GOD EATER「Past you and Now I」   作:Pumpghost

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緊急事態-It pressed RED SWITCH-

『前方、小型アラガミ、9体確認。いつでもどうぞ。』

 

初陣と全く同じステージに着くなり、誰もが躊躇いなしにヘリから飛び降り、早速任務が始まった。

 

「うっし、いくぞ!」

 

青紫のしなやかな印象の槍を器用に回すギル。あれって確か、チャージスピア言ってたな。何をチャージするんだ?

 

「稀羅、中には浮遊タイプも混じってる。頼める?」

 

ロミオさんの神機を見るのは初めてだが、俺と同じくバスターのやつだ。ただ、個人的にカスタマイズでもしたのか、エッジがオレンジ色にカラーリングされてた。

 

「どっちかというとギルにお願いしたいんだけど。」

「いいぜ、悪くない。」

「名称は、ザイゴートと言ったっけ。」

「ああ、それじゃ、下のドレッドパイクは任せるぞ。」

 

ドレッドパイク?何だそいつは。

 

「あのデカカブトか。」

「お、そんくらい知ってるのか?」

「バカにすんなよいい加減!」

 

その軽い冗談まじりの挑発に乗るロミオさんも……。それよりデカカブト、ね?

 

「オッケー、行きましょう。」

 

これ以上の騒ぎがないのをただ祈るだけだ。そろそろ止めるのも面倒になって来たし。

* * *

 

カブト野郎の緑色の殻に神機が食い込んだ。ヒビが全体に広がる中、硬そうな殻は徐々に裂けて中の肉が露わになった。手首に入れた力がそれさえも抉るように神機を動かした。

 

「……やっぱ小型は脆いね。」

 

思わず呟く。昨日と変わらずいい斬れ味だ。いや、今のは破砕といった方がいいか。

 

「浮遊タイプ、終了。」

 

女性の上半身に、黒色の化け物の頭を被らせた形のアラガミ。ギルはその3体を穴だらけにしちゃった。

「うらあ!」

 

デカカブトの角がついた頭を剥がすみたいなチャージクラッシュが一度に2体を仕留める。へえ、ロミオさんもやるな。9体中ざっと俺は4体は片付けた感じだ。

 

「終わり?」

 

ギルが槍を肩にのっけて周りを確認し始めた。今のところ死んだもん以外は見当たらない。

「みたいですね、フランさん?」

『目標アラガミは掃討完了です。ただ……』

「ただ?」

『想定外のアラガミの反応ありです。中型の模様。』

 

おいおい、昨日と同じパターンかよ。あんなに嫌だって願ったんですが……

 

「どこですか?」

『同じ戦闘エリアですが、かなり離れています。どうしますか?』

「うーん。」

 

ロミオさんとギルの方を向いた。2人ともチラ見でお互いお顔を伺ってる。

 

「……ま、小型だけだったし、まだいけるともうぜ。」

「そ、それは俺だって、」

「まあ、そのさらに後で出現するとかは遠慮したいが……やる?」

「おう。」

「行こうぜ!」

「フランさん、こんな感じです。」

『昨日に引き続きで申し訳ありません、稀羅さん。』

「いいです。これからもそうなるだろうし。」

『ならないのが本来正しいのですが……』

「クレームはいくらでも入れます。今はあの中型の情報を。」

『はい。種別はシユウ。格闘戦に秀でた半鳥半人のアラガミです。また、手にオラクル攻撃を行う気孔があります。』

 

格闘戦に優れるってのはそれほど動きが速いとでもあること。

「シユウか、切断には絶対耐性がついてる。効くとしたら頭だよ。」

「けど貫通くらいなら足は狙えるぜ。稀羅、どうする?」

「破砕が効くところは?」

「一応手かな?」

「……ギルは奴の足を壊して、動きに制限をつけてくれ、ロミオさんと俺は、ひとまず奴の手を壊しましょう。その後に頭を叩くことで。」

「異議なし。」

「俺も。」

「フランさん、指定座標お願いします。」

『はい、現在シユウは元動植物園として使われたエリアで、捕食中です。』

* * *

 

上り道を走ると、もう手の加えようがない多種の植物が植え付けられてる地面が拡がった。俺らの頭まで届く草が、自然の再生力の凄さを見せつけてくれる。本当にここが元植物園だとでも?

