GOD EATER「Past you and Now I」 作:Pumpghost
せっかくお気に入り入り登録して下さった方々、申し訳ございません!たとえ一週間2回とはいえ、23:00は遅すぎました!
とにかく、すみません!
『迎えのヘリの到着を確認、どうぞ。』
「おう。」
贖罪の町を一望できる丘でヘリが合流、フライアへ戻る。
「……なあ、ギル、」
「ん?」
「ガルムと交戦した事、あるか?」
「せいぜい二度位。」
「少ないね。」
「ま、グラスゴー支部はそんなに大型のアラガミは出なかったからな。他の支部への遠征に行った時に、な。」
「グラスゴー支部……」
えーと、グラスゴーって確か昔はイギリスって国の領域だっけな。
「んで?どうした?」
「ああ、あいつの鳴き声なんだけど、聞いて頭痛がするって事とかあったか?」
「頭痛?ないな。あるのか?」
首を縦に振った。
「ミッションに支障が出るぜ?それだと。」
「何かいい案はある? 」
「そうだな……ヘッドホンは知ってるか?」
「音楽を聴く端末ってのは。」
「最近は外部の音の周波数を変えて聴かせる物もあるらしい。そんなもんどうだ?」
「へえ、そんな優れ物なのか。今度探してみるか……」
「まあ、根本的な頭痛の訳を無視するけど、いちいち調べてられねえだろ。」
「だな。」
一ついい情報を得た。後でフランさんにじっくり聞いてみよっと。
* * *
「さーて、次のミッションまで休憩っと。何か食わないか?」
「悪りい。例のヘッドフォン探してみる。あと任務報告も。」
「おっと、そうだな。」
「……ブラッドというのは、君たちか?」
対話に夢中で通り過ぎた後ろから、初耳の声がした。振り向くと、やっぱ見たことのない男だ。身に引き締まる様な……貴族?を思わせる服装。巻き毛の金髪、どうも近くの地域の出身ではない顔をしている。
「ふっ、緊張するのも無理はない。だが安心したまえ!この僕が来たからには、心配は完全に無用だ。」
とりあえず話しながら体をそこまで大げさに動くのは辞めてもらえませんか?
「おっと、失礼した。」
それは気づいて頂いて何よりです。
「僕はエミール、栄えある極東支部の第一部隊所属、エミール-フォン-シュトラスブルクだ!」
あわわ……予想はしたがかなり長い名前だぞ、これ。
「そーか、よろしくな。」
おい、ギル、そんな態度で良かったのか。丁寧に接しようと色々考えてた俺がアホらしくなってくるぞ。
「このフライアはいい船だね。実に趣味がいい。しかーし!その美しき祝福すべき航海を妨げるかのように、怒涛の様なアラガミの大群が待ち受けているという……」
表現がいちいち気に障って聞いてられない。あーつまり、援助に来ましたと言いたいみたいだ。
「……いても立ってもいられなくなったのだ!」
そこでいきなりこっちを向かないでください。返答に困りますよ、貴族出身の超長名称の誰かさん。
「あ、はい。」
「そういうわけで、君たちには僕が同行するよ。まさに、大船に乗ったつもりでいてくれたまえ!」
最初からそう言ってくれるとすごく助かるんだが、てか大船って、相当腕に自信があるようね。
「はあ。」
「共に戦おう!人類の輝かしき未来のために!」
「あ、はい。」
「我々の勝利は、約束されているー!」
そして去って行く……ああ、怠かった。
「……ややこしいのが来たな。」
「俺、ああいう人苦手。」
「否定はしない。」
「熱過ぎる。とにかく肯定してあげた方が早く済むんだよな。」
「逆効果を招く事だってあるぞ?」
「そん時は全力で逃げる。」
ま、あれ程自負感溢れる人だ。少しでも戦力補充になってくれるならそれでいい。それ以上は結構だ。
「それじゃ、フランさんに任務報告してくるから。」
「お、わりい。」
* * *
面倒な紳士の相手の次に、適当に任務報告のレポートを書かされ、ついでにヘッドホンのことも聞いて見た。そこでありがたいことに、フランさん自ら探してくれるという話になった。
「あ、稀羅お疲れー!どうだった?」
「ま、2日休んだくらいでは死なないってことは気づいたよ。」
突撃隊のナナたちは先に帰ってきたらしい。ナナはロビーのソファーでまたパンを齧ってた。
「そっかー、あたしも結構楽だったよ。やっぱ隊長がいる事だけでも違うのかな?」
隊長が頭を抱える発言を思いっきり吐くことは気にしないでおこうか。
「そっか、特にチーム内での問題はなかったみたいね。」
「うん、このままで行けると思うなー。」
「ただいまっす。」
突撃隊もう一人のロミオさんが来た。いけない、さっきのあの野郎とかぶる所が色々あるぞ?
