GOD EATER「Past you and Now I」 作:Pumpghost
「副隊長!」
さきに送ったはずのギルが走ってきた。
「あの咆哮、アラガミか?」
「多分そう。」
「どこにいる!」
返事の代わりにむこうの洞窟を指さした。
「あそこにいるのか?なら……」
「やめとけ、もう消えた。」
「な、どういう?」
「ただのだったみたいね。ただ、先の咆哮で天気が一気に狂いだしたよ。」
空をもう一度見ても、赤い雲は間違いなくこっちに動いている。
「ちょ、待てよ。あれって……」
「なにが?」
「赤乱雲じゃん!」
「へ?」
「知らねえのか?赤い雨の兆しだよ!」
ここまで言われ、はっとした。
赤い雨、触れたら高確率である病を発症させる、謎の多い雨。突如できあがった異常気象で、まだ不明な点があまりに多いといわれる。
「なら逃げないとやばいんじゃねえの?」
「何をいまさら!」
「くそ、フランさん、赤乱雲です。赤乱雲がきます!作戦続行は無理です!指示を!」
『反応確認しました!雨は降っていますか?』
「まだですが、あまり時間の余裕はなさそうです。」
『そちらには今ごろ、神機兵を回収するヘリーがついたはずです!まずはそれでもう一人乗れます!』
ならば……、
「ギル、行け!」
「ば、バカ言え!お前らだけ残して逃げろって?」
「ロミオさんと近いのは俺たち。けど俺は最後まで残ってお前らの帰りを見とどけないといけない。」
「しかし……」
「あまり好きじゃないが、ここは副隊長の権限をもって言う。ギルバート、ロミオと合流し、フライアへもどれ!」
「……ずるい事言うぜ!わかったよ……けど必ず全員帰投させろよ!そこまで言ったなら!」
「当然だ。」
その言葉を合図に、俺とギルはそれぞれ逆方向をとった。
「フランさん!神機兵αとβを運ぶヘリーが必要です!もう一台あります?」
『すみません、ロミオさんの方の1つだけです!』
「なら、フライアへ着いたらすぐに向かうようにしてください。」
『分かりました。ナナさんとシエルさんは?』
「こちらが何とかします。」
ちょうどナナと神機兵2体のところに着いた。
「副隊長、あれなに?」
「赤い雨だ、撤収準備をしろ!」
「うそー!」
シエルはまだ神機兵の中のようだ。
「副隊長、私は……」
「すまん、シエル。神機兵を回収するためのヘリーが来れない。わるいが、まだ中に入っていてくれ。」
ましてや雨が降りだしたら、生身での護衛はさらに難しくなるだろう。
「了解です。」
「まず俺とナナがもどって対策をとるから。それまでなんとか持ちこたえて。」
『稀羅さん!民間人用ヘリーがきました!ひとまずこれで!』
いつもミッション後の帰投につかうヘリーがきた。
「頼むぞ、シエル!ナナ、いくぞ!」
「はい。」
「うん、早くいこー!」
緑色のドアを乱暴にこじ開いてのりこんだヘリは、だんだん赤くなっていく空へ上がる。
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どれくらい飛んだのだろう。今じゃ1分を1時間と思ってしまうほど焦っていた。ついにヘリーがフライアへ着き、神機も格納庫に投げだすまま、ホールに駆けつけた。
「稀羅、やっと来たか!」
「シエルは?」
さっそく隊長とギルの出迎えだ。
「今は神機兵の護衛を任せてさきに避難した。隊長、なにか策はないですか?」
「それなんだが……」
隊長が言いだした時、カウンターのモニターからシエルの無線がながれた。
『神機兵β、背部に大きな損傷!フライア、判断願います!』
「背部だと?!回避制御の調整が甘かったか?いや、空間把握処理の問題か?くそお、なんでだ?」
九条さんにも予想外だったみたいだ。
「神機兵βを停止します。アラガミを撃退し、神機兵を護衛してください。」
当りまえの対応ではある。が、それでは、
「雨が降っちまったらどうしようもないんでしょ?」
「それは、そうですが……」
「いや、まだ間にあうかもしれん。フラン、赤い雨はすでに降り出したか?」
「いいえ。まだです。」
「なら、ブラッド各員!防御服を着用、および携行し、シエルの救援に当たってくれ!戦闘時に防御服が破損する可能性が高い。なるべく交戦を避けるようこころがけろ。」
はて、防御服?
