感想で通い妻だのなんだの言われてますが恋仲になっただけですからね。
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最初に彼に出会ったのは藤襲山での最終選別。
目立つ黄色い羽織を着ていたから自然と目に付いた。
自然と目があったから、会釈をした。
お互い生き残れるといいな、なんて考えていた。
彼は、纏楽くんは強かった。
私が苦戦して、死んでしまいそうになったところを助けてくれたどころか、鬼を圧倒していた。
私よりも年下なのにこんなに強い人がいるんだって感心してしまった。
でも鬼を斬りすぎて、人を助けすぎて変に不安を感じていたからつい笑ってしまった。
そんなに強いのに不安になることなんてあるんだって思ってしまった。
私が怪我をしているのを見て藤の花を持たせてくれた。優しい人だなって思った。自分だって危険なはずなのに私を優先してくれた正義感あふれる人なんだと思った。
しのぶを守るために、私がしっかりしなきゃ、私が守れるようにならなきゃって思っていたけど、私が一方的に守られてしまったから、もっと強くなろうって思った。
わかりやすい目標として纏楽くんくらい強い人の背中くらいは守れるように。
今度は私が助ける番だって勝手に決めた。
でも彼の強さは私の想定なんか軽く超えていて、よく彼の噂を耳にした。
気付いた時にはもう鬼を斬っている。
消えたようにすら見える。
刀すら見えない。
最速で階級を上げた。
そんな彼の強さを示す噂は絶えなかった。
それだけではない、十二鬼月の討伐を二人で成功させたなんて話も流れてきた。
それが日を追うごとに本当のことなんだって同期の人達や隠の人達の話から分かった。
そんな彼に再会したのは最終選別から半年ほど過ぎた頃だった。
私がお館様に進言した蝶屋敷の設立、その補助として纏楽くんと組むことになった。
彼に期待されていたのはきっと私たち姉妹の護衛、蝶屋敷周辺の鬼の殲滅。
私では力不足だと突きつけられた。
それでも彼を憎めないのは、嫉妬の対象にならないのは一重に彼の人柄によるものだと思う。
彼は階級が私よりもだいぶ上にもかかわらず、高圧的ではない。命令をしない。
むしろ、彼が「俺は何したらいいんだ」なんて指示を求めてきたときには驚いてしまった。
それに、都会に興奮する姿は可愛かったし、手を繋がないとはぐれてしまうような姿に、彼を守ってあげたい、世話してあげたいなんて思ってしまった。
私でも、こんなに強い人の役に立つことができるんだって思った。
纏楽くんは短い付き合いながらも私を次々に驚かせる。
一番驚いたのは珠世さんとのことだ。
私の鬼とも仲良くなりたいという考えを否定しなかったどころか肯定してくれたのだ。
妹であるしのぶですら否定したこの夢を肯定してくれた。
それも、とても軽く。こんなに嬉しいことはなかった。
「鬼と仲良くなって斬る必要がなくなれば楽」
彼にとっては大したことのない言葉でも私はとても嬉しかった。この夢を持ってていいんだって思った。
私は間違ってなかったんだって思わせてくれた。
あと、愈史郎くんが私を醜女って言ったときに「カナエは美人だろ」って言ってくれたのは嬉しかった。
どういうわけか、他の誰に言われるよりも嬉しかった。
それでもまだまだ私を驚かせ足りないと言わんばかりに次々に何かをしでかすのだ。
蝶屋敷の荷物搬入を手伝ってもらったときだった。
両親が鬼に殺されてからしのぶは滅多に笑わなくなってしまった。
笑顔が可愛い妹が笑わなくなったということに私は姉として責任を感じていた。
そんな難しい精神状態のしのぶにも纏楽くんはぐいぐい近づいていった。
しのぶが頬をつねられているのを見たときはびっくりした。
でも、どうしてかしのぶは纏楽くんの事を警戒しているから食事にみんなで行くことにした。
しのぶは相変わらず纏楽くんを警戒していたけれど、元気に二人でお話ししていたから悪くない結果だと思う。
その帰りに出会った鬼、私は何も出来なかった。私も今まで仲良くなれない鬼を斬ってきて強くなったつもりだった。
でも結局私は何も出来なかった。
見てるだけだった。纏楽くんが苦戦して傷ついているのを見ても私の足は動かないのだ。
纏楽くんが鬼を倒して、血鬼術の影響で崩壊する地面から逃げる時も、最初から最後まで私は足手まとい。
纏楽くんが倒れたときは涙が溢れて止まらなかった。
