この素晴らしいスキマ妖怪に依神姉妹を   作:片腕仙人

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ポーションが爆発するのか...


3話

ギルドを後にしてしばらくその辺をぶらついていたけど武器屋も防具屋もなんというかパッとしない感じの物しか置いてないわね。

 

折角だから格好だけは騎士とかなんだったかしら、アークプリーストとかいうのになってみてもいいかと思ったんだけど。格好だけだけどね。

 

「ん?ここは?」

 

歩いていると少しボロい感じの店が目が止まった。武器でも防具でもないアイテムの店。そういえば私この世界のアイテムって使ったことないわね。この先冒険者をやっていれば使うこともあるだろうしちょうどいい機会ね。見てみましょう。

 

それにこういうちょっとボロい店の方が掘り出し物とかが有るもんだしね。

 

扉を開け中へ入ってみるとザ・アイテム店といった感じにポーションなんかが置いてある。ただ店員が見当たらないけどもしかしてまだやってなかった?

 

「う~...ん?あっ!い、いらっしゃいませー!ようこそおいでくださいました!ゆっくりみていってください!」

 

なんて思っていたら奥から茶色の髪の紫色のローブを着た女性が出てきた。あっ、なんだろう紫色ってこともあってかなんだか親近感がわいてくる。でもなんか少しやつれてるような...。

 

ま、まぁいいわ。とりあえずその辺の棚のポーションを見てみましょう。棚に乗っているポーションを一つ手に取ってみる。瓶に入った赤い液体、ゲームとかだといたって普通だけど現実で見るとちょっとあれね。これを飲んだりはあんまりしたくない。

 

「あっ、それは爆発ポーションですね」

 

爆発ポーション?へぇ、なるほどね。回復とか補助のポーションじゃなくて攻撃に使うタイプなのね。

 

じゃあその隣は―――

 

 

「それは開けると爆発するポーションですね!」

 

 

開けると爆発?....えっ?....え?何に使うの、それ...。

 

 

じゃあこっちは―――

 

 

「それは飲むと爆発するポーションですね!」

 

 

.........こっち

 

 

「それは衝撃を加えると爆発するポーションですね!」

 

 

こ、こっちは―――

 

 

「それは空気に触れると爆発するポーションですね!」

 

「なんなのよ!?この店!爆発するポーションしか売ってないわけ!?なんなの飲むと爆発するポーションて!?自爆用なの!?こんな店二度と来ないわよ!」

 

店員に親近感が一瞬わいたけど気のせいだったらしいわ。こんな店ただのボロいだけの見た目通りのアイテム屋だったらしいわね。もう帰ります。

 

踵を返し店を後にしようと扉に手をかけたその時。

 

「ああああっ!待ってください!お願いします!!久しぶりのお客さんなんですぅ!あなたに帰られたらもう誰も来てくれないんですよぉ~!」

 

いや知らないから、そんなの私には関係ないから。とにかく腰から腕を離しなさいよ。

 

強引に振りほどき帰ろうとする。

 

「お願いしますお願いしますお願いしますッ!!!せめて何か一つだけでも買っていってくださいぃ!もうその辺に生えてる雑草を食べるのは嫌なんですぅ!!」

 

雑草って....そんな生活してんのこの子。んんん...まあ、折角だから一つだけ買っていってあげてもいいかもしれない。一つだけだからね!

 

反対の棚のポーションを手に取る。

 

「それは振ると爆発するポーションですね」

 

「よっし、帰るわね。もう二度とこの店にはこないわ。金輪際、二度とね!」

 

「ああああ!そんなぁ!待って待って!せめてお茶だけでも飲んでいってください!人と話すのも久しぶりなんです!ひとりは嫌なんですぅ!」

 

んんんんん....この子、なんというか悪い子ではなさそうだけどなんとも言えないわね。ま、まぁタダならお茶の一杯くらいいただいていってあげなくもないわね。これで雑草のお茶なんて出てきたら絶対に帰ってやる。

 

すぐそこにあった椅子に腰掛ける。

 

紫ローブの子は涙を拭いこちらをうかがいながら奥へ下がっていった。心配しなくても逃げたりしないわよ。それからすぐにカップを持って戻ってきた。

 

中には普通の紅茶が...ねぇこれを売ったらまだ収入入るんじゃない?それにこのカップと皿を換金すれば雑草なんて食べなくてもいいんじゃないかしら。

 

そんな疑問を浮かべながら紅茶を口へと運ぶ。

 

「あっ、美味しい」

 

「はぁぁぁ!良かったですぅ!」

 

うん、普通に美味しい。もうここ喫茶店とかでいいじゃない?向いてないわよアイテム店。爆発ポーションしか売ってないし。

 

「あっ、私はこの店の店主のウィズっていいます。よろしくお願いします」

 

まさかの店主でしたよこの子。てことはこの大量の爆発ポーションもこの店主が仕入れたのよね?なんでこんなに爆発ポーションだけを?ごめんなさい、馬鹿なの?

