じいちゃんにもう一人弟子がいたら(一発ネタ)   作:白乃兎

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奇跡の3日連続投稿。
申し訳ないが、少しリアルの方が忙しくなるので連続投稿はここまで。

縁壱さんに比べたらチートじゃないから大丈夫と感想欄でいろんなお方に言われたので主人公は自重しません。


不安で意外と楽ができない

ということでやってきました最終選別in藤襲山。

なんだこの山。麓から見たらやばい見た目してたよ。

例え鬼じゃなかったとしてもビビるわ。

しかも七日間も生き延びなきゃいけないのか。

 

鬼殺隊志願者が結構いてびっくりした。多分二十人くらいいたのではないだろうか。

みんな地味ーな恰好してて俺の黄色い羽織が明らかに浮いていたんですけど。

俺の羽織と女の子のなんか蝶みたいな羽織だけめっちゃ浮いてて二人で顔を見合わせて苦笑いしたわ。

 

女の子も鬼殺隊に入ったりするんだな。

人にそこまでさせる鬼とはなんと罪深いことか。

俺は親を殺されたものの憎悪ギラギラとかにはならなかったけどほかの人達からしたら鬼憎しで鬼殺を志したんだろうなぁ。

そう考えると俺は薄情なんだろうなぁ。ごめんね父ちゃん母ちゃん。

 

「ほい、霹靂一閃」

 

山中を駆け回りながら鬼の頸を斬って回る。

正直この山の中で七日間もひやひやなんて心臓に悪くてやってられない。

俺は楽をしたい!ならどうするか。山の中の鬼をみんなやっちゃえばいいじゃない!

 

帰った時に怪我していたら間違いなく爺さんにぼこぼこにされる。

「儂の後継者がそんなところで怪我するなんて何事か!」って絶対拳骨をお見舞いしてくるに決まっているので油断だけは絶対に許されないのだ。

 

もはや鬼より爺さんの方を恐れている俺は一体どうしてしまったというのか。

 

「ふざけるな、ふざけっ」

 

「霹靂一閃」

 

俺が鬼を追い詰めているので鬼はもうそれはひどい顔でひどい悲鳴を上げている。煩いので頸を早々に切り落としてしまった。

これではどちらが鬼かわからないではないか。

 

「た、助かったよ」

 

「おん?」

 

何やら今斬った鬼に襲われていた人がいたようだ。

別に助けた覚えなんてないんだからっ!

命が救われるのはいいことだからいいんだけどね。

 

「こっから東に向かえば水場に出られると思うから頑張れよ」

 

「あ、ありがとう」

 

本当なら俺もそっちに拠点を置いて安定志向で行きたいけれど、そんなことをしていたら柱なんてなれないだろうし、爺さんの後継者だなんて言えたものではくなってしまう。

だから俺は、できる限り楽をしたいという思考のもとこの山の鬼を皆殺しにしていこうと思う。

いい機会なのでできれば人助けもしていこう。

 

雷の呼吸の速さならきっと人助けもしやすいだろう。

……あわよくば助けた人達からお礼とかしてもらえたらいいな。

 

爺さんにばれたらそんな邪な考えで行動するな!なんて怒られてしまうだろう。

でもいいじゃないか!邪な考えでも!俺はそんな聖人みたいな頭の作りしてないんだもの!

お礼ほしいじゃん!感謝されて気分良くなりたいじゃん!

 

「ほい、遠雷」

 

この肆ノ型遠雷も爺さんが使うと斬撃が飛ぶからなぁ。

あの最後の手合わせの時はまじでやられたと思ったよ……

なんだよ斬撃が飛ぶって。意味不明なんだよ。

 

そうだ。ちょうど斬ってもいい実験台がたくさんいることだし真剣を使って技に磨きをかけようじゃないか。

木刀とは違って空気抵抗が少ない分、刀の速さが違うしより爺さんみたいに技を使えるかもしれない。

 

「雷の呼吸 弐ノ型稲魂っっ!」

 

目指せ五回同時斬り。

悪いな鬼。俺の実験台になってもらおう。

 

 

 

 

