ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「さみぃ!」
深月「冷え込んできましたね」
布団「執筆速度が落ちそう。ってか、確実に落ちてる」
深月「頑張って書いて下さいね?」
布団「今年一杯までにオルクス迷宮攻略(執筆)したいなー」
深月「ゲーム等は程々にして下さいね?」
布団「・・・はい」
深月「読者様も待って下さっているので始めましょう」
布団「刮目s―――――――」
深月「作者は放置して始めましょう。読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」







メイドは死力を尽くします

~深月side~

 

時間は少し巻き戻り――――――

 

「きっ―――――――――貴様あああああああああああ!!」

 

皐月の衣服の一部の残骸を見て激怒。そして殺意を孕ませた目を持って爪熊へと一直線に駆け出した

 

「グゥウ!?」

 

死角からいきなり躍り出た深月は懐近くまで一気に近付き刀を一閃。しかしここまでの道中で沢山の魔物を切り続けてきた為に切れ味は落ち、表面を薄く切る程度で精一杯だった

 

「ちぃ!硬い!!」

 

振り下ろされる爪熊の一撃を紙一重で回避しようとしたが言いしれぬ悪寒を感じ横っ飛びに回避、すると先程まで立っていた地面に切り傷が付けられていた

 

「斬撃を飛ばす固有能力ですか・・・なら直線上に入らなければ良いだけの事です!」

 

縦に振り下ろされる腕には横飛びで回避、横に振り出される腕は攻撃の出だしの所で腕を斜めに切り流し、そしてその切り返しで爪熊を傷付ける。だが無情にも幾度にも渡り酷使してきた刀は遂に根元から折れてしまったのだ

爪熊は厄介な刃が無くなった事で揚々と攻撃に転じるが、深月は手に持っていた柄を爪熊の口へとピンポイントで投擲、運良く中に入ったそれは隙を生じさせるには十分だった。怯んでいる内に距離を取り太股部分に張り付ける様に装着していた夫婦剣を構えて一呼吸入れる。爪熊も口の中から柄を吐き出し終え、更なる怒りを含んだ目で深月を睨付けている

普通の人間であればこの睨みだけで足が竦んで動けないのだが、数多なる地獄のサバイバル(生死問わず)を生き抜いてきた深月にとっては動物も魔物も変わりない。魔物はちょっと特殊能力を持った動物程度に思っている位

 

「せいっ!はぁっ!」

 

「グゥウウウ!」

 

先程までとは違い切って流す事は出来無いが、超接近戦にて振るわれる二刀の刃は踊る様に舞ながら爪熊の体を傷付けて行く。ボロボロとなった刀とは違い新品同然の夫婦剣の切れ味は良いのだが、切断には至らない

そして何よりも深月とて人間・・・あの日からずっと何も食べておらず、水だけ飲む生活だった。だが階層全てを探索して下層へと潜る行為は、想像以上の体力と精神力を削っており、不調が何時襲い掛かってくるかも分からない為にずっと張り詰める様な警戒をしていたのだ。何時決壊しても不思議では無いそれは最悪のタイミングで襲い掛かる

 

「ッ――――――!ゴボッゴホッ!」

 

耐え難い痛み、胃から沸き上がる熱を持った其れは大量の血

吐血により一瞬の間だけ視界を一瞬寸断させる。タイミングは最悪、回復した視線の先には振り下ろされて行く腕

 

「クッ!?―――――――――――――――いっづあ"あ"あ"あ"あああああ!!」

 

振り下ろされた腕を回避したまでは良かった。だが回避に手一杯になった深月は爪熊の突き出される腕が腹部に直撃、爪に貫かれる形で被弾したのだ。そのまま地面へと押さえつける様にされた状態は正に絶体絶命、顔に食らいつかんと前目に迫る頭部。だが未だ手に持っていた片方の剣を爪熊の片目へ突き刺す

 

「グゥアアアアアア!?」

 