「いたな。」

 

一回り大きい岩の隣で、石ころを拾い食いしてる奴がいた。巨大な青い翼をその腕にまとう筋肉質のアラガミ。翼さえなかったら、本当に人間に近いアラガミだ。

 

「後ろで一気に捕食しますよ。」

 

ロミオさんとギルが頷く。シユウの後ろに周り、静かにプレデタフォーム展開。視線を交えて、一斉にそいつに放った。

「せーの!」

金属を噛んでいるのかの音と共に、シユウの皮膚の一部分を捕食した。かなり少量だが……。

「硬すぎ!」

 

足は全く切断が効かない。それどころか通常攻撃も簡単に弾かれた。

 

「下がれ、来るぞ!」

シユウが両手を持ち上げて独特な構えをとって、両手の気功の様な穴から火の球を発射した。

 

「くっ!」

「ちいっ!」

 

2人とも後ろに下がる。ておい、これ狙えるぞ?

 

「ふっ!」

 

前方にダッシュしながらシールドを体の前に張る。球が当たって手先から振動がからだを揺さぶった。そのまま横に一の字を描く。出しっぱなしのシユウの手が、深く切り傷を負った。向こうも思わぬ一撃に、シユウは短い悲鳴とともに一歩下がる。

 

「その隙貰うぜ!」

 

後ろに回った神機を足で蹴り上げ、肩越しの縦斬り。クリティカルヒットを決められた頭が、その左半分をもぎ取られた。これはいい格好だ。

 

『結合崩壊を確認。』

「稀羅、伏せろ!」

言われるがままに伏せると、頭上にギルが投げた神機がシユウの左太ももを貫いた。槍の神機はその勢いのまま地面に埋まった。いい足止めだ。

 

「うらあ!」

 

続き様に、ロミオさんが放ったチャージクラッシュがシユウの翼の鉄羽に当たり、次の瞬間は綺麗な切断面が見えた。こっちからももう一回仕掛ける。迫るシユウの左手を軽く蹴ってどかし、その肩に乗る。掴まれるのを避けて空中に跳躍し、真下に神機を向ける。

「死ね、おらあ!」

 

腕力と落下のスピードをのせた神機が、そいつの頭から胸部にかけて深く刺さった。一旦手を放し、離脱そいつから離れた。土煙を起こしなら倒れ伏したシユウはビクリともしなくなった。

「……死んだか?」

「みたいな。」

「最後すっげーな、稀羅。」

「どうも、」

 

神機を引っこ抜くと、傷口からズルズルと鮮血が出ては地面を濡らし始めた。中型といって余計に緊張して、ちょっと損した気分だ。

 

「お前さんの行動力のお陰だ。」

「下がってばかりじゃ、意味が無いじゃん。」

「思い知らされたぜ、全く。」

 

電子音がし、またフランさんの声がした。

『アラガミ、活動停止確認。素晴らしい動きでした。』

「稀羅、お前もしかしたら、新記録叩き出したかもな。」

「え、これで?」

『稀羅さんの記録は49秒、現フライアで団体戦の記録を更新しました。』

「おお、やった。あれ?てことは、ソロの記録もあるんですか?」

『はい、ソロで18秒です。』

「……誰だよ、それ。」

18秒ってことはほぼ一か二つで仕留めたということになる。

 

「ま、稀羅なら、目指せるんじゃね?」

「さりげなく言うのやめてくれ。」

 

静かに霧散するシユウの死体を見送った。

* * *

 

「にしてもこのメンツでよくも上手く行ったな。」

 

ヘリで一息ついたギルが先に言い出した。

 

「だね。あの投げ槍は上手かったよ。さすがプロってこともあるね。」

「よせ、プロでもくそでもねえぞ。」

「ロミオさんのチャージクラッシュもいい感じ。見直しました。」

「だろ?あのタイミングを待ってたぜ。」

 

少し鼻が高くなるロミオさん。やれやれ分かり易い性格でよかったわ。

「でもよ、待つばかりじゃ、いつ噛まれるか知らんぜ。」

「は、前に出れねえ奴がよく言えるね?」

「ああん?!」

「はいはい、そこまで。」

 

軽く舌打ちしながら座り直す2人だ。こんな目にさせた隊長をどう仕返せばいいのか……。

 

* * *

 

