この素晴らしいスキマ妖怪に依神姉妹を   作:片腕仙人

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でっかいカエル

紫が粘液まみれになる展開はないです


2話

青い空、白い雲そしてどこまでも続く広い草原。

そしてそこを跋扈している馬鹿デカいカエル、そうカエルである。

 

アクセルでクエストを受け街を出てすぐの草原にやって来たはいいけどこれは........なんというべきか。

 

私が受けたのはジャイアントトードの討伐。はっきり言ってしまえば本当にそのままで大きなカエル。

ちなみにfrogとtoadの違いというのはカエル、frogの方は体に光沢があってスリム。水辺に棲んでいて足が長くて水掻きがあるらしいわよ。

 

toadの方は体が乾燥していてイボがあって太っている。水辺に行くのは産卵のときだけで足が短くて指先に水掻きないらしい.....そんなことよりもこのジャイアントトードというモンスター有名どころの物だとスライム的な立ち位置だと思うのだけど何度見てもただ大きなカエル、こういうのってもっと異形の姿だったりする物だと思っていたけど名前のまんまだったとは。

 

ただ相手がどんな姿であろうと討伐対象は討伐対象。それに見た目に反してとてつもなくヤバいモンスターかもしれない。

 

そう思い顔を上げ前を見ると見えたのは大きく広がって迫ってくる口、考えているうちにかなり近づかれていたようだ。

 

そしてそのまま頭からパクリと捕食――――されたりはせずにスキマを使いジャイアントトードの頭上に移動しスキマに腰を掛け見下ろす。

 

見てみるといきなり獲物が消えたことが理解できずに大きな頭を傾げているジャイアントトード。こうしてみると少しかわいく見えてもくる。ただサイズがサイズだからもっとこう手に乗るくらいの大きさなら人気になれたかもしれない。

 

流石にいつまでも頭上にいる訳にはいかないのでさっさと倒してしまいましょう。

 

別のスキマを開きそこから標識を撃ち出す。かなりの勢いで発射された標識はジャイアントトードの頭に深々と突き刺さり腹部から貫通し地面に突き刺さった。

 

やがてジャイアントトードは少しの間ピクピクと痙攣しやがて動かなくなった。

 

「これでいいのかしら?たしかカードに討伐数は表記されるってあの金髪ちゃんがおしえてくれたけど」

 

貰ったカード確認してみると裏面にカエルのようなマークの横に1と出ている。どうやらこれでいいらしい。それと少しだけど経験値も入ったようだ。

 

それから他のジャイアントトードも同じように倒し討伐は無事に達成。ただ少し多めに倒してしまったのだけど問題ないだろうか。

 

それにしてもこの討伐したトード達はどうすればいいのだろうか?

 

後でギルドの人達が回収でもするのかもしれないがよく分からないので取り敢えずスキマの中にしまっておくことにする。あんまりカエルの死骸を保管なんてしたくないけどね。

 

「それにしてもこの経験値ってのはジャイアントトードからてにはいるのが少ないのかレベルが上がるのに個人差があるのか知らないけど、結構倒したにしてはしょっぱい気がするのよね」

 

それにこの初期のスキルポイントってのは個人差があるって聞いたけどこれ凄い量あるんだけど覚えるのは特に無さそうね。

 

カードに書いてあるのは私が使える各スペルカードと弾幕、スキマなど。これで大体のクエストは行けてしまう気がする。

 

などと色々考えているといつの間にかギルドの前に着いていた。

ギルド内に入ると

 

「おっ!もう戻ってきたな」「やっぱりいきなりソロは厳しかったな」

 

等々私がすぐ帰って来たこともあってクリアできず戻ってきたと思っているらしい。

私はそのまま受付の金髪ちゃんのところへ向かいカードを渡す。

 

「これでクエストクリアってことでいいかしら?」

 

「へっ?も、もう、ですか。えぇと、はいこれでクエストクリアでって......えぇぇぇぇ!?なんですかこの数!?この短時間で20ってッ!?」

 

どうやらあまりにも早くクリアしてしまったことと討伐数でまた驚き声をあげてしまったようだ。喉は平気だろうかそんなに叫んでばかりで。

 

「それでこれはクリアでいいわけね。それでなんだけど倒したジャイアントトードはどうすればいいの?」

 

「........はっ!、はいそれはですね討伐した場所を教えていただけば回収班が向かいます」

 

回収班が行くのなら別に持ってこなくても良かったようね。このカエルどうしよう。あんまり長く保管していたくないんだけど。

 

「ねぇ、金髪ちゃん....なんて名前?あなたは私の名前を知っているのに私はあなたの名前を知らない、それは不公平でしょう?」

 

「え、えっと....では改めましてこのギルドで受付嬢をしているルナと言います。よろしくお願いします」

 

ルナ....つまりお月様って訳ね。たしかに....ルナ級の立派なものをお持ちで。ちょっとつつけばこぼれ落ちそうじゃない?

