GOD EATER「Past you and Now I」 作:Pumpghost
ま、まあ、細かすぎるのはお気になさらずどうぞ。
ヘリーに吊るされたまま10分くらいは飛んだ。そろそろ腕と肩が痛い。
というも、まだ赤い雨の領域の内だもんな。
ひき上げるには少し勇気がいるだろうとしみじみ思う。
なのに、何故かドアが開いた。見上げると、これが人ではなく神機兵だ。ドアの端を片手でつかみ、もう一つの手をこっちに伸ばしている。
「上げてくれるのか?」
反応なし。掴むか……
「うおっと!」
思った以上の大きな力に引っ張られ、気づいたらヘリーの床を転がっていた。
「あ、稀羅氏!よかったです!いつになったら救助できるか心配していました。」
ほらね。
「神機兵が独断で動いたんですか?」
フードを外す。
「あ、はい。急に動きだしてびっくりしましたよ。」
神機兵をもう一回しっかり眺めた。しなやかな筋肉質の体に、それをしっかり守ってくれている、薄くて丈夫な灰色の装甲。まるで西洋式の鎧をさらに密着しやすくしたような作りだ。もっとも、こっちをじーっと見つめる赤い2つの目が印象的。
ありがとな。
心でそう呟きながら、そいつの膝に軽いパンチをいれた。
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さらに10分くらい飛んで、フライアについた。
といってもどうせあの中ではお祭り騒ぎなっているだろうね。
その張本人の俺は苦笑せざるを得ない。いつの間にか雨の止んだ空を確かめ、地面に降り立つ。
「うおっ」
すると、いきなり誰かに抱きつかれ首が締まる。
「……よかった、」
声からするとシエルかな。ていうか
「チョ、シエル、イキガ、イキガ!」
恐るべし、この子の腕力。
「す、すみません!」
「い、いや、大丈夫。(なんとか)」
「雨に濡れなさってはいないのですか?」
「ああ、こいつがあったしな。」
黒色の防御服は雨を浴びすぎたせいか、まるで血塗られている格好だ。
「おお、副隊長!ちゃんと両足ついてあるよな?」
「怪我も、死んでもいないっすよ。」
ロミオさんだ。こっちの濡れ具合もなかなかのもので。
「とりあえず、中に入ろうよ。みんなに顔見せないと。」
「あー、それなんですけど…」
「うん?どうした?』
「盛大な歓迎式はどうも無理っぽいっすね。」
わずか1時間も満たない以前に顔を合わせた、例の特殊部隊さんたちがわざわざあんな大勢でお迎えとはね……。
「これは確か、局長の……」
「ええ、直属だと。」
「げっ、もう来たの?」
一斉に銃口がこっちに向かれる。
「ブラッド副隊長の稀羅-ペル-メルディオ、貴方を命令違反、および暴力行為に基づき、逮捕いたします。」
「副隊長、一体これは?」
「んまあ、あれだ。シエルを助けるのにちょいと面倒な出来事があったって訳さ。」
それよりもこいつら、急かしすぎだろ。もうちょい時間くれってんだ。
「いいぜ、喜んで捕まらせてもらうよ。捨てるのは神機だけでいいかな?」
「他、小道具があるならそれもです。」
あえて神機を地面に突き刺す。これにビクッとした、情けねえ連中は無視することに。ポケットの回復錠とトラップを放り投げた。
「手を頭の後ろで組んで、背中を向けてください。」
いわれるがままにすると、未だ状況がのみこめないといった2人が映る。
『あとはよろしくな。』
果たしてこの口パクがどこまで伝わったのかな。
そうしている間に俺のズボンのポケットを探っていた兵士が、手錠をかける。
やれやれ、こんなもので体を強化された神機使い1人を抑えられるのかよ。
「連行しろ。」
そして両腕をぐいぐい引っ張られる状態で中に入る。チームメンバーと顔を合わせたものの、わざと視線をそらした。
そして隣のビルの地下深いところまで移動させられ、やっと着いたところは、鈍い色のシメント製の懲罰房が並ぶフロアだ。
右側の6番目の部屋に入る。運がよく、カビやネズミはなさそうな、清潔な部屋だ。作って間もないのだろう。
「貴方の処遇は後日決まる予定です。それまでこの部屋で待機してください。」
「へい、お疲れ様。」
「何か言い残したいのはありますか?」
おや?そんなことまで認められるんだね?