「あ、お疲れ様です。そういやロミオさんはどうです?今の部隊に何か意見とかあります?」
「いや、特には。むしろ行けるじゃん?第一、あの暴力ゴリラと別ならなんでもいいぜ。」
殴られたのまだ根にもってるみたいねこの人。
「でもロミオ先輩って、あんまり攻撃しないんだよねー、あんな立派な神機持ってるのに。」
「う、うるさい!様子を見るんだよ。奴がどれほど強いか。」
「いや、むしろ見過ぎじゃありません?大体感はあるんじゃないっすか?」
なんだかナナとこうしてロミオさんをいじるのが結構楽しい。反応が面白いというか。
「だいたいお前らさあ、前に突っ込み過ぎなんだよ。もうちょっと敵の動き見極めてからさあ、」
「ええー?ロミオ先輩がビビりすぎなだけなんじゃない?」
まさかの発言にちょっときてしまったナナがロミオさんに迫る。
「ちょ、ナナ近いよ?うわっ!」
「おいちょっと!」
「きゃっ!」
転けそうになったロミオさんを受け止めるあまり、後ろの人に気づけなかった。慌ててロミオさんを立て直して振り向くと、一人の女の子が立っていた。
「ああ、すみません。」
「すみません……うわっ!」
ロミオさんはその女性を見てすごく驚いた様子だ。まあ、確かに彫刻みたいにとても綺麗な顔に、流れるブラウンの髪の女性ではある。ってあれ?歳は……さほど変わらないみたいけど。
「全く貴様らは……ユノさん、本当にすみませんね。」
そこで初見の軍服のおっさんが出てきた。黒茶色の短髪に線の太い髭。四角い顎は強い目つきとよく合っていた(あんまいい印象をくれないという意味で)。軍服についた各様各色の勲章とやらが、地位の高い人だと思わせた。でも……結局誰だ?このおっさんも?
「いえ、そんな。」
「ふふっ、あまりロビーでははしゃぎ過ぎないでね?大事なお客様にご迷惑でしょ?」
ユノと呼ばれた女の子が慌てて否定する中、またも知らない人が出てきた。真っ赤な長い髪に鋭く整った美顏。どっちかというと大人の女性ってモチーフが強い。勲章のついた白衣からして……研究者とか何かか?