「お疲れ、稀羅!すごいよ、記録更新?」

「んまあ、そんな感じ。」

「いいなー。もういわゆる'期待の新人'じゃない?いいなー!」

 

期待の新人か、聞き悪くはないけど……どの道それも一ヶ月過ぎると消えるかもな。

 

「ナナの方は行ってないのか?」

「ジュリウス隊長と小型アラガミ殲滅ミッション!でも小型ばかりだからなんかあっけなくて。」

「言えてるな。」

「でしょでしょ?」

新人だし、ミッション内容が配慮されていることは痛いほど分かる。そんな簡単に新人を失いたくはないということだな。でもさすがに小型ばっかり相手にしていちゃ、他のもんは対応できなくなる。そろそろ大型もやってみたいんだが。

 

「あ、ちょっとごめんね。」

 

ナナの方無線が入ったみたいだ。しばし黙って聞いてたナナは、

 

「はーい!」

 

元気な返事を入れた。こんなに喜ぶってのはだいたいあれか?

「ミッションか?」

「うん!中型だって!2体だから、隊長も入るみたい。後はギルとロミオ先輩。」

 

あれ、ってことは俺一人だけ除外だぞ。ちょっとずるくないですか、隊長さん。

「フランさんが、稀羅は少し休めってさ。」

「休む……ね。」

まだ午前の任務一つこなしただけだ。これで強制休憩ってのはちょっと。まあ、命令ならしょうがないか。

「わかった。行ってらっしゃい。」

「はーい!」

 

神機格納庫に走っていくナナが妙に羨ましくなった。でも今は我慢しよう、あとでいくらでも任務は出てくる。

 

* * *

 

「稀羅さん、神機の強化は行っていますか?」

 

暇の果てにカウンターに寄った俺をフランさんが相手してくれた。

「あの時貰った複合コアでの強化が全部です。」

「他の強化プランを発注しましょうか?」

「強化プラン?」

「既存の神機のパーツを全く違うデザインや性能を持つ他のパーツに強化するための、いわゆる設計図です。」

「あ、じゃあ、是非。」

 

見せてもらった強化プランは、形から属性まで種類が豊富だった。多すぎて何にしようか迷いそう。他に、最初から違うものを作る合成というプランも。中でも俺の目を引くものもあった。

 

「ヤエ……ガ……キ?」

 

写真に映ったそのバスターのパーツは、黒くスマートに鋭さの刀身をベースに、薄く光る線が何本か走ってた。

「作れるかな?」

 

アラガミの素材よりは、鉱石素材が必要そうだ。ストックを探りまくると、ここ何度かの任務で拾った素材が使えた。おまけに複合コアで強化も済ました。

「いいねえ、早く使ってみたいね。」

 

フランさんにも作ったパーツの写真を見せた。

「なるほど、この刀身ですか。」

「知ってるんですか?」

「今まで何回かこのパーツを取る方は目にしました。途中で強化素材の希少さと、低スペックで見捨てられたのがほとんどですが……」

 

それ、明らかに反比例になってませんか?

 

「じゃあ、俺が最後まで作りましょうか?」

「それは楽しみです。一部の意見ではこの光る線はアラガミの素材によって多少変化するらしいです。」

「今は青ですね、他に色ありました?」

「緑は。けどそれ以外はどうかと、」

「よし、がんばろう。」

「完成したらまた見せてくださいね。」

 

彼女に向かって頷こうとした時、フランさんの前のモニターから警告音がした。

 

「……なんですか?」

「……大型アラガミが……接近中?フライアに?」

「種別は?」

「えーと……これは'ガルム'です!」

「ガルム?確か……狼の?」

「ええ、前脚に強固なガンバレットをつけた、炎を操るアラガミです。」

「何体ですか?」

「2体です。」

 

ちょい洒落にならないですよ、そんなこと。

 

「……フライアに残っている神機使いは?」

「それが、貴方だけです。稀羅さん。」

「え、冗談だろ。」

「ここで冗談言っても何もなりません!」

「これくらい言わせてください!」

「どうします?他の方は先ほど出撃したばかりで、今から呼び戻しますが……。」

「どれくらいかかります?」

「ヘリを急行させても10分以上はかかります。」

 

10分。いくらフライアの走行スピードが速かろうと、あのアラガミに捕まってしまう可能性が高い。そこで……せめて何かしらで奴らの注意を引けるなら……

 

