上には上がいるとはいえすごい事なのでは!?
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上弦の弐から受けた傷もおおよそ回復し、俺とカナエが機能回復訓練というの名の蝶屋敷の女の子との戯れを始めた頃、お館様から招集を受けた。
というか、緊急の柱合会議というやつだろう。
「今日集まってもらったのは理由がいくつかあるんだけどね、まずは紹介をしよう。新しく風柱になった不死川実弥だ」
「……あんたがお館様」
「そいっ!」
何やらお館様に大変失礼なことを言いそうな新人君だったので、石を投げつけてみる。
見事に実弥の後頭部に直撃した。
「なにすんだぁ!!」
「こっちが言いたいよ。何お館様に失礼働こうとしてるんだよ」
もう会議どころではない。
これだから不良君はダメなんだよ。
上弦の弐との闘いの時のような献身的な態度は一体どこに行ったんだよ。
「鬼と戦ってもいねぇ奴が偉そうにしてるのは気に食わねぇだろうが!」
あー、言っちゃったよ。
柱の皆さんは怖いんだからね。
お館様を侮辱するようなこと言ったりしたらみんな怒るぞ。
「……不死川、口の利き方を知らないようだな」
「うむ、新人の教育も我らの仕事だろう!」
ほら、悲鳴嶼さん怒っちゃったじゃん。
杏寿郎もめんどくさいこと言ってる。
カナエもなんか悲しそうな顔してるし、天元もまじかこいつみたいな顔してる。
義勇は完全に我関せずを貫いている。
「お館様、申し訳ありません。この馬鹿の教育は後でしっかりしておきますので」
「大丈夫だよ。みんなは私を立ててくれるけれど本当はその必要なんてないんだから」
お館様はそう言っているけれど柱三人がかりで実弥の頭を地面に押し付ける。
実弥もじたばたと暴れて抵抗しているけれど流石に柱三人を相手にしては手も足も出なかった。
「まずは纏楽、カナエ、実弥ここにはいないけれど塵太郎の四人本当によくやってくれた。長い間討伐の叶わなかった上弦の鬼、上弦の弐を討伐してくれたことは偉業と言える。しっかりと体を休めて欲しい。さて、じゃあ上弦の弐の討伐について話そうか。カナエ、纏楽説明を頼むよ」
「はい」
まずカナエが上弦の弐と遭遇した状況について話を始めた。
いつも通りに巡回していたら、突如話しかけてきたこと。
何やら宗教的なものを行っていたということ。
血鬼術の強大さや、再生力について事細かに話した。
他の柱たちは上弦の弐の圧倒的な再生力やその場一帯を支配する血鬼術に驚いている。
「上弦の壱はあまり血鬼術を使用しなかったため、戦闘向きのものではないと思われるので、現状上弦の弐を超える血鬼術はないかと思われます」
鬼殺隊の生命線である呼吸を封じるような血鬼術がそんなポンポン出てこられても困るのだけれども。
上弦の壱と弐という最強の鬼二体と戦った俺はその力を比較して考察することが可能なわけである。
「なるほど、ありがとう。纏楽、その痣について聞いてもいいかな」
「はっ、この痣はもともと雷に打たれたときにできた火傷で、今回の戦闘でこのように痣として浮き出ました。今は薄くなっていますが戦闘状態になると色濃く浮き出て、身体能力が爆発的に向上します。それに加えて体が異常なほどに熱を持ち始めます」
そう、きっとこの体の熱はこの痣によるものなのだろう。
今は痣が薄くなり、体の熱はだいぶ収まっている。それでも、なお体温は普通ではないのだけれど。
「……なるほど、纏楽体は大丈夫なんだね?」
「はい、戦闘、私生活どちらの面においても現状は支障はありません」
あ、やべ。ここでちょっと体の調子がおかしいんですよねとか言えたら仕事も減ったかもしれないというのにうっかり本当のことを話してしまった。
「纏楽に発現したこの痣は確かに鬼殺に有用なものかもしれないけれど、他の子たちはそれにとらわれてはいけないよ。今回の件は本当に特例中の特例だろうからね」
その後も会議は続いた。
その中でお館様の言葉の節々に強い思いやりの気持ちを感じたのか実弥はお館様に対する視線が軟化したのだった。
しかしながら最初の無礼を柱の皆さんが許すわけもなく、会議終了後にみんなで実弥に説教をした。
いつもイライラしている実弥も流石に黙ってしかられていた。
これで少しでも実弥の態度の悪さがよくなればいいのだけれど……
【纏楽、これは話すかどうか迷ったのだけれど、黙っておくのも悪いと思ったのでこうして手紙を書いた次第だ。纏楽に発現した痣だが、これは始まりの剣士たちにも発現していたものだ。纏楽が実感しているように身体能力の爆発的な向上が恩恵として受けられる。しかし、痣が発現したものは若くして死んでしまうんだ。怪我によるものではない、老衰のように息絶えてしまうようだ。その痣についてはまだ詳しい情報が少ないために迫る死の回避方法などはわからない。私の伝手を使って探してみるよ。上弦の弐を倒した英雄が、これから家族を作る人間が若くして死んでしまうのはとても悲しいから。】
後日お館様から送られてきた手紙の内容は中々に衝撃的なものだった。
だがしかし、深刻なものだとしても俺にはどうしようもないことはわかるし、今のところは痣に殺されるような予兆もない。
ならばいつも通りに過ごすことが一番だろう。
痣が薄くなっているということはそのうちきれいさっぱりなくなっていることだってあるかもしれないから。
