鎧の勇者の成り上がり   作:JOKER1011

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52話

「これは、盾の勇者様、鎧の勇者様‥と」

 

俺、尚文、ラフタリア、クズさんの順で来た事で会議室の扉の前に立つ兵士が驚く。

 

「国王様‥!」

 

クズと呼ばなければならないはずなのに、それを忘れてしまう程のクズさんのオーラに兵士が奮い立つ。

 

「お待ちしておりました。こちらで会議中です。」

 

兵士が扉を開けてくれた為、俺達は入っていった。

 

「尚文!傷はもういいのか?」

 

「ああ、錬。俺はもう大丈夫だ。」

 

その尚文が退院したことよりもクズさんの方に注目が集まる。

 

''アレは本物か?''と。

 

「ワシも参加させてほしい。メルティよ、会議を続けてくれ。」

 

「は、はい!」

 

メルティにとっては実の父だが最近までは愚王の面ばかり見てきた為、違和感があるのだろう。

 

「それでは続きを。」

 

そこから壁のボードに次々と書類を貼っていく。

 

そこには勇者達の間で確実とされたタクトが元々自分たちと同じような異世界から来た人間だと言うことだ。

 

これは俺も異論はない。

 

銃、飛行機、そしてスチームパンク‥どう見てもこの世界のモノじゃない。

 

俺がよく読む転生モノでも前世の記憶を保ったまま転生するのはよくあるもんだ。

 

まさか、それを目の前で見ることになるとはな。

 

「して、フォーブレイの飛行機とやらは何機来るんじゃ?」

 

「5機です。」

 

「5か。して勇者殿に聞きたい。飛行機に対する情報はないか?例えばお主らの世界ではどういう扱いだったかとかじゃ。」

 

「飛行機‥私の国では戦闘機と呼ばれておりました。戦闘機にある装備として機銃と爆撃ですね。しかし飛行機にも弱点はあります。」

 

こうして作戦会議を進めて解散となった。

 

俺は自身の街に戻り、会議を開いた。

 

そこでは街から傭兵部隊をメルロマルクに派遣すること、一部は街が襲撃された時用に残しておくことが決まった。

 

そうして決戦当日。

 

俺は広場に住民全員を集めて演説をした。

 

本来ならエクレールの仕事だが、俺が任せられた。なら‥あれしかなかろう。あの台詞を拝借するとしよう。

 

「おはよう。」

 

「今から6時間後、我々はこの世に生を受けてからの今までで最大の作戦をスタートすることになる。」

 

「この世界に生きる者。人間、亜人、魔物。我々は人種の違いを乗り越えて1つの目的のために結ばれる。」

 

「君達は自由を勝ち取り今ここに生きている。しかし我々は再び自由のために戦う。」

 

「圧政や弾圧から逃れるためではなく、生き延びるためだ。我々が再びこの地で生きていく権利を守る為に、勝利を手にしたいなら。」

 

「今日のこの日は!世界を脅かす者達に対して我々が!断固たる決意を示した日として記憶されるだろう!」

 

「我々は戦わずして滅びはしない!我々は生き残り、存在し続ける!」

 

「それが今日!そしてこれからも讃え続ける!我々が自由を手にする日だ!」

 

 

メルロマルク城にて。

 

俺達が移動してからすぐクズさんの戦前の宣言となり俺は慌てて列に入った。まあ、少し遅れる事は伝えていた為、問題はない。

 

現在、クズさんが壇上に立ち、話をしており、もう終わる所だった。

 

「伝令からの報告によると現在のこちらの被害は砦が一つ落とされただけ。だがそれは想定内じゃ。皆の者、用意はいいか!」

 

「はい!」

 

今回はフォーブレイとの戦争と波が同時に来ている為、戦力を分散することになった。

 

タクト戦は俺と尚文と錬、波には元康と樹だ。クズさんは城に残って全体の指揮だ。きっと賢王ぶりを発揮してくれることだろう。

 

うちの傭兵部隊も3つに分け、タクト戦、波、俺の街と分かれてもらった。

 

数時間後、タクトは奪った砦から戦況を見ていた。

 

砦から見えるメルロマルクの城下には至る所からモクモクと黒い煙が立ち上っている。

 

「報告です!」

 

伝令がタクトの部屋に来る。

 

「タクト様が命じられた降下作戦は成功です!奴ら、勇者を波の方に多く分散していたようです。現在街に残っていた勇者が応戦していますが、依然こちらが有利なのは変わりません!メルロマルクが陥落するのも時間の問題かと。」

 

「ハッハッハッハッ!!!!成功だ!俺達に楯突くのが悪いんだよ!」

 

タクトが高笑いをあげていることで取り巻きの女達も共に喜ぶ。

 

「ーーーーーまあ、嘘だけどね。」

 

「は?」

 

伝令達が後ろから漂ってきた煙に包まれる。そしてそれが晴れた時には伝令達の姿はなく、俺達の姿があった。

 

作戦はこうだ。樹が闇ギルドへのコネでフォーブレイの伝令の装備を人数分集めてもらう。フォーブレイはかなりの歴史ある国だ。装備くらい手に入れるのは容易だ。

そこに俺のブラッドスタークの能力で顔や体つきを変えて、ラフ種達の力で匂いや気配を偽装する。

 

じゃあ、メルロマルクの城下に立ち昇る黒い煙は、なんだって?

 

アレは全部飛行機が撃墜された煙だ。

 

俺たちがグラウェイク鉱山から取ってきた巨大な鉱石をクズさんが上空に浮かべて、それをラフ種達が見えないようにする。これで空爆は封じ、機動力も奪う。

 

俺がブラッドスタークの変装でフォーブレイに潜り込んで確認してきたが、飛行機といってもチャチなものだった。それに戦闘機じゃないタイプしかない為、急旋回なんてできるわけがない。

 

ならば、落下傘部隊を展開するだろう。そこで兵士達や、うちの傭兵部隊の出番だ。鉱石の上に乗ってもらって上から風魔法や矢の雨を降らせる。

 

万が一、撃ち漏らして着地されても下にも兵士たちや、うちの傭兵部隊が待っている。なす術もなくやられるだろう。

 

そして俺の街にもフォーブレイの空挺部隊が向ったらしいがセバス主導のもと、同様にラフ種の力で消した鉱石を浮かべ、上と下から狙い撃つことで被害はゼロに抑えられた。まあ、メルロマルク城下を襲撃してきたのと比べてほんの少ししか来ていなかった為、殲滅は容易だったようだ。

一部を捕虜にする余裕もあったようだ。

 

「つまりお前は終わりだ、タクト。残念だったな。」

 

「クズが言ってたぞ。お前がとった策は自分が考えた中で最も稚拙な策だとな。」

 

俺と尚文が煽った事でタクトは玉座の椅子を蹴飛ばしながら立ち上がった。

 

「いや?忘れてた。確か君達のもとに内通者を送り込んでんだっけ!」

 

タクトがオーバーなリアクションを取り始めた。

 

「内通者だと?馬鹿げたことを。俺達がそんなもんに引っかかると思うか?」

 

「いやいや、いるんだよ。一人。この際だ。教えてやろうか?うん?」

 

 

「それはな‥」




因みに来人の演説ですが完全にインディペンスデイのオマージュです。

変身
ブラッドスターク
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