GOD EATER「Past you and Now I」 作:Pumpghost
ではどうぞ
「お疲れ様でした。神機はこちらへ。」
適性検査が終り、あの赤いドアではなく反対のドアで出たら、数々の神機が並んでいる部屋に着いた。そこに緑色の制服を着た作業員さんたちがいた。
「よろしく……お願いします。」
「はい、任せてください。」
検査が終わったのはいいもの、あまりいい気分じゃない。検査の感想は至って単純。もう二度と受けたくない。それだけだ。右腕にずっしりした黒い腕輪をつけられ、しかもそれをつける際の痛みはもうどんな言葉でも表現し足りないくらい。さらに妙にぼーっと痛い頭に、具合が悪化する。腕輪つけられて、神機を持ち上げ……それで終わってしまって、合格かどうかすら分からない。簡単に嬉しく思えるわけが無い。
「単にオラクルってやつを注射するだけなのに、なんでこんなに痛いんだ?」
疑問の中で、さっきの風景がふいに浮かぶ。
* * *
あの赤いドアの先、訓練場みたいな要素が色々と目についた。どこも強固な鉄製の壁や床、高い天井。しかも壁に刻まれた怪物の爪の跡らしきものが無数にあった。
その真ん中には誰かを寝かせるために作ったのか、長い台があった。横になるかどうするか悩んでると、
『フライアへようこそ、これより適性試験を始めます、準備ができましたら、その台に横になってください。』
案内放送らしきものが響いた。
その後のことはあまり良く憶えていない。言われるがまま横になると、台の付近から、'神機らしきもの'が(見たこともないが)、ケージから現れた。それを握ったら、いつの間にかでかい腕輪がつけられ……。そして急な激痛が走り、そのあとは痛みに必死でほとんど忘れたかもしれない。
* * *
「ふう」
神機の格納庫を出たら、エレベーターがあったので適当に乗り込んだ。行くあてもないので、1と書かれたボタンを押す。ソワさんはどこに行ったんだろう。それより、これからどうすればいい?チクチクとまだ腕が痛い。オラクル以外に何か仕込みでもしたのかと思ってしまう。
そういや、あの放送の人は誰なんだ。初めて聞く声だったはず。が、何と無く懐かしさが滲み出ていて、何処かで……聞いたことのあるような気がした。
『貴方には、期待していますよ。』
と言われたことは憶えている。ますます不思議な感覚だ。俺は……あの声を知っているのか?
エレベーターが止まった。開いら先に大理石のような白い床に、ゴージャスな雰囲気が漂うフロアが続いた。
「……どこですか?」
右手に多人数が座れるソファーが幾つ、さらに巨大でブルーの液晶のディスプレイが置かれ、目の前には広いスペースと自動販売機らしきものがあった。
突っ立てるのもなんなんで、前に進もうとしたら、急に目眩がした。やばい。また頭が……。そのままソファーに進み、倒れるように座った。それで……意識が何処かへ飛んじまった。
* * *
『さあ、ようやく目が覚めたな。』
白い……部屋。目の前に、3人の白衣を着た男たちがいる。そして自分はベットに寝ていた。ここは一体どこだ?先までフライアっていう移動要塞にいたはずだ。なんでいきなりこんなところに?
『君は自分の名前を知っているかね?』
「名前……知らない。」
男たちの声が嫌味に頭に響く。まるで耳で聞いた心地がしない。しかもそれに対して、不思議に口が意思とは無関係に、勝手に動いた。いやいや、俺の名前は稀羅だよ?どうしちゃったんだ、俺の口。
『ふむ、これは想像以上に悪化してますね。』
『ええ、まさか記憶喪失のレベルが、自己認識障害まで来てるとは……』
『まあまあ、今はよしとして、彼に新しい名前を授けましょう。』
なんだか俺がぼーっと眺めてる間にもこの3人の男たちは忙しい。記憶喪失って、新しい名前って?
