内容は‥改めてマルティ‥ではなくアバズレの断罪についてだ。内容は奴がカルミナ島で俺に対して行った蛮行についてらしいが、どうやら尚文にも同様のことをしていたらしい。つくづく頭の悪い奴だ。まだ勝てると思ってるのか。
そして今日の女王はカンカンである。
「ビッチよ、貴方は何てことをしているのですか。全く反省の色が見られませんね。」
「何で私が反省しなきゃいけないのよ!悪いのは全部盾と鎧の勇者よ!」
「そうですか。ではカルミナ島の事はとりあえず置いておくとして‥貴方がイワタニ様とダテ様に着せた冤罪について話しましょうか。」
「貴女の証言では、まず2人が酔っ払って部屋に入って来て乱暴をしたと‥そうですね?」
「ええ!そうよ!」
その言葉を聞いた女王はうなづくと影に命じて上に布を被せた皿を持って来させた。
「実は影からの報告でイワタニ様とダテ様はお酒が、かなり強いと聞いております。」
「そして、それを証明するのがコチラです。」
そう言いながら布を退けると果実が山盛りになった皿が出て来た。
「ほほぉ‥」
俺の付き添いで来てもらったセバスが少し引きつった笑顔を浮かべる。
「ええと‥確か‥それは‥」
「ええ、ルコルの実です。お二人共どうぞ?」
「ええ、いただきます。」
「いただきます。」
俺と尚文はせーの!と息を合わせて同時にかぶりついた。
「うわっ‥」
「ヤベェよ、アイツら‥」
周りから口々に声が聞こえる。
ふむ‥食べるのはカルミナ島以来だが、やっぱりアルコールは感じるけど度数は少し弱いな。
「よろしければ、まだお召し上がりに?」
俺と尚文が一個丸々食べきると更に女王は勧めて来た。
「ええ、もちろん。」
「いただきましょう。」
俺達は2個目に手を伸ばして食べ始める。
美味しいっちゃ美味しいけど‥流石に‥もういいかなぁ。りんごとかの方が美味しいし。あ!この実を絞って果物と混ぜたら果実酒が作れるな。今度我が街の偉大なるシェフ軍団に提案してみるかな。
「お身体に異常はありますか?」
いつのまにか来ていたセバスが話しかけてくる。
「うん?ああ‥特にないけど、俺は2個でいいかな?味に飽きたし。」
俺がそう言った瞬間、周りがザワッとうるさくなった。
「よほど丈夫なのですね。」
「なんだ?なんかあんの?この実。」
「コホッ!コホッ!」
女王が咳払いをした。
「セバス殿がそれを説明する前に、ビッチ。貴方も食べなさい。」
「なんでよ!‥分かった!あれよ!アイツらが食べたのは偽物よ!」
ビッチが尚文を指差しながら怒鳴る。
「ならば‥イワタニ様。今お持ちのそれを半分に割って影にお渡しください。」
「え?はい。」
尚文がパカッと半分に割って影に手渡した。
「どうぞ。」
影がビッチに実を差し出す。
「いやよ!どうして私が!」
「仕方ありませんね。無理矢理にでも食べさせなさい。」
「御意。」
そう言うと女王のすぐそばに控えていたアナスタシアも入った。
「チェスト!」
無理矢理開かれたビッチの口に実が押し込まれた。
するとビッチの顔が真っ赤になったと思うと急に青くなって倒れた。
「あれ?死んだ?」
「いえ、大丈夫です。治療院へ運んでおきます。」
「さて、その実なのですがルコルの実と言いまして‥ダテ様はご存知ないようですね。しかし話されている感じでは食べたことはあるとか‥」
「ええ、少し前に私の街の食堂にありまして。お腹が空いた私はつまみ食いをしまして‥まあ2つ食べたら飽きたんですけどね。」
「実はルコルの実は、実が一つで樽一つ分のお酒になるほどの高濃度のアルコールが含まれております。つまりそれを2つ以上食べることができるイワタニ様とダテ様は‥言い方が悪いのですが異常ということなのです。」
異常かぁ‥知ってるけど。
