鎧の勇者の成り上がり   作:JOKER1011

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第9話

次の日、尚文と来人は朝食を食べていた。

 

「普通に味がする‥」

 

「良かったですね。ナオフミ様!治ったんですね!」

 

「え?お前味覚障害だったのか?」

 

「ああ、ストレスからくるやつだな。味付けを濃くしたらなんともないくらい軽かったけどな。だが治ったみたいだ。だが一番驚いてるのはラフタリアのことだ。お前いつのまにそんなに成長したんだ?」

 

「もう!鈍感すぎです!」

 

「ははっ!ちげえねえ。そうだな、これだけやってもらったんだ。もう尚文はラフタリアに足を向けて寝られねえな。」パクッ

 

「うん?」パクッ!

 

「嘘だろ‥」

 

「どうした?来人?」

 

尚文は首を傾げながら飯を食う来人を見て不思議がる。

 

「味がしねえ‥」

 

 

朝食後に調べたが、俺が味覚を失ったのは恐らくプトティラコンボに変身したからだった。そういや、映司も作中にグリード化が進んで味覚がなくなってたよな。鏡見たらちょっと目が紫っぽいし。

 

副作用あんのかよー ってか、いつ治るんだよ。

 

味がしない朝食を食べ、謁見の間に移動した。

 

「では今回の波までに対する報奨金と援助金を渡すとしよう。」

 

王の声で金袋を持った側近が現れる。

 

「ではそれぞれの勇者達に、だが鎧の勇者の来人殿と盾の勇者は前回の件で未だに執行猶予のままなので援助金はない、忘れたとは言わぬよな?来人殿?」

 

「ああ、忘れてねえよ。それより元康の分をもらおうか。」

 

「うぐ‥」

 

「本来、元康殿に渡る報奨金と援助金の銀貨4000枚は大変遺憾だが、来人殿に、次に錬殿、やはり波に対する活躍と我が依頼を達成してくれた報酬をプラスして銀貨3800枚、そして樹殿……貴殿の活躍は国に響いている。よくあの困難な仕事を達成してくれた。銀貨3800枚だ。」

 

「うん?困難な仕事?樹、なんだそれは?」

 

「え?知らないんですか?僕たち勇者は度々王様からの依頼で魔物退治や治安維持をしているのですが‥」

 

初耳すぎる‥

 

王も樹に対して余計な事を言いやがって‥といった顔をしている。

 

「なんじゃ?来人殿?そなたもやりたいのか?」

 

「ああ、あるなら受ける。」

 

「ほう、ならば‥何かあるか?」

 

「はい。」

 

近くに控えている大臣に伝えるとペラペラと書類をめくりだす。

 

「これなんてどうでしょうか?」

 

「ほほう、これか。」

 

「よし、では来人殿には盗賊退治を命じる。奴らは度々、略奪を繰り返しておる。幸い、死者は出ておらんが、いつ出るかも分からぬ。それを退治し、証拠品を持って参れ。」

 

「は!かしこまりました。」

 

城を出て、尚文に貰った金の半分を渡した。

 

「いいのか?」

 

「当たり前だ。」

 

「すまん。」

 

「謝んじゃねえよ。いつか何かしらで返してくれたらそれでいいから。」

 

「さて、こっからまた別行動だ。じゃあな。」

 

「ああ、がんばれよ!」

 

尚文一行と別れて俺たちは路地に入る。

 

「さて、俺は今からあるところに行く。お前らは武器屋で待っててくれ。」

 

「分かった。」

 

さて、俺は‥

 

トランスチームガンを使って場所を移動した。

 

 

来人が移動したのはメルロマルク城の地下牢。

 

メルロマルク内での罪人が収容される施設。施設内は所々ボロボロでチョロチョロと小さなネズミのような魔物が走り回っていた。

 

ここに用がある。なにせ、女神から渡されたメモにここにいるエクレールと名乗る女騎士を助けて仲間にしなさいって書いてあるからな。

 

やっちゃうか。

 

でもなー ゲームだったら、たまに期限付きクエストってあるじゃん?

 

あれみたいな感じで時間切れとかないよな?