「はーい。すみませんでしたー。」
「こちらも。」
ナナがあまりにも素直に謝るので一応流れる事にした。けどロミオさんはどうもユノという女の子から目が離せない様。彼らが俺らと離れ、エレベーターの方に行く最中もずっと目で追いかけてた。
「あれー、どうしたの、ロミオ先輩?」
「ばっかお前……あれ、あれ、ユノ!」
「ユノ?知ってる。」
いやいや、俺に振ってくれないでよ。って意味で両手あげ。
「マジで?葦原ユノだよ、ユノアシハラ!ちょー歌上手いの、有名人!ああ、くそ!カメラ持ってくればよかった。」
へえ歌手か、よくもこんな時代に……エレベーターの方に目を見やると、ちょうどユノという女の子もこっちを見ていた。目が会うと小さく会釈をしてきたので、こっちも首を動かした。
「ん、まだユノの香りが残っている気がするよ。今日は風呂に入らないようにしとこう。」
今この人が正気かどうかすら分かんなくなってきた。恐るべし、歌手の力。
「えー、先輩、お風呂くらい入ろうよ。」
「いやいや、だって、今日という日はもう二度と来ないかもよ?」
「成る程、そうなんですね。よし、先行こう?」
呆れてしまったのか、ナナは俺に向けて、逃げようって目線で合図した。
「そうね。一人妄想に浸らせた方がいいかもな。」
「おい、まてよー!」
2階に上がりながら、後ろから必死についてくるロミオさんの声に笑いを堪えずにいられなかった。
* * *
「防衛戦の任務は新しく入りましたし、隊長からのリクエストもあります。」
「リクエスト?」
「いわゆるクライアントオーダーと思ってください。」
「すみまません、あの隊長ですから不吉な予感しかしないんですが……」
「……そう仰らず挑戦してはいかがですか?」
「……任務内容ですが……フランさんもう確認済みですよね?」
「……はい。」
「やっぱ他の人に回してください。」
「只今編成メンバーに呼び出しいたします。」
む、無理矢理すぎです。明らかにこの状況楽しんでませんか、フランさん?その不適な営業スマイルがすごく怖いんですけど。
「……た、ターゲットはなんですか?」
「ウコンバサラという、鰐みたいなアラガミです。背中のタービンによる、強力な電気攻撃が特徴です。牙が鋭い顎にもご注意ください。」
「その顎に神機を突き立ててやるのもいいんじゃないですかね。」
「ご自分の手が食われる事を覚悟してから、ですね。」
ダメだ。この人本気で俺をこの任務に送る気だ。
「メンバーは……もうあの人が指定しましたよね?」
「稀羅さん、ギルさん、あと、先程極東支部からの援助に来て下さったエミールさんですね。」
……くそ、頼むから嘘だと付け加えてください。維持張ってでも行きたくないのですが。やばいな。早速面倒な人とミッションだなんて。
「あー、それと稀羅さん、」
「今度はなんですか?」
もうこれ以上やばい情報を聞いたら一気に崩れそう。
「エミールさんもゴッドイーターとなってまだ実践経験浅いらしいです、あの……くれぐれも。」
「後で本部にクレーム入れますんで準備してください。」
そんな奴が来て時点で、是非とも本部のやからの常識レベルを問い出したいものだ。
* * *
「さあ!では早速あの忌々しいアラガミを倒しに向おうではないか!」
「あー、そうなんですけど、」
「どうかしたか?」
始まりから落ち着きそうにない、ウコンバサラ2体討伐任務。ステージは鉄塔の森。ヘリーから降りるなり、すぐさま出撃しようとするエミールさんを危うく引き止めた。
「2体討伐なんで、二組に分かれましょう。俺と、ギル。そして、エミールさんで。必然的に先に終わるのはこっちでしょうから、後にそちらに合流するというのでどうです?」
「うむ、実にいい策ではないか。私は構わんぞ。むしろこちらが先に仕留めてみせよう。」
俺と同じく新人のくせによくも言えるね。
「俺も賛成。んじゃ、奴らが合流する前に行こうぜ。」
「了解。」
人員を適当に補充する本部にとっちゃ、神機使いが死なせなければどうでもいいだろう。ま、死ぬギリギリの状況に持ち込んであの口を黙らせる手もあるけど。
「では参るー!」
黄金のハンマー型神機を携えたエミールさんが待ってましたと飛び出した。こっちも後を続いた。
「俺と稀羅は3時方向、エミールだっけ?あんたは11時方向から索敵。」
「了解。」
「承知した。」