私が弱かったから纏楽くんが死んでしまうかもしれないという事が怖くて怖くて仕方なかった。
二人で纏楽くんを蝶屋敷に連れ帰って、纏楽くんが三日間目を覚まさなかったとき、強くなろうって強く思った。今まで通りの努力じゃ足らないんだって痛感させられたから。
しのぶが纏楽くんが目を覚ましたと叫んだときは慌てに慌てて、恥ずかしい姿を見せたと後悔した。慌てて洗濯物が絡まるって…
おっちょこちょいな女だって思われたかしら。そんな女の子は嫌いかな。
食事を用意するために台所で消化にいいものを作って部屋に戻った時に、しのぶは以前のような可愛い笑顔を浮かべていた。
私がいない間に何があったのかは分からなかったけれど、纏楽くんへの感謝の気持ちが高まった。
彼は私にできないことを何気なくやってのけてしまう。
しのぶは何かすっきりとした顔を浮かべていたから何か吹っ切れたんだろうなって思った。
その後、流石にお風呂に突撃するのはやりすぎだったと反省している。
私は服を着てるから恥ずかしくないなんて思っていたけれど、纏楽くんが裸で目の前にいるという状況は恥ずかしかった。
でも、顔を赤くして逃げ出したいのをぐっと我慢して、私は纏楽くんの背中を流す。
背中は私とそんなに変わらない大きさ。当然だ私よりも年下なのだから。
子供っぽいところもあるけれどそれでも私はこの人の背中にすでに何度も救われた。
背中を流しながら、私はこの人のことが好きなんだなぁって漠然と思った。
なんでこの時にだったのかはわからないけれど、それでもこの背中を一番側で守りたいって思ってしまってからは、余計に顔が赤くなった。
考えれば考えるほど纏楽くんのことが好きだという事実が明確になっていってちょっと恥ずかしかった。
下弦の肆と対峙したときにまた私が無力だって突きつけられてしまった。
全集中・常中を習得して、纏楽くんとの打ち合いもそれなりに続くようになっていたから慢心していた。
私はいつまでたっても力のない人間だった。
纏楽くんは私が傷ついたことにとても怒ってくれたしそれはうれしかったけれど、私の弱さが招いたものだから。
私は私を傷つけた鬼よりも弱い自分が許せなかった。
そして、入隊からたった半年で纏楽くんは鳴柱に就任した。
また差が広がってしまった。隣に立てるだけの実力が、背中を守れるだけの実力が欲しくて追いつきたいのに、彼は止まってくれない。当たり前だ。
早く、強くなりたい。だから私も柱を目指す。本当は階級になんて興味はないけれど、柱である纏楽くんに並び立つためにはそれくらいしなくてはならないだろう。
……でも、その間に誰か他の女の子が纏楽くんの隣に立っていたら嫌だなぁ。
纏楽くんはよく私に美人だって言ったり、お風呂一緒に入ろうとかもっと深い仲になろうなんて言うけれど、それは全部冗談なんかじゃないってことはわかってる。
いつもいつも彼の眼は笑っていなくて真剣そのものだったから。
一緒に住んでほしいって言ってくれた時は思わず飛び跳ねるくらいには嬉しかった。
纏楽くんも私と同じ気持ちだったんだなって思うととても嬉しかった。
でも、私にはまだそんな資格はない。いや、良い返事は返すんだけど、纏楽くんの想いにはしっかり応えるんだけど!だって好きなんだもん。他の子に盗られたらなんて考えるだけで胸が痛い。
でも本当に私はまだまだ弱くって纏楽くんの背中を守る事なんてまだまだできないから。
まずは彼の体調を守ることから始めようと思う。
纏楽くんにおいしいご飯を作ってあげたい、ぐっすり眠ってほしい、寂しい想いをしてほしくない。
そしていつか纏楽くんの隣に立てるくらいになったなら、け、結婚とか、したいなぁ。
◯
なんなんだあの人は。
姉さんが最終選別で助けてもらった男の人。
姉さんの同期で一番強くて一番柱に近い人。
そんな前情報ばかり入ってくるが、どうせ姉さんをやましい目で見ている人のうちの一人なんだろうってわかっていた。
実際その通りだったわけだし。
でも、私の予想以上に纏楽さんはおかしな人だった。
蝶屋敷の荷物搬入を手伝う際、彼は姉さんよりも私に構ってきたのだ。
そしてその軽い口ぶりで私を何度も何度もからかうのだ。
なんなんだ。何でこんな人にたくさんの鬼が殺せて私にはできないのだ。
理不尽ではないか。募る怒りを彼に冷たく当たるという形で発散させた。
私の頬をつねり上げたことは許さない!