 

俺はパラドクス パズルゲーマーに変身、透明化を使って探索を開始した。

 

「地図くらいあればいいんだけどなー 」

 

「あ、いた。」

 

 

そこには女性が1人繋がれていた。両手を手枷で繋がれ、無理矢理立たされた状態で。いつからそこでそうしていたのかは定かではないが、ストロベリーブロンドの髪は乱れ、整った顔立ちにも、少しやつれた感じが見て取れる。

 

だが、そのような状況になってなお、目は死んでおらず、しっかりと見開かれていた。

 

「女王が帰還するまでの辛抱だ‥それがいつになるかは分からぬが。」

 

「やあ、君がエクレール・セーアエットかい?」

 

「誰だ!姿を現せ!」

 

「ここだよ。」

 

俺は透明化を解いて姿をあらわす。

 

「な!?化け物!どうやって入った!」

 

「化け物じゃないのに‥俺はれっきとした人間でこれは鎧だ!」

 

そう言いながら変身を解く。

 

「人間‥?」

 

「人間だよ。そして勇者だ。」

 

「勇者だって!?

 

「ああ、ある人から頼まれて君を助けに来た。今すぐ出よう。」

 

「確かにな、これを逃したら次はいつ助けが来るか分からん。ならば乗ってやる。」

 

「決まりだな。じゃあ、まずここから出ないとな。」

 

そう言いながら鏡になるものを探すと、水たまりを見つけた。

 

そこにカードデッキを出し、構える。

 

すると水たまりからベルトのバックルが飛んできて、腰に巻きついた。

 

「変身!」

 

カードデッキを挿し、仮面ライダーシザースに変身した。

 

カードを二枚抜き取り甲召鋏シザースバイザーを開き、二枚カードを入れる。

 

アドベント!

 

ストライクベント!

 

自分の隣に契約モンスターボルキャンサー、右手にボルキャンサーのハサミを模したシザースピンチを装備する。

 

「やれ!ボルキャンサー!」

 

ボルキャンサーは両手のハサミを振り上げると、檻に体当たりをし、破壊してしまった。

 

「さて、次は手枷だな。動くなよ?は!」バギン!

 

手枷を真っ二つに破壊したところで物音を聞きつけて兵士達が駆けつけてきた。

 

「な!?侵入者か!」

 

「化け物だ!!!」

 

「来やがったな!ボルキャンサー!足止めを頼む。但し殺したり、捕食は無しだ!やれ!」

 

ボルキャンサーが兵士達の方に走って行ったのを確認し、来人はエクレールの手を引いて鏡、もしくはガラスを探す。

 

 

「あ!あった!」

 

地下水によって出来た水たまりを見つけた。

 

「エクレール!絶対何があっても俺が良いと言うまで手を離すなよ?いいか!」

 

「ああ!」

 

俺はその声を聞いてしっかりエクレールの手を握り直すと水たまりに飛び込んだ。

 

 

 

その頃、来人の仲間達は武器屋で待っていた。

 

「「「‥‥‥」」」

 

「‥‥‥なあ、気まずいんだが。いやな?お前らだから別に待ち合わせ場所にしてくれるのは、こっちとしてもいいんだよ。だけどな、せめて武器を見たりとかしててくれよ。他の客が不審がってるだろ?」

 

エルハルトは苦言を言う。

 

「それについては申し訳ない。」

 

その時、店に置いてあった鏡から仮面ライダーシザースに扮した来人とエクレールが飛び出す。

 

「はあああ!!??誰だ、お前!どっから入った!」

 

「すまんすまん、俺だ。」

 

そう言いながら変身を解いた。

 

「ああ、もう手を離していいぞ。」

 

「なんだ、あんちゃんか‥ってならねえからな!てか、次はどこから連れてきたんだよ。」

 

「ああ、聞いて驚くなよ?今度は城の地下牢だ!」

 

「‥はぁ‥あんちゃんの事だから何か事情があるんだろうけど、犯罪だぜ?それ。」

 

「人助けと言ってもらいたい。」

 

「はぁ‥あんちゃんがここに新しい仲間を連れてくることに慣れそうな自分が嫌になる。」

 

「はっはっは!慣れる慣れる!それよりエルハルト。両手直剣をくれないか?」

 

「ああ、そこで戸惑っている女性にだろ?ちょっと待ってろよ。」

 

エルハルトは奥に入っていった。

 

「ここはどこなのだ!」

 

「ここ?武器屋。」

 

「武器屋‥」

 

「ほれ、この中から選んでくれ。」

 

「ああ、どれ選んでもいいぞ?払えるし。」

 

「そ、そうか?じゃあ‥‥これで。」

 

エクレールは銀鉄製の直剣を選んだ。

 

