GOD EATER「Past you and Now I」 作:Pumpghost
ま、私の友人はこれが普通、みたいですが…
「1ヶ月前って……むしろどうやって?」
「皆さんがじきにブラッドに編入されることが確定され、その身体データーが送られてきたのが1ヶ月前です。」
「その結果、誰の武器もこの計画表に合わないと。てか何で俺らのデータがシエルの所に……」
妙に赤くなったシエルの顔が縦に揺れた。
「んまあ、それにしてはかなりがんばったね。」
「……へ?」
「いや、少なくとも、ナナがハンマーで、ジュリウス隊長がロング、あとロミオさんがバスターなのはあってる。あと、かなり訓練内容が綿密に書かれてる。実はこれ結構苦労したんじゃないのかな?」
「それは……多少時間がかかりましたが。」
「そうか……お疲れ様とは言いたいね。でもどの道、俺とギルのは組み直した方がいいかもな。」
「今日中に仕上げて参ります!」
あれ?め、目が怖いよ、シエル。
「……あともう一つだけど、」
「何か?」
計画表を渡される前に言うべきだったことをやっと口に出した。
「今、フライアの神機使いは、一丸となって防衛ミッションを当たっている。つまり、この計画表で言う、残り時間ってのはほぼないよ。」
「どういう……ことですか?」
「フライアが今日みたいに複数のアラガミに追われた緊急事態が前にあったのは知ってる?」
何時間か前の風景がちらっと蘇る。ちょっと吐き気がするなあ。
「はい、副隊長が全てのターゲットを撃破なさったと。」
「んまあ、その点はさて置き、あの事件以来、ラケル博士が無理やりミッション再開を本部にお願いしたせいで、全力でこの施設を防衛しなきゃいけなくなったんだ。それで今は6人の部隊を2グループで前衛と後衛をしているよ。」
「私たちは、後衛ですか?」
「そう。それで、いつなにが起きても対処できるように、また危険視されるアラガミを先に排除するため、皆で集まることすらうまくいかない。ましてや座学をできる時間も確保しづらいし。」
「そう……なんですね。」
「せっかくここまで書いてくれたのはありがたいが、少し、今は控えてもらえないかな?」
厳しい訓練メニューではあるが、どれも必要不可欠でぜひ取り入れたい内容ばかりだ。彼女が真剣に組んでくれたのは見なくても明らか。だけど、おそらくこの計画表通りに進めるのは全くの至難の技に近い。
「……ご指摘、ありがとうございます。」
「いや、こちらこそ、なんかごめん。」
「いえ、現状を見極めなかった私も責任です。それでは……」
シエルはこっちに顔を見えないようにしながら手帳を取った。
「この事はなかったことにしてください。」
「え?いや、でも、さすがに消すってことは……」
「お願いします!」
「は、はい……」
「し、失礼します!」
とんでもない早足で退場する彼女を見て、気づかざるを得ない。あのあからさまな態度からして……
「やばい。怒らせてしまった。」
誰もが気づけるだろう。
ーーー
「あ!稀羅!こっちこっち!」
ホールに降りると、ソファーに座ったブラッドメンバーが見えた。中でナナが手を振る。
「どうした?」
ジュリウス隊長と、ナナだけだ。他の人は……
「ああ、稀羅、一つ知らせだ。今回君たちの緊急事態に対する迅速かつ、良好な戦績に、本部からの任務中断予告は取り消された。続いて任務を遂行するように。」
「そういえばあの任務、例の本部からのクレームの引き金になりうるミッションでしたね。」
2度目のフライアがアラガミに被害を負う羽目になると、任務中断期間を延ばすというのが本部の指示だった。
ていうか実際戦っているのはこっちだし、それくらい無視してもいいんじゃないのか?