何やらこの山の様子がおかしい。

私はこの山について何かを知っているわけではないけれど、明らかに様子がおかしい。

 

「鬼が見当たらない?」

 

異様にこの山が静かなのだ。

戦闘の音もしないどころか人も鬼も見当たらない。

最初の方に鬼を数体斬ったけれどそれっきり鬼と遭遇しない。

 

「他の人達もいないのはどういうことなのかしら」

 

「ほんとになぁ」

 

っ!?反射的に声のしたほうから離れる。

 

大きく異形の体。肌の色は暗い緑色。

無数の手が頸を隠すように巻き付いている。

なんともおぞましい姿をした鬼がそこにはいた。

 

明らかに人を食べた数が二人、三人じゃすまない。

この鬼とは仲良くできない。そう瞬時に判断すると呼吸を整える。

 

——花の呼吸 肆ノ型紅花衣

 

私が斬りかかると同時に鬼からその頸に巻き付いている手の数本が私に向けて射出される。

紅花衣による横薙ぎでその腕を斬りはらうが、向かってくる腕の数はどんどん増えてくる。

 

——花の呼吸 弐ノ型御影梅

 

くっ、この鬼の再生速度は私が手を斬る速度を超えてる。

このままこの状況を続けていたら私の体力が切れてしまう。

この状況を打開するには、もう頸を斬りに行くしかない。

 

「お前、やるなぁ。さっき男の剣士を食ったが大したことなかったぞ。情けないと思わないかぁ?」

 

落ち着け

 

「それに比べてお前は女なのに速く剣が鋭い。女は肉が柔らかいからなぁ今から楽しみだ。毎回十人くらいは食ってるのに今年は数が少ないから腹が減ってしかたないんだ」

 

落ち着け、呼吸を乱すな。ここで取り乱せばこの鬼の思うつぼだ

 

「目をつけてる仮面をつけた鱗滝の弟子も来ないしなぁ、今回も狩りを楽しみにしてたのに残念だ」

 

全集中・花の呼吸——

 

私が踏み込むとそれを待っていたかのように無数の手が私に向かってくる。

でもこの鬼の手はそこまで硬くないしそこまで早くもない。なら―――

 

陸ノ型渦桃

 

鬼の頸を斬るために跳躍、空中で体をひねりながら鬼の手を斬る。

鬼の手は――まだ再生していない。いけるっ!これ以上この鬼の被害者を出すわけにはいかない。

ここでこの鬼を斬るっ!

 

——伍ノ型

 

「ぐっ」

 

脇腹に衝撃が走る。

死角から腕を伸ばした!?あの腕は自由に曲げられるの?

 

私の体が地面をバウンドし、山の斜面を滑る。

気を抜くな、刀を離すな。しのぶと絶対帰るって約束したじゃない!

 

体を起こせ、痛みなんて今は耐えろ。呼吸を整えて迎撃をっ!

 

「強いけど、甘いなぁ」

 

足をつかまれた、まずい、速く斬り飛ばさなきゃ。

 

「それ、飛んでけ」

 

「ぐううぅ」

 

痛い。殴られた脇腹も、投げられて打ち付けた背中も痛い。

でも、まだ勝ち目はある。足をつかんだのに拘束せずに投げ飛ばしたのは私のことを舐めているから。

私で遊んでいるから。なら、付け入る隙は必ず―――

 

「遊びも終わりかな」

 

先ほどまでとは比にならない手が私に向かって伸びてくる。

視界を埋め尽くすほどの手、手、手。

 

血の気が引く。これはまずい。

 

弐ノ型——

 

少しでも手の数を減らして何とか逃げ「残念だったなぁ」背後から伸びてきた腕が私の腕を掴んだ。

やられた!正面は囮、本命は死角から背後に回り込んだ数本の腕。

この鬼、ずるがしこい。

 

これでは刀を振るうことができない。

私の体が持ちあげられ足は地面を離れ使うことも適わない。

まずいまずいまずい。

 

「腕を引きちぎって、少しずつ食べよう、そうしよう」

 

クスクスと鬼が笑う。

今はこんなにおぞましい笑顔でも、昔は人間だったはずなのにどうしてこうなってしまったのだろう。

こんな時でもそんなことを考えてしまう私は鬼殺隊にふさわしくない人間なのだろう。

姉さんは甘い!って怒られちゃうんだろうな。

 

ごめんねしのぶ。姉さん、だめだったよ。

 

 

 

遠くで、雷が轟く音がした。

次の瞬間には黄色の稲妻が迸り、私の腕を掴む鬼の手は斬り払われた。

 

「俺と同じの派手目の羽織女子、大丈夫か?」

 

なんか変な覚えられ方してる!?

