そして風邪を引いた。
インフルではないのが救いです。
皆様もお体にはお気を付けください。
柱業務に従事し始めて約半年。
馬車馬のようにこき使われ鬼を切りまくる日々が続く。
継子(カナエ)との鍛錬の時間も全然取れず、しのぶの頭を撫でる余裕すらない。
というか、最近は蝶屋敷にも寄っておらず、自分の屋敷で睡眠だけ取り、また仕事である。
俺の屋敷に胡蝶姉妹は頻繁に出入りしているのか、掃除、炊事洗濯をしていってくれているようなのだ。
……癒されてぇ。
「ならお前は帰ればいい」
「お前一人じゃダメだから俺が呼び出されてんの」
「俺は一人でも問題ない」
「お前一人じゃダメだって言ったよな!?」
「言われてない」
「今!俺が!言ったよな!」
水柱に就任したこの冨岡義勇とかいう男。
手綱を握るのが面倒な事この上ない。
しかもどんな感情の顔だよその顔は。何?一人でいいのに余計な奴が付いてきたよとかいう文句のある顔?
ほんとになんで俺が呼び出されたのだろうか。
若手とはいえ柱が二人。
まーた面倒な仕事が舞い込んできた。
強い鬼でも出現したのだろうか。
それとも捜索範囲が広いからとか?
「で、どこに行くの?俺聞いてないよ」
「……?帰るんじゃなかったのか」
「帰るわけないだろうが!」
なんなんだこの男は。
あれか、この男を制御することの方が鬼を斬ることの数倍は難しいと思うのは俺だけだろうか。
「祭りに行く」
は?祭り?遊びに行ってもいいのだろうか。
いや、遊びではないことはわかっているけれど、鬼を斬った後は祭りを楽しんでもいいのだろうか。
それならば早急に鬼を斬り祭りを存分に楽しむのだが。
「俺たち以外にも隊士が数人送られている。連携しろとのことだ」
「あれか、祭りみたいな人の多いところだから柱二人隊士数人とか人数がかけられてる感じか」
鬼が複数であったり、広範囲に及ぶ血鬼術を持っていたりすれば祭り会場が血の海に沈む可能性だってあるわけだ。
それを防ぐために人数が割かれている。
うん、それくらいならいいかな。守ることが難しいだけで鬼は弱いに期待しましょう。
「で、その祭り会場はどこなんだ」
「……」
俺の質問には答えず、すたすたと歩いてしまう義勇。
これは無視か、無視ってことでいいのか。
それともあれか。案内するから黙ってついてこいとかいうやつなのだろうか。
それなら文句もないからついていくけれど——
すぐにぴたりと止まる義勇。
なんだ、お前も道がわからないとか言い出すのだろうか。
それなら最初から鴉に案内してもらえばよかったではないか。
「鮭大根はどこで食べられるだろうか」
「何の話をしてるんだ!?」
最終的には義勇とともに祭り会場に到着したからいいもののこいつとの道中での会話の成り立たなさが異常だった。
どれだけ話しかけても基本は無視。
返事してくれたとしても会話を続ける気のない受け答え。
そして謎の無表情やドヤ顔を披露してくるのだけれど、こいつの心がどうなっているのかさっぱりわからん。
「でっけぇ、祭りだなぁ」
神社を中心に出店が立ち並んでいる。
祭囃子や人々の声が絶え間なく耳に入ってくる。
提灯の灯りで夜だというのにこの明るさ。
人でにぎわっているこんな中に鬼なんて紛れていても見つけることすら難しいと思うのだけれど。
「あれ、纏楽くん?」
不意に聞こえてくる聞きなれた愛しい人の声。
パッと振り返るとカナエと——知らない男の隊士の姿が。
「は、柱!?それも二人!?」
おいおい、そんなことどうでもいいんだよ。
お前が少しの間とはいえ俺のカナエとともに祭りを楽しんでいたというその事実だけで万死に値する。
「纏楽くん、一緒に祭りをたの——警戒しましょう?」
俺の腕をとって俺の耳に口を近づけると「彼とはそこで合流しただけだから安心して?」とつぶやいてきた。
相変わらずカナエには考えていることが筒抜けで少し恥ずかしい。
「こ、胡蝶さん、公私は分けたほうが——」
「それでいいですよね、水柱様?」
カナエからあふれ出る謎の圧力。
これはダメとは言えない雰囲気。柱にも臆さず意見できるところはしのぶの姉だなぁと思わされる。
だがしかし、相手が悪かったなカナエ。
「……?全員別行動だろう」
空気を読まない男冨岡義勇。
男隊士君も柱やべぇなんて言っている。
