鬼滅の刃 鳴神の鬼殺隊   作:清廉四季

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皆さん読んでいただきありがとうございます。
今回、感想で頂いた、「あれ? 何この無惨さん。無惨無惨してなくない? 全然ホワイトじゃん!」と言う意見に回答させていただきます。
今回時間設定がオリジナルより数十年早く設定しました。それに加え、アニメや原作で鬼達の心酔具合や累に対して優しかった描写、童磨の舐め腐った態度の黙認等々......。
それを見て、私はふと思いました。「あれ? もしかしたら無惨様は元々合理的で、なりたての鬼には優しく、優秀な鬼にはある程度無礼な態度を黙認しているのでは?」と。
竈門炭治郎くんが出てくる前。まだ、無惨様の周りを引っ掻き回されていない頃の話しなので、追い詰められていない無惨様は焦っておらず、だからホワイトなのではないだろうかと考えました。
つまり、炭治朗が出てくる前の比較的鬼が優勢で正体もばれておらず、上弦負けなしで心に余裕がある状態のホワイト無惨様と言うことです。
あくまで~だったらと憶測に基づいた二次創作無惨様なので。「これは無惨様じゃない」と言う無惨様ファンはホワイトな所をブラックに頭の中で置き換えてお楽しみ下さい。
最後に。これからどんどん物語が進んでいきます。いづれ、炭治朗くんも登場して無惨様の悩みのタネが増えていくでしょう。その時主人公に対して無惨様が優しいままかそれとも......。
以上です。感想はしっかり見させていただいているので追々返信させていただきます。
それではお楽しみ下さい。



下弦の鬼

風になったかのように早く走ることが出来た。すごい、これなら日本の端から端までだって行ける気がする。

 

「もう朝か」

 

山の中を走っていると辺りが少しずつ明るくなってくるのが分かった。僕は無惨さんが言っていた言葉を思い出し、急いで太陽の光を防げる場所を探す。

 

「―――あった」

 

人一人が入れるほどの岩の洞窟を見つけるとすぐさまその場所に飛び込んだ。

 

「......」

 

あれからかなり時間が経った。依然として腹の空きは起こらず、満腹でもなく、空腹でもない不思議な状態のまま保っている。

洞窟の外に太陽の明かりが灯った。その光を見ていると急激に眠気が襲った。瞼は重くなり、辺りから聞こえる音は曖昧になっていく。背嚢を背負ったまま足を抱え、顔を埋めた。

 

「おやすみなさい」

 

誰に言うでもなくその言葉を言い終わる頃には完全に僕は眠りに入っていた。

 

 

 

 

 

「......っ!」

 

飛び起きると辺りを見渡す。外には明かりはなく、太陽は沈み真っ暗な闇が見える。

 

どれだけ寝ていたのか。

 

外に飛び出し、身体を伸ばすと硬直した筋肉を解す。そして、深く息を吸い、再び走り出した。

山を駆け、小川を飛び越え、獣道を走る。夜風は心地よく肌を撫で、金色の髪に月光が反射し淡い光を発している。

やがて山を抜け、僕は田舎の道を歩いている。

多くはないが民家があり、所々明かりがついている所があった。

 

丁度いい。一応道があっているか聞いてみよう。

 

明かりのついている一番近い家の扉を叩いた。

 

「すみません」

 

しばらくたってから戸が開かれた。中から少女が出てきて僕を見上げる。

 

「綺麗......」

 

「ちょっと! 勝手に出ちゃダメでしょ! こんな夜更けにどうしましたか?」

 

「えっと、この道なんですけど。ここであってますか?」

 

「―――そうですね。この道であってると思います」

 

「そうですか。どうもありがとうございました」

 

「今から行くんですか? 夜は危ないですよ。この先の道ではよく人が居なくなるんです」

 

心配そうに僕に教えてくれた女性に、「大丈夫です」と短く答えると、何か言われる前に走り出した。

 

