仕方ないじゃん。日間一位なんてとったらテンション上がって書いちゃうじゃん!
読者のみんなありがとう!
杏寿郎と下弦の陸を討伐してから約一週間。
またもや数体の鬼を斬った。
幸いなことに下弦の陸ほど厄介な血鬼術を持つ鬼との戦闘はなかったので、身体的には無事である。
精神的には死にそうだがな!
鬼多すぎん?どれだけ鬼を作り出してるのさ。
斬っても斬ってもすぐさま次の仕事が舞い込んでくる。鬼舞辻は暇なの?そんなポンポン鬼生み出して何したいの?
国取りでも目論んでるの?
「俺に楽をさせてよぉ」
今回の仕事はさらに面倒な事になりそうで、さらに俺の心を痛めつける。
珍しく俺は茶屋でお茶を啜りながら人を待っている。
今回は杏寿郎のような協力者がいるだけで普段よりはだいぶ心が楽だけど。
鴉が産屋敷様(お館様)から直々に文を頂いたのは数日前。鬼殺隊の頂点から文が来た事で俺は恐れおののいた。
文の内容を要約すると、鬼殺隊の診療所、治療所を開設したいので、その治療所の代表予定者と共に薬や医療器具の買い揃え。
治療所予定地周りの鬼の排除を任される事になった。
「というか、今まで治療所とかなかったのかよ…」
こんなに怪我と密接な関係を築いている仕事はないというのに。
俺は頭悪いから治療道具とか分かんないから結局鬼殺メインなんだろうなぁ。
設立される治療所で俺の精神も癒してくれないかなぁ。
「治療所の代表に選ばれるとかどんな人なんだろうな」
「だーれだ」
急に視界が暗くなると同時に聞こえた女性の声。
俺に女性の知り合いはいないが、この声には聞き覚えがあった。
会ったのは一度だけだしそれもだいぶ前なのだが、それでも俺はこの声の主を知っている。
「カナエ、か?」
「せいかーい。纏楽くん、今回はよろしくね?」
視界が明るくなると背後にいたカナエは隣に座って悪戯が成功した子供のような笑顔を浮かべていた。可愛い。
ドン底だったモチベーションがうなぎ登り。
お館様に感謝します。一生ついていきます。
「カナエが治療所の代表なのか?」
「うん。傷ついた人を助けたいなってお館様に言ったら、屋敷を用意してくれてね」
お館様気前良すぎかよ。
そしてカナエは女神かな?
「俺、何したらいいのかわからないんだけど」
「医療器具の方は問題ないんだけど、薬の方が大量には仕入れられなくてね。色んな所から掻き集めたいの」
いいかしら?と上からの命令だから逆らえない俺にわざわざ確認を取ってくる。
きっと俺が断ればカナエは一人で行くのだろう。なぜなら良い子だから。
「まぁ、役に立たないと思うが好きに使ってくれ」
知識なんてさっぱりないのでカナエの言うこと聞いて言う通りに動けば良いのだろう。
あと、鬼が出たら斬るのが仕事かね。
「うん!よろしくね」
東京、浅草。
薬師を探すなら街だろうとここまで来たが俺は開いた口が塞がらない。
どこを見ても人人人人人。建物はそこかしこに並び、食事処や着物屋なども至る所にある。
「こ、これが都会!すごいな」
「あらあら、子供みたいにはしゃいじゃって」
元々田舎にいた俺はこんな数の人や建物を見たことがない。
とても賑やかな街が本当に存在したのかと感動で胸が一杯である。
「じゃあ、はぐれないようにね」
「大丈夫!」
「あらあら、本当に大丈夫かしら」
都会に目を輝かせていたらカナエに子供扱いされた件について。
確かに都会は初めてだが、逸れるほど子供でもない!
