GOD EATER「Past you and Now I」   作:Pumpghost

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緑と赤と白-Just one he said-

雷鳴のような凄まじい音に鼓膜が破れそう。チャージクラッシュが直撃した地面にひびが入る。

 

「やったか?」

 

地面に当たる直前に何かを切った感覚があった。地面の神機を抜き、できる限り後ろに離れた。

 

「……やっちゃった、」

 

狙いの首は落とせず、右腕と顔の右半分までしかもっていかなかった。状況が呑み込めたガルムがいきなり空へむかって咆哮を放つ。泣き声からして、向こうも戦闘に入る気満々だ。だが同時に、

 

「……っ?!」

 

おかしなことに、その鳴き声に頭が割れるみたいに激痛が走った。身体がフラフラし、視界もどんどん狭まれて行く。待てよ、こいつの泣き声が人間に害を及ぼすとかそんなデータはなかたぞ?耳は神機のせいで片方しか塞げず、どんどん激痛がしてきた。

 

「ちょっとは黙ってろ、てめ……ウアっ!」

 

油断した。向こうは2体なのに1匹に気を取られ過ぎで、もう1匹に背中から打撃を食らった。左に飛ばされた体が地面を4、5回転ぶ中で神機を立てて危うく立ち直った。どうやら咆哮もちょうど止んだようだ。

 

「……くそ……」

 

初撃はどっちかというと失敗。ただ、別に持久戦に持ち込んでも、奴は出血で瀕死になる。ただ、初見の相手に俺がどこまで持つかが不明だ。少しでも速く片方を潰した方が勝機が高まるしな。あと、そもそも……

「てめえの鳴き声うざいんだよ!」

 

神機を右後ろに構え、地面を蹴った。たとえ無傷の奴が迫ろうと先に動けねえ奴を仕留める。それしか方法がない。ガルムは残った3本の足にも関わらず、高高度のジャンプを決めた。そのまま俺を潰す気で落ちてくる。

 

「ありがたく頂くぜ、その面!」

口を開いた半壊の頭に、神機をはめ込んでから自分の体を回転させた。奴の首を捻って折るようにひっちぎると、黒い血が顔にブワッと当り、重い図体は地面に落ちた。眼鏡を拭いてる時間もないんで、外して投げ捨てた。急いでもう1体を確認する。

 

「何やってんだ、あいつ。」

 

ガルムのガンバレットが着いた地面が微妙に赤熱する。差中にもう一方の手を高く掲げ、何かを投げ出すための予備動作をしてきた。あれ、これさ……頭で割り切ってすぐ、右回りで接近した。その瞬間、ガルムの構えた左足が動き、抉られた地面から灼熱の岩石が飛んできた。だいたい予測したけど、

「炎まで纏うのは聞いてねえぞ!」

 

攻撃も何もやめて、とりあえず横に体を投げた。頭上をかするように岩石が通ってから、すぐに二度目の突撃を試みる。未だ地面に着いたガンバレットを狙って、縦に振り下ろすも、

 

「かた!」

 

切断は臨なかった。 しかも直後に、奴の方からバックステップで距離をとった。狼と呼ばれることはあってなかなか速い。バスターの俺には苦戦が強いられる。

短く鳴いたガルムは急に全足に力を入れこっちに飛びかかってきた。これは……オウガテイルが比にならないくらい一瞬だ。しかもあの重い足に鋭い爪って。寸前に開いたシールドにその衝撃が襲いかかった。両腕の骨関節が外れそう。こっちが弾くと、ガルムはもう一度すばやく後ろに下がった。やっと反撃に転じそうだと思ったその時、下がったはずのあいつがいつの間にまたこっちに迫っていた。

 

「……嘘でしょ!」

今度は防ぐ暇もない。横から神機をそいつの両爪を目掛けて水平に繰り出した。

 

「うっ、あ!」

 

遅れたタイミングで、十分な力で弾くことができずに体が飛ばされ、しかも神機を手放してしまった。その隙を逃がすまいとガルムが大きく右腕を挙げ、叩き潰そうと下ろした。

 

「わわわ!」

 

必死にコロコロと体を回してかわした。伏せた状態から神機を目指して走り出す。するとまたも後ろから鳴き声がしたので後ろを見やると、あの火だるまを投げる姿勢をしている。神機を鷲掴み、あいつを見る暇もなく後ろに向けてシールドを展開した。またもジャストガードで体に反動が大きすぎだ。