「ちょっと! 本当に危ないですよー!」

 

後ろから大声で引き止める女性に走りながら笑顔で手を振る。そして、人が見えなくなってから速度を上げ、地図の道を走った。

それからしばらく進んでからのことだ。奴らが現れた。

 

「しゃっ!」

 

「っ!」

 

突然、上から奇妙な声と共に人型の何かが降ってきた。僕は危険と判断し、走っていた所から後ろに飛び退く。すると、さっきまで走っていた所が大きく抉れていた。

 

「へへへ! 綺麗な女だ。お前の顔を見ながら足から喰ってやるぞ」

 

身体中に顔がある巨漢の男が涎を垂らしながら僕の身体を舐めるように見ている。僕は目の前の男を見た瞬間、確信した。

 

こいつは鬼だ。

 

「急いでるんですけど。そこを通してくれませんか?」

 

「通すわけ―――ん? お前のその匂い......鬼か?」

 

「そうです。だから僕を食べても意味はありませんよ?」

 

「......へ、へへ。まあ良いやじゃあお前、俺の物になれ」

 

「嫌です」

 

「じゃあ喰ってやるぞ!」

 

そう言いながら僕に飛び掛かって来た。人間なら反応できずにのしかかられる程の速さだ。しかし、今の僕は鬼。それにこんな殺気。無惨さんのお怒りモードの殺気に比べれば天地ほどの差がある。

まるで止まって見える巨漢の姿を見ながら腰を低くし、右腕を引いた。

 

「えいや!」

 

「ぐぼげ!」

 

そして、勢い良く巨漢の男の顔面を殴りつけると凄まじい破裂音と共にあさっての方向に首が飛んでいった。

 

「......ついでにここで休憩するか」

 

僕は返り血を浴びないように後ろに飛び、木の上に座って、失った首のあった所から夥しいほどの血が止まり終わるのを待っていた。

少しの間、足を解しながら休憩し、止まるのを確認すると脱いでいた靴を履き直し、道に飛び降りると再び走り出した。

 

 

 

それから、何度も朝を乗り越え。遂に目的の山の近くまで辿り着いた。

 

「この森を抜ければ到着だ」

 

森の外からでも見える大きな山を一瞥すると、背嚢の紐を握りながら走りだした。

 

森の中は不思議で、入った途端に辺りの空気が一変した。常に視線を感じ、誰かに監視されているのではないかと思うほどだ。その視線も、あの祖父達のように泥のようなドロドロとした感じで凄く気持ち悪い。

それに―――。

 

「オオオオォオォォオオ!!」

 

不気味な呻き声が聞こえてくる。犬でもない狼でもない熊でもない。何の生き物か分からない。でも、何だか嫌な感じの声だ。

 

気配がする。それも一つじゃない。

 

不気味な空気の中に、殺気の混じった気配を感じる。それも一つじゃない。一、二......最低でも十五の気配。それが、僕に着かず離れずの距離を保ちながら着いてきているのが分かった。

 

「......」

 

これは不味い。また、気配が増えた。僕を囲もうとしている。こんな所で死ぬわけには行かない。これも無惨さんの為と決意し、息を吐くと、勢い良く真横に飛び、気配の感じる所を殴り付けた。

 

「はばぁ!」

 

額から角が生えている目の赤い男が胸に穴が開きその場で倒れる。その瞬間、戦いは始まった。

 

「やれ! お前達」

 

一人の男の鬼がそう言うと潜んでいた鬼達が一斉に跳び掛かってきた。僕は直ぐに倒れた鬼の足を掴むと、それを振り回し攻撃を防ぐ。

振り回した鬼は衝撃で身体は千切れ、跳ね返した鬼達と一緒に木や地面に飛び散った。

 

「こいつ鬼だぞ! どういう事だ!」

 