……と、思っていたけど。
「かっ、カナエ!待って、助けて!」
田舎者な俺は人の流れに流されてカナエの後ろをついて行くことすら出来なかった。
すれ違う人と肩をぶつけてしまい前に進めない。スルスルと間を抜けていくカナエの背中はどんどん離れていってしまう事だろう。
はじめての都会で洗礼を受けて既に涙目な俺。
鎹鴉にカナエの位置を教えて貰えばいいかと半ば諦めた時、俺の手が優しく引かれる。
「ほら、言った通りじゃない」
「か、カナエぇぇぇ」
カナエの優しさに涙が溢れそう。
「しっかり繋いでてね?」
「絶対離さない!」
浅草で外を出歩くときはカナエの手を離さないと密かに心に決める。
あと、カナエの手、細いのに柔らかくてびっくりした。
「ふふっ、やっぱり子供みたいね」
「東京舐めてた。人多い。怖い」
「最終選別の時はあんなに強くてカッコよかったのに。まるで別人みたい」
「ずっと気を張ってたら疲れるだろ。俺は楽したいんだ」
「とても十二鬼月を倒した人とは思えないわね」
一見皮肉のように聞こえる言葉だが、それがそう聞こえないのはカナエの雰囲気と人となりのなせる技なのだろう。
「それ、噂になってるの?」
「同期が十二鬼月を倒したんですもの、噂にもなるわよ。纏楽くんが同期で一番昇進が早くて柱に近いって隠の人たちが言ってたわ」
「カナエだってお館様に直接治療所の設置を進言できるんだから、そのうち柱にもなれるさ」
俺の階級はこの前の下弦陸の討伐で階級がさらに上がって甲になった。
十二鬼月を倒したとはいえ杏寿郎と二人で倒したのだから柱就任の条件に換算されないとして、鬼の討伐数はもうすぐ五十に届きそうなので柱就任も近いかもしれない。
一方でカナエもそれなりの数を斬っているようで階級を上げているようだ。
治療所の開設の進言、実行といい柱就任ほどの実績とは言わないものの同期の中では功績を挙げているほうだと思う。
いつか俺とカナエが柱として並び立つ日が来てもいいかもしれないな。
「ふふっ、こうして手をつないでないとはぐれちゃう纏楽くんが私より階級が高いなんて思えないなぁ」
「カナエは俺の命令には従わないといけないんだぞ」
「あらあらまぁまぁ。私、どんなひどい命令されちゃうのかしら」
「とりあえず手は離さないでね」
「はーい、分かりました上官様」
くすくすと互いに笑いながら浅草の街にいる薬師の下を訪ねて回った。
時刻は夜、昼とは違って人通りは少なくなったが、田舎とは違い人通りも灯りもついている。
田舎の夜は真っ暗で人っ子一人いないのでこれにも驚いた。
そしてカナエは母性本能が働いているのか未だに俺と手をつないだままだった。
昼には恋人同士かといわれたりして二人で顔を赤くしたがもう慣れたもので自然に手をつないでいる。
「……カナエ」
「どうしたの?」
「だまって俺に合わせて自然に歩いてくれ」
カナエは状況がわかっていないようで疑問符を浮かべていたが、今はそれどころではない。
違和感を感じたのだ。
人通りが多いわけではないが、まだ深夜ではなく夕食を楽しむためだったりで人はそれでも多い。
だから気づいた違和感。
人ごみの中にぽっかり空いた空間。なぜか常に人通りの中に穴が不自然に開いている。
姿を隠す血鬼術なのだろうか。
しかし一度気が付いてしまえば追跡も難しくない。
そして人通りのないところに来たところで刀袋に入れた日輪刀を取り出し抜いた。
名残惜しいがカナエとつないでいる手を離す。
「姿を現せ」
「ど、どうしたの?」
今周りに人はいない。
鬼も俺が気づいていることに気づいただろう。
このまま姿を現さないのなら、そう意味を込めて腰を落とす。
シィィィィ
「少し、話を聞いていただけないでしょうか」
今まで何もいなかった空間から突如女の人が姿を現した。
カナエは驚きの表情を露わにしている。かくいう俺もこんな美人が鬼の正体で驚いている。
「内容によるが、変なそぶりを見せれば斬る」
「はい、それで構いません」
女性は両手を挙げて会話を続ける。
この女性に敵意や害意というものは感じられない。
だからと言って油断はしてはいけないが、速殺するほどの事態ではない。
「私は、鬼ではありますが人を食べる必要はありません。むしろ
「……纏楽くん。この人は嘘を言ってないと思う」
「どういうわけか呪いも発動しないし、信用して良いかもな」
鬼は鬼舞辻の名を口にはできない。しかしこの女性は名前を口にした。
それだけである程度信用するための根拠になる。
「私の名は珠世。一度、私の拠点に来ませんか?」
通常では認知できないように隠された屋敷。
その中は薬品の香りがした。
この珠世という女性は医者もやっているとのことだったが本当らしい。
「珠世様!鬼狩りを連れてくるとはどういう事ですか!」
屋敷にはもう一人鬼がいた。
珠世さんの話ではこの少年も同様に人を食べない鬼らしい。
「愈史郎、この方達は鬼を問答無用で斬らない。だから協力してもらいたいと思います」
「こんなガキと醜女に何ができるというのですか!」
は?
