GOD EATER「Past you and Now I」 作:Pumpghost
少しサボったかも
今週は用事が多すぎて、ちゃんと連載できるかどうか。
盛大な風を起こしながら近づくヘリを眺めながら、今日の初陣をふりかえる。終いだ。そう思うと、先まで体を支えてた力が抜けてしまいそうだ。
「二人とも今日は本当にご苦労だった。」
ヘリの中で少し落ち着くと、隊長さんが口を開けた。
「適切な指示があってからです。」
「そうでもない。あれはほぼお前自身の成果だ。まして人の命令にああ素直に聞いてもらっては……。」
「逆に聞かねえ連中もいるんですか?」
「各々自信がつくとそうなる。」
「……とにかく今は結果オーライでいいですよね?」
「そうだな。ナナもご苦労……だったよ。」
隊長が珍しく苦笑した。横目で見ると、ナナはあの短い間に俺の肩に頭を垂らして寝息をたて始めていた。あのちょっと……この妙にくすぐったい髪の毛と甘い香り、相当男には厳しいぞ?無防備だな。
「俺以上に疲れたみたいっすね。」
「こういった女の子まで戦場に立たされるなど、未だ納得し難い話ではあるな。」
「ほんとっす。」
アラガミなんてもんがなかったら、今頃ナナはどんな子になってたんだろう。
「ところで稀羅、君は何処かで剣術を学んだのか?」
「ないっすよ、どうかしました? 」
「いや、君の神機の扱いが初心者としては並外れだったものでな。」
「……そりゃあどうも。」
「ナナも訓練相応の実力を見せてくれたが、君はまた一味違ってた。まるでキャリアを積んだ神機使いと一緒に戦っている気分だったよ。」
「そこまで?」
「君はそれくらいの働きをしたのさ。」
「……言われすぎるとこっちも負担になるってことは知ってください。」
「ふっ、それもそうだな。」
フランさんに続いて、ましてやこの人まで。段々とその言葉に重くなってく圧迫の裏では、自分がどこでこんな腕を磨いたのかが怪しくなった。分からない所で、それはどうかなとも思うが……。
* * *
フライアで最初に俺らを迎えたのは、嬉しいながらも驚きを隠せない表情のフランさんの顔だった。
「皆さん、ご無事で何よりです!」
「フラン、二人は疲れている。言いたいことは山々だろうが、休息が最優先だ。」
「わかりました。ナナさん、稀羅さん、今日はもう部屋にお戻りになさってください。他のアサインされたミッションは全てキャンセルします。」
「うわあ、よかったあ。休めるう。パタンキュウー。」
ナナは近くのソファーにすがる格好で倒れた。
「おいおい、部屋で寝ろよ。」
「うーん……そうする。」
フラフラしながら部屋に向かうその背中に、さらに心配になってきたぜ。
「稀羅、お前も戻れ。」
「了解。流石に予想外展開には疲れましたよ。」
表には出さなかったもの、疲れきった体を引きずって自室に戻った。赤いカーペットがお迎えって……どうかなと思うが。
「こんなに疲れてりゃ、ベットでも寝れそう。」
以前は木面がむき出しの硬いベットに慣れたもんで、ここの柔かすぎるベットは寝心地が悪かったが、今日はどうでも良さそう。適当にブラット制服の上着を脱ぎ捨て体を投げた。
ほんと……今日みたいのはごめんだ。
* * *
次の朝、自然に目が覚める形で起きた。が、腹が痛くなるくらい異常なほどの飢えが……。
「食生活最悪だな。てか、あんなにアラガミを食べても減るか。いや、あれは神機が食ってるか……一先ず洗おう。」
昨日何もせず寝たもんでかなり汗臭くなってしまった。制服を洗濯機にぶち込んでシャワーで汗を流した。は、いい。それはいかに普通でいいんだが……
「やばい。服何着ればいいんだ?」
うわー参った、今更考えてるとかもう後の祭りじゃないか。
「うーん……」
部屋をゆっくり眺めたり、クローゼットを開けたりしても、下着一つない。確かブラット制服を頂いた時に自分の私服はフランさんに預けたはずだが……今それがないってのはもしや……処分?それとも……
「単に危険物がないのかをチェックを行っているとでも願おう。」
なら前の私服は置いといて、どこで服を調達するか?このまま部屋から出るにはかなり勇気の要る格好だし、そもそも制服が乾くまでこの飢えを抑えられるかどうかも不安だ。
「はあ。どうしたもんか……」
バスタオル1枚を巻きつけて、ベットの上でぼーっと周囲を眺めてたら、ふと視界に入るものがあった。部屋の隅に設置された、背の高い変な機械。
「ターミナル?」