切り潰された激痛により深月の上から離れ目を押さえている。深月も引き抜かれた爪から血が大量に出ているが、その痛みを堪え肉薄、もう一方の目に向かってもう片方の剣を"下から抉る"様に刺し貫く。体の構造的に其れは脳へ一直線の攻撃なのだが、目を刺し貫くが骨を貫通するには至らなかった。横へと振るわれた腕に当たり壁際へと弾き飛ばされた深月

 

「・・・申し訳御座いませんお嬢様」

 

擦れる様に呟いた一言、薄れ行く目で見た光景は頭部が粉砕された熊の最後だった。そして其処で完全に意識を失った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~皐月side~

 

ヤバイ・・・私のメイドが強すぎる件について

 

皐月がハジメをチラッと見るとそちらも驚愕している様子で呆然としていた。自身が見ただけで恐慌状態に陥った爪熊と相対して攻め込んでいるという光景だったからだ

ハンドサインと言うよりもジェスチャーに近いだろう。皐月とハジメはテンパった感じでワタワタと表現していた。ハジメの心の内と皐月の心の内は殆ど同じ感じで

 

(おいおい嘘だろ・・・神楽の奴?あんな近距離で攻撃を回避したり切り流したりしてんのかよ!俺が初めて出会った時は恐怖で怯えて動けなかった位ヤバイ奴だぞ!?)

 

(深月が凄いって分かってはいたけどまさか此処までとは思っていなかったわ。あの爪熊に接近戦で挑むなんて怖くないの!?)

 

二人で作った刀で切り結んでいた深月に驚愕していた二人、互いに見合いどうするかをハンドサインで決めようとした瞬間だった。キィンッというかん高い音が聞こえ深月の方へと目を向けると手に持っていた刀が根元から折れた音で、援護をしようと思ったのだが深月はその隙も与える事無く柄を爪熊の口の中へと投げ込んだのだ

 

(嘘やん・・・)

 

(曲芸か何かですか?)

 

あの攻防の中の一瞬でその様な判断をし行動した光景に更に驚く二人、そして再び見合い

 

(幾らあいつでもこれ程までの芸当は出来無いと思わないか?)

 

(正直そう思うわ。私の深月がいくら優秀だからと言ってこれ程出来るなんて思いもしなかったわ)

 

(俺が思うに迷宮の幻影を作り出す、もしくは象った敵だとしたらどう思う?)

 

(可能性としては有り。だけど・・・)

 

(どうした?)

 

(あれは深月本人だと私の勘が囁いているのよ)

 

(だがもうちょっと様子を――――――)

 

「いっづあ"あ"あ"あ"あああああ!!」

 

絶叫が聞こえ目を向けると腹部を爪で貫かれ押し倒された深月の状態だった

 

(ヤッベェ!)

 

(ッ!)

 

ドンナーを構えようとするもそれよりも先に届かんとする牙だが、深月の片手剣は目を突き刺す事でその危機を脱したのだ

 

(ハジメごめんね・・・)

 

(皐月のお願いじゃ仕方がねえか。俺が撃つから神水持って行けよ)

 

壁際へと飛ばされた深月、ハジメは両目を潰された爪熊の頭部に向け発砲、頭部を粉砕させたのを確認して皐月は走って行き気絶した状態ではあるがなんとか一つを飲ませ、もう一つを傷へと掛ける事で傷は無くなった

ハジメは爪熊が本当に絶命したかを確認し終えた後、皐月の側まで爪熊を引きずりながら移動した

 

「どうだ皐月?」

 

「やっぱり深月よ。私の勘がそう囁いているわ」

 

「皐月の勘は伊達じゃないから間違い無いだろうな。だが分かっているよな?」

 

「分かっているわ。"敵なら殺す"でしょ?まぁ深月なら私に付いて来るから大丈夫よ」

 

「このままは危険だし錬成で拠点を作るとするか」

 

「お願い」

 