 

「つくづくとクソ野郎が!」

 

右足を軸に、一気に方向を変え、急接近をかける。そこでガルムが両手を地面につけると、カチャンと開いたガンバレットの発熱機関が急速に回転を始めた。また何をしやがる気だこいつ。

 

「てめえもあの野郎についていけ!」

 

頭に神機が当たるように降ろした途端……爆発が視界を覆った。そして、誰かに押されたでもしたような強烈な衝撃で体が吹っ飛んだ。息が止まってしまいそう。胸の辺りを強く叩かれた感じ。

 

「ううっ……おえ……」

 

吐き気まで。人生初経験の爆発は凄まじい一言では足りない。よりによって眼鏡のなさに悪くなってる視界がさらにぼやけた。やばい、あの攻撃スピードに全然追いついてねえ。そんなとこか、ほとんど全部どこかに当たったし。

 

「ん?」

 

飛ばされながらも掴んでた神機の先端に、なんか変なのがついてある。よく見ると、あいつの頭の一部だ。本体を見ると、少しあやふやだが、確かに奴の頭から血がダラダラ垂れてる。全く無意味ではなかったかもな。ただ、ここからは生半端な戦法じゃ、単に俺の体力が減る一方だ。もうちょっと戦況を有利にするためには……あいつのスピードを抑えなきゃ。

 

「なら、あの後ろ脚?」

 

巨体をしっかり支えながらもあの速度ってのは、かなりの力が要る。あれを切れば、ほぼ勝負が決まる。が、そう簡単に切れるのか?むしろ……どっかに注意を引かせてからにした方が……進路を大きく右回る形で、奴の前足の攻撃はスライディングでかわしながら股の下をくくる。思惑がばれたのか、あいつが急に走り出そうとした。けど、狙いは足ではない。むしろ……

 

「尻尾!」

 

ひらりと下がった赤い毛だらけの尻尾をプレデターで喰らいつく。そして、奴の運動に体ごと引っ張られた。

 

「げっ、こいつ速い!」

 

空中で腕を体の方に引き、尻尾を根元ごとちぎった。着地にしくじりまた転んで砂だらけになった。でもその分、尻尾をなくしたガルムは走るのをやめて、痛みのあまり地面に体を擦り付ける。

 

「ざまあですよ!」

 

奴が暴れる中、そいつを飛び越えながら、縦に神機を叩いて後ろの両足を骨ごと砕く。勢い乗って、一本はどっかに飛んでいった。完全にバランスを失ったガルムは立つこともできずに、懸命に体を跳ねてるだけだ。

 

「はあ、はあ、少しは落ち着いたか?」

 

しかし、状況の整理も兼ねて、周囲を確認した目に映った光景に唖然とした。一番初めに頭を落とした奴が……生きてる?!頭がなく何も見えないはずなのに、こっちにフラフラしながら歩いてくる。不気味すぎですよ!

 

「呪われ死体とか、そんなんじゃないよね?」

 

完全にこっちの存在を気づいたそいつが、まるで体あたりでも仕掛けるように全力で走り出した。一般的な攻撃でもダメなら、チャージクラッシュしかない。今日二度目にオーラーを包む神機。多少上斜めから、綺麗な線を描きながら残った首とガンバレットを斬りかかる。

 

「いい加減にしろ、この野郎!」

 

ガンバレットは砕かれ、その中肉もしっかり断面をみせた。走りの勢いで、さらに向こうへ滑るガルムを、再びチャージクラッシュを用意しながらその上へ跳躍する。真上から落とし、2つに裂く。内蔵も色々切られ血だけじゃなく他のもんも飛び出して全身を濡らした。

 

「へえ、へえ、げっ、どうだ。クズ野郎?」

 

普段なら不快な気持ちにもなりえるが、むしろ今は最高だ。2体を無力化した、完全に。

 

「いや、まだ残りがあるね……」

 

後ろ足を切ったままだった、もう一体。大出血で血の気も失せた野郎がまだバタバタしてる。ああ、ほんと採りたての魚みたい。ゆっくり近づき、神機を上に構える。

 

「じゃなー」

 