 

「きゃあああ!いきなりなにするんですか!」

 

あっ....つい手が勝手に....。でも目の前であんなに大きな月が北半球丸出しにされてたらつついてみたくもなるでしょ。

 

「あら、ごめんなさい....あんまりにも大きかったからつい手が....」

 

「つ、ついって....そんな..うぅ....」

 

この光景を見ていたギルド内の男性陣はみな同じことを考えていた。

 

(((うらやましい....俺もつついてみたい....)))

 

そんなこととは知らない二人は未だに会話を続けている。

 

「ところで、その回収したモンスターを置く場所?そこはどこにあるのかしら?」

 

「えっと、ギルドの裏にありますが....」

 

「案内お願いできるかしら、ルナ」

 

「は、はい....わかりましたけど....」

 

まぁ、そんな不思議に思わないでくれないかしら。一刻も早くスキマからカエルを出したいから早めでお願いします。さぁ行った行った。

 

 

 

 

 

「えっと、ここですけど。ユカリさんが知っていてもあまり意味はないと思うんですけど....」

 

私はルナに案内されてギルドの裏手にある倉庫のような場所へとやって来た。ここに討伐したモンスターを持ってくるらしい、普通は回収班がね。

 

「それじゃあ、置くものは置いたからあとはよろしくね」

 

手をヒラヒラと振ってその場を後にする。

 

「えっ!ユカリさん...置くものって――!?、えっ!えぇぇぇ!?こ、これっ!いつの間にっ!?ユ、ユカリさんっ!」

 

あらあら、突然現れたカエルに腰抜かして驚いちゃって、まあ。でもこれで驚いてたらそのうち口から心臓でも飛び出るんじゃないかしら。

 

ただやっぱりカエルだけじゃどうも味気ないというか張り合いがないのよね。それにもらえる報酬も単位はよくわかっていないけど気持ち少ないしここで生活していくなら拠点もいる。

 

スキマでもいいけどできることならしっかりとした拠点が欲しい。そのためにはたしかエリスってのが必要。それにはクエストをこなしていかないといけない。

 

「ねぇ、ルナ。いつまでもそこで座ってないでいきましょう。受付嬢でしょ?」

 

「....え、あっ..でもこれ..ま、待ってくださいよ!ユカリさーん!」

 

さてとギルドにいいクエスト、あればいいけど。どうなることやら。

 

ルナの駆け寄ってくる足音を聞きながらギルドへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――数週間後

 

 

 

 

こちらの世界にやって来てからしばらく経ったけど生活はかなり順調。この街、駆け出し冒険者の街アクセルって言うわりにはなかなか高難易度のクエストがボードに貼ってある。

 

ここ本当に駆け出し冒険者の街?

 

最初クエストボードを見たときは名前の感覚でそれっぽいものを選んで受けてた。

 

『初心者殺しの討伐』

 

『一撃熊の討伐』

 

ここまではまあ、なんとか駆け出しでも....頑張ればなんとかなると思う。初心者殺しはでっかい猫、一撃熊はデカイ熊。ソロで挑むとかの縛りをしてなければなんとか倒せるはず。報酬もそこそこ。

カエル10回分くらいにはなる。

 

ただ....

 

『グリフォン、マンティコア、ヒュドラの縄張り争いを止めて欲しい』

 

『エンシェントドラゴンの討伐』

 

『グレイトフルジャイアントトードの討伐』

 

このグレイトフルジャイアントトードとか言うのはジャイアントトードのめちゃくちゃデカイバージョン。主的なやつ。

 

空中が安地だと思って観察してたら目の前まで飛び上がって来たときは思わず「ぎゃっ!?」とかいうカエルが潰れたような声が出てしまったけどカエル相手にカエルが潰れた声を出す日が来るとは思ってなかったわ。

 

 