「んじゃ、今回の事件の責任はすべて俺のほうに回してくれよ。全部俺が勝手にやったんだから。ただし、証人はジュリウス隊長にさせて。あの人ならもっとも客観的な視線で言ってくれるだろうから。」
「いいでしょう。」
大きな金属音がフロア中に響き、出口はかたくロックがかかった。
さーて、これからなにしよっか。
適当にベットに座り込む。だがその瞬間、適度の硬めのよさによる、座り心地の素晴らしさに感動した。
何これ。以前の部屋のベットよりずっといい感じじゃん!
手錠のかかったままの手は気にせずにゴロゴロする。これなら何の違和感もなく寝れそうだ。むしろこのベットを提供してくれたあの部隊に感謝したいとも思う。
「ふわああ……」
やばい。一気に眠くなって来たわ。まあ、あんなに動いたもんな。しかも前日のほぼ徹夜に近い夜明け。
「寝よう。あ、その前に……」
若干両手に力を入れ、思いっきり反対に引っ張る。一見かなり強度のありそうだった手錠は、虚しく壊れてしまった。
これを見たあのジジイの顔はとんだ見ものになりそうね。
再びベッドに転がりながら笑を堪えた。
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久々の熟睡からの目覚めは、灰色の天井から。それで自分が監禁されているのをうっすら実感する。
さて、腹が減ったぞ。何か食えるもんはもらえないのかね。
といっても監禁されているのはどうやら俺1人だ。ましてや監視員も見当たらない。一方で警備のおろそかさにあざ笑いつつも、そこまで設備に自信があるのかと疑いたくもなった。
そんな時、誰かの足音がきこえる。堂々とした歩きではなく、泥棒のように静かに歩いてる音だ。
「そこ誰?」
足音が止む。
もうちょっとうまく歩けないかね。
「ふ、副隊長、もうお目覚めですか?」
シエルがそーっとドアのちっちゃい窓から覗く。
「おう、結構眠れた。そっちこそ体調はどうだ?」
「快調です。おかげさまで。」
「そうか。」
流れる沈黙。これはこれでなかなか気まずい。
「なあ、シエル。それでここに来たのは?」
ほんの何時間前までだと、さん付けをしていたが……。
「その、稀羅さんの処遇が昨夜決まりました。」
「お?そうか。」
「除隊はないそうです。本部からはむしろ、人の価値を格段に下げた命令を出してしまったということで、グレム局長を査問会に召集しました。」
「え、まじで?ははは、たまんねぇ!」
自分の笑い声がフロアに響き渡る。
「おっと、ごめん。シエルもいるのに、」
「いえ、お気になさらず。それより、稀羅さんが局長と兵士2人に危害をくわえたということで、監禁2週間だそうです。」
「妥当だよ、いたって正当。異議なし。俺は。」
「でもそれでは私が困ります。」
「へ?」
彼女の発言に、笑いがとまった。
「だって、副隊長がここにいては、誰が私を導いてくれるんですか?誰がチームのみなさんを助けてくれるんですか?」
「それは……隊長がいるじゃん。」
「いいえ、ジュリウスだけではダメなんです。彼は不器用すぎる。」
まさかのシエルからの爆弾宣言。
「私がこのブラッドの一員として戦ってきて思ったのは、みなさんが作戦や訓練もなしに、まるで心が通じあったような、役割をしっかり認識した連携のある行動をしていたことです。そして、その真ん中には…副隊長、貴方がいました。」
……自分の行動を、ここまで真面目に受け取ろうとしてくれる人って本当にいるんだな。
「じゃあ、代わりというのもなんだけど、シエルがジュリウス隊長を手伝ってやれよ。」
「へ?」
「俺はどの道2週間は出れないし。頼りになるのはお前だ。不器用でもいい。最初から完璧にできるなどありはしないし。」
