じいちゃんにもう一人弟子がいたら(一発ネタ)   作:白乃兎

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そろそろ必殺の時飛ばしが発動します。

はよ話進めたいのでな。
その割に日常多いとか言わないで。


津波くらい斬ればよくない?

蝶屋敷に住人が増えました。

 

「カナヲは可愛いわぁ〜」

 

「わかる。これはしのぶとはまた別の可愛さ」

 

「二人とも甘やかしすぎよ!」

 

栗花落カナヲ。

カナエとしのぶが買い出しに行った際に拾ってきた?女の子。

無表情無感情で、命令がなければ動かない。

 

でも可愛いから許される。

しのぶがやきもち焼いてしまうかもしれないけれど、可愛い。

どこが可愛いとか可愛い部分が多すぎて言えないけれど可愛い。

とにかく可愛い。

 

俺とカナエはそれはもう甘やかす。

高級なお菓子を買ってあげたり、着物を次々に購入。

カナエとの稽古を取りやめてカナエとカナヲと俺の三人で街に繰り出したりもしている。

帰ってくるとしのぶがそれはもう怒っているわけだが、カナヲの為だから仕方ない。

 

子供や孫が俺にできればこれくらい甘やかすんだろうなぁ。

いや、もはやカナヲが俺とカナエの娘みたいなもんか。

一体いつの間に俺とカナエ結婚してたんだろう。

いや、してないんですけども。

 

「安心してくれしのぶ。後でしのぶにも同じことしてやるから」

 

「そういう事を言ってるんじゃないんですけどね」

 

しのぶと正式に恋人関係に発展したわけだが、あれからしのぶは少しずつ感情の起伏が少なくなってきている。

声を張りあげることが少なくなった。しのぶの思う理想の女とやらを目指しているらしい。

俺はしのぶに怒られるのも好きだったんだけどなぁ。

 

「自分で考えられないのは危ないから、あまり甘やかさないようにって言いましたよね!」

 

でもやっぱり所々素が出るしのぶ。可愛い。

 

「うん、だからあんまり甘やかしてないよ」

 

「十分甘やかしているように私には見えますが?」

 

そうだろうか。カナエと二人でカナヲに抱きつきながら目を見合わせる。

え、これ甘やかし過ぎてる?そんなことないよね?

 

割と真剣にきょとんとしているカナエと俺。

しのぶは笑顔を浮かべているがその笑顔が少し怖い。

 

「ほら、しのぶもおいで」

 

「四人でくっつきましょう?」

 

「カナヲのためにならないから言ってるのに」

 

ぶつくさと不満を漏らしながら、しのぶは俺とカナヲ、カナエに抱きつく。

カナヲを中心に三人が取り囲むように抱きついている。

相変わらず俺たちは外野から見れば意味のわからない事をやっているがこれが俺たちの愛情表現。

 

「カナヲも、しのぶみたいに好きな男の子でもできたら変わるから大丈夫よ」

 

「……そう言われたら何も言えないじゃない」

 

カナヲは嫁にやらん!なんて事を言ってみたいなぁ。

カナヲが嫁に欲しくば俺より強くなきゃ許さん!とか。

そして完膚なきまで叩きのめしてやりたい。

 

「しのぶは可愛いなぁ」

 

「でしょ?私の妹だもの」

 

「カナエも可愛いよ」

 

「ありがとう」

 

「纏楽さんもカッコいいですよ」

 

「うん、纏楽くんが一番カッコいいわ」

 

「ありがとう、二人に言われるのが一番嬉しい」

 

カァーカァー

 

なにやら鴉が鳴いているが完全に無視。

この空間を邪魔する奴は何人たりとも容赦はしない。

 

「な、鳴柱様ー!あの、一ノ瀬様!」

 

隠の人が話しかけてくるけれど無視。

 

三人をより強く抱きしめる。

しのぶやカナエは呆れた顔をしているけれど俺にとっては任務より何よりこの時間が大切なのだ。

鬼殺なんて後でもいいじゃん。

大丈夫だよ、きっと他の隊士がなんとかしてくれっ!?

