GOD EATER「Past you and Now I」   作:Pumpghost

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前回は中途半端で切れましたね。
すみませんすみません。
続き参ります。


こんにちは-Hello Fenrir-

「一先ずこれからの流れについて説明しましょう。」

 

ソワさんがもう一度カップを傾けた。

 

「稀羅さんにはこれから、私たちの支部'フライア'にご搭乗し、そこで神機使いになるための最後のテストを受けて頂きます。」

あれ?今搭乗と言ったよな。普通の支部なら建物だから、ちょっと違う言葉があるんじゃね?

 

「あのー。」

「はい。なんでしょう?」

「支部って普通には入れないんですか?」

「フライアはフェンリル数々の支部の中でも独特で……そうですね、移動要塞とした方が正しいでしょう。」

「い、移動要塞?」

 

世界は俺が知らないところでそんなことになってました、と。移動要塞って、よくそんなのが出回ってるな。

 

「どうしてそんなのを?」

「あまり詳しいのは言えません。少しお控えいただけませんでしょうか?」

「す、すんません。」

踏み込みすぎたみたいだ。一旦移動要塞については置いとこう。なら次は……

 

「最後のテストってのは?」

「はい、いわば神機使いになるための最後の壁と思ってくだされば結構です。」

「な、なんか実技でもあるんですか?」

 

実は筆記の方も困るんだが。

 

「いえ。ただ、これから神機を扱うゆえ、それに対する適合率を上げておくための一種の処置です。」

「処置なら、どうしてそれが検査とかになるんですか?」

「それを理解する前に、神機がどんなものかはご存知ですか?」

「……いいえ。」

 

せいぜい知ってるのは、アラガミに有効な唯一の武器。それだけだ。他にもたくさん噂があるが、所詮噂なのでデタラメな情報に決まってる。

 

「神機は、アラガミの細胞を元に作り出した、生体兵器です。」

ちょい聞き捨てならないことを聞かされた気が。

 

「も、もう一度お願いします。」

「はい、神機はアラガミの細胞、'オラクル細胞'というものでできた、生体兵器です。」

「アラガミの細胞?!」

 

聞き間違いと信じたかった。まさかあの神機ってものが。

 

「声が大きいです。」

「あ……すんません。」

「驚くのも無理はないです。人を……いえ、目の前のものをなんでも食べたがる細胞が神機になってますから。」

「それ以前に、神機使いはなぜ食べられないんですか?」

「いいところにお気づけました。神機使いは神機を駆使するために、オラクル細胞に食べられないようにするための機構が必要です。そのため、体内に少量のオラクル細胞を取り込み、簡単に捕食されない様にします。」

「オラクル細胞を体内に……?」

 

聞くほど恐ろしいものばかりだ。俺らを食い散らす細胞を、自ら取り込むって……自殺かよ?

 

「く、食われないんですか?体内に入っても?」

「もちろん、それを防止するための特殊なものを体内に注射します。」

「それって?」

「すみませんが、この先は言えません。」

「言えないって……」

「まず重要なのは、これから稀羅さんが受ける検査は、つまりはオラクル細胞にいかに馴染めるかを試すテストです。そこで、適合率が安定ラインを超えることで、合格となります。」

「も、もし、適合率が低かったら?」

「そうですね。体が完全に無事だとは言い難くなります。」

 

てっきり神機使いは任務中で死んじゃったりするもんだと思ってた。けど、それ以前に、なる前から命にさらされてしまっていたとは。

 

「だから今日稀羅さんをここに来て頂いたのです。」

「どういう?」

「現在、民間人の方には、あくまでもこの検査の候補者を選定するための、軽いテストしか知られていません。」

「例の'アルコールパッチテスト'とか言って、本当はDNAによる?」

 

確かにあれはちょろいもんだった。たった髪の毛1本回収に、無臭の液体がついた布を肌につけてから提出させられて、それで終わってしまった。

 

「今回のは度が違います。よって、この検査には本人の意思が第一優先にされます。稀羅さん、改めてお聞きします。検査の内容を聞きなさった今でも、この検査を受けることに変わりはないですか?」

「……それはないです。」

「返答が早いですね。」

「もともとどんなものでも受けるつもりでしたから。」

 

確かに、手紙の結果を見た時には信じられなかったこともあったが、一方ではこれで神機使いにもう1歩近づいたと思った。グダグダした生活よりは、神機使い人生がよっぽど送り甲斐がありそうだった。

それに、神機使いに志願したのは、単にその稼ぎの良さだけではない。もう1つ、俺個人として重要な理由もある。

 

「なら安心です。それでは……」

 

ソワさんが腕時計をしばし眺めた。

「フライアとの合流までおよそ1時間です。歩くことも考え、早めに出発しましょう。」

「わかりました。」

ソワさんがコップの中身を空にし始めた。こっちもすっかり冷えた紅茶を口に含む。

* * *

 

会計を済ませたのち(向こうが払ってくれたが)、ソワさんについて搭乗ポイントまで動いた。かつて何かの巨大な施設の跡かもしれない、広い荒野だ。

 

「ここですか?」

「ええ、あと10分……ほどです。」

「移動要塞ってどこからどこまで動くんですか?」

「特に目的地が定まってる訳ではございません。世界各地を転々しながら、そこの支部との情報交換を行ったりします。」

「じゃあ、そういうのは多いですかね?」

「いえ、少しコストがかかるので今は1台のみです。」

 

ちゃんとそこは考えてるんだ。

そうやって5分少々待つと、いきなり地面が微弱に揺れ始めた。

「え、何これ。アラガミ?」

「アラガミではありません……地鳴りが途切れたりしませんから。」

「なら……要塞?」

「……ええ、来ました。ほら。」

 