「そしてビッチはイワタニ様とダテ様の部屋に忍びこんだのを店主は見ていますが、無理矢理権力で黙らせたのでしょう。次にキタムラ様の鎖帷子の件ですが‥」
「それは認めてます。これは尚文のです。」
そう言って元康は鎖帷子を床に置いた。
「そうですか。実はその鎖帷子を売った男性が証明書を発行して提出してくださったのですが、ご自分で認めるのであれば、まあいいでしょう。更にビッチは国庫の横領をしています。」
「つきましては、その損害賠償や迷惑料をキタムラ様に支払っていただくことになります。なお、これから先ビッチが悪行を重ねる事で加算されていきますのでキタムラ様にはビッチをパーティから解雇する事をオススメします。」
「嫌です!アイツは俺の仲間です!」
それだけ言うとビッチが心配なのか玉座から出て行った。
おいおい、今気づいたけど女1ことエレナと女2笑ってたぞ。
「さて、ビッチの話はこのくらいにして、イワタニ様にはお返しするものがあります。」
そう言い直接包みを渡す。
中には尚文が着ていた服が出て来た。
「そちらはビッチが回収後、小遣い稼ぎのために商人に売り飛ばしていたようです。まあ、この世界では見かけない珍しい物でしたので、すぐに特定することができ、買い戻させていただきました。」
「そしてコチラは今までお支払いできていなかったお金でございます。お納めください。あとは波が近いのでまとめてお支払いいたします。それでは今後ともよろしくお願いいたします。」
「はぁ‥」
それで話が終わり、錬と樹が出て行ってから俺たちも出ようとした時、女王が小さくため息をついた。
「どうしました?相談くらいならば乗らせていただきますが。」
「ええ‥私の夫についてです。」
「ああ、あの裸で街歩いてたやつか。」
「え?なにそれ知らない。」
俺はここまでトランスチームガンで来たから知らない。
まあ、どんなんだったかは後で尚文に聞くか。
「あの人はああ見えて昔は英知の賢王と呼ばれるほどの人だったのですが‥」
「へぇ、信じられないですね。」
「では‥失礼いたします。」
そう言って俺はセバスと共に玉座を出た。
「波が近いですな。では近隣諸国にでも出向きますかな。」
「うん?なんかあるの?」
「おや?ご存知ないのですか?他国の龍刻の砂時計にて武器を共鳴させるとその国の波に参加できるのですよ?」
知らないんだけど。え?そんなんできるの?
「まあ、ライト殿はクズ殿とビッチに嫌われておりましたからな。知らないのも無理はないでしょう。と、言う事は七星勇者の事もご存知ないのでは?」
「知らないな。」
「ではご説明させていただきましょう。七星勇者とは七つの武器に愛された者のことです。五聖勇者と違う点を挙げますと‥誰でもなれてしまうということです。」
「誰でも?」
「誰でもというのは語弊がありましたな。五聖勇者は召喚された者しかなることができませんが、七星勇者は武器に愛されさえすればこの世界の者でもなることができます。」
「て、事はセバスも?」
「まあ、そうですな。残念ながら未だに選ばれておりませぬが。」
「でも見た事ないな。そんな人。」
「ふむ。実はライト殿は1人会っているのですよ。」
え?七星勇者に?そんなん会ってたら忘れないけどな。そんな魔法の使い手みたいな人いたか?
「まあ、ライト殿なら教えても良いでしょう。オルトクレイ‥今の名はクズ殿ですな。」
「はぁ!?あの!?」
嘘だろ‥あのクズが!?いやいや、何かの間違いだろ。それか杖がよっぽどみる目がないかだろ。
「女王様が仰ったようにあの方は英知の賢王と呼ばれるほどの魔法の使い手で、彼がメルロマルクにいるだけで抑止力となっていました。」
「まあ、お話はここまでとしましょう。ではそろそろ近隣諸国にでも出向きますかな?」
「いや、どうしても寄りたいところがある。そこに寄ったらだな。」