 

「私はヤクモユカリ、ユカリでいいわよ」

 

「はい!よろしくお願いしますユカリさん!私のこともウィズで結構です」

 

「そう、ウィズ。じゃあ一つ聞くけどアイテム店じゃなくて喫茶店にする気はない?向いてないわよアイテム店」

 

「えぇ!?そんなぁ、ひどいですよユカリさん!私は好きでやってるんだからいいんですっ!」

 

あっ、そう。好きでやってるならいいじゃない。売り上げとかは置いておくとして好きならいいと思うわ誰にも迷惑かかってないし。

にしてもホントに紅茶だけは美味しいわねこの店。

 

「さてと、ウィズ。紅茶ごちそうさま。折角だからこのポーションひとつ買っていくわよ。はいお代、お釣りは取っておくといいわ」

 

「!!、あっ、有難うございます!!またのお越しをお待ちしてます!!!」

 

そうしてユカリはウィズの店を後にした。しばらくしてからどこかで爆発音が鳴っていたがなんだったのかは謎である。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ウィズとの出会いから数ヶ月後

 

 

 

 

 

「ウィズ~、紅茶おかわり貰える~?」

 

「は~い、今持っていきますねぇ~♪」

 

すっかり喫茶店としてウィズの店に入り浸っていた。いやだってしょうがないのよね。ウィズの入れる紅茶、なんかやけに美味しいのよ。試しに私が自分でやってみたこともあったけど全然違ったし..何があそこまで美味しくしているのか謎だわ。

 

「お待たせしましたユカリさん!おかわり持ってきましたよ」

 

「あら、どうも。そういえば最近顔色良くなったわねウィズ?」

 

「はいぃ~!そうなんですよぉ~!なんと最近売上が伸びてですねこれも辛くても諦めずにここまで続けてきた成果ですよ!」

 

ふ~ん、そっかそっか。諦めずに続けてきた成果...ね。

 

「またまた冗談でしょ。この店に私以外の客なんていないでしょ?買うもんなんにもないじゃない」

 

「なっ!ひどいですよ~!ユカリさん以外も来てくれてるんです!しっかり帳簿もつけてるんですよ!見てください!一気に売り上げが伸びてるんですよ!」

 

見せられた帳簿には確かに誰かがこの店でアイテムを買っていったということが書かれている。ただ少し現実ってものを教えて上げましょうか。ねぇ、ウィズ?

 

「ウィズ?その月って何人来て誰が来たのか覚えてる?」

 

「はい!もちろんですよ!えっと...この月はですねひとりだけですが、ユカリさんが来てポーションを買っていってくれました!」

 

「その次の月は?」

 

「えっと、次もひとりで...ユ、ユカリさんが来てポーションを...」

 

「その次」

 

「えっと..えっと..この月もひとりで、そのユカリさんがポーションを....」

 

ウィズの目をじっと見つめる。

 

ウィズはそっと顔を帳簿で隠す。

 

「ウィズ?私の家、そろそろポーションで一杯なんだけど?」

 

「うぅぅぅぅ....その、すみませんでした....」

 

そう、最近のウィズの店は確かに繁盛している。帳簿だけ見ればだけどね。私はウィズの店で紅茶を飲む代わりにポーションを買ってあげている。お金はクエストの報酬でかなりの額があるから特に気にする必要がない。

 

だからなんに使うかよくわかりもしない爆発ポーションを在庫も含めてまるまる買っていっているのだ。保管場所は数ヶ月前に買ったお屋敷の地下。本来なら別の使い道があるのだが現在は爆発ポーション保管倉庫となっている。

 

「えっと、そのユカリさんには毎回ポーションをお買い上げいただき誠にありがたく思っております。在庫も全部買ってくださるのですぐに発注できますし...」

 

「そこよ!!ウィズ!!なんで私が在庫も全部買ってあげたのになんでまた同じものをしかも前回より多く仕入れてるのよ!」

 

「そ、それはユカリさんが買ってくれたので他の冒険者の方々も買ってくださると思って!」

 

ああああああ!なんでこの子はっ!私が爆発ポーションの在庫も含めて全部買って行ったのに次の月には同じ爆発ポーションが倍の数入荷しているのよ。もう訳がわからないわよ。

 

「ま、まぁ...それは貴方の優しさなんだろうけどもうちょっと控えなさい。ね?」

 

「は、はいぃ...すみません...」

 

ちょっと釘指しておけばウィズもわかってくれるわよね。それともうひとつ気になっていることを聞きましょうか。こっちが本題なんだしね。ウィズの手をとり軽く握る。

 

「?、ユカリさん?どうかしましたか?」

 

「いえ、ウィズの手ってとっても綺麗よね。白くてまるで血が通ってないみたい」

 

「そ、そんな...言い過ぎですよぉ」

 

「それに、体温も低いわよね...ええ、低すぎるわよ。ねぇ、ウィズ?」

 

ウィズは目を反らしどこか焦ったように見える。立ち上がりウィズへと詰めよりカウンターに追い詰める。

 

「ねぇ、ウィズ。私たちってもうそれなりの仲じゃない?隠し事はなしにしないかしら?」

 

「そ、そんな...か、隠し事なんて、ありま、せん...よ?」

 

ふ~ん、あえてしらを切るつもりね。なら確信をつかせてもらいましょうか。ウィズのローブの胸元に手を突っ込む。

 

「ひゃぁ!?ユカリさん!何を!?」

 

「ウィズ、おかしくないかしら?胸に手を当てても鼓動が全く感じないんだけど?いくら胸が大きいからって聞こえないほどじゃないでしょう?それに体温もやっぱり低すぎるわ。ウィズ...貴方人間じゃないでしょ」

 

「!?っ......その...は、はぃ。私は、人間じゃないです。アンデッドの王『リッチー』なんです...そのユカリさんを騙す気はなかったんです!...ギルドに報告...しますよね」

 

「ふ~ん、リッチーね。なんでギルドに報告しないといけないの?」

 

「えっ!?だって私はリッチーで人間じゃないんですよ!?」

 

確かに人間じゃないわね。でも誰かに危害を加えた訳でもないしむしろ餓死しかけてたじゃない。それに人間じゃないなら―――

 

「私だって人間じゃないしね♪」

 

「.......へ?」

 

 

あら、なかなかいい表情ね。それじゃあ改めて私の事を話すとしましょうか。

 

 

 

 




来店率、人間:0%
人外:100%

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