この男の子は開始地点の時に目があった男の子。

黄色い羽織が目立っているなぁと思っていたら目が合って会釈だけしたのは記憶に新しい。

 

「なんかお前は今までの鬼と違うな」

 

すごい、鬼と向かい合ってこんなに冷静に振る舞えるなんて。

それにこの人、服が全く汚れてない。まだ初日とはいえ鬼とは遭遇したはず。

なのに、傷がないどころか服の乱れすらない。

 

「餌が増えたなぁ。二人も食えば少しは腹も膨れるか」

 

鬼が先ほどのように視界を埋め尽くすほどの手を彼に差し向ける。

腕の中には不規則に曲がるものもあって対処が難しいのは明らか。

私はすぐ立ち上がって刀を構え「大丈夫。じっとしてて」

 

ああ、大丈夫なんだなって不思議と安心した。

この男の子は私よりも年下なんだろうけど、その声音にはこの状況で私を安心させる何かがあった。

 

シィィィィィィ

 

彼の口から漏れ出る呼吸音。

 

「雷の呼吸 陸ノ型」

 

——電轟雷轟

 

彼を中心に無数の電撃が迸る。

私たちの視界を覆うほどの無数の腕はすべて斬り払われていた。

 

「全部、斬ったの?」

 

「あの爺さんの刀と違って視認できる速さ。だったら斬れる」

 

「ふざけるなぁぁぁぁ………………ぁ?」

 

私たちの目の前から、男の子が消えた?

あんなに目立つ羽織を着ていたのに、今はどこにも

 

「はい、霹靂一閃」

 

男の子の声が鬼の背後から聞こえた。

それと同時に、ゴトリと鬼の頸が落ちた。

 

「え?」

 

私は目を疑った。何が起こったかもわからなかった。

速すぎて見えなかった?

そんなことがありえるの?

 

「くそっくそっくそぉ」

 

鬼がその体を灰にしながら現実を認められないと嘆いている。

頸を斬ってなお動くことができるということはよっぽど強い何かがこの鬼の心の内にあるのだろう。

憐れみの目を向ける私に、鬼は手を伸ばしてくる。

でもその手には殺意や害意なんて少しも感じられない。ただ寂しさから、手を握ってほしい幼子のようで。

 

「大丈夫」

 

警戒してか鬼に刀を向ける彼にそう告げ、鬼の手を握った。

握った鬼の手は人と変わらない暖かさを持っていた。

 

「来世では、こんなことがありませんように」

 

消える寸前、鬼の目からは涙がこぼれていた。

きっとこの鬼も、いろんなものを抱えていたのだろうと思うと心が痛んだ。

 

 

 

 

なにこの子。消えゆく鬼の手を握ってあげるとか女神だったりするのだろうか。

この子の優しさの少しでも爺さんにあればどれだけ昔の俺が救われることか。

しかもめっちゃきれいじゃん、開始地点の時は気にしてなかったけど。

 

「助けてくれてありがとう。私は胡蝶カナエ、今の音を聞きつけて鬼が近づいてくるかもしれないからとりあえず離れましょう」

 

「俺は一ノ瀬纏楽、よろしく。そんな急いで離れなくていいと思うぞ。この山の鬼はほとんど狩りつくしたと思うから」

 

「へ?」

 

カナエは目を丸くした。

うん、まぁそういう反応になるよね。

この最終選別七日間行われるのに初日に鬼全部狩りつくすなんて馬鹿なことする男でごめんなさい。

これ怒られるかな?怒られちゃうよね。これじゃ試験にならないだろ!って鬼殺隊のお偉いさんに怒られちゃう。

でも仕方ないんだ。どんどん上がっていく技のキレにテンション上がっちゃったんだもの。

 

「で、でもあれだよ?数体くらいは残ってると思うから気を付けるに越したことはないよね、うん」

 

これで怒られて昇進遅くなったりしないよね?