「どうしたの稀羅?なんかくらーい顔してる。」
「あれ?そう?」
おかしいな。顔にそのまんまでるタイプなのか、俺は。
「先、シエルと何話したの?」
「ほう、それは俺にもぜひ聴かせてほしいものだ。」
「ちょっと、ナナはともかく、隊長も?」
直接聴けば済むだろうに。そんな自分の脳裏に、最後にちらっと見えたシエルの顔が浮かぶ。
「先出てきたシエルは、さっさとターミナルの方に向かってしまって聴けなかった。何かあったのか?」
「いえ、特には。ただこれからブラッドが連携性を重視するためにどうすればいいかについて話したまでです。」
「なるほど、それで?結論は?」
「……お互いもう少し考えて見ることに。」
もちろんながら本当のことが言える訳ない。もはや彼女の心にまで干渉してしまう事になる。
「そうか、答えが出ていないのは残念だな。」
「それで稀羅そんな顔になってたんだ。」
「……そうね。」
やれやれ。一思いがここまで自分を追い込める羽目になるとはね。
「それじゃ俺は次のミッションに備え、神機の強化でもしておくから。」
「うん!今日も頑張ろう!」
ーーー
上の階に登ると、フランさんは見当たらず、先ほど見送ったシエルの背中が目の前にあった。何かを熱心にターミナルに打ち込んでる。静かにその左の端末の前に立った。
「っ!」
彼女も気づいたみたいだ。だが、すぐに画面に目をそらした。こっちも一先ずターミナルを作動させ、神機の強化プランメニューを開いた。
すでに本部からの何度かの援助で、かなり強化された俺の神機はもはや危険度6に対抗できるレベルに育っていた。ただ次の強化に向けて、明らかに素材が足りない。ま、せいぜい5回戦った程度だし、コアの回収も適当の済ましちゃっては、なかなか溜まることもない。できないのがわかった上でも何度もそのリストを眺めた。頭では既に別のことを考えてるが。
「……あのさ、シエル。」
一言がこんなに重いって、嫌になってくるな。
「今度皆で集まって訓練計画表立てないか?」
彼女の背中がビクッとした。
「……どういう意味ですか?」
そこまで警戒なさらなくてもいいのではありませんか……
「だから、その……シエル1人だけに負担かけるのも悪いし、あともし作っても皆の体に合わないようだと……ね?作った甲斐がなくならないかな、と。」
「……わかりました。」
「あ、でももしシエル独自のお勧めプランがあるならそれでもいいよ。だから……」
「?」
……次の言葉が出るまで間が長すぎだよお、おれ。本当に会話能力低いな。
「あまり根に持たないでほしい、それだけだよ。」
「……。」
やばい!何も返してくれない!端末にすがりたくなる。もういっそこのまま自然消滅もいいかなと思う。
『全神機使いへ業務連絡、至急局長室へお集まりください。繰り返します。』
助けなのかどうかわからないが、ホール全体に案内放送が響き渡った。てかまた召集かよ。いい加減勘弁してよ。いくら突飛なことが多いとはいえ、やりすぎな気がする。
「行きましょう。」
シエルは作業途中のターミナルを切っては階段を下りて行った。
「お、おう。」
そして俺はついていく形で。
ーーー
「なあ、この2人、本当に姉妹なのかな?あんま似てないよな?」
局長室ってやらは、一見でも丸わかりの高級素材を惜しみなく使い果たした部屋だった。レッドカーペット、黄金の窓枠、質のいい木材の壁。しかも数々のシャンドリエと光が明るく部屋を照らしていた。
集まった俺らは、先にいたジュリウス隊長の指示に、ドアの前から奥の方に向けて一列に。そこでラケル博士が来て、それから赤い髪の毛の白衣の女性が入ってきた。この人があの時、葦原ユノという人と一緒にいたというのは言うまでもない。
「姉妹なんですか?知らなかったです。」
「無理もないよ。まずフェンリルのトップクラスの人物の個人情報だしな。」
そうやってロミオさんとヒソヒソやりとりしていると、外から声がした。
「一括で設けるからこそ利ざやが取れるんだろうが!そんな弱気でどうする!競合なんて潰してしまえ!」