ハジメは壁を錬成、大きく空洞状に作ったその中に入る。勿論倒した爪熊もだ

リベンジする事は叶わなかったが、「まぁいいや」と言う事で気にせず肉を剥ぎ取り纏雷で焼いて食べたのであった。こうして新しい技能も手に入れたハジメと皐月は深月が目を覚ますまで拠点で待機する事とした

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:17

天職:錬成師

筋力:300

体力:400

耐性:300

敏捷:450

魔力:400

魔耐:400

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合] 魔力操作 胃酸強化 纏雷 天歩[+空力][+縮地] 風爪 言語理解

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

高坂皐月 17歳 女 レベル:17

天職:錬成師

筋力:250

体力:350

耐性:250

敏捷:430

魔力:450

魔耐:450

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合] 魔力操作 胃酸強化 纏雷 天歩[+空力][+縮地] 風爪 直感 言語理解

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~深月side~

 

夢・・・と言うより走馬燈みたいな物ですね

お嬢様と出会い、教養を身に付け――――訓練―――修行――――サバイバル・・・本当に色んな事がありました。異世界へ拉致されても頑張るお嬢様、そして離ればなれになった。必死に探したけれど、見つからない見つからない見つからない。痕跡を見つけたと思えば其れは血が大量に付着したお嬢様の服の一部。爪が発達した熊と戦い・・・・・戦い?どうなったのでしょうか・・・確か最後はトドメの突きが失敗して腕ではじき飛ばされてからが分かりません

しかしこの匂い・・・悪臭に混じった匂い。微量ながらもこの濃厚な匂いは・・・良く知る男性と―――――――――

 

「お嬢様!!」

 

カッと目を見開きガバッと体を起こした深月、そして横に目を向けると白髪の男女二人。そして気が付き女性の方へと抱き付く

 

「お嬢様お嬢様お嬢様!申し訳御座いません申し訳御座いません!この深月が側を離れなければあんな塵芥共の蛮行を行わせる事など無かったと言うのに!申し訳御座いません!!」

 

深月が涙を流しながら皐月に謝った

 

「え~っと深月?大丈夫だからね?私生きてるから」

 

「ですが・・・ですが!お嬢様の利き腕が無いのは私が至らなかった為で御座います!申し訳御座いません!だから捨てないで!捨てないで下さい!」

 

余りの変りぶりにアワアワと焦る皐月

 

「あー・・・まぁ何だ?皐月は神楽を見捨てるなんてしないと思うし有り得ないぞ」

 

「南雲さんは私とお嬢様の出会いを知らないから楽観的に捉えられているのです!私の人生はお嬢様の幸せの為に全てを捧げているのです!ましてや利き腕が無くなると言う最悪が!お嬢様を守ると誓った私を不出来に思い捨てられる可能性が少しでも有るのです!!」

 

「えっとね深月?私は捨てないし手放すつもりも無いからね?だから・・・えっと、落ち着いて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土下座で謝る深月を諫める事数十回、ようやく落ち着きを取り戻したら起きてからの出来事を思い出し赤面しているのである

 

「た、大変お見苦しい所をお見せして申し訳御座いませんでした・・・先程までのは忘れて下さい」

 

深月の意外な一面を知ったハジメは笑っていた

 

「神楽は皐月一筋なんだな。ハッハッハッハ!なら俺達の敵って事は有り得ないだろうな」

 

「何を仰いますか南雲さん、私がお嬢様の敵となる?そうなってしまえば私は自らの首を吊りますよ」

 

「そうか・・・俺の名前を呼ぶのはハジメで良いぞ」

 

「ではハジメさんとお呼び致します」

 

「敬語は無しでお願いしたいんだが・・・・」

 

「私はメイドですのでそれだけは譲れません。では私の事も神楽ではなく深月とお呼び下さいハジメさん?」

 

「そ、そうか・・・分かった深月」

 