まぁ、俺はガキだし鬼に比べたら年齢差はとんでもないことになるから分かる。だが―――
シィィィィ
「雷の呼吸——」
「纏楽くん!?喧嘩はだめ!」
カナエが俺を羽交い締めにしてくるが、俺にはやらなければならないことがある。
「離せカナエ!こいつにカナエが如何に美しいか刀で分からせてやるんだ!」
「えぇっ!?」
「愈史郎!なんて事を言うのですか!謝りなさい!」
「珠世様、事実を述べただけです」
「ふざけんな!カナエは醜女じゃない!こんな美人そうそういないぞ!」
「纏楽くん!いいから、私は気にしてないから!」
話がしたいはずなのに、全く進まないどころか揉め事勃発。
その結果……
話が進まないので、俺と愈史郎は部屋の外につまみ出された。
ついでに俺はカナエに刀を取られた。
「お前のせいだ」
「お前が喧嘩売ってきたからだろ」
「珠世様より美しい人など存在しない」
「いやまぁ珠世さんも綺麗だけど」
「珠世様に色目を向けるな!珠世様が穢れる!」
コイツ……うぜぇ。話が通じない。
コイツだけつまみ出せば良かっただろうに。
「いや、向けてない。お前、珠世さんの事好きなのか?」
俺が何気なくそう言うと、愈史郎は顔をリンゴのように真っ赤に顔を染めて俯いた。
……ははーん。
「分かる。分かるぞぅ!あの人綺麗だもんな。余計な虫を寄らせたくないもんな!鬼殺隊を協力者にして危険を増やしたくないもんな!」
全部珠世さんの身を案じての発言だと言うのならコイツは可愛い奴ではないか。
カナエを醜女扱いしたことは許さないが。
「お前、珠世さんに男として見てもらえてないだろ」
ぴくっと愈史郎の体が揺れる。
図星であるようだ。
「手のかかる息子とか弟としてしかみてもらえないだろ」
「うるさい、珠世様は既婚者だ。夫は亡くなったとはいえな。俺は珠世様とどうにかなりたいわけじゃない」
な、なんて健気な奴。
未亡人であっても本人の気持ちを汲んでそう言う話を珠世さんにしないのか。
カナエを醜女呼ばわりした事は死んでも許せないがいい奴じゃないか!
「まぁ、恋愛事情は知らんが、珠世さんの事と愈史郎の事は黙っとくから心配すんな」
「当たり前だ。あと、呼び捨てにするな、馴れ馴れしい」
なんとなく愈史郎の事がわかってきた。
口悪いし珠世さん至上主義な変な奴だが、悪いやつではない。
珠世さん以外には冷たい嫌なやつではあるがな!
あの後、珠世さんからは十二鬼月の血を回収してきて欲しいという依頼をされた。
愈史郎は終始俺に噛み付いていたが、あいつはそういうものだと割り切れば気にならなくなった。
「纏楽くん、ありがとう」
「へ、何が?」
「私、鬼と仲良くなるのが夢だったの。だから、ありがとう。今日みたいな機会をくれて」
「ど、どういたしまして?」
正直、機会をくれてとは言うものの、完全なる偶然なので感謝の言葉を受け取りづらい。
「ふふっ、普通はそんなおかしな夢やめなさいって叱るところよ?」
「いや、別に変じゃないだろ。鬼だって元は人なんだから。可愛そうだとは思うけど、人を喰らう鬼なら仕方なく斬る。人を喰わないなら斬る必要ないんだし仲良くもなれるさ」
なんなら鬼みんなと友達になれば俺に仕事が回ってくることもない。これぞ楽である。
「……纏楽くん、ありがとう」
「もういいってば」
「今のは私を美人って言ってくれた事への感謝よ?」
「……」
珠世さんのことを好きなのかを聞かれた時の愈史郎のように俺は顔を赤く染めた。
カナエは俺の手を引きながらニコニコと笑顔を浮かべていた。
平和!鬼滅の刃世界には珍しい平和!
皆さん本当に感想評価たくさん下さってありがとうございます。
土日が一番忙しいので投稿は期待しないでください。
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