「その防御服ってのはちゃんと機能はするんですよね?」
「ああ、開発に成功したのはフライアだけだが、本部からの承認はある。」
「じゃあ、はやくそいつを保管してるところを…」
「待て!勝手な命令を出すな!」
聴きたくもないあの声が遮る。
「グレム局長……」
ちい、よりにもよってこんな時に……。
「神機兵の護衛が最優先だろ?おい、アラガミに傷1つつけられないように守りつづけろ。」
こいつ、無茶苦茶なこと言ってやがる。
「バカな、赤い雨のなかでは、戦いようがない!」
隊長もさすがに無理な注文に堪えきれないようだ。
「俺がここの最高責任者だ。いいから命令を守れ!神機兵を守れ!」
「人命軽視も甚だしい!あの雨の恐ろしさは、貴方だって知っているはずだ!」
「なら、命令を違反するというのかね?ジュリウス君?」
「人の命を粗末にするような人間の命令など!」
「ほう、それではブラッド隊は、上司の命令を遂行しない名目上、解散させても文句はないだろな?」
「貴様……!」
「さあ、どうするかね、クホッ!」
突然この局長が呻いたのは、他でもなく俺が、その腹に拳をいれたからだ。
「この人でなしが!」
「き、稀羅さん?」
「副隊長……」
みんなが驚くなか、倒れかけた局長が立ちなおった。
「貴様!上司にむけてなんという………」
「黙れ、煙草おっさん分際で!フランさん、例の防御服ってどこ?」
「えっと、それが……」
「なんだと?もう一度言ってみろ、ガキ!」
「黙れと言っている!くそジジイ!耳まで煙草の粉で詰まったのか?!」
「ぬうっ!」
言を返せなくなった局長は何かの端末を取りだし、幾つかのボタンを押した。
「西側のとなりのビルです。そこの9階、非常用具の倉庫があります!」
「サンキュー。」
そこで、エレベーターへ向かおうと階段を降りようとしたら、防具で身をつつみ、機関銃を構えた兵士2人が道をふさいでいた。
「……なんだ、てめえらは。」
もう頭のてっぺんギリギリまで怒り度が増した。
「我ら、局長の直属の特殊部隊。」
「申し訳ありませんが、ここは通行どめにさせていただきます。」
そろいもそろって言ってくれるわ。
「へえ、あのジジイの命令をしかと受けとる猟犬と、」
一歩前に進むと、さらに銃をこちらにむける。
「じゃあ、たった今あんたらは俺をとめているこの瞬間、人間性をドブに捨てたもんだ……って覚悟しとけ!」
もっともこっちに近いやつの銃を左手で引っ張って、うしろに抜かし、そのまま喉に手刀をいれる。姿勢がくずれたそいつの顎をつかみ、残りの手を後頭部にそえ、一気に右上へ首をひねる。
「てめえ!」
もう一人の兵士が発砲する。それを今制圧したやつの体を盾にしてふせぎ、銃を奪って膝に何発か撃ちこむ。
「ぐあああ!」
倒れて膝を抱えるそいつの腕にも何発かいれ、動けないようにした。
そして機関銃の銃口を局長にむける。
「な、なんだと?」
「つくづく最低なやり方ね、ジジイ。ますます失望したよ。あんたが俺たちと博士たちを全員招集させて言ったことをもうお忘れか?」
「な、なにを?」
「'ラケル君、神機兵とブラッド。どちらも本当に損害を出さずにすむだろうな。'と仰ったのはどこのどちら様だっけ?」
「!」
は、今更気づいたか、アホが。
「さっきの命令といい、今といい、昨日の自分と矛盾しすぎだとは思わないか?」
「むうっ!」
「隊長も言ったが、あんたみたいな野郎の命令、きく耳なんかないから。」
「貴様!」
「おい、ギル。」
憤る局長は無視して、唖然とながめているギルをよんだ。
「な、なんだ?」
「これ。」
手にしていた銃をパス。両手で受けたギルは、さらに困った顔になった。
「そいつでそのジジイを引きとめていろ。変なスイッチ押しそうだったら遠慮なく撃て。」
「お、おう。」
「あと、隊長。負傷したこの兵士2人の治療お願いします。」
「……了解した。」
「他にシエルの救援に同行するやつはいるか?!」
いないのかと思ったその時、手があがった。
「俺が行く!」
ロミオさんだ。
「……オーケー。ジュリウス隊長とフランさんはここで状況の解析と知らせをしてください。」