神機使いとして最も使うことになるとあった端末。神機の整備や副装備の準備、重要文章の作成やメールのやりとり、データ閲覧の他諸々のとこに使うらしい。
「……うん?副装備?」
主装備が神機だとしたら、服は……副装備じゃないか?ターミナルを起動させ、幾つかのメニューをいじる。
「……ビンゴ。種類が凄いんですけど……」
たまたま入った装備手配のメニューに入ったら、2、3項目が並び、服装ってのを入力した。そしておよそ100に達しそうなカタログがずらりと続く。どうやらここで必要な素材と金を渡して、服を調達してもらう形式のようだ……でもな、
「素材が足りないのがほとんどじゃん。」
ギリギリ作れるのを見つけそいつを注文すると、端末機の下が開くなり、注文した服が出た。
「おお!速くて助かる。」
5分後、流石に下着は乾かしたのを着て、その上に注文したのを着た。下はブラックのスーツズボンに、上は白いワイシャツと栗色のチョッキを羽織る。
「なんか、ウェイトレスになった気分。」
意外に少ない種類でなんとかうまくいった。これなら特に目立つこともないだろうし、当分生活できそうだ。
「よし、飯に行くか。」
多少軽くなった足取りで部屋を後にする。
* * *
新しい服装はやっぱり人の目を引くようだ。
「おはよー、稀羅!おお!なんか執事になってる!」
「おはようございます。服装変わりましたね。お似合いです。」
「どうも。買うのに苦労しました。」
ほらね、ロビーでの話題は早速そっちに回る。
「でしたら今は洗濯ですか?」
「あの制服ですか?はい。」
「ねえねえ稀羅、せっかくだし一緒にご飯食べようよ。」
「そうしよう、こっちもスッカスカだよ。フランさんも一緒にどうです?」
「お誘いは嬉しいですが、もう済ましましたので。」
「そうですか、んじゃ、後でまたお伺いします。」
* * *
神機使いになってから食欲が増したみたいだ。今までの3倍くらいの量でも全然きつく感じない。
「稀羅も結構大食いだね、へへっ。」
「お互いさま。てかナナがまだ上か?」
「えっへん、それは当然。」
褒めたつもりはないがまあ、いいか。ちなみにナナは俺の2倍は食べてる。
『ナナさん、稀羅さん?』
あれ?なんでいきなりフランさんが。
「はい、どうぞ。」
『少々……私の手に負えない状況になりましたけど、ロビーに来てもらえますか?』
そしてその無線から何か固いものがぶつかる音がした……ちょっと待て、何が起きてる?
「え、何?この音。」
「ロビーだろ?行こうぜ。」
慌てて食堂を出てロビーに入ったが、1階には何の異常もなかった。そう判断した次にはもう2階に登った。
「あ、稀羅さん。」
「例の状況って?」
カウンターにいたフランさんは、目をむかずただある方向に指差していた。その方向に視線を泳がすと……
「いきなり殴って来ることはないだろ!」
そこに尻餅をついたロミオさんと、その向かい側にある長身の男がいた。誰だ、この人は。
「状況を説明して欲しいな。」
隊長のジュリウスさんもご登場。てか遅すぎません?
「あたしたちも来たばっかでよくわかんなくて。」
俺も全くの同意見だからそんなに俺を見ないでくださいナナさんよ。
「こいつの前にいるとこ聞いただけだよ。そしたら急に殴りかかってきて。」
うーん……相当大雑把な説明なんですが、ロミオさん。これにはジュリウスさんが困惑する。
「あんたが隊長か?」
するとロミオさんを殴ったのであろうと男が言い出す。顔にはうっすらと傷跡の残し、黒く長い髪の毛が肩に垂れる。一見気の強そうな、それでも大人の雰囲気を漂わせる奴だ。
「俺はギルバート-マークレイン、ギルでいい。このクソガキがムカついたから殴った。それだけだ。」
うわ、ロミオさんを一発でガキと称する、やるわこの人。
「懲罰房でも除隊でも勝手に処分しろ。じゃな。」
隊長が直接指示を出すも前に、てくてくと歩いて行っちまった。
「あいつ、短気すぎるよ。そりゃあおれも悪かったかもしれないけどさ。」
「単に聞くだけならあそこまで怒りません。ちょっとしつこかったんじゃないんですか?」
「そうそう、暴力も良くないけど、先輩も弄りすぎなんじゃない?」
俺とナナが弱く責め立てても、
「そっちが速く打ち解けられるじゃん。」
反論するロミオさんである。間違ってはないけど。
「今回の件は不問に伏す。ただし、戦場に私情を持ち込まぬよう、関係を修復しておくこと。」
うーん、一見心が広そうにも見えるが……単純に状況の悪化を防ぎたいだけですか?
