鎧の勇者の成り上がり   作:JOKER1011

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39話

「しかし、やると言いましたがどうするのですか?手がかりはゼロですよ?」

 

「探しゃいるだろう。あ!アイツとか!」

 

俺は女王に話を聞きに行った。

 

「あら?早かったですね。」

 

「いえ、1人もしかしたら分かるかもしれないと思いまして。」

 

「どなたですか?」

 

「元康のパーティのエレナという女性です。」

 

「エレナ?何故その方なのですか?」

 

「彼女は前から元康に対して見切りをつけていました。ならば今のこの状況だと彼女は実家に戻った可能性があります。」

 

「分かりました。それでしたら‥ええと‥」

 

女王が執務室の机の引き出しを開けると書類を引っ張り出して来た。

 

「気になりますか?ここには5人の勇者様のパーティメンバーと、影に調べさせて分かったそのメンバーの経歴などが書いてあります。」

 

こわっ!

 

「しかし、ターニャさんでしたか?彼女だけいくら探しても掴めなかったらしいんですよ。」

 

「多分それは‥」

 

十中八九、セバスだろうな。

 

元影だし。

 

「分かりました。ここの商会に行ってください。」

 

「よし、作戦を立てるぞ。一度街へ戻って。」

 

・・・・・・・・

 

準備を済ませた俺達は商会へ歩く。

 

すると見慣れた男が商会でエレナと話していた。

 

「頼む、もう一度俺と来てくれ。」

 

「いやよ、もう貴方には魅力を感じないのよ。モトヤス様。」

 

元康。お前が現れるのは予想外だったぞ。

 

(急遽悪いが作戦開始だ。)

 

「俺のような勇者と共に世界を救いたいと思わないのか!」

 

「少なくとも貴方以外とね。そうねぇ、今だったら盾か鎧ね。」

 

「そ、そんな‥」

 

さて、そろそろ行くか。

 

「なあ、その辺にしとけよ、元康。」

 

「な‥来人‥」

 

「お前が何やったかは大体聞いてるよ。来てもらおうか。」

 

「嫌だ。」

 

「そっか。まあ断られるのは分かってたさ。」

 

「お前に俺をどうこうする権限があるわけないだろ!」 

 

「それがあるんだなぁ、ここに。」

 

俺はポケットから紙を出して広げる。

 

内容は3人の勇者の処遇を鎧の勇者であるライト・ダテに一任するとあり、しかも女王の印付きの書類を見せつけた。

 

「どうだ?信用したか?」

 

「偽物だろ。」

 

「はあ‥お前は本当に‥どうしようもねえな。」

 

呆れるよ、こんな奴。なんで選ばれたんだ、こんな奴が勇者に。

 

「まあ、問答無用で連れていくぞ。」

 

「いいのか、暴れるぞ?」

 

「お前が店に迷惑かける前に取り押さえるから安心しろ。」

 

その時だった。元康がガクンと糸が切れた操り人形のように前のめりに倒れ伏した。

 

「ナイスだ、セバス。」

 

俺がそう言うと元康が立っていたところの少し後ろの空間が歪みセバスが現れた。

 

作戦はこうだ。本来は俺がエレナと接触して元康を呼び出してもらう。そして俺が話している間にセバスが透明になり元康の後ろから忍び寄って気絶させる。って感じだ。

 

本当だったら近隣の店に頼み込んで元盗賊軍団を働かせようと思ってたが。

 

まあ、エレナに接触する前に元康が現れてくれたから、少し作戦を変更したけどな。

 

「やあ、エレナ。」

 

「ああ、鎧か。それにしてもとんだ目に遭ったわ。私の目もまだまだね。あの時にアンタか盾のパーティに入っときゃよかった。」

 

「お前‥いい性格してるよ。」

 

「褒め言葉として受け取っておくわ。」

 

「それで?お前は霊亀復活の際にその場にいたんだろ?何があった?」

 

「そうねえ、まあいいわ。話す。」

 

エレナが語る話では、こうだ。

 

元康が意気揚々と霊亀が封印されている遺跡に自分たちを連れて行ったらしい。

そこでそこの警備に止められたらしいけどビッチが無理矢理権力で黙らせて、元康が遺跡に書かれている文面を次々に解読して行って像を壊したらしい。

すると霊亀が復活して元康が自分達にいいところを見せようと攻撃したがまるでダメージが入っておらず、そればかりか元康を無視して進み始めたらしい。

そこでエレナは見切りをつけて一目散に逃げてそこからは元康達と逸れて自分は実家に帰ったと。

 

なるほどな。

 

「で、他の3人の事は本当に分からないのか?」

 

「私に隠すメリットなんかないわよ。」

 

「そっか、ありがとう。」

 