他二つのクエスト、縄張り争いは...あれは酷いもんだったわよ。グリフォンが飛び回って辺りに暴風を吹き荒らしてるし、マンティコアはそれを狙って毒針発射しまくるし、ヒュドラは巨大な体と多い首を振り回して辺りの家屋ぶっ壊しまくるしであの村よく耐えてたわよね。

 

その根性と肝の座り具合があったら自分達でどうにかできたと思う。

 

そしてこれが一番の問題、『エンシェントドラゴン』。

 

率直に言うけど....アホなの?なんでこんなもん駆け出し冒険者の街のクエストボードに貼り付けてんのよ。絶対に無理でしょあんなの。大体あの大きさのモンスターは絶対に大人数、しかもかなりの腕前の冒険者を集めて来ないとダメなやつだったわよ。

 

モンスターな感じのどんな攻撃受けても吹っ飛ぶだけのハンターを集めて来ないときついと思う。普通の冒険者はまず勝てない。

 

 

とまあ、ここまでクエストをやって来た訳だけど一通りすべてクリアはしてきて報酬もたっぷり貰ったから生活に困ることはない。それにちょっとしたお屋敷も買おうと検討中。

 

いまはギルドの前までやって来た。なにかいいクエストないかしらね。そう思いながらもはや親しみさえ芽生え始めてきているギルドの扉を開けなかへ入っていく。

 

「いらっしゃいませ~、あっ!ユカリさん今日もクエストですか?」

 

「ええ、まぁそんなところよ。なにかいいクエストがあればいいんだけどね」

 

入るとすぐに元気のいいウェイトレスがこちらに笑顔を向けてくる。この光景もだいぶ見慣れた光景ね。

 

「ん~、どうでしょうね~?もうユカリさんがやりそうなクエストなさそうですけど。ルナさんなら分かるかもですよ~」

 

「そう、ならルナに聞いてみるわね。暇だったら後でまた来るからその時はよろしくお願いするわ」

 

「は~い、御待ちしてますね~」

 

ウェイトレスの横を通ってギルドカウンターまで向かう。カウンターには今日もかわらず胸元ガッバーでどう考えても見せたくてやっているような格好のルナが受付嬢をやっている。

 

「ごきげんよう、ルナ。今日も相変わらずね」

 

扇子でその強調された部分をつつく。

 

「きゃっ!もう、ユカリさん!ギルドにくる度に私の胸をつつくのはやめてくださいよ!」

 

そんなこといったってそんなのが目の前にあったらつつきたくなるのが自然の理ってものでしょう?それにこの行動はもはや私の習慣みたいになっているしギルドの冒険者たちも慣れたものよ。

 

「まあまあ、減るもんじゃないしいいじゃない。それで今日はなにかいいクエストあったりする?」

 

「もぅ....良くないですよぉ~..えっとクエストですよね?え~、今のところはユカリさんにお願いするほどのクエストはないですね....それにしてもこの数週間ですごい活躍ぶりですねぇ、ユカリさん。グリフォン、マンティコア、ヒュドラ、しかもあのエンシェントドラゴンまで凄すぎですよ!」

 

そんなに興奮しない方がいいわよ、ルナ。前のめりになると重力にしたがってそのたわわなものが揺れに揺れて冒険者の目が釘付けになってるんだけど。

 

「ん~、たしかにエンシェントドラゴンは結構苦戦したわよ。報酬もたっぷりだったし有難い限りだったわ。とりあえずクエストボードだけ見て来るわ」

 

「あっはい、どうぞ。.....私はもっと誇ってもいいことだと思うんですけどね、エンシェントドラゴン」

 

はいはい、私はそんなに有名になるとか威張りたいからやった訳じゃないからね。どれどれ、クエストボードには―――

 

 

 

『ジャイアントトード5匹の討伐』

 

 

『初心者殺しの討伐』

 

 

『ジャイアントトード8匹の討伐』

 

 

『一撃ウサギの討伐』

 

 

『ジャイアントトード10匹の討伐』

 

 

 

ねぇ.....ジャイアントトード多すぎじゃない?この街下手するとカエルにやられるんじゃないの。というかもうまとめちゃいなさいよ。こんな小分けにしないで『ジャイアントトード23匹の討伐』ってさ。

 

でも見た感じ本当にやることなさそうね。折角だし今日は街中でも散策することにしましょう。クエストばっかりであんまり見て回れてないし。よし、そうしましょ。

 

 

そうして私はギルドを後にした。




次は貧乏店主です
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