「ほれ、鞘とベルトもサービスしてやる。」

 

「毎回悪いな。サービスしてもらって。」

 

「いいんだよ。がんばれよ。」

 

店を出て、みんなにエクレールを紹介する。

 

「この人は新しく仲間入りしたエクレールだ。みんな仲良くしてくれ。」

 

「私はメルロマルク国騎士のエクレール・セーアエットだ。よろしくお願いする。」

 

「ピーターです。よろしくお願いします。」

 

「ナーガだ。よろしく頼むぜ?」

 

「ミコよ。女子同士仲良くしましょ?」

 

 

「さて、みんな今から俺たちは盗賊を討伐しに行く。各自怪我がないように無理しすぎないように頑張りましょう!」

 

「「「「おーーー!!!」」」」

 

「お、おー!」

 

 

1週間後‥

 

「ええと‥地図の通りだと‥ここだよな?」

 

「ああ、ここだとおもう。」

 

エクレールの先導のもと、洞窟にたどり着く。

 

見張りが二人いるな。よし!

 

「よし、ナーガ。眠らせてこい。」

 

「わかった。」

 

「たあ!」

 

ナーガは走りだすと棒を振り上げ、飛びかかった。

 

「な!誰d‥」

 

「チェストー!」ドムッ!

 

「おま‥!」

 

「とりゃ!」ドムッ!

 

ナーガが繰り出した棒で二人とも腹を突かれ、昏倒した。

 

「どうよ!」

 

「ナイスー!」

 

ナーガとハイタッチをする。

 

中に入っていくと盗賊団が何人もいる。

 

「ピーター、目測で何人くらいだ?」

 

「ええと‥ひぃ、ふぅ‥100ですな。」

 

「100か。一人20人だな。」

 

「やれます。」

 

「楽勝だ。」

 

「簡単ね。」

 

「まあ、なんとかなる。」

 

そう言いながらピーターは目と鼻を覆う仮面を着ける。

 

実はこの前、俺が変身してる姿を見て、ピーターが欲しいと言ってきた為、作った逸品だ。

 

まあ、あれからみんな欲しいと言ってきたから徐々に作っていく予定だ。

 

俺たちは横に広がって歩いていく。

 

それに気がついたのか、盗賊たちが武器を取り出して威嚇し始める。

 

「なんだ、アイツら!」

 

「おい、見張りはどうした?」

 

「やられたから入ってきてんだろ?」

 

「ちげぇねえや。」

 

 

「一体なんの騒ぎ?」

 

この場には似つかわしくない女性の声がして、100人の盗賊たちがサッと横にずれる。

 

それにより出来た間を二人の男女が歩いてくる。

 

「やあ、ここに何の用だい?」

 

「俺達はお前らを捕縛しにきた。大人しく捕まってもらおうか。」

 

「嫌だね。」

 

「だよな。良いよって言ったら俺も困惑してたよ。」

 

「だよね。あたしだってそんな素直な盗賊いないと思うよ?」

 

「「はっはっはっは!!」」

 

「ライト。何を普通に談笑してるんですか。」

 

「リーダー、敵と打ち解けるのが流石に早すぎです。」

 

俺はピーターに、盗賊団のリーダーは隣の男に怒られていた。

 

「気をとりなおして‥あたしはここのリーダー、隣は副リーダーだよ。悪いけどアンタの要望を飲むわけにはいかない。」

 

「だから、あたしを捕まえたいなら1対1のタイマン勝負をしようよ。あたしが勝てばアンタらは有り金全部と装備やアイテムを全てあたし達に譲渡して、もう二度とあたしらに関わらないこと、あたしが負けたら‥大人しく捕まるよ。」

 

「分かった。ルールはどうする?」

 

「①勝敗はどちらかが降参するまで。②もちろん戦う者以外の攻撃や介入は禁止で破ったら負け。でいいね?」

 

「構わない。」

 

「こっちからは、もちろんあたしだけど、そっちは?」

 

「俺だ。」

 

「だよね。じゃあ、やる?」

 

「ああ。」

 

俺と盗賊団のリーダーは対峙する。

 

「あたしの名はターニャ。ここの盗賊団のリーダー!」

 

「名乗りがあるのか。俺はライト・ダテ。鎧の勇者!」

 

「へえ、アンタ勇者なんだ。今までで一番手強そうだね。」

 

「そりゃどうも!」

 

俺はスクラッシュドライバーを巻き、ボトルを捻る。

 

デンジャー!

