神々が愛した幻想郷 ~ Fantasia Variants Dreamed.   作:左右手

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描写を細かく書こうとするとどうしても文字数が増えて行ってしまいますね。
難しい事です。こういうのを上手く纏められる人は本当に頭が良いと思います。

そうすれば文字数が減って執筆が楽になr


目覚める力

漸く呼吸が落ち着いてくる。少し眩暈もあったが、今は何ともない。

あの腕…そこにあるだけで凄まじいプレッシャーを感じた。その重みで押し潰されそうだった。

 

「だ、大丈夫なの、柴芭…?」

 

霊夢が心配そうに声をかける。…問題は無い、はずだ。

頷き返すと、少し安堵した様な表情を浮かべる霊夢。余り心配をかける訳にはいかないな。

さっきオレの手に触れた少女…確か、霧雨魔理沙だったか?未だ尻もちをついた状態で呆けた顔をしていた。

 

「大丈夫か、魔理沙」

 

「え…?あ、ああ、大丈夫だ」

 

声をかければ、そう答えて何事も無かったかのように立ち上がり、服に付いた砂や土をはたき落とす魔理沙。

 

「それにしても驚いたわね…。今のもアンタの能力なのかしら…?」

 

能力…かも、知れないな。

だが、その能力が一体何なのか、どうやって使ったのか、全く分からない。まして、どういう能力なのかさえ未だ掴めない。

せめて…何か…何か手掛かりがあれば、或いは…。

 

「凄いなぁ…本当にあれってドラゴンなのか?」

 

―「ドラゴン」、魔理沙はそう言った。ドラゴン…つまり、竜。…竜の腕が、今オレの腕から出ていたのか?

竜……竜の、力…ッ!?

 

「ぐッ…!?」

 

「柴芭!?」

 

何だ…ッ!?頭が…割れる、ような…感覚が…ッ!!

……?何だ…これは…?この感じ……オレは、この感覚を()()()()()…?

 

 

「…!れ、霊夢…これって!」

 

「ええ…間違いないわ。()()は霊力よ。恐らく、自分の能力を知ったのか…それとも、思い出したのか…。

とにかく、今のアイツには紛れもない霊力が備わっていて、尚且つそれを操っている。これだけは紛れもない事実よ」

 

頭を割るような痛みが消えて行く。それと同時に、体の奥から湧きあがる何かを認識する。まるで地面の底から湧き上がる水のように、次々と溢れてきて、体中に流れていく。そして、その流れはどんどんと体に馴染んでいく。まるで、最初から自分の一部であったかのように。

流れが全身に染み渡ると同時に、一気に頭の中に情報が流れ込んでくる。頭の中に複数の単語が浮かんでくるが、どれも意味深で曖昧な言葉ばかり。

 

竜、魔法、(かんなぎ)…?一体何だって言うんだ…。

 

結局、頭の中に浮かんだ単語の中に、自分の能力だと言えるものは存在しなかった。ただ、この“竜”という単語だけは何かしらの関連性があると思われる。その単語を意識すると、先程の力が全身に滾る感じが伝わってくる。

恐らくこの言葉が、オレの能力を知るのに必要な言葉なんだろう。

 

「どうかしら?何か分かった?」

 

霊夢がそう尋ねてくる。…分かったのは、断片的な単語だけだった。はっきり言って、殆ど分かっていない。

 

「…よくわからない。ただ、“竜”という単語を頭に思い浮かべると、さっきの力が湧いてくる…気がする」

 

…あんまり喋るのは、得意じゃない。

 

「なるほどね…その“竜”って言葉が、アンタの能力を知るカギなのかも知れないわね」

 

ざっくばらんな説明だったが、どうやら納得はしたようだ。隣で難しい顔をする魔理沙には、どう説明したものか。

そう思っていると、霊夢が突然『そうだ!』と掌を打ちながら声を上げる。どうした。

 

「何だよ霊夢?そんな古臭いポーズまで取って」

 

「失礼ね。…実はこれから柴芭にスペルカードの事について話そうと思っていたのよ」

 

「おおっ!」

 

『スペルカード』なる単語が聞こえた瞬間、一気に表情が明るくなる魔理沙。何だろう、流行ってるのかな?スペルカードって。

 

「さっきの能力もそうだし、魔理沙もいるし、タイミングとしてはちょうど良いかなと思ったわけ」

 

「なるほどな。それなら、早速授業を始めようぜ!熱いお茶でも飲みながらさ」

 

「はいはい、それじゃ上がりなさい」

 