深月の絶対譲れない信念に強制的に納得させられたハジメ。典型的な女性に尻を敷かれる男性の姿だ

 

「それにしてもハジメさんとお嬢様の雰囲気がどことなく変っていますが何か有ったのでしょうか?あぁ髪の色とかではありませんよ?こう・・・距離感的な感じです」

 

迷宮に入る以前と比べ二人の雰囲気が変っている事にいち早く気が付いた深月、それは正にその通りである

 

「深月、私からせつ――――――」

 

「いや此処は俺から言うのが良いだろう。まぁ何だ・・・俺と皐月は将来を誓い合った仲となった。結婚前提のお付き合いって奴だな」

 

「と、言う訳で祝福してくれるわよね深月?」

 

「ふむ」と納得し素直に祝福する深月

 

「おめでとう御座いますお嬢様、ハジメさん―――――――いえ、結婚前提のお付き合いと言う事はハジメさんを旦那様とお呼びしたら宜しいのでしょうか」

 

「お願いだから止めてくれ!俺の事はハジメで固定してくれ・・・本当に頼む」

 

「まぁ今は良いでしょう。ですがお嬢様とご結婚されたら必然的にそう呼びますので悪しからず」

 

「あ、はい」

 

こうしてハジメの将来は旦那様呼びが確定したのであった

 

 

 

 

 

 

深月はハジメと皐月が奈落へと落ちてからの経緯を聞いて暗い顔をしていたが、「過ぎた事」と言う事で無理矢理納得させステータスの事も説明した

 

「成る程・・・魔物の肉は有毒ですが、この神水が有れば大丈夫だと言う事なのですね」

 

「そうそう。不味いけど技能が手に入るのは捨てがたいからな」ニヤニヤ

 

「深月も食べなさい。私に尽くしてくれるんでしょ?」ニヤニヤ

 

「では食べましょう。食べてお嬢様に害成す者全てを排除致しましょう」

 

神水を片手に爪熊の肉を食べた深月、因みにハジメと皐月は激痛については話していないのだ。「お前も道連れだ!」と言いたげな笑みを浮かべながら勧めたのだ

もっきゅもっきゅと今までの空腹を埋める様に食べ進めて行き、訪れる痛み

 

「っ!?い、痛いですね・・・神水を飲んでおきましょう」

 

少し顔を歪めた程度の深月に対し二人は「何故だぁ!?」と内心呟いたのであった

 

「筋肉断裂、復活の繰り返し・・・超復活ですね。まぁこの程度ならば地獄のサバイバルで体験済みですし今更感が否めないです。しかしこの骨格を作り替えようとする痛みは凄まじく、立つ事が出来ません」

 

「地獄のサバイバルってそんなにヤバかったの?」と言いたげにドン引きする二人を置いて深月の体からゴキッ、メキッ等の鈍い音が時偶聞こえるがやがて聞こえなくなる。それを確認した深月は立ち上がり体の隅々をチェック

 

「骨格が歪んだり等の事はありませんね。・・・問題としては少々背が高くなった事と少し引き締まったウエストですね。服は紐で縛れば大丈夫なのですが、背丈に関しては少々慣れなければ戦闘に支障が出る恐れが有りますね」

 

パパッと一通りの動きと体型をチェックし終えた深月、しかし二人の視線はそっちでは無く頭部・・・髪であった。魔物を食べた事により白く変色した二人とは違い、深月の髪は白に近い銀色―――――アニメやゲームに登場する様なメイドとなってしまっていた

 

「「何故に白銀・・・」」

 

その呟きから深月は自身の髪をチェックし変っている事に疑問を覚えたが支障をきたしている訳でも無いので気にせず、ハジメと皐月を見て一言

 

「時に、お嬢様にハジメさんはちゃんと水浴びしていましたか?」

 

「あーそういや錬成の鍛錬ばっかりやってて忘れてたわ。ってかやらなくても生きていけるし」

 