姉さんが纏楽さんのことを意識していたのは妹の私ならお見通しだった。
他の男性と同じように接しているようで、視線はチラチラと彼の方へと送っていたし、明らかに距離が近かったから。
私から最後の家族を奪おうとする彼はまちがいなく私の敵だった。
だけど彼は私に良い隊士になれると言ってくれたのだ。
何も知らないくせに。私がどれだけ努力してどれだけ悩んで、姉さんを一人最終選別に送り出したと思っているんだ。
私は姉さんの力になれない、姉さんの足を引っ張るだけだとわかっているから私は涙を呑んで送り出したというのに。
どうしてあなたはそんな簡単に姉さんの隣に立っているんですか。
どうしてそんなにも恵まれているんですか。
姉さんに誘われ三人で夕食を食べに行った帰りに鬼に遭遇したときは足がすくんで動かなかった。
それは姉さんも同じ様子だった。
このままこの恐ろしい鬼に殺されてしまうのだろうかと恐れたが、そんなことにはならなかった。
一ノ瀬纏楽さん。彼の実力は私の想像をはるかに超えていた。
ここまでの力を見せつけられて、こんな戦いを目の前で見せられたら心が折れてしまいそうになった。
私には鬼の頸を斬るだけの力がない。だが、その力があったとして私はこのように鬼と戦えていただろうか。
纏楽さんは鬼を倒した後、すぐに私たちを抱えてその場から離脱した。
そして倒れてしまった。私が鬼と戦えるだけの力があればこの人はこんなに傷つかなかったのだろうか。
三日後、目を覚ました纏楽さんに私は心の内を晒した。
力がないこと、花の呼吸を使えないこと、毒の研究がうまくいかないこと。
無様に泣きじゃくりながら彼に強い口調ですべてさらけ出したと思う。
すると彼は諦めずに笑え、なんて言うのだ。
無理やりに頬を伸ばして口角をあげさせようとするのだ。
この男はどんだけ不器用で馬鹿なのだろうかと思ってしまった。
それでも、纏楽さんの言葉は私に力をくれた。
彼の言葉を聞いた後、諦めないでもう一度頑張ろうとなぜか思えたのだ。
それがどうしてなのかはわからないけれど。
もう一度笑顔を浮かべて私は纏楽さんに感謝した。
その瞬間から、私は纏楽さんのことを嫌いではなくなった。
いや、もともと嫌いではなかったのかもしれない。
あれは姉の隣に立てない醜い私の嫉妬だったのだから。
纏楽さんは私の稽古をしてくれた。
鬼殺隊士ではない私の面倒を見る必要も価値もないのに、真摯に向き合って助言をくれた。
私の力では鬼の頸を斬れないのならやはり毒を完成させて、鬼に毒を打ち込めるだけの剣術を備えるように言ってくれた。
私も頭ではわかっていたことだけれど、しっかりとした強さを持つ彼に言ってもらうことはまた特別な意味があった。
私は花の呼吸を使えない。
私に向いているのはそういう動きではないと言われた。
花の呼吸のように華麗な動きに素早さが必要だと提案され、彼の開発した雷の呼吸 捌ノ型を見せてもらってそれを参考に私だけの全集中の呼吸を模索した。
いちいち私の頭を撫でたり、頬を引っ張ったり、私や姉さんに馬鹿なことを言うのはその恩に免じて許してあげることにする。
きっと彼は私の頭や頬を一生こねくり回すのだろうけれど、まぁ許してあげることにする。
少し恥ずかしいけれど彼がそれで満足するなら甘んじて受け入れてあげようではないか。
決して私が撫でられることを望んでいるなんてことはない。
ないったらない。ほんとに。
姉さんには「ほんとにー?」なんて言われるけれど。ほんとにほんとだ。
ほんとなんだってば!なんでニヤニヤしてるんですか纏楽さん!
十二鬼月、下弦の肆と対峙したとき纏楽さんは姉さんや私をちゃんと守ってくれるんだなって思った。
姉さんが傷つけられたことに怒り、十二鬼月を倒した。
それどころか十二鬼月という鬼の中でも最高峰の力を持つ鬼で私の毒の実験をさせてくれた。
いや、確かに毒の実験はしたかったけど、反撃を受ける危険があるのに十二鬼月という極めて危険な鬼で実験しなくたっていいでしょうに。
この人は加減という物を知らないのだろうか。
やることなすことめちゃくちゃだ。
その翌日彼は柱に就任したなんてかるーく報告するのだからまた驚く。
彼はそんなことよりももらった広い屋敷に一人で住むことの方が嫌で仕方ないらしい。
まったく、仕方ないから私がたまに、いや、ちょくちょく……頻繁に顔を出してあげることにします。
感謝してくださいね纏楽さん!
私が少し席を外している間に姉さんと纏楽さんがくっついていたんですけど。
少し寂しい。
纏楽さんなら姉さんを守ってくれるだろうし、姉さんにぞっこんだから浮気なんてしないだろう。
それでも寂しい。姉さんは纏楽さんとお付き合いしたとしても私を遠ざけたりはしないだろうし、纏楽さんも同様だろう。
……でも、二人がより密接な間柄になっているのに私が仲間外れなのはやっぱり寂しい。
だ、だからと言って私は纏楽さんと恋仲になりたいわけではないんですけども!
ほんとにほんと!
なによ姉さん、柱には嫁を三人娶ってる人がいる?それがどうしたの?
三人で幸せになろうって?
た、確かに纏楽さんには感謝してるけどそういう想いはないから!
なんで笑うのよ姉さん!
私の更新速度は皆さんの応援(感想評価)次第なのです。
そして私はウキウキしたいので感想評価ください。
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