ありふれていない世界最強メイド【本編完結済み】   作:ぬくぬく布団

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布団「クラスメイト達はどうしているかな?」
深月「ではそちらへ目を向けてみましょう」
布団「話しは変って、誤字報告有り難う御座います」
深月「作者さんは国語の成績が低かったと記憶していますが?」
布団「・・・ではどうぞ!」
深月「逃げては駄目ですよ?しっかりとお話ししましょう。それでは読者の皆様方、ごゆるりとどうぞ」


メイドは居ません。クラスメイトsideですから

爪熊の討伐より遡る―――――

ハジメと皐月の二人が落ち、そして深月も二人を追う様に落ちた。特に深月の存在が大きかったのだろう・・・ステータスは勇者天之河よりも高いし、戦闘能力も抜きんでていたからだ。強い敵と遭遇すれば深月が何とかしてくれるだろうと心の底で思っていた事は崩されたから・・・

何よりもクラス全体の空気が悪い理由とは檜山の事についてだった。ハジメと皐月が奈落へと落ちたきっかけとなり、深月も居なくなるという問題を作った張本人だから―――――檜山は直ぐに孤立、殆どのクラスメイトが彼を憎むような視線を向けている

 

「何でだ・・・俺は間違ってない・・・白崎を、白崎を正気に戻す為だ。俺は悪くない俺は悪くないんだ・・・」

 

心の中の悪魔の囁きを実行したが深月の前でボロを出し今、こうなっている現状を否定する様に自分が正しいと思い込ませている。そんな彼にもう一人の悪魔が囁く

 

「いや~流石だね。異世界最初の殺人がクラスメイト、中々やるね?」

 

「だ、誰だ!?」

 

振り返った先には同じクラスメイトの一人

 

「それよりもさ~人殺しさん?今どんな気持ち?恋敵をどさくさに紛れて殺すのってどんな気持ち?」

 

クスクスと笑いながら檜山を見るそれは、まるで喜劇でも見たように楽しそうな表情を浮かべている。クラスメイトが死んだ事に何とも思っていない瞳、当初は他のクラスメイト達と同様に、ひどく疲れた表情でショックを受けていたはずなのにその影は微塵もなかった

 

「・・・それがお前の本性なのか?」

 

「本性?そんな大層なものじゃないよ。誰だって・・・特に女性は猫の一匹や二匹被っているのが普通だよ。そんな事よりさ―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白崎香織、欲しくない?

 

「ッ!? な、何を言って・・・」

 

暗い考えを一瞬で吹き飛ばすには十分で、驚愕に目を見開いて凝視する檜山。そんな様子をニヤニヤと見下ろし、その人物は誘惑の言葉を投げ続ける

 

「僕に従うなら・・・いずれ彼女が手に入るよ。本当はこの手の話は南雲にしようと思っていたのだけど・・・君が殺しちゃうから。まぁ、彼より君の方が適任だとは思うし結果オーライかな?」

 

例えこのクラスメイトがハジメにこの話しを提案しようとも拒否されるのは目に見えて分かるが本人は気が付いていない

 

「・・・何が目的なんだ。お前は何がしたいんだ!」

 

「簡単だよ。僕の手足となって動いてくれればそれで良いんだよ。理由は、欲しいモノがあるとだけ言っておくよ。それで返答は?」

 

あくまで小バカにした態度を崩さないその人物に苛立ちを覚えるが、あまりの変貌ぶりに恐怖を強く感じた檜山はそれを振り払う様に釣り針へと付けられた餌へと食いついた

 

「・・・従う」

 

「アハハハハハ、それはよかった!まぁ、仲良くやろうよ人殺しさん?アハハハハハ♪」

 

楽しそうに笑いながら踵を返し歩き去っていくその人物の後ろ姿を見ながら、檜山は「そうだ・・・白崎が手に入れば周りなんてどうでも良い・・・」と小さく呟いた

そして自分がどうすれば孤立しないかを必死に模索、うまく立ち回らねば・・・自分の居場所を確保しなければ――――今更立ち止まれないし、あの人物に従えば、消えたと思った可能性の白崎を自分の物にできるという可能性すらあるのだ

 

「ヒヒ、だ、大丈夫だ。上手くいく。俺は間違ってない・・・」

 

こうして暗く、闇の存在は徐々に広がり、大きくなりつつある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイリヒ王国王宮内の召喚者達に与えられた部屋の一室で、八重樫は暗く沈んだ表情で未だに眠る親友の白崎を見つめていた。あの迷宮の出来事からもう既に五日・・・その間にあった出来事を思うと寝てくれていた方が良かったのか、起きていた方が良かったのかは分からない

一同が王国へと帰還しメルド達は出来事の詳細を報告、迷宮で死んだのは勇者ではなくお荷物扱いされていた二人、ハジメと皐月の両名だった事を知ると誰もが安堵していたのだ。錬成師でステータスが一般人という事から戦力低下はしていないと判断したのだった