「私達は弱かったからそんな余裕が無かったのよ。と言っても浴びなくてももういいやって思っているわ」

 

「・・・・・」ゴゴゴゴゴッ

 

「「ヒィッ!?」」

 

「お・ふ・た・り・と・も?服を脱いで私に預けて下さい」

 

「ちょ!?服脱いだら俺と皐月は全裸になるんだが!?」

 

「ぬ・い・で・く・だ・さ・い」

 

「いy―――――――――」

 

「ハ・ジ・メ・さ・ん?」

 

「・・・ワカリマシタ」

 

深月の圧によりスゴスゴと引き下がるしか出来無かったハジメだが、流石に女性の前で全裸になるのは抵抗があり迷っていた。しかし深月によって強制的に衣服を脱がされてしまった。因みに皐月は深月に頼み脱がせて貰っていたのである

二人の衣服を持ち生活魔法の派生技能、清潔操作と全体清潔を同時に行使――――――思い浮かべるは洗濯機、布に付着した小さな汚れが剥がれ落ちるイメージを持って血濡れ、土汚れをどんどんと落として行く。そして綺麗な状態、正に新品同然とも言えるまで汚れを落とす事に成功

 

「では続いて洗髪です。お二人共こちらに来て下さい」

 

清潔操作、全体清潔、精密清潔を行使、傷だらけでごわごわしていたハジメと皐月の髪はサラサラと滑らかさを取り戻したのだ

 

「なぁ深月、体に生活魔法はやらないのか?」

 

「此処に濡れタオルが御座いますよ?」

 

「え・・・いや・・・深月がやった方が早――――――」

 

「あ・り・ま・す・よ・?」

 

「ハイ・・・」

 

深月は皐月の体全てをフキフキ、ハジメは自分の体をゴシゴシと洗うが背中と右手は拭けず「これでいいか」と思ったが持っていたタオルを深月に奪われ、綺麗な状態となったそれで背中をフキフキとされておおよそ清潔となり服を着終えた二人は何気にグッタリとしていた

 

「深月を怒らせるとヤバイな」

 

「私達を思っての事だけど怖かったわ・・・」

 

「あの無言の圧力を加えた決定に逆らえねぇ」

 

「ねえハジメ。深月の武器どうする?」

 

「あぁー、タウル鉱石で硬い武器を作っておくか。何なら拳銃を持たせてみるか?」

 

「私達の出番が無くなるわよ」

 

「剣だけにしておくか・・・」

 

二人はタウル鉱石を使用し黒い刀を生成

ハジメ命名:黒刀【霧斬(むざん)】 深月が使う事で無残にも細かく斬り殺され黒く変色した刀

―――という設定付けた名前だ。一方深月は名前は気にせず、唯即戦力となる武器が出来ただけでご満悦

そして二人で作った夫婦剣も新しく一新

皐月命名:黒双剣【対極(ついきょく)】 ハジメと皐月が作ったのは以前使用していた夫婦剣、それはそれなりに頑丈さをコンセプトに作っていたので、タウル鉱石で覆う形で新しく作られた。深月に渡すと「ふむ」と呟き一つを投擲、するとブーメランの様に戻るそれを危なげなくキャッチして「これは戦闘の幅が広がりますね」との事だった。ハジメは「何処ぞの正義の味方かよ・・・」と呟いたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ!もうちょい錬成速度を上げねぇと足下掬われちまいそうだな!」

 

「反動は大丈夫だとしてもまだ精度が足らないわ」ドパンッ

 

武器制作が終わった後も錬成の鍛錬をするハジメと射撃訓練を行っている皐月。そして屠られて行く魔物達はドンマイとしか言えないだろうが、それは襲ってきた為なのでそうとも言えないのだ

 

「しっかし油断している訳じゃ無いんだが、拠点からあまり離れるなって過保護すぎるんじゃねえか?」

 

「トラップの時に対処出来無かったのを未だ引きずっているみたいよ」

 

