GOD EATER「Past you and Now I」   作:Pumpghost

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やあ……今日も多少なりに遅れましたと。
すみません、どうぞ。


神機兵-Big Doll-

「おい、副隊長。何してるんだ。」

「んがっ」

 

ギルの声に眠りから覚めた。あれ、いつから寝てたんだ?

 

「……ありがと、ギル。」

「だから何してんだ?」

「これ読む途中で寝落ちしたみたい。」

 

ギルの前で、ざっと50枚はあるぶ厚いプリントをびらかした。

 

「やけに読む気失せるな、それ。」

「もうとっくに失せてる。フランさんから渡されたんだけど……。」

 

煙草臭い局長室のあとは、次の作戦についての情報がずらりと書き留められたプリント。受け取ってはすぐに目次を一瞥し、パラパラとその束ねを読み流すシエルと隊長には頭が上がらなかった……

 

「で、何が書いてあるんだ?」

「ざっと見たところ、神機兵とやらのでかいお人形のさんの子守りってさ。」

「神機兵か。名前なら聴いたことあるな。」

「んじゃ、これ読む?嬉しくないほど詳しく書いてあるぞ?」

「よせ、めまいがする。」

「残念。」

 

重いまぶたをこすって再び目をおとす。いまだ半分も読んでない。こんな長文のレポート読みとか、デスクワークの方の専門じゃなかったのか?

 

「つーか、俺は研究員でもないし、この情報どうでもよくない?」

「まあ、そう言わずにがんばって読めよ。副、隊、長さん。」

「起き上がれなくなるまで殴っていい?」

「おいおい。」

 

しかも読む量も多いのに、さらには文章もかなり読みづらい形だ。今日中に読み終わるのかな、これ。

 

「邪魔しちゃわるいし、俺は先に寝る。」

「は?もうそんな時間?」

「もう11時過ぎてるぞ。」

 

やべえ、早く読まないと。

 

「じゃな。」

「うう、助けてはくれないんだ。」

「俺じゃ読んでも次の日に忘れてるぜ。」

「自慢にもならねえこと言うな。」

「おっと、わりい。」

 

エレベーターへ去るギルを恨めしのまなざしで見送った。

 

ーーー

 

……読みおわった。

読む途中は時間を気にするのはとっくに諦めたけど、きっと夜明けが見れそうな時間にでもなってる。固まった腰と首を軽く叩きながらホールのソファーから立つ。ホールの光も小さくなっていた。

色んな情報で一気にふくらんだ頭をおさえつつ階段を登ると、カウンターのモニターが目につく。近づいて見ると、4:06と表記されていた。

 

「飯もろくに食わずにこの有様って……」

 

寝るのは諦めてターミナルの端末に電源をいれた。ちょうど午後に開いた強化プランが浮いてある。

 

「……何しよう。」

 

そこでふと、シエルと隊長のもと居場所、'マグナリアーコンパス'を思い出した。ロミオさんも確かそこの出身だ。一応下調べくらいしといた方がいいんじゃね?そもそも児童院だと言うが、なぜシエルはそこで軍事情報とかを学んだんだ。とても子供が真っ先に学ぶようなものとは思えない。

索引キーワードに入力すると、色んな情報ファイルが出た。

 

「歴史に、人物データ、新聞……結構あるね。」

 

見ただけで10件以上はある。中でも目を停めたのは、最も右端のファイル。

 

「死亡、履歴?」

 

児童院で死亡ってありなのか?児童院っては要するに、孤児を親代わりに育てる施設、伝染病とかで死亡だったらまだしも、これが堂々と1つのファイルとして出てることは……要するにそれほど数が多かったということになる。

そのデータを開こうとしたら、あるメッセージが浮かんだ。

 

「あれ……取得不可?パスワード、もしくは使用者の名前を入力してください……。」

 

朝、ナナが言っていた通りだ。情報の制限はきびしい。これを開くにはジュリウス隊長の相応の権限か、それともあのおっさんの権限がいるかもしれない。

 

「ちっ、黒歴史は隠したいです、ってわけ?」

 

しかしブロックするなら、なぜ表に出ているのかがまた疑問だ。ダメだ、考えすぎればするほど頭が混乱する。

検索をキャンセルしようとした時だった。突然、あの名前が浮かんだ。

 

「……ケイル-オルフィス、」

 

ミッションで調べるのをやめた、また自分も不思議な気分になるあの単語。

 

「もうちょい調べてみようか。」

 

キーワード、ケイル-オルフィス、と。午前中に見たようにたくさんの資料が並んだ。ここでは主に新聞記事がのっている。が、ほとんどが同じ話題を扱っていた。

 

「ラストミッション、'ナインフォール'……」

 