実際この圧力の前に正論をぶつけられる義勇はとんでもねぇ奴だ。
「……カナエ、鬼を斬ったら一緒にまわろう」
「はーい」
男隊士くんはずーんと落ち込んでいる。
大方カナエを祭りにでも誘うつもりだったのだろうがそれを許す俺ではないし、カナエも俺以外は眼中にない態度をとっている。
そもそも、鳴柱と蝶屋敷の美人姉妹が恋仲という話は真偽はともかくとして鬼殺隊内ではそこそこに有名な話なのにカナエに言い寄ろうとするほうがバカなのだ。
カナエは美人だから仕方ないけど。
「で、義勇。鬼の特徴とかないのか」
「知らない」
「……どうするんだ」
「考えてない」
道中に作戦とかお互いの立ち回りの話を振ったのに無視したから義勇に何か作戦があるのかとも思ったのにこのざま。
これは怒って良い奴だよな。
「……よし、祭り会場を四つに分ける。カナエとカナエに近づくゴミは鬼を発見しだい俺らのどっちかに鴉を飛ばせ」
ゴミ!?などと喚いているゴミだが気にしない。
四等分ではなく、柱である俺たちが広い範囲を担当。
カナエとゴミは狭い範囲を担当させる。
「わかった。でも、師匠そんなに心配しなくていいわよ」
相変わらずそんなにない力こぶを主張しながら、強くなったので心配はいらないとカナエはいうのだ。
まぁ、稽古をつけている感じではカナエは相当実力をつけているので心配はそんなにいらないだろうが、好きな女の子のことを心配するのは間違ってないと思うのだけれど。
「鬼が複数いるかもしれない、広範囲の血鬼術を持っているかもしれない。最優先は人命だ。気をつけろよ」
「わかったわ。纏楽くん、水柱様、ゴミさん、頑張りましょう」
「ゴミじゃなくて五味なんだけど!?」
「……祭りには鮭大根があるだろうか」
ふむ、今から鬼と対峙するような空気ではないが、任務前にここまで余裕を持てているのなら平気だろう。
解散の合図とともに俺たちは四方へ散った。
とは言ったものの、こんな大勢の中から鬼を見つけるなんて至難の業だ。
何代か前の水柱はにおいで判別できたらしいけれど、あいにくと俺はそんなことはできない。
「……でも流石に人目を避けるか?」
鬼が猟奇的な思考をしていなければ騒ぎにして鬼殺隊を集めたくはないだろう。
それならば、少し外れた雑木林なんかに潜んでいて近づいた人を食べるのが最善手だろう。
自分の担当区画の人気のないようなところを中心に練り歩く。
……鬼よりも目にしたくないような光景がちょくちょく目に入ってくるんですが。
世間一般の恋人は外でするのか。何をとは言わないけども。
……カナエはどうなんだろう。
いや、そういうのを考えるのはやめよう。
ていうか、こんな盛った人間がいるようなところに鬼なんていないのでは?
流石の鬼も空気を読むだろう。
こんな現場に空気を読まずに突貫するのは義勇くらいのものだ。
『胡蝶カナエ、交戦開始ィ、祭リ中心地カラ移動チュウゥ!』
上空から鴉が鳴いた。
祭り中心地から?ということは今回の鬼は珠世さんのような姿を隠す血鬼術を持っている!
十二鬼月という報告はなかった、それならば増援要請が来るまでは任せておいていい。
俺は他にも鬼がいないかを警戒する。
再び祭りの中心部へと移動。
珠世さんの時のように人ごみの中から違和感を探せ。
せっかくカナエが周りに被害を出さず、祭りの中断をさせずに交戦を開始したのだ。その努力を俺は無駄にしてはいけない。
……あった。
珠世さんの時のようにそこだけ必ず人がいないわけではない。
地面に不自然な影があり、移動しているのだ。
その影の直上には何もない。つまり、姿を消すのか、影を操りその中に潜り込む血鬼術!
しかし、こんなところで刀を振り回すわけにもいかな——うん?
よくよく見れば子供たちは何人か刀を持っている。
しかも意外としっかりできた玩具。
刀身を見せなければ、祭りで手に入れた玩具だと思い気にも留めないはず。
影をよく見ろ。
これはどんな能力だ?
影の上を踏んでいく人たち。つまり、姿を消す能力ではない。
……一人で歩いていた男性が、影を踏んだ瞬間、消えた?
音もなく消えた。つまり、影の中に空間を作り出す能力!
スーっと影は移動する。
気配を殺し、俺は影を追跡する。
一瞬だけ、影の中心から角が覗いてすぐに引っ込んだ。
行ける!