 

不安を煽るような待機音を鳴らしながらボトルを挿す。

 

クロコダイル!

 

ちゃんと音声が鳴ることを確認してレバーを倒した。

 

割れる! 食われる! 砕け散る!

 

クロコダイルインローグ!

 

オラァ!

 

キャー!

 

 

「大義のための犠牲となれ」

 

俺はトランスチームガンを手にして構える。

 

「戦う前に聞きたい。お前はなぜ人を襲う。」

 

「理由?あたしは好きで略奪をしてる訳じゃない。''家族''を養うためさ。私の家は元々あるお方に仕えていたんだけど、冤罪をかけられて一家離散さ。それからはあたしみたいに、世間からはみ出した者達を集めた。居場所を作りたかったのさ。みんな!手は出さないでよ。万が一あたしが負けても。」

 

 

「それじゃあ、いくよ!」

 

そう言うとターニャの姿が消えた。

 

「出た!リーダーの十八番!」

 

盗賊達が騒ぎ立てる。

 

そして姿が現れる。

 

「へっへっへ!これなーんだ!」

 

手にはいつのまにかトランスチームガンが握られていた。

 

「ほら!武器奪ったよ!これでk‥」」

 

ドン!!

 

ローグはネビュラスチームガンの射撃でトランスチームガンを弾いた。

 

弾かれた銃は宙を舞い、ターニャの後ろに落ちる。

 

「これで‥なんだって?」

 

「へー、やるね。」

 

そう言うと腰からナイフを抜き、逆手に構える。

 

「やあああああ!!!!」

 

ナイフを振り上げ、走ってくる。

 

ネビュラスチームガンを撃つが避けられ、ナイフの射程範囲に入った時、ターニャは煙のように消えた。

 

「な!?‥‥そこか!」

 

俺は咄嗟に頭を下げると、そこをナイフが通過していく。

 

「避けれるんだ、それ。おもしろそ!」

 

それからも壁や石を蹴りながら飛び上がり、斬りかかってくる。

 

「ふん!」ドムッ!

 

「ガハッ!」

 

いい加減痺れを切らした来人の回し蹴りが腹にヒットし、吹っ飛ぶターニャ。

 

「イタタタ。」

 

「喰らえ!火遁!火竜撃!」

 

印を結ぶと口から炎を吹き、それが竜の形をなすと来人に襲いかかる。

 

来人はクロコダイルクラックボトルをネビュラスチームガンに装填する。

 

「ファンキーアタック!」

 

銃口から大きなワニの口が撃ち出され、火の竜と押し合いになる。

 

「うおお!!!!!」

 

「はあああああ!!!!」

 

カッ!

 

光ったと思うとエネルギーのぶつかり合いによって大爆発を起こした。

 

煙が晴れると、そこには来人が立っていた。

 

ターニャは大の字になって倒れており、勝敗は一目瞭然だった。

 

「完敗だよ。さあ、煮るなり焼くなり好きにしな。」

 

来人はネビュラスチームガンを向ける。

 

しかし、それを降ろし、背を向けた。

 

「何?殺さないの?」

 

「ああ、殺すのは惜しい。報告では跡形もなく消しとばした事にしといてやるから、真っ当に、立派で誇れる仕事に就け。じゃあな。」

 

「待ってよ!本当にいいの?」

 

「ああ、俺たちは、この近くでキャンプをしてる。それだけだ。じゃあな。」

 

来人は洞窟を出て、歩くがすぐにピーターとエクレールが文句を言う。

 

「ライト。良いのですか?彼女達は殺しはしてないとはいえ、立派な罪人です。」

 

「そうだ、奴らが改心するとは限らない。」

 

「いいんだよ。これで。」

 

 

「まさか、アンタ‥」

 

「ああ、ミコ。そのまさかだ。」

 

「アイツ、おもしれえから仲間になんねえかな〜!」

 

 

その夜。

 

「リーダー、また稼ぐならおそらく奴らがいなくなるであろう5日後くらいからですぜ?」

 

「そうです。それか‥殺さない程度に襲撃しますかい?」

 

「馬鹿を言わないで。言ってたじゃない。立派で、誇れる仕事に就けって。」

 

ターニャはお酒を飲みながら言う。

 

「あたし思うんだ。あの人達、なにか大きな事するんじゃないかなって。」

 

「だからね?今までだったら、そんなこと無視したら良いって思うんだけどね?守らなきゃって‥そんな気がするんだよね。」

 