そう言うと俺は元康を連れて我が街に戻った。

 

元康を縛り付けて動けないようにしたところで桶の水を思いっきりぶっかけて起こした。

 

「ブヘッ!ペッペッ!」

 

「よう、元康。元気か?」

 

「どういうつもりだ!」

 

「詳しい話は後だ。錬もしくは樹だ。どちらでもいい。居場所を知ってるか?」

 

「しらねぇ。知ってても言うわけないだろ?」

 

「はぁ‥口硬いな。よし、分かった。言ったら終わりにしてやる。」

 

「本当か!」

 

チョロい奴め。

 

「ああ、終わりにしてやる。で?どこ?」

 

「錬のほうしか知らない。」

 

「そっか、どこ?」

 

「それは‥」

 

 

 

俺は言われた街にたどり着いた。そいつはフードを被って酒を飲んでいた。

 

「俺が接触してくる。お前らはこの酒場の出入り口の全てを見張っていてくれ。」

 

「「「「了解。」」」

 

俺はフードを被りカランカランと扉を開けてフード男の横に座る。

 

そいつはビクッとなったがすぐにまた酒を飲み始めた。

 

「マスター、フルーツカクテルくれないか?」

 

「かしこまりました。」

 

マスターがカシャカシャとカクテルを作り出す。

 

「お待たせいたしました。」

 

俺は出されたフルーツカクテルをグイッと喉に流し込んだ。

 

「さてと‥久しぶりだな、錬。」

 

「お前は‥来人。」

 

そう言うと席を立とうとする。

 

「待ってくれ。俺は女王の手先ではない。ただ同じ勇者としてお前が心配で来ただけだ。」

 

本当である。別にこれは自分の意思だし、一応心配もしている。

 

「みんな俺が勇者だって分かったら掌返しだ。ギルドもお断りだ。断らなかったギルドの依頼を受けてもピンハネ。仕方なく細々と魔物の素材を売って暮らしてる。こんな世界を守らないといけないって考えたら嫌になる。」

 

「そうか、大変だな。」

 

「だが、俺はまだマシかも知れんが尚文はお前以上の事を受けて来たんだぞ?」

 

「そ、そうか‥」

 

「単刀直入に聞くわ、お前は霊亀に関わってるのか?」

 

「いや‥それは‥」

 

「隠さない方がいいぞ。俺は3勇者の中で一番お前を信用してる。お前が本当のことを言うなら協力するつもりだ。」

 

「分かった‥話を聞いてくれ。」

 

錬が語るには、霊亀はゲーム内では疫病を広め、人々を洗脳して操る黒幕な存在らしい。

 

そしてそこからは仲間の反対を押し切って遺跡に入り、警備兵の制止を振り切って像を破壊。現れた霊亀に全く歯が立たず、気がついた時には仲間の死体が転がっていたらしい。判別ができないほどだったらしい。

 

その後は絶望して脇目も降らず逃げて逃げ切った時に力が抜けたのか気絶していた。そして起きた時には霊亀は倒されていた。

 

俺や尚文、そして2人のパーティメンバー、連合軍が倒したと知るまで元康か樹が倒したと思ってたらしい。

 

「俺が負けたのはアイツらが弱かったからだ。弱かったから死んだんだ。あれほど強くなれって言ってたのに。」

 

変わらないな、コイツも。性根が腐ってやがる。

 

「お前それ本気で言ってんの?」

 

「なんだと?」

 

「そいつらはお前を慕って今までついて来てくれたんだろ?それなのにそんな言い方しかできねえのか?お前は勇者の前に人間としてダメだ。」

 

「‥うるさい。」

 

「この世界はゲームじゃない。だからその証拠に死んだ仲間は戻ってこないだろ。いい加減ゲーム感覚を捨てろよ!」

 

「黙れ‥!」

 

「黙れだと?何度でも言ってやるよ。この世界はお前が信じてるゲームなんかじゃない。現実だ。仲間が弱かったから死んだんじゃない。お前が無謀だから死んだんだ。」

 

「黙れ!その口を閉じろ!」

 

錬は勢いよく立ち上がると剣を抜き斬りかかって来た。

 

俺はその剣を白刃取ると錬の眉間に裏拳を叩き込む。

 

すると錬はクタッと倒れた。

 

セバスが月に何回か開いてる誰でもできる簡単護身術を一緒に習っててよかった。

 

「すまなかったな。これくらいで足りるか?」

 

俺は財布から金貨を5枚出してカウンターに置いた。

 

「多すぎるならここで働いてるマスターと給仕の人達で山分けにでも。もし足りなかったら俺の街に手紙を送ってください。払いますので。」

 

そう言うと俺は錬を担いで外で待機していたみんなと街に戻った。

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