この素晴らしいスキマ妖怪に依神姉妹を   作:片腕仙人

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続きです

スティールのところは一人称か三人称で迷いましたがとりあえずは三人称で。あとで書き直すかもしれないです。


15話

 

 

 

それから少し時間が経ってから綺麗になったルナと紫が姿を見せた。ルナは予備の制服、紫はいつもの中華系の服、どちらも新品そのもの。

 

「もぉ~、ユカリさんあんなことやめてくださいね。本当に酷い臭いだったんですからね!」

 

「そうは言ってもルナだって臭い臭い言われたら傷つくでしょ?だから近くにいたルナにも同じ気分を味わって欲しかったのよ」

 

「いや!味わいたくないんですが!もう....」

 

と言いつつ許してくれるルナは本当に受付嬢の鏡だと思う今日この頃。あと私を臭いっていた奴ら顔、覚えたわよ....。臭いはひとまず取れたし細心の注意をはらって紫苑たちのところに向かいましょう。聞かなきゃいけないことが山ほどあるのよ。

 

「紫苑、女苑、それにカズマたちもご機嫌いかがかしら。私は良くないわよ」

 

「紫、さっきのって..なんだったの?凄い臭いだった....」

 

「ええ、ついに胡散臭さが滲み出てきたのかと思ったわよ」

 

女苑、胡散臭さがもし滲み出てきたとしてもあんな酷い臭いにはならないわよ。私をなんだと思ってるのかしらね。

 

「それでユカリさっきのはなんだったんだ?」

 

「....そうね。話すと少し長くなるんだけど絶対に聞いておきなさい特にこのメンバーはね。私は今日紫苑たちとは別でギルドへと向かっていたわ。いたって普通の大通りをね」

 

私は紫苑にクエスト報酬を受け取っておいてとお願いした。そこまではまったく問題はなかった。問題なのはこの後。

 

「ちょうど家を出てから半分くらいの距離のときに急に寒気を感じたのよ。それを合図に私をいつもの不運が襲ってきたわ――」

 

 

 

 

 

少し歩けば何故かいきなり野犬に追いかけ回されるし。

 

「「「ワンワンッ!!ヴヴヴヴッ!!」」」

 

「ちょ、ちょっと待った!?私なにもしてないでしょ!良い子だからあっちいってちょうだい?駄目?」

 

「「「......グルルッ!!」」」

 

一斉に飛びかかってくる野犬。

 

「いやぁぁぁぁ!?一瞬だけ考えたでしょ!!どっか行きなさいよぉ!!」

 

そのあとは全力疾走で逃げてなんとか撒くことができた。

 

 

 

 

 

大通りは危険だと思って路地を行けばちょうど良い具合に一台の馬車が道を塞いでいて....私はだいたいこの後の展開は予想がついてしまっていたわ。

 

「ダメもとで聞くけど慈悲はないのかしら?」

 

「ブルルッ!!」

 

馬は答えることなく全力で私に突っ込んできた。そしてまたもはね飛ばされた私。

 

「はぁ....これあれね..結界に何かあった....ぐはぁ!?..わね..」

 

 

そのあとも水を被ったり、ずっこけたりといろいろあったけどなんとかギルドが見えるところまでやって来たんだけど最後にとびきりのヤツが待ち構えていたわ。

 

 

「やっと..ここまで..やってきた!はぁ....んあ?ああああああああああああああっ!?」

 

一歩を踏み出した瞬間地面に亀裂が入って私の回りだけが地下に落下していった。そしてそのまま下水道にドボン。私は下水道の水を頭から体全体に余すことなく浴びてしまった。

 

 

 

 

「という事であんな臭くて汚い状態になっていたって訳よ。わかったかしら?」

 

「わ、わかったというか....」

 

「えと、ユカリあなたも苦労してるのね。....そんなあなたにはアクシズ教に入信することをお勧めするわ」

 

「ユカリ、運悪いんですね....さすがに同情します。そういう時は爆裂魔法を撃つと気がはれると思いますよ」

 

「なっ!..なんという不運ッ!..くぅ..うらやましいッ!..はぁ..はぁ..私が代わってやりたいくらいだ!いやむしろ代わってくれ!!」

 

は?なにこの女騎士....目がヤバいんだけど。カズマまたなんか変なもの拾ってきたのね。かわいそうに....。

 

それよりも気になっていたことがあったんだった。私がこんな不幸に見舞われたということは結界が作動していないか、紫苑のミサンガが切れてるか、ぬいぐるみが離れている、何かしら原因があるはず。

 

