この素晴らしいスキマ妖怪に依神姉妹を   作:片腕仙人

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魔力タンクそして貧乏


4話

「私は妖怪の賢者にして神隠しの主犯。八雲紫と申しますわ、アンデッドの王リッチーのウィズさん」

 

椅子から立ち上がりスキマへと腰掛け扇子を開き口元を隠す。

 

「え...ヨーカイ...ですか?ユカリさんも人間じゃないん..ですか?本当に?」

 

本当だって、ちょっとなんか反応薄く...ない?折角それっぽい雰囲気出してやったのに...。なんかちょっと恥ずかしくなってきたじゃない。よかった顔隠しといて。

 

「はぁぁ~よかったですよぉ~!私もうこの街にいられなくなっちゃうかと思いましたぁ~。ユカリさんも人間じゃないならその心配はなさそうですね」

 

「なんでそう思うのかしら」

 

「え...だって...」

 

ウィズがなにか安心して椅子に座っているけどその対面に私も座る。

 

「私が貴方の秘密をなぜバラさないと思うのかしら?貴方が人間じゃないってバラしても私には何のデメリットもないのよ。ただ貴方がここにいられなくなるだけ。心音が聞こえない貴方と心音も体温もある私、冒険者はどっちのことを信用するかしらね?」

 

ウィズはどこか絶望したような表情でこちらを見ている。

 

「そ、そんな...お、お願いします!わ、私はまだこの街にいたいんです!...私にできることならなんでもしますから!お願いします!」

 

へぇ、なんでもするの...なんでもねぇ。なら――

 

「そうね、なんでもするというのなら私に今まで通りに美味しい紅茶を出してくれないかしら?ん、どうかしたのそんな間抜けな顔しちゃって...」

 

「うわああああああん!!ユカリさーん!!ありがとうございますぅ!!私、ユカリさんと出会えてよかったですぅ~!」

 

ちょっと!そんなにくっつかないでよ!私はただ少し気をつけて欲しかっただけで...ここの紅茶が飲めなくなると私の楽しみが失くなるからであって。

 

「いま、紅茶のおかわり持ってきますね!!」

 

「ええ、いただくわ」

 

まぁ、ウィズなら平気かしらね?一応ここまでやって来た訳だし。

 

「お待たせしましたユカリさん!それで気になったんですがあのユカリさんが座っていたのってなんなんですか?」

 

私が座っていたの?ああ、スキマのことね。すぐ横にスキマを開いて見せる。

 

「それです!それ、私長いこと生きてますけど見たことないんですよね」

 

「それはあたりまえよ。これは私にしか使えないから」

 

「そ、そうなんですかっ!?固有魔法とかでしょうか?いったいどんなことが...」

 

んー、魔法とは違うけどこっちの世界基準ならまあ大体そんな感じかしらね。使い方は見て貰った方が早いでしょうね。スキマへ腕を突っ込みウィズのすぐそばに繋げる。

 

「ん?なんだか胸の辺りがムズムズと...!?、ひゃあ!?な、な、何ですかこれ!!」

 

「貴方も大概でかいわね。安心して私の腕よ。これはスキマっていって詳しい説明は省くけど移動にも収納にも攻撃にも使える万能魔法よ」

 

「そ、そうなんですか...でも胸をつつく必要ってあったんですかぁ...」

 

それはなんというかそこに気になる胸があったからよ。

 

「ねぇ、ウィズ。私は魔法見せたんだしそっちも何か見せてくれない?」

 

「えっ...そ、そうですね!私だけ見るのは不公平ですよね。じゃあそうですねぇ、『ドレインタッチ』なんてどうでしょうか?相手に触れることで魔力や体力を吸収できる特殊スキルなんですけど。吸収した魔力を他者に受け渡したりすることも出来るんです。心臓の近くで皮膚の薄いところからの吸収だと配給の効率が良いみたいなんですよ。ちょっと失礼しますね」

 

ウィズはそういうと私の手を握る。

 

「『ドレインタッチ』」

 

そう唱えるとウィズの手が紫色に輝き、私の中から何かが吸われるような感覚を感じた。これがドレインタッチね。

 

「ふ、ふぇぇ~、ユ、ユカリさんの魔力、しゅごしゅぎますぅ~」

 

えっ!?なんかウィズがふにゃふにゃになったんだけど...。というかなんか,,,頬が赤くなって目もとろっとして色っぽく。

 

「ど、どうかしたの!?ウィズ!」

 

「そ、その...ユカリさんの濃くて熱いのが身体中に...しゅごいですぅ...こんなの初めてで..はぁ...癖になりそうです」

 

「ま、魔力!魔力の話よね!」

 

なんだかウィズの目が据わっているように見えるんだけどもしかして私、自分の身を安じた方がいいかしら。襲われたりしないわよね?

 

「そ、それでウィズ、スキルはポイントを使って覚えるのね」

 

「はぃ...ふぅ、そうですよ」

 

ギルドで貰ったカードでいつの間にかスキルの欄にあるドレインタッチにポイントを割り振って覚える。....これで本当に使えるようになるの?

