The Elder Scrolls:Souls Wind 作:まむかい
その赤い霊体は、鐘の音と共に現れた。
古くから
今は魂の収穫者アイディール・マスターの管理する、消費された魂の行き着く領域である『ソウル・ケルン』の亡霊として知られる彼らは、戦争や大災害、疫病など一定の範囲内に行き場のないソウルが留まり続ける時、鐘の音色を伴って現れるアンデッドの一種として言い伝えられている。
確固たる姿を持たない闇霊は、なんらかの理由で魂を
そして、その場に存在する魂を持つ生物すべてを狩り尽くすまで暴れ続けるのだ。
今回の闇霊が取った姿は、雷を帯びた身の丈ほどの特大剣を卓越した技量で重心を大胆に遷移させながら縦横無尽に振るう、全身に生えた結晶が特徴的なダークエルフの騎士であった。
リクはその姿に一瞬だけ足を止めた。
しかし、闇霊の持つ大剣が回避行動を取る弓兵らの身体を掠めたのを見ると、もう一度駆け出した。
そして、その勢いを載せたまま、背中の大剣の柄を握り、素早く抜き放つ。片手落ちの特大剣を並外れた筋力によって制御し切ると、闇霊に向かって一息で跳び込んだ。
大上段に構えた剣は重量に任せて闇霊に吸い込まれてゆき、その首筋から腰に掛けて両断するような、袈裟がけの斬り下ろしを見舞うことに成功した。
霊体を斬った際に特有のぼんやりとしたおぼろげな感触の後、血の代わりとしてソウルが噴出する。
だが、その傷口は予想よりもかなり浅く、身体に埋没するように生えていた結晶に阻まれ、その体を両断するには至らなかった。
「足りないか……」
リクは呟きを漏らしながら即座に闇霊を蹴り、一瞬だけ体勢を崩させた。
新手の登場に困惑する兵士らをよそにリクはバックステップで距離を取ると、攻撃を受けた警戒もあらわにこちらへ振り向いた闇霊と相対した。
────軋むような緊張感と、戦局の転回。
戦場に立つ全員が、それらを明敏に感じ取っていた。
リクは、闇霊を改めてまじまじと観察することで、さきほど脳裏をよぎった仮説通りの人物と、その姿は一致していることを確認する。
同じロスリック騎士の大剣を持つ、結晶の生えたダークエルフ。より正確に表すならば、この剣の持ち主であった男。
袖触れ合い、自身に託して死んだはずの彼が、なんの因果か、いまは闇霊としてこの場に現出していた。
──ロスリックより流れ着いたばかりであるリクは、前述したようなこの世界における闇霊の在り方を知らない。
そのため、自身の固定観念や知識に関したある種の疑問、つまるところ『なぜ彼が/何のために/死んだはず/不死なのか?/いつ復活した?』といった、今は答えの出ようもないものが、いまは戦場に在るべきリクの心中を埋め尽くそうとしていた。
しかし、目前の闇霊はその一切に構わず、リクの様子を隙と見て、大剣を構えて向かってくる。
リクは逡巡を打ち切ると、闇霊を迎え撃つべく自身も大剣を構えるのだった。