 

「お館様に言われて来てみれば案の定って奴だな」

 

「幸せなのは構わないが責務は果たすべきだろう!」

 

まさかの天元と杏寿郎によって引き剥がされた。

なんでこの二人が!?

 

「お館様がお前をなんとかしろって言うからな」

 

「無辜の民の幸せも守らなければならん!」

 

まさかのお館様の命令。

俺が幸せのあまり働かないのまでお見通しとは流石お館様。

 

しかもそのために柱を二人も動員するとか、俺を働かせるのは上弦の鬼討伐と同じくらいの難易度だということか。

 

「うぅ、カナエぇ、しのぶぅ」

 

「うふふ、帰ってきてから続きをしましょう?」

 

「流石に怠け過ぎですよね」

 

がーん。二人に見捨てられた。

頼みの綱は後一人、カナヲ!

 

「ほら、カナヲも何か言ってあげて」

 

「……いってらっしゃい」

 

手を振って見送りの言葉をかけてくれるカナヲ。

 

「行ってくるわ、鬼舞辻斬ってくる。今ならなんでもできる気がする」

 

圧倒的可愛さによって俺のやる気は最高潮である!

これは働かないとかない。幸せに浸っていた分、もっと働かなければ!

 

 

 

 

 

「い、一ノ瀬様!」

 

「な、鳴柱様ぁっ!?」

 

「なんだお前ら」

 

なにやらみたことある顔と、サラサラ髪の男が現場にはいた。

なんで一般隊士と一緒に仕事しなきゃいかんのだ。

 

「ご、五味です!こっちは同期の村田!まさか救援に柱がいらっしゃるとはっ」

 

「あぁ、ゴミか」

 

「五味です!」

 

いつぞやの任務で一緒になったやつではないか。

 

「で、お前は?村田だっけ、なんの呼吸?」

 

「み、水の呼吸です!……薄いですけど」

 

あぁ、呼吸が弱くて特有の幻視が不可な奴か。

まぁ水の呼吸なら臨機応変に対応できるか?

 

「で、ゴミはなんの呼吸?埃とか塵の呼吸?汚いな」

 

「そんな呼吸ないわ!風の呼吸ですよ!」

 

「ふーん。派生させてゴミの呼吸とか似合うと思うんだけど」

 

「似合ってたまるか!」

 

蝶屋敷から引き離されたこの鬱憤を五味を弄ることによって晴らす。

……なんでコイツらいるんだ?

 

「なんでお前らいるの?」

 

「俺たちじゃどうにもできないから待機してて、情報共有しようと」

 

ふーん。

そんな厄介な奴なの?

 

「霧を発生させる血鬼術で、方向感覚が狂うんです。それに、鬼はそこにいると思ってもいなくて」

 

「わかった。お前らは帰っていいよ。幻覚見せられて同士討ちするのもダメだしな」

 

こういう鬼は同士討ちを狙うことが多い。

それならば、単体戦力で押し切ったほうが早い。

 

「で、どこ?」

 

「この先の湖畔です」

 

「了解、隠の人たちと待機してて」

 

二人に言われた方向へ進む。

少しずつ空気がひんやりとしてくるのは血鬼術によるものか、湖畔故か。

 

ふわっ

 

「ここか」

 

この領域に入った途端に霧が発生した。

一歩下がると消える。

幻覚を見せるのか、蜃気楼みたいなものか。

 

刀を抜いて警戒を始める。

気配や殺気はない。俺は杏寿郎との模擬戦を重ねる度に殺気や相手の狙い、挙動がわかるようになってきた。

調子がいい時は、変な世界に潜り込む事も可能。

 

つまり、俺の感覚なら——

 

ギィン

 

金属音が響く。

俺の刀が、刃を受け止めた感触。

 

つつー、と水滴が刀をつたい落ちる。

 

水の刃?