「紫苑、ミサンガとぬいぐるみ持ってるわよね」

 

「え、うん一応は」

 

「ちょっと見せてくれないかしら?」

 

「いいけど、はい」

 

どれどれ....ミサンガは、問題なし。結界にも異常なし。ぬいぐるみの方は....ん?ここほつれてるわね。後で縫い直しておきましょう..じゃない!いや縫い直しておくのは縫い直しておくけどそうじゃない。なにこれ結界が完全に壊れてるんだけど....。

 

「紫苑..これ..誰かに盗られたり、叩きつけられたりしなかった?」

 

「えっと、カズマに....」

 

「盗られたのね。投げられたりは?」

 

「えっと、したかな。そういえばその時にガラスが割れるみたいな音が....」

 

ふーん....なるほどぉ..そう..これで理由がはっきりしたわねぇ。

カズマが原因てことねぇ。カズマを見るとスタスタとどこかへ去ろうとしている真っ最中だった。

 

目視出来ないようにスキマをわずかに開いて脚を挟んで動けなくする。カズマは突然動けなくなって冷や汗をダラダラと流している。

 

「カーズーマーくーんー、ちょぉっとオハナシしましょうか」

 

「す、すんませんでしたぁぁぁ!!!どうかどうか許してください!!」

 

いやいやそんな命をとろうなんて思っちゃいないわよ。それにほら私はオハナシをしたいだけなんだから。さぁ、向こうの空き部屋に行きましょうか。

 

安心してホントウニオハナシスルダケダカラ。

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!?ジョオン!シオン!助けてくれェェ!!」

 

「ソンナニサケバナクテモイイノヨ?」

 

カズマはそのまま紫と共に空き部屋へと姿を消していった。

 

「えっと、ユカリさんって怒ると怖いのねぇ....めぐみん、カズマ..平気かしら?」

 

「カズマなら平気じゃないですか....と言いたいですけど相手はユカリですし....」

 

アクアとめぐみんはカズマを心配しているようだったがすぐにテーブルに戻って食事を再開し始めてしまった。紫苑と女苑は特には心配していなかったが紫苑は少しだけ思うことがあった。

 

(紫、今私の不運受けてるけど....平気かな?)

 

カズマよりも紫が心配な紫苑だった。

 

 

 

 

 


 

 

 

「あっ....戻ってきた..」

 

「....なんかあったわね..あれ」

 

カズマが引きずられ連れ込まれた部屋の扉が開きカズマと紫が姿を現した。だがなぜか紫は頭を擦っているしカズマはどこか心配そうにしているあたり何かしらの不運が起こったに違いない。

 

他のメンバーのところまで戻ってきた二人。互いに間に何も挟まない形で対面する紫とカズマ。

 

カズマとのオハナシはカズマが素直にしゃべってくれたからスムーズにいったんだけど....まさかオハナシ中に壺が頭に三回も落下してくるとは思わなかったわねぇ..。

 

結界が壊れた理由はだいたいわかった。カズマが自分の無実を証明するために紫苑にスティールを使ってぬいぐるみをスティール。喜びのあまり振り回して手からどこかに飛んでいってその拍子に結界が破損。ちょっとそうなる予想はできてなかったわね。

 

これからは強度も上げておかないといけなさそう。

 

「本当にすんませんでした!」

 

全力で頭を下げてくるカズマ。悪気はないのはわかったけど、どうしようかしら。それよりも紫苑に簡易結界だけ貼っておかないと私がヤバい。

 

「紫苑、手出しなさい。簡易結界貼るから」

 

「....ん」

 

紫苑の腕に『不運退散』と割りと適当なことを書いておいた御札を貼り付ける。ふざけてるようだけどしっかりとした結界だから安心。

 

「さて、カズマ。私が許すだけなら簡単でしょう。だからあなたの運命は自分で決めなさい。もしもご自慢の『スティール』でこの扇子かそれ以上の物を私から取ることが出来れば許してあげるわ。紫苑は何か要望あったりするかしら?」

 

「うーん、特には....」

 

じゃあこれでいいわね。

 

「あ、ああわかった。扇子かそれよりも良いものを取れれば許してくれるんだな!いくぞ『スティール』ッ!!!」

 

まあ、結界も簡易的ではあるけど直して不運とは無縁の私から扇子を奪えるわけないのよね。エリスの時と違って今回は油断もしてないし。

 

光を放ったカズマの手には一見何も握られていない。そして私の顔の前には未だに開かれた状態の扇子が存在している。どうやら、失敗みたいねカズマくん?