「しかし、稀羅さん、赤い雨とアラガミの中で、たとえシエルさんが救出できても、脱出が困難になります。」
「まあ、それなりに策が1つあります。成功できるかどうかは、運と、あとはアラガミたちがいかにうまく騙されてくれるかかによるけど、」
「……わかりました。では頼みます。」
「はい。」
指定されたビルにむけ走りだした。
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ロミオさんのレクチャーに従って防御服を着て(てかなんでこの人は知ってるんだ)、もう一着をもってホールにもどった。
「フランさん、神機兵輸送ヘリーは?」
「はい、ただいま動ける状況です。」
「無線繋げられます?」
フランさんが何度かキーボードを叩く。
「……どうぞ。」
「こちら、ブラッド副隊長、稀羅といいます、輸送ヘリーのパイロット、聴こえますか?」
『こちら神機兵輸送部隊のヘリー、どうぞ。』
「局長が怯えなさって動けないんで、こちらの指示をきいてもらいたいです。お願いできます?」
『ラジャー。指令をどうぞ。』
おや、けっこうすんなりだな。
「これからは神機使い1人と神機兵2体を回収する任務になります。まずこっちのヘリーの後をついてくる形で飛行してください。それ以降の指示はおって伝えます。」
『ラジャー、民間人用ヘリー発見。追尾します。』
「行きましょう、ロミオさん!」
「オッケー!」
格納庫で転がってた神機を拾い、目の前で離陸準備をすましたヘリーに乗る。やがてドアが自動で閉まり、空へあがる。
待ってろよ。シエル……。
あのむこうの、赤く成りはてた空を睨む。
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「まず神機兵の回収ポイントについたら、すぐに動かず、その上空を飛行していてください。」
窓をみると、もう赤い雨が降っていた。貼りつく水玉はまるでひとの血のような感じ。
『アラガミのせいですか?』
「はい、で、アラガミをこちらで誘導しますので、合図をだしたら回収作業にあたってください。」
『わかりました!』
そして自分の乗っているヘリーのパイロットにも指示をだす。
「神機兵たちがいる地点の上空を通りながら、ダムの南端に飛んでください。そこで俺が降ります!」
『その後は?』
「ロミオさんをダムの中央で降ろして、いったん上昇してください。そして合図をだしたらシエルとロミオさんを乗せてすぐに離脱してください!」
『しかし、貴方は……』
「輸送部隊のヘリーをチャーターします!」
『りょ、了解です!』
さて、次はロミオさん。
「ダムの中央で降りたらまっすぐシエルに移動し、防御服を着せてください。その後はこのヘリーでフライアまで帰投です。いいですか?」
「了解!気をつけてよ。副隊長。」
「危険は承知です!」
最後にフランさん。
「こちらから合図をだしたらそれをヘリーのパイロット達に伝えてください!」
『お任せを!』
指示をだすのを終えたころ、ヘリーはまたもあのダムの上空に来ていた。ヘリーがだんだん高度を下げるのを見計らい、ポケットに残っていた偏食場パルス装置を起動させ、ドアを開けた。そしてヘリーはシエルに接近中のアラガミたちの頭の上を過ぎる。
『もうすぐ着陸地点です!』
「よし!」
ヘリーがダムの南を通った瞬間、飛びおりる。そして右手の装置を高くかかげ、さらに南へ走る。後ろをちらっと見るといくつかのアラガミが追ってきた。丘の下まで来たところで、装置を地面に深く埋める。
「少しはもってくれよ。」
そしてこっちに移動しているアラガミたちを少しでも引きよせようと、じっとする。
『こちら、ロミオ!シエルにむかって移動中!』
「防御服の着用が終わったらもう一回連絡してください。」
さて、どんどん近づいてくるぞ。
クアアアア
うわ、オウガテイル。
「お前と会うの今日で何度目だ?ね。」
なにも知らずにかかってくるもので、頭上から神機を垂直に下ろし、地面に埋めた。すぐに抜いて、今度は多少宙からかかってくる奴を、両足を切断するついでに遠くへ投げ飛ばす。