 

『しかし落ちたのが"無能"の二人と、それに付き従うメイドだけで良かった』

 

『そうですな。大きな戦力低下もせずに済んだのが幸いだ』

 

吐き捨てられるそれらは八重樫にとって不愉快そのもの。だが此処は命の価値が低い異世界、弱肉強食の世界なのだ。・・・彼等を罵倒される事で手を出そうと我慢していると、天之河が激しく抗議した事で国王や教会も悪い印象を持たれてはマズイと判断したのか、ハジメを罵った人物達は処分を受けたらしい

逆に天之河は無能達にも心を砕く優しい勇者であると噂が広まり、結局天之河の株が上がっただけで、ハジメと皐月は勇者の手を煩わせただけの無能であるという評価は覆らなかった。天之河がその事を全くもって理解していないのはお約束

あの時、自分達を救ったのは紛れもなく勇者も歯が立たなかった化け物をたった二人で食い止め続けたハジメと皐月だというのに。そんな彼を死に追いやったのは檜山――――深月の言を信じるならばそうだろう。だが天之河は檜山の犯した罪を許してしまった

 

「檜山の攻撃が南雲に当たってしまったのは事実だ。だけどそれはワザとじゃ無い。皆だってそうだろう?必死になって生き残る為に放つ魔法を他人に向ける余裕は無い」

 

持ち前のカリスマで徐々に周囲を納得させて行き、遂には檜山が皆の前で謝罪する事でこの出来事は葬られる事になったのだ。しかし八重樫だけはそれを否定して「牢屋に入れておけ」と言い張るが天之河がそれを却下

 

「皆で力を合わせなければこの世界の人達を救う事は出来無い!あの攻撃はワザとじゃ無かったんだ。それを許して過去を乗り越えなきゃ死んだ南雲も報われない!」

 

等と言い出す始末。――――――故に、諦めたのだ。本当に何故こうなったのかと苛立ちが募る。その現実を受け入れたく無く、殆どの時間を白崎が目を覚ますまで見続けるといった形になったのだ

 

「あなたが知ったら・・・怒るのでしょうね?」

 

あの日から一度も目を覚ましていない白崎の手を取ってそう呟く八重樫。白崎の様子を見た医者からは精神的なショックが大きく心を守る為に、深い眠りに付いているのではないか?との事。詰まるところ、時が経てば自然と目を覚ますと言っているのだ

八重樫は白崎の手を握り「どうかこれ以上、私の優しい親友を傷つけないで下さい」と祈っていると不意に、握り締めた香織の手がピクッと動いた

 

「!?香織!聞こえる!?香織!」

 

「・・・雫ちゃん?」

 

ゆっくりと開かれ、しばらくボーと焦点の合わない瞳で周囲を見渡していたのだが、やがて頭が活動を始めたのか見下ろす雫に焦点を合わた

 

「ええそうよ。私よ。香織、体はどう?違和感はない?」

 

「う、うん。平気だよ。ちょっと怠いけど・・・寝てたからだろうし・・・」

 

「そうね、もう五日も眠っていたのだもの・・・怠くもなるわ」

 

「五日?・・・それで南雲くんは・・・・・南雲くんは!?」

 

徐々に覚醒しその時の事を思い出して行った白崎は八重樫に問い詰める

 

「ッ・・・それは」

 

八重樫の言葉が詰まる。そして思い出す記憶が現実の物だと悟るが白崎自身到底受け入れる事は出来無い

 

「・・・嘘だよ、ね。そうでしょ?雫ちゃん。私が気絶した後、南雲くんも助かったんだよね?ね、ね?そうでしょ?此処はお城の部屋だし皆で帰ってきたんだよね?南雲くんは・・・訓練かな?訓練所にいるよね?うん・・・私、ちょっと行ってくるね。南雲くんにお礼言わないとだから、離して?雫ちゃん」

 

「・・・香織。分かっているでしょう?・・・此処に彼は居ないわ」

 

「やめて・・・」

 

「香織の覚えている通りよ」

 

「やめてよ・・・」

 

「彼等は・・・」

 

「嫌!やめてよ・・・やめてったら!」

 

「香織!彼等は橋の崩落に巻き込まれて落ちたのよ!」

 

「違う!死んでなんか無い!絶対、そんな事無い!」

 

「落ち着きなさい香織!何も私は死んだとは言っていないでしょう!殆どの人達は死亡扱いをしているけれど、私はそう思わないわ・・・実は香織を気絶させた後で神楽さんが来たのよ。分かる?たった一人で――――あの短時間で来たのよ?そして彼女は二人を追う様に飛び降りたの」

 

「それだったら何で雫ちゃんは私を止めたの?」

 