「し、しかし、私は口下手で……先方でリードするなど……」
「周りの誰かを、特にチームのメンバーを誰よりも深く考えているのは君でしょう?」
「そ、そんな……」
「じゃなきゃ、先のような言葉は言えるわけがないでしょう?」
「!」
「俺からすると、シエルは自分にとても厳しい奴だよ。んまあ、昔の育ちの影響もあるだろうけど。それでもシエルは自分が足りないところを、周りから見習おうと必死に努力してると、思うよ。だからこそ、よりみんなをじっくり観察しているし。」
そう、彼女の日常を見た回数は少ないが、皆がわいわいと話し合うところを、少し離れて眺め続ける彼女を見たことがある。
「だからさあ、今回も自分のためだと思って、やってみなよ。誰も責めはしないさ。努力する奴に口なんてだせるもんか。」
「……。」
「シエル?」
「じゃあ、あの……その、ここから出てからでも私を見守ってくださいますか?」
「そうね、日に日に変わっていく仲間も見たいし。」
「仲間……」
「うん?」
「えーと、その、こんな時にはなんて言えばいいか……ちょっと待ってもらえます?」
「うん。」
「……私と、友達になってください!」
「……へっ?」
急に頭のどこかで思考が停止した気分。
「へ、変でしょうか?」
「変と言うか……妙だね。」
「何が……ですか?」
「いや、俺はもうシエルと友達になっているんじゃないのかと思ってたからさ。」
「い、いつからですか?」
「シエルと同じチームの仲間になったその瞬間。一応友達の基準は人それぞれだけど、少なくとも俺にとっちゃ、シエルはもうその時から俺の友達だった。」
「じゃあ、どうすればいいんでしょうか?」
「うーん、友人でも、とびっきり仲のいい、親友になろうか?といっても単に仲がいいだけじゃダメな気もするけど。」
「親友……」
「もちろん嫌なら友達でいいよ。そしたら、」
「親友になってもらえますか?」
「……おう。」
「あと、副隊長のことを時々、君、と呼んでいいですか?」
「逆にそう呼んでこなかったのかを聞きたいね。」
「だって、あの……君が……私の……初めての親友ですから。」
昨日、隊長との会話を思い出す。軍閥の娘。
となると、マグノリア-コンパスでも軍に関連したことばかり学んで、その裏で友達をつくる機会なんてないに等しかったんだろうな。
「そうか、そうだよね。わりいな」
「何を?」
「いや、いろいろ。そうだな、よろしくな、親友。」
「……はい!」
その時、彼女の声が嬉しさで弾んでいたのは言うまでもないだろう。
「と言うわけで、しばらく外のことは頼んだよ。負担かけてしまうけど。」
「お帰りを待っています。」
「ありがとう。」
「最後に、その……一度手を握ってもらえませんか?」
「はい?」
さらにこれはなんちゅう状況かな。
「あ、いいえ。ただ、その……あう……。」
「ほい。」
手が一つギリギリとおるその窓に右手を突っ込んだ。すると、暖かいぬくもりが宿る。
「これが……私を助けてくれた人の手……とっても、暖かいんですね。」
「……。」
ただ、なにも言わず、優しくその両手に握りかえした。
すると、ほんの一瞬、胸の奥が熱くなって、全身に渡る。
「えっ、」
「今の、あの時の…」
血の覚醒。
「すごく気持ちのいい熱がこみ上げてきました。なんでしょう?」
「多分、血の力の目覚め、」
「な、まさか。」
「俺が最初に感じたのと似てるな。」
「そう、ですか……」
俺の手を握る彼女の両手に、さらに力が加わる。
「大事に使います。」
「……あいよ。」
今しばし、このぬくもりに身を委ねよう。
原作から外れすぎましたね、なんだかんだで調和はできているもんですが。
とりあえず予定として日曜にもう一回載せる予定です。極東支部、間も無くですね。