俺はとことん何かを操る血鬼術を使う鬼と縁があるなぁ。

 

刃が飛んできた先からは気配はない。

……この霧か。

 

水分自体を操っているなら、霧から水の刃を生み出している。

するとこの霧の中に踏み込んだ事が悪手だが、この霧自体には殺傷力はないとみた。

 

「タネが分かれば難しくはない。残念だったなぁ、鬼」

 

「……あはは、僕のところにたどり着いた人は君が初めてだよ」

 

鬼は、少年の姿をしている。相当幼い時に鬼にされてしまったのか。カナエならば同情から殺すのを戸惑ってしまうのかもしれないが、コイツの足元には夥しいほどの血が飛び散っている。

コイツは多くの人を、隊士を殺した。

 

許すわけにはいかない。

 

「死ね」

 

俺は、鬼のいない空間へと刀を振るった。

……手応えが浅い。姿が見えない分頸を狙うのは難しいな。

 

「あはは、よくわかったね。目に見える僕は僕じゃない、幻影さ。でも、それだけが僕の血鬼術じゃない」

 

鬼の背後の湖から、水が俺に向かって押し寄せてくる。

 

「ほらほら、逃げないと溺れ死ぬよー!」

 

水は龍を模して俺に向かって飛来してくる。

水圧、窒息を狙う攻撃。

龍は複数。鬼の姿は見えず頸を切り落とすのが難しい。

なるほど、俺が駆り出されるのもわかる強敵だ。

 

だがしかし——

 

「俺の至福の時を奪った罪は重い」

 

ドンっという踏み込みの音を残し、その場から消える。

 

「き、消えっ!?」

 

気配のする箇所を横薙ぎ。

水龍が消えない、まだ頸は落ちてない。

 

そのまま連撃で強引に頸を落とそうと試みるが、俺の周囲に水の針が出現。

軽く百を超えるその針が俺に向かってくる。

 

陸ノ型電轟雷轟

 

全方位へ青い雷が放電のように放つ。

俺の斬撃によって斬られた水の針は、ぱしゃりと元の姿へと戻る。

 

続けざまに俺を殺さんと水龍がまるで伝説の八岐大蛇のように八つの頸をもって俺を狙う。

八つ別々の方向から。だが、足りない。

 

壱ノ型霹靂一閃 八連

 

八度雷が轟くようなけたたましい音と共に霧の世界が光る。

次の瞬間には八岐大蛇全ての頸が斬り落とされ、大量の水が地面を濡らす。

 

「こ、これならぁっ!」

 

湖がせり上がる。

その大量の水は津波のように、俺の身長の十数倍の高さを誇って押し寄せる。

 

「雷の呼吸 伍ノ型熱界雷」

 

神速の斬り上げ。

青い稲妻が下から上へと迸ると津波は割れ、俺を避けるように背後を打ち付けた。

まるで西洋の聖人伝説さながらに。

 

「なんでっ!なんで水が!津波が斬れるんだよぉ!」

 

水による波状攻撃が途絶えた。

狙うなら今!

 

弐ノ型稲魂

 

鬼を同時に五回斬る。

しかし、いつもと違い五度の横薙ぎ。

五回、姿が見えない鬼を斬って強引に頸を斬り落とす算段である。

 

気配を感じなくとも、これだけ足場が濡れていれば鬼が立っているところはわかる。

 

それにこの鬼は——

 

「なんっ、で!?」

 

子供の姿をしていない。

幻影で子供の姿を投影し、頸の位置が低いと誤認させていたのだ。

だが、水溜りの揺らぎから、足の大きさは幻影の姿以上である事が分かった。

 

手応えからも、それまで顔付近を斬っていた感触ではない。

本当の姿は成人した姿の鬼であったから。

 

そこまで分かれば後は頸が落ちるまで繰り返し斬るだけ。

幸いにも雷の呼吸には試行回数を稼ぐ技がある。

 

運良く、一度で終わったみたいだけど。

 

というかそもそも

 

「水で雷に勝てるわけないだろうが」

 

鬼が灰となって消える。

それと同時に白い霧の世界も消失。

 

辺りは月明かりの差す平凡な世界となった。

 

「お、おわった、んですか?」

 

「柱、とんでもねぇ」

 

背後から聞こえる震えた声。

振り向くとなぜか濡れ鼠になった五味と村田の姿があった。

コイツらは霧の外にいたはずでは?