 

「ふふふ、カズマ残念だったわ....!?」

 

途中まで不適な笑みを浮かべていた紫はいきなり固まるとわなわなと震えだす。顔も隠してはいるが耳まで真っ赤で涙がうっすらと目に浮かんでいる。

 

「ん....これは..!」

 

カズマの手に握られていたもの、それは扇子ではなく一枚の布。黒のレースのついた紫色の三角形、横の部分はかなり細く紐のようになっていてかなり刺激的な三角形、いわゆるパンツと呼ばれるものだった。

 

しかも本来『スティール』は対象からランダムで一つの物を奪い取ることのできるスキルなのだがカズマの手にはまだ別の物が握られていた。それはまるで二つの何かを包み込むような形状をしていてパンツと同じく紫色に黒のレース、細かい模様のはいった物だった。そう、ブラジャーと呼ばれるもの。

 

たしかにランジェリーとしてはセットで一つ....と言えなくもない。運が悪いのか良いのかはよく分からないがカズマはある意味扇子よりも価値のある素晴らしくも恐ろしいものをてにいれてしまった。

 

 

「あ....あぁ..うそでしょ....それって..ッ」

 

紫は完全にカズマの持っている物を理解してしまい口をぱくぱくとさせているがまったく声が出ない。

 

 

「これは....なかなかにセクシーですね..といよりカズマ、パンツだけでは満足できないなんて本当に変態にジョブチェンジしたんですね..」

 

「うわぁ..さすがに女神の私としてもこれは....」

 

「紫、凄いの着けてる..いつもこうなの?」

 

「たしかに..紫、あんたなに..今日勝負事でもあったの。これ完全に....そういうヤツでしょ。じゃなかったらいつも?」

 

「なっ!そんなんじゃなくてッ!いつもはもうちょっと落ち着いた感じの....ほら私、紫色とか好きだから!きょ、今日は紐ってだけで、その、別にそれ以外を持ってないって訳じゃないの!ただ..多いってだけ、で....!?」

 

 

必死になって誤解を解こうとしている紫だが完全に墓穴を掘っている。紫も自分の失言に気がついたがその時では既に遅かった。男性冒険者たちは「おぉ」と感嘆の声をあげ何かを考え始める。この場合は妄想し始めたと言った方が正しいかもしれない。

 

対する女性冒険者たちは顔を赤くし口元を手で覆ってはいるが「すごい..あんなのを..わ、私も..」と何かを決意する者もいたようだ。

 

紫は耳まで真っ赤になったままかろうじて扇子を開き続けたままカズマを睨みつける、だが涙目。すくっと立ち上がる紫。それにあわせてたゆんと弾む胸元、これにまたもや男性冒険者たちは声をもらしていた。

 

「カズマ....覚悟はできてるのよねぇ..」

 

 

「いやいや!待ってくれ!ワザとじゃないんだって!!あっれえええッ!?さっきはうまくいったのに!シオン言ってやってくれさっきはパンツじゃなかったって!」

 

「私、パンツ履いてないよ...履いてもすぐにどこかにいっちゃうから下着はつけてないよ....ん?」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

このギルド内の全員が一斉にぽかーんとしながら紫苑へと視線を向ける。さっきまで真っ赤になっていた紫も呆然と紫苑を見ている。

 

「ちょっ!姉さん!?そういうことは言わなくてもいいのッ!!」

 

「そ、そうよ紫苑!こんなところで爆弾発言しないでくれる!?私知らなかったんだけど!?後で買ってあげるからねッ!!」

 

「大丈夫..一応お札を貼って..」

 

「「そこまでにしてッ!!」」

 

紫苑に詰め寄っていく女苑と紫。

 

紫苑の爆弾発言で男性冒険者は妄想を一度やめて紫苑のスカート、胸元をガン見し始める。カズマやめぐみん、アクアもうそだろ....と紫苑へと視線を向ける。

 

そんな中、金髪の騎士だけが別の意味で頬を赤く染めて「んぁ..うらやましい..」と意味のわからないことをいっていた。

 

ギルド内はある意味カオスな状態になっていた。さらにそこに拍車をかけるようにアナウンスが鳴り響く。

 

『緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者各員は至急正門へお集まりください!!繰り返します、冒険者各員は至急正門へお集まりください!』

 

 

さっきまでの状況が嘘のように慌ただしくギルドの受付員たちも正門へと向かっていく。あまりの慌ただしさにカズマや紫、依神姉妹の二人も雰囲気に流され正門へと向かっていくのだった。

 

 




次は緊急クエスト、それからエリス様と紫の話を予定してます
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