スペルカードというのが何なのか、どうやら教えてくれるみたいだ。…オレでも、遊べるのかな?そのカード。

 

 

------

 

――説明を始めてから数十分程が過ぎた。漸くまとまったか。

途中で魔理沙が余計な話を始めたりするもんだから、予想以上に時間がかかっちゃったわね。

まあ、これで柴芭も大体は解ったでしょうね。

 

「…大体はこんな感じよ。他にも色々ややこしい所あったりするけど、大体はこれだけ覚えていれば大丈夫よ」

 

そう告げると、ゆっくりと頷く柴芭。彼の呑み込みの速さから考えれば、恐らく理解できただろう。

 

「それじゃあ、次はスペルカードについてだな!」

 

そう思っている傍らで、勢い良く身を乗り出して得意げにそう言う魔理沙。柴芭が若干引いてる。

 

 

「スペルカードって言うのは、文字通りスペルカードルールで使うアイテムの事だ。ほら、こんな感じのヤツだ」

 

そう言って卓の上に一枚のカードを置く魔理沙。そこには“恋符「マスタースパーク」”の文字と、虹色の光線を放つ魔理沙の絵が描かれていた。それを興味深そうに覗きこむ柴芭。

 

「これがスペルカードだ。絵があってきれいだろう?けどな、このカード自体には何の力も無いんだぜ?これはただの宣言用の紙に過ぎないんだ。自分が今から何か技を使うぞーって時に、このカードを使って宣言するんだ。

例えば、私が“マスタースパーク”を使う時には、このカードを使って宣言すれば使えるって訳だ。こうやって…」

 

直後、いきなり立ち上がり、ポーズを取りながらカードを掲げる魔理沙。

 

「恋符『マスタースパーク』ッ!!…ってな」

 

 

「……」

 

「……」

 

「いや、そこは何か反応してくれよ」

 

そう言われても、反応に困る。柴芭も同じ意見のようだ。

 

「…あ~、オッホン。と、とにかくだ、こういう風にカードの名前を言って、宣言を相手に分かるようにするんだって事を言いたかったんだ!」

 

顔を赤らめながら早口にそう言う魔理沙。恥ずかしいならやらなきゃ良いのに。

…それに、わざわざスペルカードの名前を言わなくっても、宣言したって分かりさえすればいいんだけどね。

 

「続けるぞ、もう…!それで、スペルカードを作る上での注意点だが、弾幕ごっこはあくまで遊びだ。

絶対に避けられないような弾幕なんて作ったら、遊びにならないだろう?だから、難しいスペルを作る時は、そういうのも注意する必要があるんだ」

 

それは最もな話だ。本来、スペルカードルールは『誰もが勝てる可能性がある決闘法』として()()が考案したものだ。その可能性を潰すようなことがあっては、それこそルールが意味を成さない。

 

「…スペルカードは、どうやって作る?」

 

柴芭が質問を挟んできた。自分から発言するのは珍しいかな?余程スペルカードに興味があるのかもね。さて…アレはどこにしまったかな、と。

 

「ただの紙があれば作れるよ」

 

「紙?」

 

…あ、あったあった。

 

「そう、紙だ。はっきり言って、それがスペルカードだと分かれば良いんだ」

 

「そして、その紙に自分が思い描く技を念じれば、それがスペルカードになるのよ」

 

「…んぁ?なんだよ…せっかく私が言おうと思ったのに~」

 

急に割りこまれたからか、少し不機嫌そうな顔をする魔理沙。最後まで話させなかったのは悪いけど、こっちも手短に済ませたいのよ。

 

「試しに、この札を渡しておくわ。博麗印のお札三枚セットよ」

 

「おお、出たなお札」

 

箪笥の中にしまってあった三枚のお札を柴芭に渡す。無論、唯の札では無い。このお札は、霊力を通しやすい特別なお札だ。僅かな霊力でも作れるから、スペルカードの媒介にも適している。

彼は、それを受け取ると、札を持ったまま黙り込んだ。恐らく、どんな技にしようかを考えているのだろう。…魔理沙、あんまり覗きこまない。

 

「悪い悪い、気になってさ」

 

全く…けど、一体どんなスペルを作るのか興味はあるわね。

 

彼の札を持つ右手に霊力が集中していく。札が淡い光を帯びたかと思うと、それは徐々に形を変え、やがて先程の魔理沙のスペルカードと同じ大きさ…つまり、一般的なスペルカードのサイズになっていった。

 

どうやら、無事カードを作り出す事が出来たようだ。新たなスペルを生み出すこの瞬間は、やはり胸が高鳴るものだろう。相変わらず、彼は無表情だが。

 