3時方向で角を曲がると、広いフィールドが続いた。とわいえ、ほとんどの錆びてしまった複数のパイプが占めていて、人が動ける範囲は少ない。円柱型の工場施設が数多く植え付けられたこのステージは、遠くから見ると茂った木々に隠れる。名前はそこから由来したかもしれない。変な色に濁った水がステージの中央と、海岸を流れ、鉄製の床や壁とパイプはみんな揃ってどっかしらが錆び切っていた。
「鉄塔の森はでかい楕円形のステージだと思え。で、真ん中に通じる道が2箇所ある。それだけだ。大して複雑ではない。」
「コンパクトな説明でいいね。」
「ここは何度か来たからな。お、早速お出ましか。」
くるっと丸い角を抜けると、十数の小型アラガミがいて、そのさらに奥に、今日の討伐対象が待ってる。
「あれか、あの紫の鰐。」
『稀羅さん、ギルさん、アラガミと接触。ナイトホロウ4体、オウガテイル2体、ザイゴート3体、ターゲット1体。』
さーて、雑魚とはいえ結構の数だ。どこから攻めようか。
「稀羅、上を頼む。」
「この間みたいに、逆がいいとは思わない?」
「突進で地上を一掃するぜ。」
「ちぇ、あのずる技か。分かったよ。」
ギルが槍の部分の装甲を開くと、見覚えある黒いオーラが滲み出てきた。ゆっくりと神機全体を包み始める。ギルの両足が地面から離れた途端、神機ごとギルが複数のアラガミ群を通り過ぎ、周囲のアラガミは体の一部が何処かに消えていった。
『小型アラガミ4体活動停止。続けてください。』
「それ!」
手首のスナップで神機を回し、ナイトホロウの頭を切り落とした。切断面を踏み台にし、空中に跳ぶ。そのまま目の前のザイゴート1体を叩き潰し、その反動で更に宙に登った。
「2……」
こっちを振り向いたザイゴートの目玉に蹴りて足を一部埋めながら、その頭の上に着地。止まらず、神機をその頭に食い込ませてながらジャンプし、宙で浮いた体を更に横回転で神機を抜いて、最後のザイゴートを薙ぎ払った。
「3……4と!」
仕上げに自分の足元まで跳んだオウガテイルに体を踏むことで地面に落とし、落下スピードを載せた神機で盛大な音と共に2等分した。
「5!」
「よくそんな動きできるなおい。」
そう言うギルはもうウコンバサラの開いた口の奥に槍を突き刺し、引っこ抜いたところだ。
「そっちこそ!」
着地した両足でまた地面を蹴り、一気にウコンバサラへ距離を詰めた。
「おい、止まれ!」
こっちの接近に合わせ一歩下がるようにみせたウコンバサラが、急に床を滑り出し前へ突進してきた。
「うおおっ!」
慌てて止まりながらジャンプすると、その下をウコンバサラが瞬時に通り過ぎた。
「びっくりするじゃんかよ!てめえ!」
右腕を捻り、神機を奴に向けてなげた。運がよく刀身が尻尾に当たり、防具としての金具を砕いた。
『尻尾の弱結合崩壊を確認!オラクルはまだ安定しています!』
腕を巧みに使い、素早く回転したウコンバサラは口に電気を走らせ、かぶりつこうと突進。そこをギルがアサルトライフルで銃弾を浴びせ、びっくりするウコンバサラが突進を辞めた。
「ナイス!」
すれ違い様に口に神機を咥えさせ、その牙と歯を全部砕いた。悲鳴を出すウコンバサラを、ギルは容赦無く、神機を奴の開いた口から喉に深く突き刺して動きを止めた。
『ダウンです。オラクル変動広がります!』
「決めろ、稀羅!」
「分かってる!」
チャージクラッシュでやつのタービンごと全体を両断した。噴水のような血飛沫が上空に登る。ウコンバサラは神機を刺されたせいかうめき声一つ出せず、崩れ落ちた。
「……コアもらうぜ。」
ギルの神機のプレデターが何度か口を動かし、収納された。これで1体、と。
「こっちは終わりか。」
『中型アラガミの活動停止を確認。残り1体です。』
「あーらら、以外と呆気ないね。もうちょっと電気使った攻撃見せて欲しかった。」
「これじゃ猫にも劣るもんだな。」
「全くだぜ、はは。」
この間のを思い出して笑っていたら、突然、遠くからエミールさんの叫びがした。
「ぐわああ!」
「ん?くそ、なんだよ?」
「行こうぜ……まだ終わってない。ったく、『先に終わらせよう』だって?」
残り1体を探しに走り出した。
終わった。とりあえず今日は終わった。
(うん、いろんな意味で。)
やっぱ人間って休日だとなまっちゃうもんですね。
(言い訳作ろうと必死)
次は少し早くなるようにします(T . T)