隊長からは戦闘は避けるよう心がけろといわれたものだが……。
「これじゃ無理ね……」
呟きながらまたもかかってくる小型のアラガミを右左へとなぎ払う。時々返り血が服について、どれが雨か血なのか見分けがつかなくなった。
そして、カブトムシの装甲の隙間に、神機を差しこんで剥がして、中身をつき刺したころ、無線が耳もとで響く。
『こちらロミオ!シエルと合流し、防御服の着用も終わった!』
「了解、フランさん!」
『どうぞ。』
「民間人ヘリーがシエルとロミオさんを回収するように、あと、輸送部隊にも行動を開始するようにつたえて!」
『了解です。』
『稀羅!さらに多くのアラガミがそちらに向かっている。その数、およそ30体。ほとんど中型や大型だ!急げ!』
隊長からのありがたい(?)情報だ。
「ほんと時間が惜しいね、これは……」
雑魚を適当にきり裂きながら、とりあえずダムの中央をめざす。
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開始からどれくらい経ったのかやら……
動きだしてから小型を10体、中型2体を仕留め、ダムの中央に着いた。
「隊長!偏食場パルス装置、残り時間どれくらいですか?」
『あと、2分42秒!半分を切るぞ!』
互いにギリギリな状態……
『こちら、ロミオ!戦域を離脱!フライアに移動中!副隊長、そっちは?!』
「なんとかなりそう。」
本当は違うけどな。
作戦自体はあまり時間をかけないつもりだった。ただ、この雨は輸送部隊にも予想外で、神機兵の収納に足止めをくっているようだ。
「フランさん!輸送部隊はまだ?!」
さすがにもう疲れた。いくら脱出とはいえ、相手したアラガミの数は想像を絶している。幸いなのは、未だ防御服はどこも破れていないこと。
『来ました!神機兵の収納完了!稀羅さん!』
やっとか。
「無線繋げて!」
『こちら、輸送部隊、回収終わりました。稀羅氏、今どこですか?』
「そっちに行くからまず3メートルくらい上昇していてください!」
後は、俺だけ!
ポケットの中、残りのスタングレネードを取りだす。全部で4つ。
「それっ!」
ピンを外し、1個を肩越しに投げ、全力疾走。しかし、まだダムを渡りきるには……
クオオオ
キャアア
クルアア
どういった鳴き声百重奏ですか?!
とにかくうしろを振りむかず、グレネードを撒きながらただただ走る。そしてダムの終わりが見えてきた時、もう一個を投げた。鮮やかな音とともに炸裂する閃光が、またも奴らの視界をうばう。
もうちょっと、ほんの少し!
顔のまえに被った透明フードと赤い雨で、限りなく悪化した視界のさきに、風を起こして浮遊している黒いヘリーが見えた。
『うわあ!アラガミだあ!』
「いいから急上昇の用意!」
3個目。今度は後ろをむいて力いっぱい投げる。そして爆散するのを待たずにヘリーの足にむかってジャンプ。
届けー!
強化された体は裏切らなかった。ヘリーの足にしがみつき、叫んだ。
「イッケぇぇぇ!」
轟音と風を切る音を伴い、体が空に引かれる。徐々にアラガミたちが小さくなっていた。
これで一安心か?
『稀、稀羅氏!アラガミです!飛んできます!』
あ、そ。
慌てるパイロットとは大違いに、今の俺は頭が澄み切っていた。
「あばよ、クズども。」
最後のスタングレネードのピンを歯で外し、ぽろっと落とした。そして一瞬の光のあと、俺の目には地に堕ちていく何体かのアラガミが映った。
さて、終わりました。神機兵護衛任務。
ほとんどオリジナルでしたのでまあ…ふむふむと読みながしてくださっても結構だったとも思います。
これは座談ですが、ワイヤレスのキーボードを購入し、パソコンのように打ち込む練習を始めました。やっぱ慣れませんねwwもうちょっと早くうてるようにしないとな。
あと、もう一つ。友人とダウンロードミッションの、
亡国の血戦
をタイムアタックに挑発し、なんとか1分48秒を叩き出しました。あ、ちなみに僕はバスターで、むこうはショートです。チートは使っておりませんので誤解なさらないでください。
それではまた土曜日にお目にかかります