『ですが、本当にいいんですか?その名を言った瞬間、私たちは1人の立派な神機使いを殺すことになります。』
『それは少し違います。'アルケイ博士'、我々が覚えていれば良いのです。』
アルケイ博士?待てよ、この名前もどこかで聞いた覚えがあるぞ。
『そうです、いずれ彼が自分のことを探し始めたら、それを目一杯支えればいいのです。』
『うむ、しかし。』
アルケイ博士がこっちを見てる様だが、肝心なその人の顔が天井からの光で見えない。
『……わかりました。』
『いいご判断です。さて、君は私たちのことが見えるかね?』
3人の中でもっとも若そうな人が話をかけてきた。
「聞こえる。けど、顔は見えない。」
おや、また口が勝手に動いた。これってもしかして過去の回想ってもの?でも俺にこんな記憶があったか?
『なら結構。君の名前は'稀羅-ペル-メルディオ'。ペルは祖父の、メルディオは父親のものだ。聞き覚えは?』
「ない。」
『そうか、まあ、いい。これから君は稀羅だ。今度こそ忘れることがないようにね?』
「どうして俺はこんなところに?」
『君はアラガミに襲われたんだ。それで頭に大きな損傷があったんだよ。』
頭部に損傷って。これもしかして……俺が2年前にフェンリルの病棟で目覚めた時のやつか?
「ここはどこ?」
『フェンリルの総合病院だ。君はアラガミの災難から逃げる時に襲われた。』
アルケイ博士という人が丁寧に解説をしてくれる。聞けば聞くほど懐かしい声だ。どこかで聞いたことがある。いや、それ以上に、どこかで会ったこともあるはず。
「俺をどうする気?」
『どうもしないさ。君は被害者だ。これから安全なサテライト拠点へ君を送ろう。そこで落ち着いて住んでくれ。』
「サテライト?」
『君みたいな人々を集めている場所さ。すぐに慣れる。』
そうか、俺はこの人たちにサテライト拠点へ移住されたのか。自分の中で霧がかかったような記憶が少しずつ明らかになってくる。
『しかし、アルケイ博士、彼を極東に送るわけには……』
『極東ではありません。この度新設された北東のサテライト拠点です。』
『ああ、レイティ-フォルンですか。そこなら……』
『ええ、迂闊に彼の記憶を呼び戻す必要はありません。彼が苦しくなるだけですから。』
……この3人、かなりやばいことを企んでないか?主犯は彼らだった。俺が突然北東のサテライト拠点で生きることになったこと。それと未だに俺が昔の記憶を取り戻せない理由も、全部……彼らのせいだったのか?
『さあ、稀羅。そろそろ眠る時間だ。次目覚めた時は、君は新しい家にいるぞ。』
視界が急にぼやける。やめろ、どうして俺の記憶を消す?叫ぶも、その声は口から出ない。自分ではない、まるで他人の夢に入ってるみたいだ。そして視界はどんどん白くなり、そして一瞬でブラックアウトした。俺の声が一切届かないまま。
* * *
『稀羅さん、稀羅さん?』
夢か幻かもはっきりしない所から意識が現実に戻った。目を開けた先に、今朝会った彼女がいた。
「……ソワさん?」
「はい、そうです。具合は大丈夫ですか?不具合はすぐに申し出る様に、検査で言われたはずですよ?」
「あ、そうだっけ?」
ダメだ。全く思い出せない。
「憶えていらっしゃいなら仕方ないですが。」
「すんません。」
「それより、今の体調はどうですか?」
改めて自分が汗でびっしょりのことを気づいた。まあ、あんなものを見てしまったし、焦ったといえばそれも正しい。でも本当は先よりずっと楽だ。右腕の痛みも嘘のように消えて、腕輪の重さのかさばりにも多少慣れたみたいだ。
「ええ、大丈夫です。すみません。」
「いつでも声をかけてください。病室まで案内しますので。」
「はい、どうも。」
ゆっくり立ってみると、頭痛も治まっていた。体はもう心配しなくていいだろう。ただ、先のことで精神的にはまだダメージがある。色々混乱するのも多いし。
「あ、そういや……俺、適性試験に合格したんですか?」
「ええ、ご立派に。あなたはすでに我々ブラッドの神機使いです。」
「なら……よかった。」
「あ、それと、これからの日程がございますが、お聞きになります?」
そういや試験が終わった後、何も聞いてないな。
「はい。」
「本日から早速訓練がありましたが、時間が大幅ロストしたので、今日はこのまま部屋でお休みなさってください。」