鬼たちを指揮していた鬼が他の鬼に対して怒りをぶつけている。その鬼の目には下参という文字が刻まれていた。

 

童磨さんが言っていた下弦の鬼か。

 

他の鬼とは違い、身体の大きさが一回りも二回りも大きく。筋骨隆々で近くにいる鬼の頭を握りつぶした。

 

「貴方、何故私を攻撃するのですか?」

 

「この森に人間が入ったという知らせがこいつらから来たのだ。だがどうだ! お前は鬼だ! 人間ではない! 鬼と人間の区別もつかぬ役立たずどもに今怒り狂っておる!」

 

「お、お許しを豪鬼様! お許しぎゃっ!」

 

頭を潰された鬼と一緒に首を掴まれ、鬼達のいる所に投げつける。

 

「貴様は後で太陽に晒してやる! おい! こいつらを岩に縛り付けておけ!」

 

「お許しを豪鬼様! お許し下さい!」

 

連れて行かれる鬼達を一瞥すると、僕の身体に視線を移す。

 

「ふむ......。美しい。貴様、私の物になれ」

 

「嫌です」

 

「ほう断るか......。―――ならっ!」

 

地面を蹴り、僕を殴り付ける。しかし、僕には止まったように見えた。

 

丁度良い。ここで自分の力を確かめてみよう。

 

右足を下げ、九十度に回転すると相手の攻撃を避け、相手の顔に向って逆に殴り付けた。

 

「ごふっ! ―――良い攻撃だ。ここに居る雑魚とは訳が違う......。面白い。お前が私の物になったらあの方に紹介してやろう! お前ほどの強さがあるのならすぐに十二鬼月に入ることが出来よう!」

 

「何度も言わせないで!」

 

今度は鳩尾に力一杯込めて殴り上げた。

 

「え?」

 

「ふっ! 驚いておるな......」

 

ビクともしない身体に驚いていると殴り付けた僕の腕を掴み、そして、丸太のような太い腕で同じように僕の鳩尾を強く打つ。

 

「ぐっ!」

 

僕はまるで小石のように吹き飛ぶとぶつかる木々をなぎ倒していき、大きな岩に打ち付けられた。腕の骨は折れ、皮膚から飛び出している。人間なら痛みで死んでいたかもしれない。

そう、普通の人間なら。

一瞬で骨は元通りになり、身体中の傷も僕が痛みを感じた時には治っていた。

 

我ながら凄まじい治癒力だ。いやいや、今はそんなことどうでも良い。今は目の前の敵の事を考えろ。どうして僕の攻撃が通らなかったんだ?あの、上弦の鬼達でも驚くほどの血を無惨さまから貰った。普通なら下弦の鬼に遅れをとる筈がない。

 

「ぐはぁ!」

 

そう考えていると。突然、豪鬼と呼ばれる鬼の取り巻きの一人の身体が破裂した。

 

「―――」

 

その瞬間、唐突に閃いた。身体を起すとその閃きから分かったことを確かめようと再度、豪鬼に攻撃をし掛けた。

 

「ふっ!」

 

「ぬぅう! こんな攻撃効かぬわ!」

 

今度は顔面に蹴りを入れた。その攻撃は当たり、感触も確かにあった。しかし、豪鬼には効いておらず、以前笑みを浮かべている。

 

「ごふっ!」

 

誰かが死んだ。気配が一つ消えた。

 

やっぱり。

 

豪鬼の攻撃を防ぎながら距離を取った。

 

「やっぱり。貴方の能力が分かりました」

 

木の上から豪鬼を見下ろしながら僕は言った。その言葉に笑みを浮かべると大きな声で笑い出した。

 

「ははははっ!! 分かったから何だと言うのだ! 唯の鬼である貴様が十二鬼月である私に勝てる筈がなかろう!」

 

「貴方に対する攻撃は他の鬼達が身代わりとして受けているのですね?」

 