 

「えっと、『ドレインタッチ』」

 

「きゃあああああっ!?強すぎます!?そんなに吸わないでくださいぃ!消えちゃいます!私消えちゃいますよぉ!?」

 

握っていたウィズの手を急いで離す。ウィズは机に突っ伏してはぁはぁ息をきらしている。かるくやったつもりだったんだけど強すぎたみたいね....。若干ウィズが透明になっちゃってるしこれはやり過ぎたらマジで消えかねない。

 

「ごめんなさいね、ウィズ。そんな気はなかったのよ。はい、私の魔力あげるわ」

 

ドレインタッチで私の魔力を分けてあげる。すると薄れていた部分が元に戻っていく。

 

「んっ!んん!....あっ...ユカリさ...んんっ!そんなに一気に流し込まれたらわたし..っ!」

 

「えっ!?あれっ!ちょっとウィズ!?」

 

ウィ、ウィズがなんかびくびくと震えてうつむいてしまった。も、もしかして痛かったの?まだ加減がわかっていないからもしかしたらそうなのかもしれない。

 

「ユカリさん....今日は諸事情によりもう閉店です。この看板さげてユカリさんもまた日を改めて来て下さい」

 

あっ.....やっぱりウィズ怒ってる...。顔も合わせてくれないし、今日はもう言われたことして帰ろう。看板を手にし入り口へ向かう。

 

「ウィズ、その...ごめんなさい。また改めて来るわね」

 

返事はない。そのまま店を出ていく。

 

はぁ、これはやってしまったわ...加減を失敗してウィズを怒らせるなんて...次にお邪魔する時はお詫びの品もって行くことにしよう。許してくれるだろうか。

 

そう思いながら自分の屋敷へ向かっていく。街は相変わらず賑わっているけど私の心は鎮まりかえってる。どうお詫びをしたらいいものか...ん?

 

なんだろう、今視界の端の方になにか変なものが....!?

 

 

えー、皆さま私は今沈みきっていた気持ちが一瞬でどこかへ消えていってしまってます。ウィズには大変悪いと思うんだけどそれよりも気になるものが目の前にあるのよ。

 

 

 

私は今その少女に視線を釘付けにされている。

 

 

 

青のロングヘアーに、この異世界にはありそうもない薄汚れたパーカー、何故か若干すけてる青のミニスカート。頭には大きなリボン、それと全体的に青い。足元は靴はおろか靴下すら履いていない。

 

しかも服やリボンには『請求書』『差し押さえ』『督促状』といった札が大量に貼られている。オシャレにしてはかなり奇抜な格好。

 

手にはボロいお椀を持って、黒猫と思しきぬいぐるみを抱えている。ジト目で、やる気の無さそうな目付き.....なんでここに彼女が...『依神紫苑』がいるのよ。

 

「ん、あっ....八雲紫...」

 

しまった、目があった。大丈夫大丈夫きっと他人のそら似よ。なにくわぬ顔で目線をそらしてその場を立ち去る。

 

でもどうしてここに依神紫苑が...。彼女がいるならもしかすると妹の方もいるのかもしれな....ん?

 

何故だろうさっきから街の住民がチラチラと私の方を見てくる。しかも聞こえないようにこそこそと話してもいるようだ。いや、私を見ているんじゃないわね。その後ろの方を....!

 

「あんた、なんで着いてきてんのよ」

 

「.............」

 

相変わらずのジト目でこちらを見ている紫苑。

 

 

 

「ねぇ、見てよ。あの子、あんなに汚れてボロボロの服。きっと親がしっかりとしてないのね」

 

「ええ、きっとそうよ。見てよ自分の娘なのに相手にもしない。きっとご飯もあんまり食べてないんじゃない?」

 

 

....ん?ちょっと待って今、娘っていった?しかもなんで私の方を向いてこそこそ話してるのかしら?娘じゃないんだけど。

 

「ちょ、ちょっと、誤解で「おかぁさんお腹へったよぉ~、ひもじいよぉ~」

 

!?、な!?この子いきなり何を言い出して!

 

「まあ、聞いた今の!やっぱりそうみたいね」

 

「ええ、親失格よね」

 

いやいや違いますからっ!?

 

「いやっ!あのこの子は他人「残飯でも...我慢するから...お願い、お家にいれてよ...」

 

こそこそ話をしていた奥さん方と周りの住民はこの一言を聞いて目を見開きこちらを見ている。

 

「ダメならせめて水だけでも「よっし、あんた、もう黙りなさい。行くわよ!」

 

手を強引に引き全力で路地裏へと入っていく。その時の住民たちの目が人を見る目ではなかったけど誤解ですから。私はそんなことしてないから!本当に誤解だから!

 

「........」

 

「........」

 

なんだろう。つれてきたは良いけど....どうしたものか。さすがにこの場に放置って訳にはいかないだろうし。それよりもまずは――

 

「ねぇ、あんた。なんであんなこといったのかしら?」

 

下手したら私に有らぬ噂がたってしまうでしょうが!

 

「んー、なんか前あったときよりも胡散臭くなかったしなんか優しそうだった、雰囲気変わった?。それに、ああやったら私のこと拾ってくれると思って」

 

「だからって、やり過ぎでしょ。何よおかぁさんて...貴方の母親になった覚えはないわよ」

 

かといって拾ってあげないこともないんだけど問題がいくつかある。それは紫苑の能力、『自分も含めて不運にする程度の能力』この能力のせいでこの子を拾えばもれなく不運にみまわれるのよね。

 

「ねぇ、紫苑。貴方、妹はどうしたの?」

 

「女苑はお金稼ぎにいって帰ってこなかった」

 

...帰ってこないってそれ平気なの?でも女苑はいるのね。ということは最凶最悪の双子は健在というわけね。....よし。

 

紫苑の頭に手を置く。

 

「紫苑、拾ってあげないこともないんだけど生憎こっちも手が離せそうになくてね。でも少しぐらいなら」

 

「紫、そういいながらなんで離れていってるの」

 

............それじゃまたどこかでっ!

 

このまま裏道を通り続けていれば撒けるはず。それに人目にもつかない。これなら完璧。

 

 

少し時間はかかったけど私の屋敷へと帰ってこれた。

 

「ただいま、我が家」

 

「ただいま、我が家予定地」

 

 

........え

 




紫苑のキャラがいまいちわかんないですね
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