今度こその思いで斬り落とした。すぐにバタバタした動きが止み、ブルブル震えてたら……それすらも止まった。一応念のため切り口の所を強く踏みにじってやった。疲れが一気に体を支配し、膝が笑い出した。無理もないか……被弾するわ、走るわ、爆発に巻き込まれるわ。これ終わりだと願いたい。

 

「フラン……さん?」

 

先から何度か電子音が聞こえたが、聞く暇もなく、無視していた。

 

『稀羅さん?やっと繋がりました。状況報告を!』

「2体は沈黙です。俺は……軽症です。」

 

嘘ですけど。上半身が軽く火傷、背中の重撃打撲傷、あちこちの擦り傷。でも今は言わないでおいた方がいいかな。

 

『よかったです。ブラット隊がそろそろ着くはずです。一先ずそこから……』

 

無線が止まった……ん、一先ず、なに?

 

「フランさん?」

『き、稀羅さん!新たなガルムを補足、そちらに向かってます!』

「げっ、マジかよ。」

『これ以上の戦闘は危険です。離脱を!』

「一体どうやって、俊足の狼さんから逃げきれと?と言うより、もう見えてきましたよ。」

 

小ちゃな点があそこで動いてる。あれだろうな。

 

「そういやアイテムは全然使って無かったんで、せめてそれでも使ってみます。」

『で、でも、』

「だから逃げ切れないんですって、絶対に!ブラッド隊がつくまでどれくらいっすか?」

『……あ、あと、3分弱です。』

「どうぞこちらへだ、くそども。」

『稀羅さん!』

「生き残るにはそれしかないでしょ?!」

 

言っている間にもう形がはっきりしてきたガルムが、まっすぐこっちにむかって走ってる。そのまま踏み潰す気か?

 

「……来なよ……」

 

流石にチャージクラッシュを何度も使えるわけではない。とゆうわけで後ろに神機を落とす。ガルムがどんどん大きく見えてきた。まずは左足を固定し、右足を少しあげる。距離、200くらい。

 

「……後片付けはお任せします。隊長さん……」

 

距離、150、100、50、20、10……

 

「うらああ!」

 

右足を回転させ後ろに引く。遠心力で振り出した神機をガルムの頭へ。そして色々ぶち壊れる音とともに、ガルムの頭が爆散したように、弾けた。腕を伸ばして、刀身をさらに入れ体の半分まで斬り刻む。そして残りの回転で神機を軌道から外し、後ろに振り抜いた。

 

「追い打ちだ!」

 

地面にバウンドして跳ね上がった神機を、そのまま前を過ぎる巨体に叩き込む。半分切断、見たくもないいびつな内臓がまた散る。力なく崩れるそいつを一瞥し、次の奴に目を向ける。次はもうだいたい200メートルもない。接近するそいつは、いかにも俺を食べたいように口を開いている。そこで1つひらめいた。

スタングレネード。

バックポケットから一個を少し出してすぐに使えるようにする。

 

「地獄にこれでも持ってけ。」

 

かかってきたガルムの左足に神機を貫いて、おまけに地面に刺した。奴の姿勢がこっちに崩れる。少し右に体を寄せ、その開いた口の歯に、ピンを抜いたスタングレネードを差し込んで目を閉じる。音のしばらく後に目を開けた。足に神機が刺さったまま、視界を奪われたガルムがあそこで急停止していた。何も考えず走り出し、そして、神機にとび蹴りを入れる。痛みにガルムが鳴きだした。

「だからその声うざいって。」

 

蹴りを入れた神機が足から外れた。当然、無理やりだから、ガルムの足も一本いかれた。

 

「かかってきたお前が悪いからな?」

 

垂直に、さらに横に斬り裂くことで十の字をつくる。先の奴の様に上半身がボロボロになり、死体化し始めた。

 

「さーて……残りは?」

 

精神的なにはどうか知らないが、まだ喋られる体がすごい。

 

「お前も同胞のところに送ってやるよ。」

 

動かないと自覚するも、それでも足を動かす。残り、1体……

 

「死ねー!」

 

怒りを乗せた最後まで神機が手の中で震えていた。




一日遅れになってしまい申し訳ありません!
実は端末が通信はし辛くなり、増して、バッテリー切れでもうピンチでした。(これって神のいたずらなんかじゃないよな。)

と、とりあえず、これで番外の方は終わりです。しっかり本編に戻れるようにします。ありがとうございました。
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