でしゃばりすぎたら上司に目を付けられるとか嫌だよぉ。

 

「うふふふ、こんなに強いのに何をそんなに焦っているの?」

 

俺が一人でわたわたしているのを見て笑うカナエ。

カナエが女神のような笑顔を浮かべているが正直内心焦りまくりでそれどころではない。

 

「……鬼を斬りすぎてしまいました。反省しています。いっぱい人を助けてしまいました」

 

カナエは再びきょとんとした顔をして、またくすくすと笑みを浮かべた。

 

「おかしなことを言うのね。鬼を斬って人を助けるのが鬼殺隊の役目なのにそれでどうして謝るの?むしろ誇るべきじゃない!」

 

女神や。女神様や。

だよね、そうだよね!

鬼殺隊なんだから鬼を斬って怒られるなんてことないよな!

 

「そういえば、怪我は大丈夫か?脇腹かばってるだろ。これを持ってれば、雑魚鬼には狙われないと思うからもってて」

 

行きの山で切り落として懐に入れておいた藤の花をカナエに持たせる。

助けた男連中には渡さなかったがカナエは優しさ溢れる女神だから特別扱い。

誰がなんと言おうと間違いなく男女差別である。だって可愛い子には生きててほしいから。

 

「じゃあ、俺はもう行くな。生きて会おう!」

 

 

 

あとで思い返せば、誰かと一緒に行動すればより安全だし寂しくないし、食料の調達とかできたのになぁと後悔した。

 

 

 

 

 

……七日間生き延びました。

初日以降は鬼に遭遇しませんでした。はい、私が狩り尽くしたせいですね。

当初の目論見通り初日以降はめっちゃ楽だったよ!

やったね!

 

開始地点に戻ると、そこには十数人は生存者が集まっていた。

その中には俺が助けた人たちや女神の姿も見えて少し安心した。

 

しかし、爺さんの話によると毎回生存者は一桁らしいので、今回は明らかに多いのだろう。そりゃそうだよね!だってもう山の中に鬼いないんだもんね!

 

「纏楽くん、無事でよかったわ。あの時は本当にありがとう」

 

「気にしないでくれ。カナエも元気そうで何よりだよ」

 

笑顔で話しかけてくれるカナエ。ちゃんとお礼を言える子じゃん。

礼儀正しくて優しくて美しいとか完璧じゃん。

……この子マジで女神では?

 

「おかえりなさいませ、ご無事でなによりです」

 

あ、お偉いさんだ。

 

 

 

結果的に言えば鬼を狩り尽くした事は言及されなかった。

玉鋼を選び、鴉を手に入れその場は御開きとなった。

 

全部終わった後にカナエ以外の助けた人たちに囲まれてめっちゃお礼言われた。悪い気はしなかった。

 

あと、帰り際にカナエに「またね」って言われた。

女の子っていいね。出身の村に同年代の女の子はいなかったし、爺さんの下にいるときはそんなことがあるわけもない。

 

正直惚れるかと思った。

いや、ぶっちゃけ惚れたんだけども。

 

また会えるといいな。

 

 

 

 

 




鬼滅って時系列わかんないんだけど。
義勇、鯖兎たちはカナエの後でいいのかな。
それなら鯖兎、真菰生存ルート突入なんだが。
原作は義勇21歳しのぶ18歳。カナエってしのぶの何歳年上なんだろうか。

2話、少し訂正を入れました。

感想評価いただければモチベーションアップに繋がるので是非ともお願いします。

第二回需要調査(どんな話が読みたいの?)

  • 胡蝶姉妹とイチャイチャ
  • その他原作キャラとイチャイチャ
  • 鬼とイチャイチャ(血みどろ)
  • 師匠と弟子といちゃいちゃ
  • さっさと原作突入しろ
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