この素晴らしいスキマ妖怪に依神姉妹を   作:片腕仙人

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最凶最悪のパーティー

実際強い(運は皆無)


9話

「さてとそれじゃあゆんゆんお願いね」

 

「は、はい!任せてください!お友だちならお安いご用です!!」

 

うん、でもまだ知り合って一時間も経ってないけどね。場所は移って主な出現モンスター『ジャイアントトード』でお馴染みのちょっとした草原までやって来た。

 

ここに来たのはゆんゆんに魔法を見せてもらうため。別にあの森でもよかったけど折角だし開けた場所で見たい。

 

それにただ興味があるから魔法を見たいんじゃなくてスキル習得のため。私の職業の『賢者』、そして紫苑の『冒険者』は似ている。冒険者がスキルを習得するにはそれを見て説明してもらうとスキル習得欄に追加される。私の方はというと魔法を見ただけで追加される。

 

距離は関係ないし特殊な条件がある訳でもない、ただし魔法関係に限るという感じ。物理的なものはまだ試してないからわからないけど覚えようと思えば覚えられるんじゃないかしらね。

 

「ほら、ゆんゆん丁度よくカエルも来たからあれでお願い」

 

「はい!いきますっ!『ライト・オブ・セイバー』ッ!!」

 

ゆんゆんがそう声をあげると手刀の先から(つるぎ)のような形の光が発せられ近づいてきていたカエルの胴体へと振るわれる。カエルの胴体に一筋の光が走る。カエルの体は真っ二つに切り裂かれそのまま吹き飛び跡形もなくなった。

 

これ名前的に私が思い浮かんだのはライトセイバーなんだけど。ヴオンッ!ブンブォンッ!て振る度にうるさいやつ。

 

「次はこれです!『エナジーイグニッション』!!」

 

間髪いれずに他のカエルへ魔法を放つゆんゆん。

 

すると今度はカエルが急に立ち止まると口や目から青い炎を噴きあげ燃えはじめた。見た感じは体内からの発火。辺りには肉の焼けたような香ばしい匂いが漂ってる。ただ焼かれてるのにまだカエルはもがいて苦しんでいる。............この子、意外とエグいことするわね。しかもすごいいい笑顔でこっちみてる。

 

いや、この魔法がエグいのであってゆんゆんは私たちに魔法を見せてどうだ!ってことで笑顔なんだろうけど....この感じだと次はお前がああなる番だって言われても自然に感じる不思議。

 

「ど、どうですか!これはどちらも上級魔法なんですよ!」

 

たしかにさっきのが初級魔法です。なんて言われたら上級はどんなにすごいものなのか....ってなってたでしょうね。冒険者カードを見るとそこには新しく『ライト・オブ・セイバー』と『エナジーイグニッション』の文字が追加されていた。

 

「あ、あれ?ユ、ユカリ..さん?す、凄かったですよね?....あれ?シオンさん凄かったです..よ、ね?」

 

「うん、凄かった。ピカッてなって、びゅーんってなってズバッて..凄かった。でも....もうひとつは..なんか怖い」

 

「えぇ!?そ、そう?じゃ、じゃああんまり使わないようにしようかな....」

 

 

ゆんゆんが上級魔法と言うとおりスキルポイントは他の初級魔法よりも高めね。でも問題なく覚えられるしぱぱっと覚えてしまいましょう。ただこのスキルを覚えたときのピリッとした感じは....あんまり好きじゃないわね。

 

「ゆんゆん、これは別に使ってもデメリットなんて無いわよね?」

 

「はい、特には無いですけど。あっ!でもいきなり上級魔法とか魔力消費の激しい魔法を使うと魔力がなくなって動けないくなったりしちゃいますよ」

 

「それだけかしら?なら心配ないわね」

 

ゆんゆんは首を傾げていまいち分かっていない様子。腕を頭上に突き出し構える。

 

「『ライト・オブ・セイバー』、なるほどこんな感じね」

 