深月は準備しているのだ。ハジメが提案したそれは危険極まりない物だったがそれに賛成、下層へと続く迷宮の最下層まで行くと言う物だった。何故か?ハジメと皐月は「教会は危険だからこのまま離脱」という考えで、深月に至っては「教会は何時爆発しても可笑しくない程危険な爆弾、そしてエヒト神はそれ以上の危険性が有る」と述べ、一同の考えは「迷宮潜って魔物肉食べて強化しまくっちゃえ!」と言う事

明日から潜るとは言えそのまま何もせずでは無く「己の研磨を如何なる時も絶やさない事が最も大事」だと深月の言い分はとても重要だと理解している二人はそれぞれの気になる、不十分な部分を徹底的に反復練習して向上させて行く。そんな集中した訓練を終え拠点に戻るとムワッと溢れ出る良い匂いに、二人の腹の虫が大きな音を立てる。滴る涎を気にせず匂いの原因となる一点は、深月が調理している魔物肉の物であった

 

「ちょっ!?深月!おまっ!?それ魔物肉じゃねぇのか!?」

 

「悪臭じゃなくて良い匂い・・・ジュルリ―――――――ハッ!?」

 

「お帰りなさいませ、お嬢様にハジメさん。調理はもうすぐ終わりますので今しばらくお待ち下さい」

 

何故?と疑問に思いながら何度も喉を鳴らし待ち続ける二人。そして出されたそれは赤黒い液体がたっぷり掛かったステーキだった。見た目はグロテスクで魔物肉を焼いた上に血を掛けた様なそれは、普通の常人であれば食欲が無くなるだろう。しかしこの場で腹を空かせている二人は、生の魔物肉を喰らったことがあるのでその様な事は全く気にならないのである

 

「二つの尻尾を持つ狼のステーキです。筋切り等の下処理も済ませていますのでどうぞご堪能下さい」

 

「うぐ・・・匂いは良いんだが」

 

「食べるとあの言い知れぬえぐみがあるのよね・・・」

 

深月が完璧超メイドだとしても調味料の無いこの場でえぐみ等を取れるとは思っていない二人は一口サイズに切られたブロックを頬張り―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うまあああああああああああああああい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素直な感想有り難う御座います♪」

 

「この淡泊な味わい!脂は多く乗っていないが、噛んだ瞬間に溢れ出る肉汁!」

 

「所々硬く、そして柔らかくの飽きさせない食感!」

 

「「正しく食べ物だ!」」

 

モリモリと食べ進める二人は皿の上のステーキが直ぐに無くなりハッと我に返ると、もっと味わって食べるべきだったと言わんばかりに絶望としているが

 

「まだ沢山有りますので焦らなくてもお肉は逃げませんよ?」

 

「「おかわりー♪」」

 

深月の一言で完全復活して、おかわりの肉をモリモリと食べて行く最中にハジメは疑問に思った

 

「そういや魔物肉が何故此処まで美味しくなるのかが不思議で堪らないんだが・・・」

 

「そうよね・・・深月何かやった?」

 

「そうですね・・・生活魔法の清潔で血抜き等の下処理が出来ると把握出来ましたので、味見をしながら少々このえぐみが消えたら良いな~と思いつつ清潔を使ってみたのです」

 

「「なんでやねん!」」

 

ツッコミを入れつつ理由を考えるハジメはある一つを思い出す

 

「ちょっと深月のステータスプレートを見せてくれ」

 

「困った時のステータスプレートね。何かしらの良い原因が見つかると良いのだけど・・・」

 

「私も迷宮に入ってから一度も見ていませんね」

 