 

「リーダー、まさか‥」

 

「あの勇者の仲間になる気ですかい?」

 

「‥‥‥」

 

ターニャは黙ってしまう。

 

「待ってください!俺たちはどうなるんですかい?」

 

「俺たちを見捨てるんですかい?」

 

それを聞いた盗賊達が騒ぎ出す。

 

「待て待て、みんな!リーダーに任せろ!な?」

 

「「「「へい!!!!」」」」

 

副リーダーの助け舟により、なんとか騒ぎは収まった。

 

酒が入った事もあり、皆がぐっすりと寝静まった頃、ターニャは寝床から起きると、部屋を出る。

 

少し歩いて洞窟内の奥にある泉にたどり着く。

 

ここは夜になると星が泉の水に映り、キラキラと水面が光りだす。ターニャにとっては安らぎの場所で何かあるたびにここに来ていた。

 

ターニャは懐中時計を開き、魔力を込める。すると蓋の裏に貼られた絵が炙り出しのように浮かび上がる。

 

それは父、母、兄、姉、自分が描かれた絵だった。

 

実は来人の前では一家離散と言ったが本当は家族は自分以外殺されてしまったのだ。

 

自分は当時の屋敷の執事長に助け出され、逃げ延びた。

 

「パパ‥ママ‥お兄ちゃん‥お姉ちゃん‥あたしどうしたら良いんだろう‥」

 

返事が返ってこない絵を見ながら一人か細い声で呟く。

 

「ここにおられましたか、ターニャ様。」

 

久しぶりに自分の本名を呼ぶ者の声がして流れた涙を拭いて顔を上げる。

 

「セバス‥‥」

 

副リーダーだった。

 

「私はあの日、息絶える寸前の旦那様から最後の命令としてターニャ様を託されました。ご存知とは思いますが、元々私は行き倒れていたところを先代の旦那様に拾われ、そして次代の‥ターニャ様のお父様にも長年お仕えして参りました。私はターニャ様の為ならば何でもする所存です。」

 

「セバスには、本当に助けられたよ。あたしに戦い方を教えてくれた。全てを無くしたあたしを慕ってくれる家族もできた。あたしは、みんなが好き。でも‥あたし‥」

 

「自分に素直になってください。あなたがしたい事をすれば良いのです。」

 

 

次の日、来人達は野営の荷を片付けていた。

 

「本当にいいんですか?捕まえなくても。」

 

「うん。」

 

「まあ、ライトが決めた事なら従うさ。」

 

「私も。」

 

「私もだ。」

 

「さあ!出発だ!」

 

「待ってください。」

 

自分たちを呼び止める声がして、振り返る。

 

そこにはターニャと副リーダーのセバス、全団員が来ていた。

 

ザッ!

 

来人以外の仲間が咄嗟に武器を構える。

 

「待て。」

 

来人は武器の構えを解除させると一人で前に出る。

 

「どうしたんだ?」

 

「あたし‥あなたの仲間になりたい。」

 

「おいおい、真っ当な仕事に就けとは言ったが、別に俺の仲間になれとは‥」

 

「分かってる。」

 

「でも、あたし貴方と戦って楽しかった。家族と暮らしてる時も、もちろん楽しかったけど、それとは違った楽しさがあった。」

 

「だから‥だから‥」

 

ターニャは俯く。

 

「じゃあ、来いよ。」

 

「え‥?」

 

「俺たちと行こうぜ?」

 

「いいの‥?」

 

「もちろん。」

 

「ありがとう‥」

 

ターニャは目をグッと拭くと、笑顔で家族の方を向く。

 

 

 

「ターニャ様、こちらを。」

 

セバスは一本の短剣を手渡す。

 

「これは、ご主人様がいずれターニャ様が一人立ちするであろう時の為に用意しておりました。持っていってください。」

 

「ありがとう、セバス。元気でね?」

 

それから全体を見る。

 

「あたし、ちょっと行ってくる!」

 

「「「「「「リーダー!!!!行ってらっしゃいませ!!!!!」」」」」

 

部下達の声に見送られ、駆け出す。

 

「歓迎するよ。俺たちは家族だ。」

 

「うん!」




ターニャ
モデル こ◯すばのクリ◯。盗賊団のリーダーをしている。部下はセバスを除いて100人。

セバス
モデル グ◯ブルのセ◯スチアン

変身
パラドクス パズルゲーマー
シザース
ローグ
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