「おぉ、できたみたいだな!どれどれ…」

 

真っ先に顔を近づけ覗きこむ魔理沙。カード自体を見ただけじゃ、スペルの全容は把握できない。やはり、実際目で見て体感するのが一番良い。

 

「…なんだ、こりゃ?」

 

魔理沙…?いきなりどうしたのよ…そんな変なスペルだったの?そう思って、私もそのスペルを覗きこむ。…角度の関係で良く見えない。

…と思ったら、柴芭は少し見やすいように傾けてくれた。どうもありがとうね。…って

 

 

『「claw-incomplete-」』

 

 

…何よこれ?訳分からない字で書かれてる…確か、外の世界の言葉だっけ?それに、カードの絵も黒地に白い奇妙な模様が描いてあるだけ…?

 

「あれ…?この模様、お前の左手の刺青に似てないか?」

 

その発言を聞き、思わずカードの絵と柴芭の左手とを見比べる。魔理沙が言う通り、その模様と柴芭の左手の爪のような刺青は似ていた。否、瓜二つだった。

…ますます意味が分からない。一体どういうスペルなの…?

 

「…まだ、完全じゃない」

 

えっ…?

 

「なんとなく、そんな気がする。…多分、まだ足りないんだと、思う」

 

「なるほどね…『不完全』か。確かに、そのスペルはまだ不完全なのかも知れないな」

 

足りない…って、何が?そう質問しようとしたが、その質問は魔理沙の納得の言葉によって遮られた。

 

「…どういう意味よ?」

 

「ああ、このスペルの名前さ。『incomplete』、つまり『不完全』って意味の言葉だ。そんで、その前の言葉は確か『爪』って意味だった筈だ」

 

驚いた、魔理沙は外の世界の言葉を知っているのか。

 

「良く知ってたわね」

 

「以前見た外の世界の本に載ってたのを偶然思い出したぜ」

 

ちょっと感心したけど偶然か。…それにしても、『不完全』…ね。確かに、このスペルカードは何処か欠けて見てた。

白と黒だけで彩られたデザイン、絵も同じくモノクロの抽象的な模様だけ、右下には、零の文字が描かれている。何かが足りない、どこか寂しい、そんなもどかしさを感じさせた。

 

だとしたら、一体何が足りないのかしら?…なんて、私じゃ分かる訳ないか。どういうのは、アイツ自身が見つけるものだしね。

 

「でも、カードができてるって事は、スペルとしては機能するみたいだな?」

 

言われてみればその通りだ。本来、自分がその技を連想出来なければスペルカードを作る事は出来ない。不完全とはいえ、カードとして映し出されたという事は、それは紛れもなくスペルカードとして機能するという事だろう。

 

「スペルカードについてはこんな所かしらね。後は…」

 

「霊夢、空飛ぶ方法とかちゃんと教えないと」

 

あ、そうだった。空を飛べなきゃ弾幕ごっこが出来ないわね。普段あんまり意識した事が無いから、すっかり忘れてたわ。

 

「おいおい頼むぜ霊夢?」

 

はいはい、分かってるわよ。…あー、やっぱり固まってるわね柴芭。まあ、無理も無いか。外の世界から来た人間にとって、いきなり空を飛ぶなんて言われてもさっぱりでしょうし。…仕方が無い、一から教えよう。

 

「空の飛び方も教えておくわ。とりあえず、外に出ましょう。魔理沙もね」

 

「お、私もか?」

 

「アンタには後で模擬戦でもやってもらうわ」

 

「なるほど、そう言う事なら了解だぜ!」

 

魔理沙の了承も得たことで、三人揃って境内へと足を運ぶ。

 

 

境内に出た私達は、先ず柴芭に空の飛び方を教え始めた。

 

「『空を飛ぶ』…なんて言っても、そんなに難しく考える必要は無いわ。『飛ぶ』って言うよりも、『浮かぶ』って考えた方がやり易いかもね」

 

私の能力、『空を飛ぶ程度の能力』の場合は、どちらかというと宙に浮かぶような感覚だから、その感覚を元に教えているけど、自分にとってやり易い方法ってのはあるからねぇ。

…もしかしたら、あの時の翼で空を飛んだりして。そしたら…うん、多分話題になるわね。どっかの鴉天狗辺りが嗅ぎ付けてきそうだわ。

 

「浮く…か」

 

少し難しい顔をしながら呟く柴芭。…流石に難しいか。彼にとっては未知の感覚だろうしね。でも、こればっかりは覚えてもらわないと困る。

彼の中にある霊力を考えれば、飛ぶだけの力は当然備わっている。後は、自分で感覚を掴むだけなのよね…。

 