「い、いいんですか?せめて今からでもやれば……」
「いいえ、無理な訓練はかえって障害を起こします。休んでください。」
その力強い発言に、次の単語が喉に埋まってしまった。
「……じゃあ、部屋に行きます。」
どうも男は口喧嘩には女に勝てそうにない。特に俺にとしてはソワさんに……
「よろしいです。では、部屋の案内をしますので、こちらへ。」
またあの鉄骨エレベーターに乗ると、彼女が10と書かれたボタンを押した。
「神機使い方々の部屋は、この建物にはございません。他の建物に渡る必要があります。この要塞のビルは全て10階で各施設を渡れる通路がありますので、そこを使ってください。」
「施設は全て人が使う空間ですか?」
「正確には違います。ほとんど要塞の運行の維持に使われています。例えば、後方のビルは全て、要塞を動かすエネルギーを発電させる施設です。逆に前方のビルは、主に事務、居住に使われますが、せいぜい全体の3分の1に満たないくらいです。」
「じゃあ、このフライアってのは途中で止まったりせず、永遠に動き続けられると?」
「そういうことになりますね。」
そんな発電施設あったら是非こっちにもよこしてくれ。フェンリルの人々がズルくもなるが、俺も今はその1人だから、口に出せない。それにしてしてもこのエレベーターを動かすエネルギーもここで作られるのか……たいした技術ね。
降りてからの道のりはさほど難しくなかった。通路二つを突っ切ったところで、居住用のビルに入り、いつのまにか自分の部屋の前に立ってた。
「26号室……」
「今日からあなたの部屋になります。お気になさらず、自由に過ごしていただければ結構です。」
「……わかりました。」
ドアの形から、この部屋がいかにすごいことになるかを暗示させる。あ、開けるのが怖くなったぞ?
「指紋認識用の鍵なのでアップデートしてください。それでは、私はここで……」
「はい、どうも。あ、ちょっと!」
踵を返ろうとした彼女を止めた。
「名前、教えていただけますか?今朝は言ってくださらなかったので……。それにいつまでもソワさんと呼ぶわけにはいけないし。」
「私はとくに構いませんけど?ソワは本名の一部ですから。」
「え、そうなんですか?」
「名前が非常に長いので、下の名前だけお伝えします。'フラン=フランソワ=フランチェスカ'、と言い方は多いですが、大抵'フラン'と呼ばれています。皆さんの戦闘のサポートを行う、オペレーターを勤めています。」
オペレーター。初めて聞く職だ。
「えーと、フラン……さん?」
「はい。」
にっこりと彼女が笑う。やっぱ無表情よりはこっちが站前似合う。
「……今朝からどうもありがとうございます。」
「いいえ、これからも頼ってくださってもいいですよ。(あ、もちろん、事務的な意味です。)」
最後になんて言ったんだ?
「ちなみに今何時ですか?」
「え、あ、はい、19:00くらいです。」
「嘘……」
どんだけあの世界にいたんだよ。
「大丈夫です。よくこんなケースはありますので。何より……」
「……?」
「適当に埋蔵することにならずに済んでよかったです。」
「……そ、そうですね。」
彼女は割と本気であの言葉を聞いたみたいだ。自分で言い出してから言うのもなんだが、反応に困る。
「それでは、」
「お疲れ様でした。」
* * *
とにかく部屋が豪華だ。うん、あの暗示は全くもって正しかった。清潔な床に、群青色のカーペットが敷かれ、壁はクリム色。適当に明るい光が似合う。家具はベット、本棚がセットの机だけだが、そのどれも精巧に作られていた。あらら、いきなりこんな部屋に変えられて平気か?
「すげー、なんだこのベット、ふわふわする。」
どこかのボロクソなベットとは大違いだ。何回かベットの上で跳ねてたらまた眠くなった。やれ、今日はやたらと眠いなあ。
「……寝るか?」
眼鏡を適当に机に投げ、そのまま横になった…………。
しばらくし、床に降りてきて再び横になる。うん、あのベットが良すぎて、むしろ慣れなくて寝れないや。意外と少し柔らかいカーペットで、またも意識が遠のいて行った。
少し、原作からずれましたね。
確か、試験を受けた後、イベントがあるんですよね。
それはさっさと次回に回さないと(あせあせ)
まだ戦闘シーンが少なく退屈かもしれませんが、次から早速入れて行きます。
よろしくお願い申し上げます。