「……んじゃ、やってみます。」

「はい?」

「20分ならともかく、10分でしたらいけるんじゃないですかね?まあ、瀕死状態もあり得ますが、やりますよ。」

「危険過ぎます!」

「だからと言って他に方法あります?」

「しかし機動力の高いアラガミが2体です!」

「ふーん、一方を速攻で倒してリスクを極端に減らすってのは?」

「しかしそれだと……一撃必殺の何かが要求されます。」

「……チャージクラッシュはどうです?隊長さんのブラッドアーツには劣るけど、それなりの効果は出してくれるはずです。」

「それは……。」

「やりますよ。フランさんはみんなに至急こっちに向かうように誘導してください。フライアが逃げる時間を稼ぎます。運が良けりゃ2体とも倒せるかもしれないし、でしょ?」

「……ご武運を祈ります。」

「そうこなくちゃ。早速向かいます。」

「あ、稀羅さん!」

 

走り出そうとした体を危うく止める。

 

「お葬式とかやらせないでください!」

 

多少焦っているあまり叫ぶフランさんがなんか可愛らしい。まだあれを覚えてるのか。

 

「……気をつけますよ。」

 

格納庫に向かって走り出した。

 

* * *

 

「2体を一気に一人でなんて、無茶です!」

今度は神機格納庫のフェンリル職員にも止められた。はっきり言ってこんな暇は全然ないんだけどな……

 

「いいですから、俺も死に急ぎ野郎になる気は無いですよ。」

「……それなら、これを、」

職員から見慣れない黄色の円盤を渡された、なにを盛れっというのですか?

 

「トラップです。動きを一時的に止めてくれます。」

「……おお。」

「どうか、生き残ってください。貴方たちは我々の希望なんですよ?」

「了解。」

 

戦闘アイテムはスタングレネードしかないと思って、それでもポケットいっぱい入れたんだが、まさかこんなもんもあったなんてな。

 

* * *

 

『どこに降ろせばいいんですか!』

無線の2番目のチャンネルに、ヘリ操縦士さんの声が届いた。

「2体のうち、先頭の方より少し離れたところで降下します!」

『お気をつけて!』

「よろしくお願いします!」

 

一陣の風を巻き起こしながらヘリが離陸した。

『稀羅さん?聞こえますか?』

「はい、なんですか?」

『先ほどジュリウス隊長と連絡がとれました。そちらに急行すると。』

「了解、きっちり時間稼ぎますよ。」

 

正直、本心はまだこの状況に追いついていない。心よりも体が先に動き出している、そんな感じ。まるで、こうするのが性に合っていて、慣れているみたいに。けど、なんだろう。それ以前にもこんなことをしたことがあった気がする。いつだっけ?

 

「後で考えようぜ、後で。」

 

自分のことより、まずは目前のことをなんとかしようぜ。

 

『いました!アラガミです!』

来たか。ヘリのドアを開いて下を見やる。全身緑に、頭に赤い毛を植えた、まさに狼のアラガミだ。かなりのスピードでフライアを追っている。

 

「あの頭、まるで狙ってくださいと言ってるみたいね。」

神機に指を絡め、微かに力を入れた。微弱な音と共に肩の上で神機がうっすらと紅いオーラに包まれる。ブルブルと震えるそいつが、今すぐにでも何かを斬りたがってるみたい。

 

「我慢しろよ、もうすぐだ。」

 

ヘリの頭の方向が奴らと同じになった。同時に相対スピードもバッチリだ。

 

『今です!!』

「どうも!」

 

息を吸い……吐く。両足でヘリの側面を蹴った。ふわっと浮いた体が、下に引っ張られる。

「ううっ!」

すごい風だ。上空何メートル?死ななければそれでいいけど。神機がどんどん大きいオーラーに包まれた。上に構えた。米粒のアラガミがどんどん大きく見える。狙いは、赤い頭の、首の方。

 

「うらあ!」

 

一回転で助力のついた神機を頭の後ろから垂直に下ろした。

 

「行くぜ、てめえら!」

視界が……閃く。




さて、原作ズレきたぞ!
気に入らないとおっしゃる方、すみません。エミールとシエルはこの後に載せます。
でも流石に原作ままだとつまんないというのが私の意見でして。
続きもよろしくお願いします。
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