おや、これはまた葦原ユノさんの前で猫かぶってたおっさんのこと。その隣には顔色から健康が疑われる研究員がいた。
てか競合って、何をやってるんだこの人たちは……。
「おっと、この話はまた後にしようか。」
「けほ、けほっ!」
そこで珍しくナナが咳をする。よく見ると、おっさんの左手に煙草が煙をたてていた。おい、未成年ばかりだ。少しは場を考えろよ。
「ご足労いただき、感謝します。グレム局長。」
まずはラケル博士が口を開く。
「お忙しいところ時間をとらせてしまい、申し訳ありません。」
続いてレア博士という赤い髪の毛の女性も。
「挨拶はいい、とっとと理由を聞かせてもらおうか。なぜ最前線の極東地域にこのフライアを向かわせるのだ?」
極東支部……?みんなが互いをちらっと見渡す。確か、アラガミがかなり多いと隊長が言ってたあそこか。そしてこのフライアがそこに向かっていると。
「こちらはフェンリル本部特別顧問であり、このフライアを統括する、グレム局長です。」
はあ、親切なご解説ありがとうです。
「相変わらず話を聞かない。少しは君のお姉さんを見習いたまえ。」
「ふふ、ラケル、あまり失礼のないように、ね?」
そしてラケル博士の表情が多少一変する。あ、どうもこれ仲がそんなによろしくないのか。
「極東支部において、ブラッドと神機兵の運用実績が欲しいのです。」
「実績なら、この辺りのアラガミだけでも十分だろう。なにもあんな、アラガミの動物園のような場所に行く必要はない。」
そもそもその神機兵ってのはなんだよ。新しい武器か?それとも新しい部隊か?
「神機兵の安定した運用を目指すなら、もっと様々なアラガミのデーターないと、本部も認めてくれません。」
「ふむ……しかしだな……」
「極東支部には葦原ユノ様がいます。本部に対しても発言力のある彼女への助力なら、決して無駄な投資にはならないかと。」
「……確かに、な……ラケル君、神機兵とブラッド。どちらも本当に損害を出さずに済むんだろうな?」
このおっさん、ユノさんの名前が出た途端に態度が変わったのは、黙っておくべきか?
「ええ、信頼を裏切ることはありませんよ……」
「ふーむ」
煙草をくるくると指で回して考え込むと、決断した。
「よし、わかった。後で稟議書を出しておいてくれ。レア君だけ残ってくれ、あとは下がっていいぞ。」
「では…」
満足げな微笑みを浮かべ、ラケル博士は車椅子を動かし、ドアへ向かう。俺たちも続いた。ラケル博士といい、あのおっさんといい、何か気に入らない。自分がなぜあんな人間のために戦っているのか馬鹿馬鹿しくなりそうだ。
ーーー
「隊長とシエルさん、そして副隊長には、局長からこれが配られています。」
ホールで出くわしたフランさんが渡したのは幾つかの枚数で束ねられたプリントだ。中身は相当量の文章と、アラガミのデータ、レーダーの記録、数枚の写真だ。
「これ、なんですか?」
「大規模な作戦がもうすぐ始まります。そこで主に難しい役割を、3人が担当する事になりました。」
「難しい役割って……」
防衛ミッションは放ったらかしでいいのかよ。
「詳しくはそのプリントを参照してください。もうじき、また局長に呼ばれると思うので。」
またかよ。一日に二度もあの人の顔を見るなんて義理はないんだが。
「よろしくお願いします。」
「わかりました。」
「ああ。」
「……へい。」
なんでこの2人はすんなりと答えられるんだよ。洗脳でもされたか?ますます困難が起きそうで頭を抱えたくなった。
遅い時間帯に出してしまい大変ご迷惑をかけました。
ダメだな、こりゃあ。
余談ですが、テストが終わった日、GE2の仲間に叫びました。
「僕を!殴ってくれ!」
まあ、結末までは及びませんでしたが、そこでわかってくれた友人に感謝したいところでもあります。
あと、もうひとつ。GR2のアップデートが少し遅れ気味らしいですね。まあ、デバックが大変でしょうからしょうがないですけど。
願わくば、ゴッドイータープレヤーが減らないことを祈るばかりです。