誰が名付けたんだ?やはり報道陣にも、ミッションのアラガミ情報は伝わってないようで、不明と記載されている。不明なら最初から書くなっつーの。舌打ちしながら、さらに目録を見て行くと、またも目を引くものがあった。

 

「チームメンバーについて……提供、フェンリル本部……?」

 

なぜかフェンリルの情報サイトに直につながってる。アクセスも可能だった。

 

「さて、メンバーは、と……」

 

そこには

 

ケイル-オルフィス

ブレイス-コル-アルヴィー

中部-清火(なかべ-きよか)

桐谷-ヤエ(きりたに-やえ)

 

と書いてあった。

 

「4人組……」

 

追加には、ブレイス、中部はKIA判定。桐谷、ケイルは、ミッション'ナインフォール'よりMIA判定。しかし2072年に桐谷が生還し、2073年に再入隊、だ。

 

「部隊が解散し、行方不明が2人。帰ってきたきた人もいる。」

 

現在は極東支部での看護師を勤めているらしい。

 

「この人になら、ケイル-オルフィスのことを聞けるか?」

 

かすかな期待をのせながら次の記事に移した。中に、彼らが扱った神機の情報ものっていた。全員が第一世代型、つまり、剣か銃しか選べないやつだ。中でもケイルと中部が剣タイプらしい。でも今この情報はあんま使えないかも。

他の記事に移す。だが、それ以降はどの記事にものってる同じことばかりだった。

 

「今の俺の権限だとこれくらいかな。」

 

またも足りない情報で頭にくるが……そこはまあ、我慢。ファイルを全てとじて、端末を切った。

 

ーーー

 

そしてむかえた朝。

やけに目が痛い。自室で徹夜したあとの朝陽なんて、たんなる悪魔のいたずらにしか思えない。何度か寝てみようと試みたが、これがまたうまくいかない。

ただ、サボることだけはやめようと、あのプリントの束ねを持ってホールに降りた。職員達が増え、夜よりはだいぶ賑やかになっていた。

 

「あ、稀羅さん。おはようございます……ってどうしたんですか、その顔?」

「あ、フランさん、お宅のこれのせいですね。」

 

左手のプリントをあげる。

 

「あー、確かにひどい量だとは思いましたが……、あら、もしかして眠れませんでしたか?」

「まあ。」

「大丈夫ですかね?」

「大丈夫かと。」

「とりあえず、朝食でも?」

「行ってきます。」

 

短い会話を切りあげ、食堂にむかった。

 

ーーー

 

「それで?何時間もかけてその資料を読んだのか?全く大した根性だ。」

「逆になんでそっちはあんなに読むの速いんですか?」

 

食事のあと、行くあてを失い庭園にいくと、また隊長がいた。

 

「俺とシエルは神機兵の情報はあらかじめ把握ずみだ。仕方ない。」

「例のマグナリア-コンパスで、ですか?」

「ああ、あそこでは孤児の才能を発揮させようとあらゆる教育をしている。そのせいだろ。」

「で、シエルは特に軍事について習ったんですね?」

「そうだ……実は彼女、かなり力のあった軍閥家庭の娘らしい。」

「げっ、それであんなずば抜けた射撃が?」

「才能が磨き上げられた結果だ。」

 

ならば日ごろの彼女の様子もうなずける。

 

「それより、寝てないと言ったが、行けるのか?」

「ミッションですか?」

「それ以前に局長からのよび出しがある。」

「代わりによろしくです。」

「3人揃ってだ。いけるな?」

「いやでも引っ張っていくんでしょ?」

「分かってるじゃないか。」

 

次から次へと……

 

ーーー

 

今朝から会ったひとはみんな自分の安否を聞いてきた。べつに徹夜くらいで……かえって応答に疲れた気がする。

 

「ブラッド隊長、ジュリウス-ヴィスコンティ、以下2名入ります。」

 

そしてあのおっさんの部屋に。薄く漂う煙草の匂いが鼻から喉奥をチクチク刺してきた。

入った時、レア博士と出くわし挨拶をしたのだが、なぜか顔がひきつっていた。何を話したんだ、あの人。こっちを見ることもなく速足で出ていったものだ。

 

「あ、ブラッドのみなさん、お待ちしておりました。」

 

昨日おっさんと一緒にいた血色のよくない研究員もいた。

 

「ラケル博士から聴いているとは思うが、神機兵の無人運用テスト及びその護衛をしてほしい。詳しくは、あー、九条くん、」

 

九条とよばれた研究員が口をひらいた。なんだか細くて高い声に少し鳥肌がたった。

 