僕と豪鬼の周りで攻撃をするでもなく唯円を描くように囲んでいる鬼達。僕の言葉に動揺し、皆、豪鬼の方を向いた。そして豪鬼は両手を夜空に向って広げながら自慢げに自身の能力を話しだした。

 

「その通り! 私の血鬼術、一味同心は攻撃を雑魚の鬼に肩代わりさせることが出来る......。そしてっ! ―――」

 

呻きだした豪鬼。周りの鬼達から何かが豪鬼の身体に流れ込んでいった。

 

「オォォォオオォオオォオオッ!! これが私の最強の血鬼術! 戮力協心 (りくきょくきょうしん)!」

 

黒く変色していく豪鬼の肌。筋骨隆々だった身体はより逞しく、大きくなった。そして、気配が変わった豪鬼から繰り出す打撃は空気を震わせ、辺りの木々を薙ぎ倒すほどの衝撃を起した。

 

「っ!」

 

踏ん張り、顔の前で腕を交差し防ぐ。力を込めた腕の防御は豪鬼の攻撃を易々と受け止め、防御しきった。

何かがおかしいと気付きだした豪鬼の頬には一筋の汗が流れる。

 

「どういう事だ! 血鬼術で強化した私の攻撃を完全に受け切っただと!? しかも、傷一つ付いておらぬ!」

 

「貴方と私とでは頂いた血の量が違う!」

 

「ぬっ!」

 

うろたえる豪鬼に何度も連続して打撃を放つ。少し遅れて防御するが、周りの鬼が死んでいくことが止められず、遂には辺りに鬼は居なくなり、僕と豪鬼だけになっていた。

 

「鬼達が再生するより先に全員倒しきるとは! 貴様何者だ!」

 

「貴方が知る必要はありません。それより今の状況を見てよく考えて下さい。貴方も私もお互い鬼で強いのは私......。この戦いは続けてもお互いに何の利益もなく明らかに不毛な争いです。このまま戦いをやめれば私はここを去り、貴方に干渉しません。お互い不干渉という形で手を打ちませんか?」

 

「くぅっ! ―――去れ小娘! ここは私の縄張りだ!」

 

少しの間。考える素振りを見せる豪鬼。そして、身体が小さくなり、肌も元に戻ると僕に背を向け去っていった。

 

危機は去った。息を整え、自身を落ち着かせる。破裂した身体が戻った鬼達は次々に豪鬼の歩いていった方向に向って逃げるように走っていくのを見ながら、適当な木の枝に飛び乗り、足を投げ出すようにして座る。

 

自分の力を確認し、今己が鬼の中でどの位置に属するのかがはっきり分かった。それにあの不思議な力。血鬼術、無惨さんは僕にも血鬼術を使えるようになるって言ってた。早く使ってみたいな......。もし、使えるようになれば一体どれだけ僕は強くなる事だ出来るだろう。

 

そう思うと不思議と気分が高揚し、自身の強さの限界は一体どれだけなのか知りたくなった。

 

 

 

 

 

豪鬼と戦いで道に迷いはしたが、何とか目的の場所に到着した。少し、山を登った所にポツンと建っている小屋の扉を叩く。

 

「何用か?」

 

白髪で髭を貯えた老人。群青色の着物の上から分かる程痩せ細っているのが分かった。

 

「あの、雷公金継さんですか?」

 

「如何にも私が雷公金継だ」

 

「私鬼殺隊に入りたいです!」

 

「......」

 

「......あの」

 

金継は静かに扉を閉めると奥に引っ込んでしまった。

 

「帰れ」

 

「お、お願いです! お願いです! 私に剣術を教えてください! お金なら払います! 何だってやります! だから私に剣術を教えてください!」

 

何度も扉を叩き。教わりたいと訴えるが、返事は無く。夜が明けようとしていた。

 

「また来ます」

 

扉越しに言うと急いで森の中に入っていた。




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