彼女が示した方向を見て、驚愕した。想像した以上に巨大なものがこっちに動いている。まるで、巨大な戦車の下半身の上に、数え切れない多くのビルが埋め込まれた様な形で、先端は船のように尖っていた。最も前方のビルはまるで教会の塔を思わせる作りだ。いや、それより……

 

「速い……」

あの巨体としては一般の車と匹敵するスピードを兼ね備えている。複数の車輪がチェーンに巻かれて、一斉に高速に回ってる。

 

「あの、」

「なんでしょう?」

「さっき乗ると言いましたけど、あの要塞のどこにドアがあるんですか?」

「残念ながらそんなものはございません。よって横からはなく、上から乗ります。」

「どうやって?」

 

俺は空が飛べる鉄人ではございませんよ、あの。

 

「へリが来ました。乗りましょう。」

「へ?」

 

上空から、濃い緑色に尾が長く、フェンリルの紋章が付いたヘリが降りて来た。やばい、あの要塞、乗る時点で常識をかけ離れている。ヘリが着陸し、一気に風を巻き起こす。その風でできた砂風で、目が痛い。ここは荒野だ。ちょっとくらい場所を考慮して欲しい。ヘリから誰かが降りた。シルエットからして男性だ。

 

「候補者の方ですね?!」

「っ、はい!」

 

とりあえず返事からしてみる。

「どうぞ、こちらへ!」

言われるがままヘリに乗ると、すぐドアが閉まり離陸した。ふわっと体が空中に浮かんで、少し驚いた。窓からはあの要塞の全体図が少しずつ見えてきた。

ビルはどれも似た形で、その高さはバラバラだ。数はおよそ10以上。眺めてるうちにへリは中でも一番高いビルの屋上に着いた。再びドアが開くと、今回はあの砂嵐はなかった。

 

「着きました、では早速、現場へ向かいましょう。」

「え、はい。」

 

同じ状況だった筈にも、俺と違ってソワさんの顔からは特に辛いと様子はなかった。何をしたんだ。のんびり周りを見ることができず、ソワさんに連られるまま、中に入った。

 

* * *

 

「少し待ってください。」

 

重い金属音をたてて動き出す、全身鉄骨のエレベーター。何階か知らないフロアに着くと、ソワさんがエレベーターから降りて、何処かに歩いて行っちゃった。

「……あれ?」

 

待てと言われたもんで、ボタンを押しっぱなしにした。ちなみになぜかソワさんはエレベーターに入ってすぐ、3つのボタンを押したが……なんでだ?

すると1分足らずで、彼女が戻ってきた。

「まずはこれをどうぞ。」

 

再び動きだしたエレベーターで彼女が渡したのは、丁寧に畳まれたある服。

 

「えーと、これは?」

 

受け取ると、今までどんな服よりも軽い。なんの素材を使ったんですか?

 

「ゴッドイーター特殊部隊、'ブラッド'の制服です。」

「と、特殊部隊???」

「あなたは候補者の中でも特に有望だと言われています。」

 

嘘だろ、いきなり特殊部隊とかいいのか?

 

「次に降りるフロアのトイレできがえてください。もと着てた服はこちらが預かっておきますので、」

「……はい。」

 

答えたそばに、エレベーターが止まった。

 

「降りてすぐ右にあります。ここで待ってますので、」

 

* * *

 

渡された服は、人の体にピッタリ密着するゴムの様なシャツ、スーツの上衣みたいで、その背中にフェンリルのマークが金色で縫いとめられたジャケット。下はポケットが多いスリムのズボンだ。いかにも戦闘時のことを重視し作られたおかげで、動きやすい。

もと着てた服は畳み、エレベーターへ戻った。

 

「大変お似合いです。」

「ど、どうも」

彼女に服を渡した。

 

「その小袋はどうしますか?」

「……検査に邪魔なら、預けたいんですが……」

「わかりました。」

 

ついでに渡した。

 

「何か大事なものでもございますか?」

「そう、ですね。できれば残して欲しいです。」

 

中に入ってるのは自分なりに大事にして来たものだ。実は……ほとんど誰かの遺品ばかりだ。

 

「では後に稀羅さんの部屋に送ります。」

「もう決まってたんですか?」

「一応の手続きです。」

「しっかりしすぎ……」

 

そしてエレベーターも目的地に降りた。開くと、さほど明るいとは言えない一本の廊下が続いた。

 

「こちらへどうぞ。」

 

彼女についてしばらく歩くと、その先で赤い鉄製のドアがはばかった。重圧感がビシビシ伝わってくる。

「ここ……ですか?」

「ええ……健闘をお祈りします。」

 

うわあ、案外いきなりなもんね。このドアを開けたらすぐにでも始まる。何かこう……気慰めとかが欲しい。ソワさんに振り向くと、何も言わずにただじっと俺を見ていた。自分からは何も言おうとしない。

 

「……あのー、まあ死んじゃったら、お葬式なしで適当にどっか埋めてください。」

 

無言が続く雰囲気が嫌でちょっと冗談混じりに発すると、なぜか彼女は驚いた。

 

「……それがお望みでしたら、本当にそうしますよ?」

「……へい。」

冗談が通じたかどうかは知らない。お互い意味が曖昧な会話で終わり、なんだか中途半端だ。結局気にしないことにし、赤いドアの前に立った。まずはやろう。それから色々考えよう。ロックの解除の音が聞こえ、ドアが開き始めた。先までいろいろ考えていた頭は徐々に白紙になりつつ。




とりあえずこれで原作の最初まで到達しました。
頑張ります。
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