「はい、えーと、ジュリウスさんとシエルさんは確か、ラケル博士とレア博士のもとで……?」

「ええ、我々は両博士に育てていただきました。ですので、神機兵の運用テストに搭乗したこともあります。」

「ならば話ははやい。要するに、神機兵が戦う様子を観察しつつ、万が一のときには守ってほしいのです。なるべく、一体一で神機兵とアラガミが戦う状況をつくりたいので、まずは周辺のアラガミを一掃していただきます。」

 

……つまりそれって、

 

「露払いをしろ、ということですか?」

 

ジュリウス隊長が確認に問う。ああ、それなんだね。

 

「そうだ、今回の主役はあくませも神機兵だ、というのを肝に銘じておけ、いいな?」

 

うわ、気味悪すぎ。なんか自分の子供を授ける性格の悪いおっさんの感じだ。子守程度のレベルじゃ済まさねえぞって顔。

 

「……了解いたしました。」

 

さすがに隊長も納得しがたい顔だ。

 

「よし、あとは現場で話を詰めてくれ、俺も忙しんでな。九条くん……」

「はい、えー、ではジュリウスさん。詳しくはミッションブリーフィングの時に。」

「承りました、では後ほど。」

 

隊長の一礼とともに、局長室を出た。

 

「……。」

「隊長?」

 

エレベーターの前で黙りこむ隊長にシエルが静かに尋ねる。

 

「なんだ?」

「い、いいえ。」

 

おい、シエルそこでびびっちまったら負けだよ。

 

「にしても今回はどうも気が進みませんね。」

「奇遇だな。」

「へ?」

「俺もあのひ人の態度は気に入ってない。」

 

よっぽど先言われたのが気にくわないようだ。かなり冷気が吹き抜ける声だ。

 

「た、隊長、それは?」

「部下なら、上司のわるいところは特によく噛みつくようになるさ。だろ、稀羅?」

「初見から反吐が出るところでしたよ。」

「いい回答だ。」

「もっとも、俺の上司は……ジュリウス隊長、あんたも含まれますが……」

「文句があるなら遠慮なく言え。」

「お言葉に甘えて。」

 

なおも動揺するシエルが気になるが、今は放っておく。軍閥出身だと、なおさら上のひとには頭が上がらないもんだからな。

 

「ブリーフィングは2時間後に行う。神機兵の搭乗の前に、身体検査が必要でね。」

「了解っす。」

 

エレベーターにのって、ホールに着くと、2人はさっさとどこかへ行っちゃった。

 

ーーー

 

そして2時間後、珍しくブラッド隊みんながホールの1階、つまりソファーとでかいディスプレイがあるところに揃った。

 

「それでは本日の大規模作戦についてのブリーフィングを始める。」

 

全員が身をのりだして耳を傾けてた。

 

「今回の主な目標は、神機兵の護衛だ。そしてその運用テストは俺とシエルが神機兵にのって無人神機兵を観察しながら行う。他は、テストに適する環境をつくってもらいたい。よって、今回の討伐部隊の指揮は……すまないが稀羅、きみに任せたい。」

「……はいはい。」

 

反論は余計に疲れそうだ。結局また大仕事だ。

 

「稀羅が勧める部隊の展開はあるか?」

「まあ、さすがに2人同時にテストをすると、手が足りないと思うんで、一方がテストをする間、もう一方は護衛の1人と待機すればいいんじゃないんですかね?ワンオンワンって言いましたよね?」

「ああ。」

「どうやってアラガミをよぶんですか?」

「偏食場パルスを発生させる特殊な装置をつかう予定だ。ただし、必要な場合のみだ。」

「なら、それこそ一方ずつやったほうが良さそうですね。」

「承知した。他に異論はあるか?」

 

無反応、か。じゃ賛成ってことで。

 

「九条博士はフライアにのこり、神機兵についての情報サポートをお願いします。」

「かしこまりました。」

「では、稀羅の討伐部隊の動きにもとづいてこのミッションをすすめることにする。作戦は1時間後にはじめる。では、解散!」

 

すると、みんな2階のほうにのぼりに行く。俺もついて行く形で階段を踏んだ。

 

「稀羅くん?」

「へ?あ、はい?」

 

まさかの九条博士から話とは。追加任務とかはご勘弁を。

 

「神機兵の護衛ということで満足な戦闘はむずかしいでしょうが、あまり気負わないでもらいたいのです。」

「どういう?」

「神機兵はこわれても、直せます。だが、あなた方が怪我をしてしまってはこのフライアが危険です。くれぐれもお気をつけて。」

「……ありがとうございます。」

「よろしくお願いします。」

 

意外なことをいわれ、少し暖かくなった気持ちになった。どこぞのおっさんとは大違いだな、こりゃ。




さきに申しあげたいのは、原作の神機兵護衛任務については完全にオリジナルで書かせていただくことです。といっても今日投稿しますので。
まだまだ原作の半分も来てないですね。
これはいつ完結を迎えるのかやら。
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