ゆんゆんとは違い紫色をした光の剣が天高く伸びそびえ立っている。もし神様が天の上的なところにいるのであれば突然謎の紫色をした柱が生えてきて驚いたかもしれない。多分エリス様は優しいから許してくれるだろう。

 

そのまま丁度よく顔を出した運の良いジャイアントトード目掛け腕を振り下ろす。這い出してきたばかりのジャイアントトードは避けることもできずにあっさりと切り裂かれ..というよりは消滅した。

だがそれだけに留まらず地面を盛大に抉りとった。

 

「......」

 

「....えっと、これ同じライトオブセイバーなの?....え?色とか威力..え?」

 

「紫、やりすぎ..加減もできないの....賢者の癖に」

 

うぐっ..ちょ、ちょっと加減を失敗しただけだから次はもう少し上手くいくはずよ。

 

「か、加減して『ライト・オブ・セイバー』ッ!」

 

念のために衝撃に備える紫苑とゆんゆん。だがさっきとは違ってまったく衝撃がこない。

 

「ねぇ二人とも、これなんだと思う?」

 

紫の手には紫色をした剣のような形をした物が握られていた。完全に一本の剣として握られている。

 

「えっと、これは....ライトオブ..セイバー?」

 

「意味合い的にはあってると思うけど」

 

 

....たしかにライトオブセイバーなのは確か。でもねやっぱり私にはこれライトセイバーにしか見えないのよね。だって振るともう..

 

 

――ヴオンッ!ブンブォンッ!ヴオン!

 

これだもの....完全にライトセイバーでしょ。オブどこ行ったのよ。でもまあこれはこれで使い勝手良さそうだしアリね。ライト(オブ)セイバーを消して次の魔法にいきましょう。また都合よくカエルが出てきたしね。

 

次は使われる側からしたらたまったものじゃない魔法。

 

「カエル来てるよ、紫~。食べられても助けないよぉ~。めんどくさいし」

 

紫苑、後で話しましょう。せめて助けようとする気は見せなさいよ。大丈夫よ食べれるわけ無いからね。

 

「カエルさんごめんなさいね。悪気はないのよ。『エナジーイグニッション』」

 

ジャイアントトードはゆんゆんの時と同じように急に立ち止まる。そして口や鼻、皮膚からも紫色の炎が噴きあがる。だがその火力がおかしかった。ゆんゆんの時は良い感じにこんがり焼けたのだが今回は真っ黒、完全に炭化していた。

 

「....ゆかr」

 

「よし!今ので火力の調整はわかったからあのカエルの犠牲は無駄ではない!やりすぎって言わない!」

 

ゆんゆんと紫苑から生暖かい視線を送られどこか居心地が悪くなりはしたが勢いに任せ誤魔化した。それからゆんゆん先生に初級、中級魔法も教わり紫苑もいくつかのスキルが増えた。

 

あと何だかんだで後日一緒にクエストに行く約束もしたし何だかんだで紫苑とゆんゆんの仲も深まったらしく家で遊ぶ約束もしたらしい。よかったわね、紫苑。

 

でもなぜかしら不思議と....不幸値が上がった気がする。

 

 

 

 


 

 

それから数日後、お屋敷でのんびりと過ごしていると正面玄関の扉が叩かれる。あー、そういえば紫苑がゆんゆんと約束してたわね。今日だったかしら?

 

「はいはい、どちら様かしら?」

 

「あ!ユカリさん!シオンさんいますか?約束通りに遊びに来ましたよ!こういうの妄想でしかしたことなかったからとっても嬉しいです!!」

 

....なぜだろう、一瞬にして悲しい気持ちになったわ。ゆんゆんあなたはなぜそうも悲しい運命を背負っているの?

