「う‥うぅ‥」
俺は意識を取り戻した。
体がある。俺は細切れにされて死んだはず‥
「気がついた?」
声がした為、俺は辺りを見渡す。
辺りを見渡して分かったが、ここは俺が最初に来た場所。女神の部屋だ。
「よかった‥完全に消滅させられる前に、ここに連れて来れて。」
「‥ターニャ?何故ここに?」
俺の目の前に座っていたのは女神ではなく、ターニャだったのだ。
「え?あ‥姿戻してなかった。」
「コホン。ある時は貴方を転生させた女神、またある時は没落した家の元盗賊。」
「それが私よ。」
「‥‥‥‥」
「あれ?反応が悪い。」
「おい、一応確認しとくぞ。あれはお前とは関係ないんだな?」
俺がそう言うとターニャは怒った顔をする。
「一緒にしないで。あんな邪神なんかと。」
「そうか‥すまん。」
「ターニャは元々死産の予定だった。でも私がその子になりかわった。私の半身を送り込んだの。そこはアイツと一緒かもね。」
「それよりも。アイツは強い。私が介入してもいいけど、勝てない。それに滅多に表舞台に出てこず、いつも裏から糸を引き、その世界を操ってきた。いつも足取りを掴めた頃にはその世界は滅ぼされた後だった。」
ターニャは悔しそうに拳をギュッと握る。
「少し私の話をするわ。私は以前は違う世界の神だったの。でもある日メディアが攻めてきた。私は必死になって世界を守ろうとした。神として出来るギリギリの介入までしたわ。でも奴には及ばなかった。傷を一つだけ、つけるのが精一杯だった。」
「貴方でも勝てるか分からない。」
「だから貴方には選択肢を与える。1つ目は記憶を保ったまま元の世界に戻ること。世界を救った訳じゃないけど、それほどのことを貴方はした。何か一つ願いを叶えて戻すわ。」
「2つ目は記憶を消して元の世界に戻す。ここでの記憶は綺麗さっぱりなくなるわ。」
「なあ、その選択肢だが‥3つ目はないか?」
「3つ目?」
「ああ、この世界に残ってあの腐れ外道をぶっ潰すってやつはよ?」
「ふふ、やっぱりそれを選ぶと思ったわ。一つだけ勝つ方法がある。ウェポンブックで未解除のページを開いて。」
俺は言われたとおりにそのページを開く。
「これだろ?こいつだけどうやっても解放されないんだ。」
「それは特殊条件を達成しないと解放されないわ。」
「1つ目はブックの全ライダーを解放。2つ目は魔王のエキスを摂取すること。」
「1つ目はクリアしたが2つ目はどうするんだ?どこから‥」
「貴方はすでに持ってる。」
「は?」
ターニャは立ち上がり俺のところまで歩くと俺の左肩に指を当てる。
左肩‥?あ!そうか!
「リュウジか。」
「そうよ。あの時、貴方は彼に深々と剣を突き立てられたわよね?あの時にエキスが入った。そして3つ目は私の力よ。」
「今からそれを唱えるわよ。」
「いくわよ。時を司る王よ、全ての頂に君臨する者よ。女神ターニアが命ず。最善最高の王として、かの者に力を与え給え。解放!」
その時、俺の体の中の何かが駆け巡るのが分かる。
「うぐっ‥」
「耐えて。貴方ならできる。」
「はぁ‥はぁ‥」
「成功よ。ウェポンブックを見て。」
そこには最後のページに色がつき、新たなライダーが解放された。
「貴方のウェポンブックは常に進化する。終わりはない。」
やっと解放できた。しかし俺はふと気になった事があり、聞いてみた。
「気になったことがある。何故俺は鎧と鏡の武器を2つ装備できている。」
「それは‥貴方が女神によって召喚された存在だから。厳密には違うけど‥その面だけ見たら、ある意味貴方は波の尖兵でもあるわ。でもこれだけは言える。貴方はあんな下劣な存在ではないわ。」
「そうか、俺が波の尖兵じゃない事が知れただけで良かった。俺はアイツらに良い印象は一つも持ってない。」
「じゃあ、戻すわね。貴方は力を手に入れた。でも油断しないでね。」
「任せろ。」
俺は椅子から立ち上がり、再び扉を開けた。
ーーーーー
「ライトを‥ライトを返せぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
エクレールは来人を失った悲しみから一心不乱に刀を振り回していた。
「この身が滅ぼうとも!!!!メディア!!!貴様に!貴様に一矢報いてやる!!!!」
「やれやれ、そんなに会いたいなら会わせてあげるわ。」
メディアがエクレールの死角からレーザーを撃つ。
だが、そのレーザーが当たる事はなかった。
突如、軌道上にブラックホールが現れ、レーザーを吸い込んだのだった。
「なに!?」
「このブラックホール‥まさか!」
「残念だったな、メディア。俺は殺せないぜ?」
「ライト!」
「どうやって‥確かにお前は消したはず‥」
「この世界に絶対はない。ただそれだけだ。」
「くっ‥まあ、いいわ。今日のところは退くわ。また明日よ。」
そう言うとメディアは赤い亀裂を生み出し、その中に転生者達を入れると消えた。