「ええ、無理だよ、あんなの。」
だんだん子供っぽくなっていきますから、ロミオさんもそこらへんにしてください。
「お前たちもサポートしてくれ。いいな。」
「了解。」
「あいあいさー。」
ここではっきりした。隊長、俺らに全部任せっぱなしだったら許しませんよ?もちろん彼にこれが聞こえるはずもなく、退場の素早い隊長だった。
「無理だって、あんな暴力ゴリラととか。やってらんねよ。」
ついにロミオさんにも天敵現し、かあ。にしてもゴリラって……
「俺はあのギルという人のとこに行ってくるよ。ナナ、そっちは任せる。」
「うん、行ってらっしゃい。」
ただ周りの人が迷惑なのは確かなのだがね。
* * *
「ギル、と言いましたか?」
「ん?ああ、お前は?」
「稀羅、と言います。」
ギルバート、自称ギルさんを見つけたのは庭園だ。下の階はあんなに修羅場ってのに、張本人はここでゆったりとベンチで休憩していた。これを見るロミオさんがどう反応するか。
「俺の処分は決まったか?」
「ロミオさんとの仲直り、それが処罰です。」
「はっ、それはそれでいいね。」
「少しは落ち着きました?」
「ああ。お陰でな。そっかー、奴とか。出来そうか?お前から見ると?」
「んまあ、見る限りまさに犬猿の仲ですよ。そのうちなんとかなるでしょうが。」
不思議にこの人の清々しい態度が気に入った。何だか思ってることが似てるからかな?
「はは、その通りだ……頑張っては見るぜ。そうだ、あの時にはデタラメだったからもう一度自己紹介させてくれ。俺はギルバート-マークレイン、一応5年のキャリアで槍はそこそこ扱える。」
「親米の稀羅-ペル-メルディオです。一応バスターです。」
「まあ、よろしくな。」
「こちらこそ。てかこっちがこうなってもなあ。」
「はは、安心しろ、あいつには俺が後で直接謝っとくぜ。」
「助かります。」
「あとな、その敬語、遠慮してくれないか?そう待遇されるほどの奴じゃねえんだ。俺は。」
「ふーん、んじゃ改めてよろしく……でいいか?」
「ああ、よろしく。んじゃ、また後でな。」
ギルが先に庭園から出て行った。たまにはこういう刺客もロミオさんにも悪くないかもな。
* * *
『稀羅さん、本日のミッションを入れて置きました。至急取り掛かってください。』
「了解、昨日のリプレイは御免ですよ?」
『ええ、ご心配なさらず。』
庭園で池の端に座ってた体を起こし、ロビーへ動いた。一般的に任務に関するデータはすべてカウンターで確認できるらしい。
「あれ?」
そんで任務事項を読んでたらちょっとやばいことに気づいた。同行者が……かなり豪華だ。
「あの、フランさん、これ誰が編成組んだんですか?」
「実は、ジュリウス隊長です。」
……やっぱりか。ミッションの同行者は2人指名されていた。それは……。
* * *
「お、先会ったばかりだが、よろしく。」
「はあ、こちらこそ。」
ギルと、
「なあ、稀羅、俺ちょっとトイレ行きたいけど。」
「何十回でもどうぞ。」
ロミオさんだ。未だ自分のプライドを優先させるこの2人、先は神機格納庫でまた殴り合いでもしそうだった。ながらも2人の表情を第三者の立場から見てると、これはこれで面白い。思いっきり嫌な顔をするロミオさん、余裕満々な顔のギル……さては俺にこの嵐を静めろってのかよ、隊長さん。
「ターゲットは……ああ、言う必要ないか。どうせ雑魚だし?」
「ニュービーですから雑魚も何もないよ、ギル。」
「いいから早く終わらせて帰るぞ!」
「おお、ロミオさん、やけにやる気いっぱいですね。」
「ま、やる気だけ走っちゃって変に死ぬなよ?」
「い、いつもの調子だよ。それとてめえはうるさい!」
あー、はいはい。そこらへんにしてくださいよ。
「おい、ヘリだ。乗るぞ。」
「ステージはあの廃墟の都心だっけな?」
「(くそ、ジュリウスの奴、後で覚悟しとけ。)」
こそこそ何か言っているロミオさんは放っておこう。どうせろくなことは喋ってない。
これでブラッドメンバー4人目です。
ゲームでは悩みましたね。誰とミッションを行うか。
気づいてたら5人目ですから。