 

「それとですね、これお土産です!どうぞ!」

 

そう言ってフルーツの盛り合わせを差し出してくるゆんゆん。友達の家にやってくるのにフルーツの盛り合わせを持ってくるって....なくは無いだろうけどかなり珍しくない?でもやっぱりゆんゆんは根はいい子なのよね。ボッチなだけで....。

 

「あとですね!紹介します!私のお友だちのジョオンちゃんです!」

 

「どうも、女苑....で......は?」

 

「ゆんゆん、早く入って」

 

「はい、お邪魔します!」

 

ゆんゆんが入ると同時に即座に扉を閉める。私はどうやら疲れていたらしい。紫苑の友達が疫病神を連れてやってくるなんてやっぱり疲れてんのね私。

 

「あの、ユカリさん?まだジョオンちゃんが....」

 

「ちょっとッ!!あんたッ!!開けなさいよ!あんた八雲紫でしょ!!開けろォ!!!」

 

 

あー、あっあー、聞ーこーえーなーいー聞こえない....なんか凄い扉がドンドンいってるけど気のせい気のせい。

 

「紫、どうかしたの?なんかうるさいけど....あ、ゆんゆん。どうかしたの」

 

「シオンさん、えっとですね....」

 

「えっ!?その声姉さん!?なんでこんな奴と一緒にいんのよ!?さっさと開けろォ!!」

 

「女苑?紫、女苑がいるの?」

 

「ええ、まあね。来てるわよこの扉の向こうに」

 

ああ....なんてこと、できることならこれ以上は厄介事を抱え込みたくなかったのに。紫苑に気づかれたら流石に無理ね。だってもうじゃあなんで入れないの?って顔でこっち見てるし。

 

仕方ないから開けてあげましょうか。

 

「オラァッ!!姉さんを返せ!!」

 

「おっと危ない」

 

開けたらいきなり拳を構えた疫病神が殴りかかってきた。そんな血気盛んな疫病神はいらないので帰ってもらえないかしらね。

 

「姉さん!平気?この胡散臭い奴に何かされなかった?怪我は?いきなりいなくなって心配したんだから!いや、コイツに拐われたのよね!このッ!」

 

「違うよ女苑、私が紫に勝手についていっただけ。それからは一緒に住んで良くしてもらってるし優しいよ。ご飯もいっぱい食べれるし」

 

「はぁッ!?嘘でしょコイツが優しくするわけないじゃない!腹の底では何を考えてるか分かったもんじゃないコイツが!きっと姉さんは騙されてるのよ!そのご飯だってきっと何か裏があるはず、まずなんであんな胡散臭い信用ならない奴がこっちにいるのよ!」

 

「ゆんゆん....本人の目の前で....ああいう事言っちゃ駄目よ..人を傷つける....から..うぅっ....」

 

「ユ、ユカリさん!!しっかりしてくださぁぁぁい!?ていうかジョオンちゃんの言ってたお姉さんてシオンさんだったの!?なんかもうごちゃごちゃすぎてわからないよぉォォ!」

 

 

紫の屋敷の玄関はかつてないほどに騒がしく混沌と化していた。

 

 

紫苑は女苑に詰め寄られぐわんぐわんと揺すられぼーっとしている。揺らされ過ぎその目はどこか虚ろ。

 

そして女苑は紫がいることもそうだが紫と一緒に自分の姉がなぜいるのかを聞き出そうと必死に訪ねている。必死過ぎて紫苑が先にダウンしていることに気がついていない。

 

紫は女苑から目の前でメンタルに特大のダイレクトアタックを受けて真っ白になり崩れ落ちている。

 

ゆんゆんはというとまさか自分の新しく出来た友達(紫苑)を紹介しようと連れてきたその人物(女苑)がまさかの妹で新しく出来た友達が姉であるという衝撃の事実ともう一人の友達(紫)がボロクソに言われ崩れ落ちている様を見てキャパが完全にオーバーして口から魂が出てきている。

 

しかも「わーい、お友だちいっぱーい」と何か訳の分からないことを言っているあたり一番重症かもしれない。

 

 

 

 

全員が正気を取り戻すまでは数時間かかったらしい。

 

 

 




次は疫病神と貧乏神と隙間妖怪を土木工事してる冒険者にぶつけます
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