「自分の中にある霊力は認識できているんでしょう?」

 

そう問えば、頷き返す柴芭。…なら、後は本当にコツだけね。さて…どうしたものかしら。

 

「無理に飛ぼうとするんじゃなくってさ、思いきって高くジャンプしてみるってのはどうだ?」

 

背後からいきなり突飛な発言をする魔理沙。高く跳んだだけじゃあ飛んだとは言わないわよ…。

 

「なるほど…」

 

真に受けちゃったよ柴芭。どうすんのよ魔理沙。

魔理沙の提案を真に受けて跳躍の姿勢に入る柴芭。…やれやれ、此の分じゃまた長引きそうね。

 

そう思っていると、突如柴芭の姿が消えた。先程まで柴芭がいた場所は、地面が抉れて小さな穴が空いていた。

一瞬思考が止まったが、すぐさま意識を切り替え、何処へ行ったのか辺りを探す。…いない。ということは、上か。

そして、柴芭が上空にいるのを見つけた。それも、10Mは優に越えるであろう高さに。

 

「す…すごいな、あんなに高く跳べるのか」

 

確かに、人間離れした跳躍力だ。恐らく、足に霊力を集中させて脚力を増幅させたのだろう。随分器用な事をするものだ。

人間があの高さから落ちれば唯では済まないだろうが、今の彼には霊力がある。再び足に霊力を纏えば、着地の衝撃は緩和できるだろう。

 

…?おかしいわね。いつまで経っても降りてこない。

横に目を向ければ、呆けた表情の魔理沙。随分と間抜けな顔ね。…じゃなかった。魔理沙の視線の先に、私も同じく視線を合わせる。

 

柴芭は、浮いていた。

浮いている本人は直立した姿勢のままの為、『浮く』というより、空中に『立って』いるように見える。

 

…本当に驚きね。たったあれだけの工程で、しかもあのアドバイスにすらなっていないようなアドバイスで、もうコツを掴んでしまうとはね。

けれど、ただ宙に受けるだけじゃ意味が無い。その上で自由に移動する、つまり『飛ぶ』方法を体得する必要がある。

 

「柴芭、聞こえているかしら?」

 

未だ上空にいる柴芭に対して声をかけると、柴芭は右手を上げて肯定の合図。

 

「次は浮いたまま移動するのよ。できるかしら?」

 

そう問いかければ、再び考えるような動作をする柴芭。宙に浮いているというのに、何かに腰掛けるような体制を取っている。…やっぱり器用ね。

 

「別に、鳥みたいに飛ぶとかじゃなくってさー!何かこう…自分が思う一番早い走り方、とかでも良いからさー!」

 

また突拍子もない事を言い出す魔理沙。それに、そんなに大声を張り上げなくても聞こえている。

それにしても、『飛ぶ』じゃなくて『走る』ね…。案外、そういう発想って大事かも知れないわね。まあ私には関係ないけど。

先程まで唸っていた柴芭が、その発言で何かを感じ取ったのか、はっとした表情で立ち上がる。立ち上がるとは言っても、座った姿勢から立った姿勢になっただけだが。

 

再び、柴芭の姿が消えた。今度は、直ぐに眼で追えた。柴芭は、空中を蹴るようにして、文字通り空を駆けていた。

成程、『走る』…ね。さっきの事と言い、魔理沙のアドバイスも偶には役に立つわね。

 

「何か、今日の霊夢は何時になく辛辣だな…」

 

「あら、そんなことないわよ?」

 

人の頭の中を読むんじゃありません。…さて、あとは細かな動きかな。

 

「とりあえず、一旦止まってくれる?」

 

そう呼びかければ、ブレーキをかけたかのように立ち止まる柴芭。別に、車輪が擦れるような音はしなかったけど。

 

「弾幕ごっこでは、基本的に相手の弾幕を避ける必要が出てくるわ。その練習もしておきましょう」

 

そう言って、私も空を飛んで、柴芭と同じ高さまで来る。

 

「弾幕ごっこで使うのは、こんな感じの弾よ」

 

伸ばした掌の先に霊力を少しだけ込める。すると、赤みがかった霊力の弾が出来あがる。

 

「これは霊力で作った球体よ。この球体を大量にばら撒くのを『弾幕』って言うのよ。弾幕ごっこでは、その弾幕を如何に美しく演出するかが問われるわ。

…まあ、それについては追々練習していきましょう。先ずは、この霊力の弾を作り出す事をやってみましょう」

 