 

「なんでお前ら濡れてるんだよ」

 

「津波がこっちまで押し寄せてきたんです。流されて気がついたらこの辺に」

 

「というかなんでアンタは濡れてないんだ!」

 

「おいおい、津波ぐらい斬ってなんとかできるだろ」

 

「「できるか!?」」

 

 

 

 

 

「お帰りなさい、纏楽くん」

 

自分の屋敷へ帰るとそこにはカナエの姿があった。

この時間にここにいるということは現在蝶屋敷には怪我人がさほど運ばれていていないということだ。

 

「ただいま」

 

「軽食でもとる?」

 

「いや、いいや。汗拭いたらすぐ寝る」

 

「手ぬぐい持ってくるわね」

 

俺の屋敷なのに正直俺以上に把握しているカナエ。

すぐに手ぬぐいやら着替えやらを持ってきてくれる。

 

これはもう実質嫁では?カナエは俺の嫁!

 

「はい、体拭いてあげるわよ?」

 

「よろしく」

 

以前の怪我の際にカナエとしのぶに散々体を拭かれているのでもはや羞恥心などなくなってしまった。

カナエも顔色一つ変えずに体を拭いてくれているので、慣れたものなのだろう。

 

「カナヲは、どうするんだ?」

 

しのぶは自分から志願して鬼殺隊へ入隊する予定。

だが、命令がないと動かず、硬貨を投げて是非を決めるカナヲ。

 

「うーん、素質があったら花の呼吸を教えてみるけど、とりあえずは蝶屋敷で一緒にお仕事してもらおうかなって思ってるわ」

 

「じゃあ、カナヲはカナエの継子第一号だな」

 

「まだ柱になってないのに気が早いと思うのだけど」

 

「カナエは柱になれるよ」

 

「そうだといいなぁ。堂々と纏楽くんと一緒に並んで戦えるもの」

 

「今のカナエなら、前みたいにちょっと強いくらいの鬼に遅れなんて取らないよ。杏寿郎や天元とも少しずつ打ち合えるようになってきたじゃん」

 

天元や杏寿郎は割と頻繁に蝶屋敷や俺の屋敷を訪ねてくる。

そのため、カナエの稽古にも二人は付き合ってくれる。

結果、カナエは三人の柱と稽古しているわけで、メキメキと実力をつけている。

 

「纏楽くんの足手まといには、もうなりたくないから」

 

「気にしすぎだよ、気楽にいこうぜ。しのぶには前に言ったけど、世の中余裕のある奴が強いんだ。カナエはいつもの笑顔でいればそれで最強だから」

 

「私の笑顔、最強?」

 

「当然!俺なんかその笑顔にイチコロだったんだぞ」

 

女神カナエの所以はその美貌だけではなく優しく浮かべられた笑顔なのだから。

 

「ふふっ、ありがとう」

 

体を拭いて着替え終わる。

するとカナエは抱きついてきた。

 

「蝶屋敷に戻らないのか?」

 

「今日はここで寝るわ。いいでしょ?」

 

「断る理由がない」

 

 

 

一つの布団でカナエと添い寝をした。

お互いに抱きついていたけれど、子作り的なことはなかった。

 

朝訪ねてきたしのぶは勘違いしたのか顔を真っ赤にしていたけど。

 

 

 




カナヲの扱いに困り、結局いつもの可愛がりパターン。
ヒロインかどうかといわれるとそうでもない。
ただ可愛がってる。なぜなら可愛いから。

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第二回需要調査(どんな話が読みたいの?)

  • 胡蝶姉妹とイチャイチャ
  • その他原作キャラとイチャイチャ
  • 鬼とイチャイチャ(血みどろ)
  • 師匠と弟子といちゃいちゃ
  • さっさと原作突入しろ

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