例え死んでしまったとしても後悔のないように生きるとしようではないか。
とは言ったものの、仕事が舞い込んでくる以外に今の生活に不満などない。
可愛い恋人が二人いてお金もそこそこため込んでいる。
しかし今の俺には金の使いどころがない。
蝶屋敷の面々に何かを買って帰る時以外にお金を使うときがないのである。
その他、休日は暇を持て余す。
「しのぶぅ」
「今忙しいので後にしていただけますか」
パタパタと蝶屋敷の中をせわしなく動き回るしのぶの後ろをついて回る俺。
完全にただの暇人、金魚の糞である。
カナエはアオイとともに食事を作っているし、カナヲもあまり得意ではないけれどカナエが「女の子なんだから料理はできたほうがいい」などと言って料理班に組み込まれた。
きよすみなほ三人娘も同様に病室やらなんやらを行ったり来たり。
厨房は狭いから出てけとアオイに怒られてしまった。
出ていくときにアオイの頭をぐしぐし撫でておいた。
ほんとにやることがないのでしのぶの後ろをただただついて回っているのだ。
これのいいところはしのぶが俺の女であることを知らない隊士がしのぶに色目を使ったらすぐにぶちのめせることなのだけれど、言葉遣いが丁寧な時のしのぶには全くと言っていいほど死角がないため、色目を使う暇もないのでしのぶ親衛隊をしている意味もない。
俺以外の男からのお誘いはバッサリ切り捨てるし、距離感も一定以上を必ず保つ。
うっかりしのぶを怒らせた隊士は「馬鹿なんですか死にたいんですか」と昔の口調のしのぶにしこたま説教をされる。
「あの、纏楽さん。一般の隊士の方がおびえてしまうので後ろをついて回るのは」
「……わかった」
「ついてきていいです!だからそんな泣きそうな顔しないでください!」
しのぶは俺とカナエの前だと割と簡単に仮面が剥がれるなぁ。
しのぶの仮面は定着して素顔になりつつあるので他の人間の前ではあまり外れない。
「ついてきていいですけど邪魔はしないでくださいね」
「大丈夫、時々抱き着くくらいにしておくよ」
「やっぱどっか行ってもらえますか」
「俺がしのぶを抱っこしながら屋敷内を移動すればしのぶは楽ができて俺は幸せで完璧じゃない?」
「楽でもないし恥ずかしいです!……幸せなのは否定しませんが」
ボソリと呟いたしのぶの言葉を俺は一言一句聞き流す事はなかった。
なんとも言えない幸せな感情が胸中に渦巻く。
気がつくと俺はしのぶに抱きついていた。
「もう、少しだけですからね」
呆れたしのぶは少しの間されるがままだったがやがて俺を引き剥がし、仕事に戻ってしまった。
結局蝶屋敷にいてもやることがなくなってしまったので、鴉を使って杏寿郎と天元を自宅に呼び出した。
「お前が呼び出しだなんて珍しいこともあるもんだな。俺らと絡んでる暇があったらあの姉妹に構ってるもんだと思ってた」
「うむ!困りごとなら力になるぞ!」
カナエとしのぶにはとりあえず伏せておく情報。
男友達の中でも特に仲のいいこの二人には伝えておくことにした。
「俺のこの痣、始まりの剣士達も発現してたみたいなんだが、発現すると長くは生きられないらしいんだ」
「それは本当か?」
「お館様から手紙で教えてもらったから、信憑性は高いと思う。それで杏寿郎には家の書庫とかで痣に関する文献を調べて欲しいんだ」
「わかった!纏楽の生死が関わってるとなれば最優先で当たらせてもらう!」
「オイオイ、それはいいが俺らより先に言っとくべき奴らがいるんじゃねぇの?」
「カナエとしのぶには黙っておく。俺の育手のじいさんにも。今のところ打ち明けるのは産屋敷家の人とお前らだけだ」
カナエやしのぶにこのことが知れ渡ると俺を救う方法を死に物狂いで探してくれるだろう。
それこそ鬼殺の仕事を捨ててまで。
そして、俺との時間を出来る限り捻出してくれるとも思う。
だからこそ、言えない。
「杏寿郎はその辺うまくやってくれそうだから。天元はなんかこう、忍の伝手を使って調べて欲しいんだ」
「そんなに期待するなよ」
今はこれでいい。
始まりの剣士達が痣を発現させていたと言う事は、俺以外にも発現する人間が出て来ると思う。
その時にカナエとしのぶには打ち明けようと思う。
「それに、無惨を倒せば消えるかもしれないしな」
体の調子はすこぶるいい。
本当に体に異変を感じた時、痣を消す方法が見当たらないのなら余生としてカナエとしのぶの二人となんの仕事もせずに残りを生きたい。
「それはいいが…なぁ、煉獄」
「うむ、あの姉妹が気がつかない訳がないと思うぞ!」
「まぁ、バレたらその時考えるよ」
「絶対ド派手に怒られるぞ」
「間違いなく怒髪天を衝くだろう」
確かに。
しのぶは勿論烈火の如く怒り倒すだろうし、普段から優しさに溢れているカナエだって怒ってしまうかもしれない。
カナエを怒らせるとどうなるかは想像もできないけど、怖そうな事だけは分かる。
「相談なんだが…」
痣の件とは別の相談事ができてしまったではないか。
「秘密を隠し通す方法、もしくはバレても怒られない方法を教えてほしい」
そんなもん知るかと二人に一蹴されてしまった。
今回は繋ぎの回なので文字数ボリューム共に控えめです。
実弥は柱になってもゴミは一生柱にはなりません。なぜならモブだから。アイツの活躍シーンなんてもう一度あったら奇跡ですよ。
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