「決まっているでしょ。私は親友の貴女を死なせたくなかったからよ」

 

白崎をゆっくりと落ち着かせようと抱きしめ背中を擦る

 

「私達は弱い。それに比べ神楽さんは私達より倍・・・いえ、何十倍も強いわ」

 

「そう・・・なの?」

 

「そんな彼女が二人を追いかけて行ったのだから合流している可能性は高い筈よ」

 

先程まで震えていた白崎も落ち着きを取り戻したのかそれは治まり、ゆっくり・・・ゆっくりと現実を受け入れて行く

 

「・・・雫ちゃん。南雲くんは此処には居ないんだね・・・」

 

「そうよ」

 

「あの時、南雲くん達に魔法を当てたのは・・・誰なの?」

 

八重樫は白崎がどういった行動に出るのか容易に想像が付いた。しかしそれを実行させる訳にはいかない

 

「知っているわ。だけど報復行為をしては駄目よ」

 

「何で?」

 

「魔法を当てた人・・・檜山を光輝が許しちゃったのよ。私は「地球に帰るまで牢屋に入れておけ」と、何度も何度も提案したけれど全て却下されたわ。勇者の光輝が否定したら周囲の人達もそれに賛同、本当に何でこうなったのでしょうね・・・」

 

「そうなんだ」

 

「もしも彼等が生きていたら、檜山は死ぬわ。神楽さんは"処分しなければ殺す"と宣告したのよ。一瞬だけ目を合わせたけど、あれは間違い無く地球で人殺しを経験している筈よ」

 

「そっか・・・それだったら神楽さんに任せようかな」

 

問題ばかり押し寄せてくるそれに疲れ果てている八重樫、世界が考えを否定していると思う程立ち回れない白崎。この二人はしばらくの間沈黙してこれからの指針を決める

 

「雫ちゃん、私は信じないよ。南雲くん達は生きてる。死んだなんて信じない」

 

「そうね・・・」

 

「あそこに落ちて生きていると思う方がおかしいって。でもね、確認した訳じゃないし可能性は一パーセントより低いけど、確認していないならゼロじゃない。私はあんな状況でも皆を守れるくらい強くなって南雲くんの事を確かめる・・・雫ちゃん」

 

「なぁに?」

 

「私に力を貸してください」

 

今の白崎は絶望による狂気等の危険な目をしておらず、唯真っ直ぐに、自身の答えを探し納得するまで諦めないという力強い意思が宿っていた。こうなった白崎はテコでも動かないず、家族も手を焼く頑固者になるのだ

そしてこれは確実に幼馴染である天之河や坂上も含めて殆どの人間が白崎の考えを正そうとするだろう。だからこそ八重樫の答えは決まっていた

 

「もちろんいいわよ。香織が納得するまでとことん付き合うわ」

 

「雫ちゃん!」

 

白崎は八重樫に抱きつき「ありがとう!」と何度も礼をいう。「礼なんて不要よ、親友でしょ?」と、どこまでも男前な雫――――現代のサムライガールの称号は伊達ではない

その時、不意に扉が開かれ二人が姿を見せ

 

「雫! 香織はめざ・・・め・・・・・」

 

「おう、香織はどう・・・だ・・・・・」

 

「す、すまん!」

 

「じゃ、邪魔したな!」

 

天之河と坂上だったが、二人は硬直し直ぐに部屋を出て行った。そんな二人を見て、香織もキョトンとしているが、聡い雫はその原因に気付いた。二人の其れは激しく百合百合しい光景で、雫は深々と溜息を吐き、未だ事態が飲み込めずキョトンとしている香織を尻目に声を張り上げ二人を追いかけた

 

「さっさと戻ってきなさい!この大馬鹿者共!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八重樫に追いかけられ説教をされた後、天之河と坂上は訓練場へと再びやって来ていた。ハジメと皐月を見殺しに、そして続く様に後を追った深月もまた死んだと誰もが思っている

 

「光輝、俺達は弱いな」

 

「あぁ・・・死んだ南雲の為にも俺達は強くならなくちゃいけない。この世界の人達を救って皆で地球に帰ろう」

 

「それじゃあもっと訓練やるか!」

 

「あぁそうだな!」

 

誰もがこの光景とやり取りを見て頑張ろうと思った。しかし違和感には誰も気が付かない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天之河の中で死んだとされているのがハジメだけという事に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




布団「お説教はおぼろ豆腐メンタルに響くぜ」
深月「少し揺らしただけで崩れてしまう心とは・・・」
布団「だがモチベーション上げていくぞぉ!」
深月「では次話も宜しくお願い致します」

お待ちかね!清水君の行く末は!?

  • 撃たれて終わり(原作通り)
  • お説教されて、先生達と行動
  • お嬢様の忠実なる執事に
  • 男の娘となり、テイマーメイドになる

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