そう告げれば、柴芭は頷く。同時に、彼の体から感じる霊力が少しだけ上昇する。

左手を天に翳す柴芭。すると、彼の周囲に八つの霊力の弾が出現する。赤、青、黄色、緑、白、黒、紫、後は…何だろう?少しくすんだ黄色?全部で八色の弾がある。

色鮮やかで綺麗ね。霊力の弾には、それぞれが持つ力の特性が反映されるものだけど、こんなに色鮮やかなのは見たこと無いわね。余程珍しい力なのかも知れないわね。

少しだけその鮮やかな弾幕に見惚れていたが、その弾幕が消えると同時に、次の工程の為に意識を切り替える。

 

「うん、合格。最初からそれなら、問題は無さそうね。それじゃあ次は、少し避ける練習をしてみましょう」

 

霊力を少し多めに込めると、先程の弾幕が大量に出現する。弾幕を前にして、少し身構えた様子の柴芭。うん、そりゃあ警戒するか。

 

「安心しなさい、当たっても精々衝撃を感じる程度の弾幕だから。これから少しずつこの弾幕を飛ばしていくから、それをなるべく避けるのよ」

 

害が無いと分かれば、少しだけ警戒を緩めた様子。そして、ゆっくりと頷く柴芭。

 

最初は、ゆっくりと。弾速も遅ければ、密度もまるで無い。この程度なら、普通の人間でも余裕だろう。難なく避ける柴芭。

そこから、徐々にスピードを上げて行く。普通の人間ならば既に根を上げるような速度にまで達したが、それでも柴芭は容易く回避する。

今度は、弾幕の量を増やしていく。先程よりは余裕を失った様子だったが、それでも巧みに回避していく。右に、左に、上に、下に、宙を蹴り、身を翻し、まるで風のように躱していく。中々巧いわね。元々センスが良いのかもしれないけれど。

 

少し疲れて来たので、弾幕を撃つ手を止める。

 

「さて、ここまで。大したものね。手加減してあるとはいえ、初めてで無被弾とはね。本来の弾幕ごっこは弾幕の速度も量も桁違いだけど、この分ならすぐに慣れるでしょう。それじゃ、そろそろ降りるわよ」

 

そう声をかけ、足早に地上へと降りる。柴芭は、そのままの姿勢で落下していき、地面に着く寸前に足先から霊力を撃って一瞬だけ浮き、何事も無く着地する。…ホントに器用ね。

柴芭が着地したのを確認し、地上で退屈そうにしていた魔理沙に声をかける。

 

「そろそろアンタの出番よ。アイツにとって初めてのスペルカード戦、アンタからも色々教えてやりなさい」

 

その言葉を聞いた魔理沙は、一気に顔を喜色に染める。

 

「おう、任せとけ!よーし柴芭、今から私と弾幕ごっこをやるぞ!」

 

「模擬戦よ、模擬戦。あくまで練習なんだからね」

 

「わかってるって、ちゃんと手加減するさ」

 

どうだか。…あんまり無茶しないでもらいたいわね。特に、また怪我させられたら堪らない。看病するこっちの身にもなって欲しいものだ。

まあ、魔理沙の弾幕ごっこの腕前は私も評価してはいる。本人には言えないけど、アイツは幻想郷でもかなりの腕前を持っていると思う。

そんなアイツだから、きちんと教えられると私も信用している。信用しているが…如何せん熱くなり易い性格だからなぁ…。調子に乗ってあんまり難しいスペルを使われても困る。

 

そうこう考えている内に、二人は神社の裏手へと飛んで行った。境内の裏手は森になっているが、基本的に開けた場所が多い。戦いの場としては最適だろう。

 

…まあ、私の仕事は見守る事だけね。

 

これから始まる戦いを見る為に、私は縁側に置いてあったお茶を持って、二人のいる境内裏へと向かっていった。

 

 




弾幕ごっこは入れられませんでした…(小声)
次回はちゃんと弾幕ごっこやります。


今回から、文中で登場したスペルカードの解説を軽く行いたいと思います。
文中の描写不足を補うため…もとい、原作をプレイしていない方でも分かるようにする為です。
オリ主側が使用するスペルカードについてもここで解説を行う予定です。

・恋符「マスタースパーク」
魔理沙の代名詞ともいえるスペルカード。
原作シリーズにおいては、画面の大半を埋め尽くす巨大なレーザーを放つ技として有名。
力押しだが驚異的な火力を誇る技である。「弾幕は火力だぜ」とは本人談。

・「claw-incomplete-」
不明

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