一般人には刀身を見せないような速さの剣戟で終わらせればいい。
影の直上に立ち、中心に向けて刀を振るう。
「があっ!」
影の中から悲鳴が聞こえると同時に影からせりあがってくる消えた人。
気絶しているからあとで祭り運営本部に運ぶがまずは鬼。
そんなに人を食っていないのか能力が安定していないようで、鬼の頭の頂点が覗く。
その少し下を掬うように刀を振るえば頸を狩れる!
気分的には金魚すくいだ。
もう一度、刀身を誰にも見せずに刀を振るった。
すると、数瞬の後に影が消えた。
影の中に取り込まれていた人と、鬼の死骸が出てくる。
それに驚く祭りを楽しむ人々。
俺はそれをなるべく気にしないようにしながら影に取り込まれていた人たちを担ぐ。
鬼の死体は灰になっているので問題ないだろう。
大した騒ぎにはならないだろう。もし騒ぎになっても隠の人達が何とかしてくれることだろう。
『カァー!冨岡義勇、胡蝶カナエ、一ノ瀬纏楽、三者トモニ討伐完了ゥ!』
よかった。みんな無事。
一度合流しよう。
「全員無事だな」
「怪我もしなかったわ」
ほめてほめてと言外に言っているような気がしたので頭を撫でておく。
ゴミがなにやらうらやましそうな視線を送ってきているが無視。
というかカナエを見るな、目つぶすぞ。
「他に鬼はいないのか」
あら、義勇が会話を切りだした。
珍しいこともあるもんだ。
「あ、それは大丈夫だと思います。私と対峙した鬼が三兄弟って言っていたので」
「俺だけ何もしてない」
「よし、じゃあ一応各自警備を続行。祭りが終わって人もいなくなったら解散かな」
「纏楽くん、行きましょ」
カナエがすぐに俺の手をとってずんずんと屋台の方へと突き進む。
きっと義勇はあるはずもない鮭大根の屋台を探し、ゴミこと五味は一人むなしく祭りを警備するのだろう。
「……纏楽くん、嫉妬してくれたの?」
おっと、その話が飛んでくるとは思わなかったなぁ。
「するよ。カナエは美人だから男は寄ってくる」
「私は纏楽くんにしか興味ないから安心して?」
「カナエにその気はなくても男は寄ってくるでしょ。それも嫌だ。独占欲ってやつだよ」
「あらあら、心配しなくても私は全部纏楽くんのものなのに。……おじさーん、たこ焼きくださーい」
「お、別嬪さんだねぇ、おまけしてやろう!」
ほら。カナエは誰から見ても美人だから多くの人が言い寄ってくるに違いないのだ。
そんなの不安に決まっているだろうに。
「はい、あーん」
「ありがと」
カナエからご飯を食べさせてもらうのも随分慣れたなぁ。
カナエから食べさせてもらった次は俺が食べさせる。
お互いこういうことを恥ずかしがらずになったな。
「纏楽くん、口についてるよ?」
ペロッと唇を舐められる。
これもカナエは顔を赤くしながらもこんなに人がいるところでできるのだ。
うん、カナエがこんなことしてくれるのなんて俺だけなんだから心配いらないか。
それを伝えるためにカナエはわざとこんなことをしてくれたのかもしれない。
「カナエ、次はどこに行こうか」
「りんご飴食べたい!」
「よし、行くか!」
余計な悩みの種もなくなったことだし、存分にカナエと祭りを楽しむことにしよう。
「カナエの浴衣姿とか見てみたいな」
「浴衣の帯であーれー、よいではないかーってやりたいの?」
「そんなこと一言も言ってないが!?」
「……さっき木陰でやってる人たちがいたから」
そういうのは例え見たとしても見なかったことにするんですよカナエさん!
というか、俺たち、とくに俺なんかはまだそんなことをするような年齢じゃないんだよ。
まだ十四ぞ?もう何ヶ月かで十五ですけども。まだ早い……よな?
「纏楽くんがやりたいんだったら、言ってね?」
「やりたい」
あっ、つい本音が漏れてしまった。
「ふふふっ、また今度ね。ところで水柱の冨岡さんはどうしてあんなに天然なの?」
「俺に聞くな」
この後めちゃくちゃ祭りを楽しんだ。
あと、追加で鬼をそれぞれ二、三体斬りました。
戦闘描写がぺらっぺらなのは許して。
こんな任務に柱二人もいらんだろって突っ込みもナシね。
今回は出したいキャラを出した欲望回だから!
すまん、風邪をひいてしまったので連続投稿が途切れてしまうかも。
ストックもないのでな。
……感想評価をくれたらたちどころに風邪が治るかもしれないのでよろしくお願いいたします。
第二回需要調査(どんな話が読みたいの?)
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胡蝶姉妹とイチャイチャ
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その他原作キャラとイチャイチャ
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鬼とイチャイチャ(血みどろ)
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師匠と弟子といちゃいちゃ
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さっさと原作突入しろ