深月はポケットに仕舞っていたステータスプレートを取り出して二人に見せると――――

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

神楽深月 17歳 女 レベル:33

天職:メイド

筋力:1500

体力:2500

耐性:1500

敏捷:2500

魔力:2000

魔耐:1500

技能:生活魔法[+完全清潔][+清潔操作][+清潔鑑定] 熱量操作 気配遮断 高速思考 精神統一 身体強化 縮地 硬化 気力制御 魔力制御 気配感知 魔力感知 家事[+熟成短縮][+魔力濾過][+魔力濾過吸引] 節約 交渉 戦術顧問[+メイド] 纏雷 天歩[+空力] 風爪 魔力操作 胃酸強化 直感 心眼 極致[+剣裁][+拳闘][+体術] 限界突破 言語理解

称号:メイドの極致に至る者

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「なぁにこれ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

精密清潔と全体清潔は無くなり完全清潔へと統合、そして家事の技能から派生で熟成短縮・魔力濾過・魔力濾過吸引と三つが新たに追加、最初の熟成短縮は分かるのだが残りの二つが意味HU☆ME☆I☆である

 

「魔力濾過?・・・それに魔力濾過吸引?どういう技能だ?」

 

「魔力濾過って事は有害を無害にさせるって事かしら?魔物肉が有害魔力を保有して食べれない事を前提にしたら理屈は通るわね・・・」

 

「最後の魔力濾過吸引だが・・・濾過した行き場の無い魔力を自分の魔力へと変換していると仮定しよう。料理して清潔とかやっていた時に疲労感は無かったのか?」

 

「そう言えば妙に力が沸き上がる感じでした・・・となると、ハジメさんの予測が正しいという事でしょうか?」

 

「手から他人の魔力を吸収して自分の物に出来たとしたらとんでもないスキルよね」

 

試しに皐月は纏雷を指先に使用し、深月は掌を近くに持って行き魔力濾過吸収を発動すると微々たる量ではあるが吸収されていった

 

「流石に超ぶっ壊れ性能では無かったか」

 

「流石の深月でもぶっ壊れでは無かったと言う事ね」

 

皐月の悪気無い一言に深月は一瞬だけムッとしたが直ぐに隠しある実験を試してみる事に

 

「ハジメさん、もう一度纏雷をお願いします。少し試したい事が御座いますので」

 

「お、おう。別に良いが無茶はするなよ?」

 

「大丈夫です」

 

先程皐月がした事をハジメが同じ様に使用、そこから深月は完全清潔と清潔操作と魔力濾過吸収の三つを行使した

 

イメージは掃除機と同じ様に掌に纏雷の魔力を集めて、完全清潔により私に対して有害な部分を消し去った綺麗な魔力を全身に纏わせる!

 

ハジメの指先の纏雷は深月の掌に集められ一瞬で綺麗な魔力となり、そのまま全ての魔力が深月の身体中に行き渡る

 

「やりましたよお嬢様!」

 

「「なんでやねん・・・」」

 

こうして深月は相手の魔術攻撃を無効化して自身の物へとする技を編みだし、その理不尽さを目の当たりにした二人。こうして最強戦力が更に強化されたのだった

 

 

 

 

 




布団「何故、熊にやられたのかって?」
深月「私も人間ですよ?」
布団「半月近く絶食+気が抜けない状態。後は分かるね?」
深月「ストレスマッハという奴ですね!」
布団「ステータスはチートなのにね♪」
深月「ですが良いのです!私は遂にお嬢様と合流する事が出来たのですから!」
布団「そして胃袋を掴んでいくぅ!」
深月「三大欲求の一つを確保しておかなければなりませんからね」
布団「おっと、そろそろ時間ですね」
深月「ですね。読者の皆様方、感想、評価等お気軽に宜しくお願いします」
布団「そして誤字脱字報告に日々感謝しています!」
深月「今回も見直ししましたよね?」
布団「十回やった。けど作者は良く見落としちゃうから赦して・・・」

お待ちかね!清水君の行く末は!?

  • 撃たれて終わり(原作通り)
  • お説教されて、先生達と行動
  • お嬢様の忠実なる執事に
  • 男の娘となり、テイマーメイドになる

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